「国際金融市場」の版間の差分

提供: miniwiki
移動先:案内検索
(1版 をインポートしました)
 
1行目: 1行目:
{{出典の明記|date=2011年6月}}
 
'''国際金融市場'''(こくさいきんゆうしじょう)とは、国際間取引(クロスボーダー取引)が大規模に行われている[[金融市場]]である。金融期間の長いものは特に国際資本市場とよぶ場合がある。
 
  
== 発生 ==
+
'''国際金融市場'''(こくさいきんゆうしじょう)
[[13世紀]]から[[15世紀]]にかけて[[イタリア]]の[[ヴェネツィア]]、[[ジェノヴァ]]、[[フィレンツェ]]、[[ローマ]]、[[フランス]]の[[シャンパーニュ]]、[[リヨン]]、[[ブザンソン]]、[[パリ]]、[[アビニョン]]などの諸都市の[[定期市]]において、[[外国為替市場]]が組織された。[[16世紀]]から[[17世紀]]の間には[[アントウェルペン]]、[[17世紀]]末には[[アムステルダム]]や[[ロンドン]]が重要な外国為替センターとなり、そこで国際金融取引が行われた。
 
  
[[19世紀]]半ばから[[20世紀]]にかけてのロンドンは世界の一大国際[[金融センター]]であり、国際金融市場として模範であった。[[1816年]]の[[金本位制]]採用から[[1914年]]の金本位制度停止までの100年近く、ロンドンでは金平価が維持された。これにより[[スターリング・ポンド|ポンド]]が他の通貨と比べて厚く信認されたので、各種の多角的決済はロンドンで行われた。世界の[[金]]・[[商品]]・長短期資本・[[海運アライアンス|海運]]・保険の諸取引はロンドンを中心市場とした。ポンド建信用状付荷為替手形のロンドンにおける引受・割引信用は、[[三角貿易]]のような第三国間の貿易にも広く用いられて、ロンドンを世界の貿易金融の中心地とした([[シティ・オブ・ロンドン|シティ]]の項目も参照してほしい)。
+
国際間にわたる金融取引が行われる市場で,国際資本市場,外国為替市場の総称。現代の世界経済では,この国際金融市場を通じて国境を越えた金融取引が大規模かつ継続的に行われている。国際金融市場の成立には,経済的な発展および成熟のほかに政治的,社会的な安定などが必要条件であり,代表的な市場としてはニューヨーク市場,ロンドン市場,東京市場がある。なおロンドンに次ぐユーロ市場としてルクセンブルクの地位が漸次高まっているほか,シンガポール,カリブ海諸国など税制上の恩典により国際金融市場育成をはかる国が増加している。
 
 
しかし[[第一次世界大戦]]以後はポンドが弱体化したので、国際金融市場としてニューヨークが台頭した([[連邦準備制度#FRB設立]]も参照してほしい)。[[第二次世界大戦]]後[[ブレトンウッズ協定]]により、[[ドル]]は取引通貨・[[準備通貨]]としての地位を高めた。各国間の国際決済・貿易金融は在米銀行に当事者が保有するドル預金残高の振替、つまりニューヨークの銀行引受手形市場で行われた。
 
 
 
ここまでの歴史から、ある国の[[金融市場]]が国際金融市場となる条件として下のようなものが指摘されている。
 
# 当該国の[[通貨]]が国際取引通貨・準備通貨として広く使われていること。そのためには通貨の[[金]]への交換性あるいは政治・経済力を背景として通貨の信認が得られていなければならない。この通貨の信認のもとに、各国の銀行はその金融中心地に当該国通貨の預金勘定をもち、その金融中心地が世界の決済地として機能する。
 
# 組織的な長短期金融市場の存在。世界各国の[[資金]]が集中し、そこで資金の調達・運用が行われるためには、長短期の金融市場と金融機関が存在し、世界の銀行の機能を果たしていなければならない。
 
# 通貨を自由に交換できる[[外国為替市場]]の存在。外国送金・金利裁定・為替ヘッジなどの便宜を提供する外国為替市場の存在は不可欠である。こうした利便性が[[手形交換所]]を形成し、[[銀行]]を活躍させる。
 
# 国際金融取引や外国為替取引の規制が存在しないこと。近代までは英仏間に垣根があった。ニューヨーク台頭の背景。
 
# 世界的な商品・海運・保険市場の存在。商品・海運は国際金融市場を裏づける実体経済である。保険は顧客が保有する資産の情報を合法的に得る事業である。手数料は[[独占]]でないかぎり価格競争が起こる。
 
# 通信・情報処理用インフラ([[海底ケーブル]]等)と金融エキスパート([[カストディアン]]等)の存在。
 
 
 
== 多極化 ==
 
{| class="wikitable"  style="float:right; text-align:right; font-size:85%; margin:1em;"
 
|-
 
| colspan="3" style="background-color: #feb;"|{{center|'''[[金融センター|金融市場ランキング]]'''}}
 
|-
 
|colspan="1"|順位
 
|colspan="1"|{{center|都市}}
 
|-
 
|1
 
|align=left|{{Flagicon|UK}} [[ロンドン]]
 
|-
 
|2
 
|align=left|{{Flagicon|USA}} [[ニューヨーク]]
 
|-
 
|3
 
|align=left|{{Flagicon|HKG}} [[香港]]
 
|-
 
|4
 
|align=left|{{Flagicon|SIN}} [[シンガポール]]
 
|-
 
|5
 
|align=left|{{Flagicon|JPN}} [[東京]]
 
|-
 
|6
 
|align=left|{{Flagicon|CHN}} [[上海]]
 
|-
 
|7
 
|align=left|{{Flagicon|CAN}} [[トロント]]
 
|-
 
|8
 
|align=left|{{Flagicon|AUS}} [[シドニー]]
 
|-
 
|9
 
|align=left|{{Flagicon|SUI}} [[チューリッヒ]]
 
|-
 
|10
 
|align=left|{{Flagicon|CHN}} [[北京]]
 
|-
 
| colspan="3"|国際金融センター指数<br />(2017年9月公表)[http://www.longfinance.net/images/GFCI22_Report.pdf]
 
|}
 
 
 
[[1950年代]]より[[アメリカ合衆国]]国際収支の継続的赤字が世界にドルを散布していた。過剰ドルの時代が[[アメリカ合衆国の経済史#インフレの悲哀: 1970年代|インフレの悲哀]]の悲哀をもたらした。そうした中で[[ニクソン・ショック]]が起こったのである。以来、[[変動為替相場制]]が国際金融市場における欧州の復権をもたらした。[[フランクフルト・アム・マイン|フランクフルト]]・[[チューリヒ]]・[[パリ]]・[[アムステルダム]]で、かなりの規模の国際金融取引が行われるようになった。具体的には[[ドイツ銀行]]・[[BNPパリバ]]・[[ABNアムロ]]が参加した。[[ユーロダラー]]市場の登場が必至となり、またアメリカの対外投融資規制や多国籍企業の活動とあいまって[[ユーロ債]]市場も出現した。通信・情報処理用インフラの[[グローバル化]]により、国際金融市場は国境の制約を超えたものとなった。
 
 
 
[[ビッグバン (金融市場)|ビッグバン]]でロンドンがユーロダラー市場の中心地となった。パリやフランクフルトにも活発な[[ユーロカレンシー]]市場が存在する。ドル金融をロンドンに奪われそうになっていたアメリカは、非居住者間の金融取引に租税や為替管理上の特典を与えている[[オフショア市場]]として、[[1981年]]ニューヨークに国際金融ファシリティを設立した。[[オフショア金融センター]]については、まず[[租税回避地]]として[[バハマ]]・[[ケイマン諸島]]・[[パナマ]]・[[バーレーン]]などが、またアジアダラー市場として[[シンガポール]]・[[香港]]が、それぞれ急速に発展してきた。[[1986年]][[12月]]、[[東京]]オフショア市場も創設された。
 
 
 
[[21世紀]]初頭の市場で大きなウェイトを占めた[[金融派生商品]]については、[[1972年]]にシカゴ商業取引所で通貨先物取引が開始され、[[1975年]]には[[シカゴ商品取引所]]で初めて金利先物が上場された。その後[[1982年]]にシカゴ商業取引所で株価指数先物・株価指数先物オプション、シカゴ商品取引所で債券先物オプションが導入された。店頭取引として[[通貨スワップ]]や金利先渡取引が行われた。こうしたデリバティブ取引は[[1982年]]イギリスのロンドン国際金融先物取引所、[[1984年]]シンガポールの[[シンガポール国際金融取引所]]、[[1989年]]日本の東京金融先物取引所(現:[[東京金融取引所]])、[[1985年]]日本の[[東京証券取引所]]をはじめ、世界各地の取引所で上場された。このような[[1980年代]]から世界全体の[[経常収支]]が100億ドル単位で赤字を計上するようになった。[[1990年代]]に入ってこれら取引所では電子端末入力による付合せ方式で価格が決定されるコンピューター・システムが導入された。システムと[[金融工学]]の慢心は[[ロングターム・キャピタル・マネジメント]]の破綻をもたらした。21世紀初頭、[[新自由主義]]の席巻と海底ケーブルの充実を背景に国際金融市場の多極化は加速した。[[世界金融危機]]の陰で[[ビットコイン]]が登場し、[[マウントゴックス]]のデフォルトを機にさまざまな欠陥を指摘された。しかし[[ブロックチェーン]]だけは宣伝と開発が推進されている。ブロックチェーンを利用したスマートコントラクトは、国際金融市場という金融インフラそのものを、[[スマートフォン]]や[[モノのインターネット]]のレベルにまで分解・多極化させようとしている。
 
  
 +
{{テンプレート:20180815sk}}
 
{{DEFAULTSORT:こくさいきんゆうししよう}}
 
{{DEFAULTSORT:こくさいきんゆうししよう}}
 
[[Category:金融経済学]]
 
[[Category:金融経済学]]

2019/5/7/ (火) 18:17時点における最新版

国際金融市場(こくさいきんゆうしじょう)

国際間にわたる金融取引が行われる市場で,国際資本市場,外国為替市場の総称。現代の世界経済では,この国際金融市場を通じて国境を越えた金融取引が大規模かつ継続的に行われている。国際金融市場の成立には,経済的な発展および成熟のほかに政治的,社会的な安定などが必要条件であり,代表的な市場としてはニューヨーク市場,ロンドン市場,東京市場がある。なおロンドンに次ぐユーロ市場としてルクセンブルクの地位が漸次高まっているほか,シンガポール,カリブ海諸国など税制上の恩典により国際金融市場育成をはかる国が増加している。



楽天市場検索: