「国鉄EF66形電気機関車」の版間の差分

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{{機関車情報表
 
|車両名 = 国鉄/JR貨物EF66形電気機関車
 
|背景色 = #000000
 
|文字色 = #FFFFFF
 
|画像 = EF66 27 Sanyo Main Line 20170727.jpg
 
|画像幅 =
 
|画像説明 = [[山陽本線]]で貨物列車を牽引するEF66 27<br />(2017年7月)
 
|運用者 = [[日本国有鉄道]]<br />[[西日本旅客鉄道]]<br />[[日本貨物鉄道]]
 
|製造所 = [[川崎重工業車両カンパニー|川崎車輛→川崎重工業兵庫工場]]<br />[[川崎重工業船舶海洋カンパニー|川崎重工業坂出工場]]<br />[[汽車製造]]<br />[[富士電機|川崎電機→富士電機]]<br/>[[東洋電機製造]]
 
|製造年 = 1968年 - 1974年<br />1989年 - 1991年
 
|製造数 = 89両
 
|軸配置 = Bo - Bo - Bo
 
|軌間 = 1,067 mm
 
|電気方式 = [[直流電化|直流]]1,500V<br />([[架空電車線方式]])
 
|全長 = 18,200 mm
 
|全幅 = 2,800 mm
 
|全高 = 3,872 mm
 
|機関車重量 = 100.8t
 
|運転整備重量 =
 
|軸重 = 16.8 t
 
|主電動機 = [[直巻整流子電動機|直流直巻電動機]] MT56形×6基
 
|動力伝達方式 = 1段歯車減速[[クイル式駆動方式#中空軸可撓吊り掛け駆動方式|中空軸可撓吊り掛け式]]
 
|歯車比 = 20:71 (3.55)
 
|台車 = 試作車:DT133形(両端) DT134形(中間)<ref>『[[鉄道ファン (雑誌)|鉄道ファン]]』1991年11月号、[[交友社]]、p.10</ref><br />0番台1次車:DT133A形(両端)DT134A形(中間)<ref>『鉄道ファン』1991年11月号、交友社、p.13</ref><br />0番台2次車:DT133B形(両端)DT134A形(中間)<ref>『鉄道ファン』1991年11月号、交友社、p.18</ref><br />100番台:FD133C形(両端)FD134B形(中間)<ref>『鉄道ファン』1991年11月号、交友社、p.32</ref>
 
|制御方式 = [[電気車の速度制御#抵抗制御|抵抗制御・3段組合せ・弱め界磁]]<br />([[バーニア制御]]付)
 
|制御装置 = 自動進段電動カム軸制御
 
|制動装置 = EL14AS形[[自動空気ブレーキ]]
 
|保安装置 = [[自動列車停止装置#B形(軌道電流形)・S形(地上子形)|ATS-S]](新製時)
 
|設計最高速度 =
 
|最高運転速度 = 110 km/h
 
|定格速度 = &nbsp;72.2 km/h(85%界磁)<br />108.0 km/h([[電気車の速度制御#弱め界磁制御|40%界磁]])
 
|定格出力 = 3,900 kW
 
|定格引張力 = 19,590 kgf(約192.08kN・85%界磁)
 
|備考全幅 = {{ブルーリボン賞 (鉄道)|12|1969}}
 
}}
 
'''EF66形電気機関車'''(EF66がたでんききかんしゃ)<!--国鉄・JR継続製造形式のため導入部に社名は付けない-->は、[[日本国有鉄道]](国鉄)が[[1968年]]([[昭和]]43年)から[[1974年]](昭和49年)まで、[[日本貨物鉄道]](JR貨物)が[[1989年]]([[平成]]元年)から[[1991年]](平成3年)まで製作した[[直流電化|直流]][[電気機関車]]である。
 
  
本形式の量産に先立ち、[[1966年]](昭和41年)に試作された'''EF90形電気機関車'''についても本項で記述する。
 
 
== 概要 ==
 
[[ファイル:JNR ef66 20 resafc niwase.jpg|200px|thumb|left|EF66 20けん引レサ10000系貨物列車(1985年、庭瀬駅)]]
 
本形式は、[[東海道本線|東海道]]・[[山陽本線]]系統の[[高速貨物列車]]専用機として開発された。
 
 
[[名神高速道路|名神]]・[[東名高速道路]]の整備により輸送シェアを拡大しつつあった[[貨物自動車|トラック]]輸送に対抗するため、国鉄では特に所要時間の短縮が急務とされた[[生鮮食品|生鮮品]]輸送を中心に[[貨物列車]]の高速化を計画した。最高速度 100 [[キロメートル毎時|km/h]] での走行可能な[[国鉄コキ10000形貨車|コキ10000系]][[コンテナ車]]・[[国鉄レサ10000系貨車|レサ10000系]][[冷蔵車]]と並行して、専用の新型機関車の開発が開始された。
 
 
当初は[[駆動輪|動軸]]数8軸の「H級」とする構想もあったが、大出力[[主電動機|電動機]]の実用化に見込みがついたことから動軸数6軸の「F級」として開発が進められ、1966年(昭和41年)9月に[[プロトタイプ#鉄道車両|試作機]]が川崎車輛(現・[[川崎重工業車両カンパニー|川崎重工業]])で完成した。これが'''EF90形'''である。定格出力 3,900[[キロ|k]][[ワット|W]] は狭軌鉄道では当時世界最大のものであった。
 
 
同年11月より、先に運用を開始していたレサ10000系の特急貨物列車「とびうお」「ぎんりん」の牽引で運用を開始し、運用結果を基に1968年(昭和43年)から量産機の製作が開始された。これが'''EF66形'''である。
 
 
本形式の量産開始に伴い、これまで暫定的に[[国鉄EF65形電気機関車#500番台(F形)|EF65形(500番台F形)]]の[[重連運転|重連]]牽引としてきた「とびうお」などの高速貨物列車は本形式1両での牽引に切り替えられ、以後、東海道・山陽本線系統の高速貨物列車を主として使用されてきた。[[1985年]](昭和60年)3月からは、[[寝台列車|寝台]][[特別急行列車|特急]]([[ブルートレイン (日本)|ブルートレイン]])「[[はやぶさ (列車)|はやぶさ]]」「[[富士 (列車)|富士]]」など[[旅客列車]]の牽引にも使用されるようになった。
 
 
1987年の[[国鉄分割民営化]]では[[西日本旅客鉄道]](JR西日本)とJR貨物に承継された。1989年(平成元年)には、JR貨物によって一部設計変更の上で新規製作が行われた。これは[[コンテナ]]貨物輸送の好調を受け、列車増発に対応するもので、当時並行して開発に着手した新型機関車の投入までに輸送状況の逼迫を賄う時間的猶予がなかったための過渡的な措置である。以降、コンテナ車を主とする貨物列車に重用されている。
 
 
JR西日本所属車は引き続き東海道・山陽本線区間の寝台特急で運用されたが、2009年3月、同区間の客車寝台特急全廃をもって定期運用を終了、2010年には全車が除籍となりJR西日本所属車は消滅した。
 
 
第12回(1969年)[[鉄道友の会]][[ブルーリボン賞 (鉄道)|ブルーリボン賞]]受賞。国鉄・私鉄の機関車でブルーリボン賞を受賞した車両は[[2017年]](平成29年)現在、本形式のみである。
 
 
== 構造 ==
 
※ここでは設計当初の仕様について記述し、後年の変更箇所については当該節にて記述する。
 
 
=== 車体 ===
 
[[ファイル:JNR EF66-42.JPG|thumb|220px|運転台回り。寝台特急牽引のため、ナンバープレートの下側、飾り帯に重なるようにヘッドマークが取り付けられている。(2004年11月12日 品川駅)]]
 
高[[操縦席|運転台]]式非貫通型で、従来の機関車より一段高い位置に設けられた運転台や中央部を突出させた前面形状は、後述の灯火配置や[[鉄道の車両番号|ナンバープレート]]の台座ともども[[国鉄181系電車|151・161系→181系電車]]や[[国鉄485系電車|481系電車]]のボンネット型先頭車のボンネット(ノーズ)部分を縮めたような[[特急形車両|特急形電車]]を彷彿とさせるこれまでの国鉄電気機関車にない独特の意匠である。灯火類は正面下部に[[前照灯|前灯]]・[[尾灯|後部灯]]を垂直に配列、左右の灯火間には通風孔を兼ねた[[ステンレス鋼|ステンレス]]の飾り帯を配し、正面の[[鉄道の車両番号|ナンバープレート]]は特急形電車に類似する逆三角形の標章と一体化した意匠である。これら形状の特徴から、本形式は容易に識別できる。外部塗色は車体が[[青15号]](濃青色)、正面下部と側面の帯は[[クリーム1号]]である。
 
 
=== 主要機器 ===
 
主電動機は、1,000[[トン|t]]の貨物列車を100km/hで運転することを開発目標として、[[三菱電機]]が原設計を担当した<ref name="wadachi 130">{{Cite journal |和書 |author= |url=http://www6.plala.or.jp/jrcFukui/130.pdf |format=PDF |title=電車モーターを設計していたころ |date=2010-5 |publisher=鉄道友の会福井支部 |journal=わだち |number=130 |pages= }}</ref>。本形式専用に開発された直流直巻整流子電動機のMT56(85%界磁時の端子電圧750V時1時間定格出力650kW、定格回転数1,260rpm)を6基搭載する。このMT56は後述するQD10中空軸式可撓吊り掛け駆動装置を採用することを前提として、耐熱性の高い無溶剤[[エポキシ樹脂]]絶縁材の採用や定格回転数の引き上げなどで高出力を得られるように設計された低トルク高回転数仕様の高速電動機であり、MT52より軽量でありながら85%界磁でMT52の全界磁時の約1.5倍の出力を実現した。本形式ではこのMT56を歯数比3.55で使用し、85%界磁での定格速度を72.2km/hに設定、より定格回転数の低いMT52で歯数比3.83としていたEF65形の全界磁定格速度45km/hを大幅に上回ったのみならず、貨物用機関車でありながら、牽引力を低くし定格速度を高く設計されていた旅客用機関車の[[国鉄EF58形電気機関車|EF58形]](歯数比2.68、全界磁定格速度68km/h)による重連とほぼ同等の走行性能、言い換えればEF65形の牽引力とEF58形の運転速度を両立する、一種の万能機として完成した<ref group="*">もっともその反面、自重100.8t、動軸重16.8tとかつての特甲線規格で機関車の動軸重に許容される最大重量(特甲線では軸重16t上限だが機関車の動軸重に限り5%の加算が許容される)となっており、運用可能線区には制限がある。</ref>。
 
 
制御方式は国鉄直流電気機関車で一般的な[[電気車の速度制御#抵抗制御|抵抗制御]]であり、主電動機の電気配列をつなぎ変える[[電気車の速度制御#直並列組合せ制御|組み合わせ制御]]は[[主制御器#直並列組合せ制御|橋絡渡り]]<ref group="*">[[国鉄EF60形電気機関車|EF60形]]やEF65形では、力行時に直列→直並列、直並列→並列に接続を切り替える「渡り」の際に一部の主電動機を電気的に開放する「短絡渡り方式」を採用していたが、本形式は大出力であるため、牽引力の急激な変化による主電動機への悪影響を防ぐ目的で、[[ホイートストンブリッジ]]回路を応用した「橋絡渡り方式」を採用している。これは、短絡渡りでは牽引力変動による悪影響が大きい[[国鉄EF62形電気機関車|EF62形]]・[[国鉄EF63形電気機関車|EF63形]]・[[国鉄EF64形電気機関車|EF64形]]といった同時代の勾配線用機関車と同一の方式である。</ref>方式を採用している。制御装置として、CS27抵抗バーニア制御器、CS28界磁制御器を搭載する<ref name="EF66 0 100 28">{{Cite book|和書|editor= |title=鉄道名車 モデル&プロファイル EF66 0&100番代|year=2011|publisher=ネコ・パブリッシング|pages=p.28|id=}}</ref>。
 
設計時には電車と同様、左側に主幹制御器、右側にブレーキハンドルを配置する計画もあったが、現場サイドの要望よりこれは廃案となった。
 
 
[[電気車の速度制御#弱め界磁制御|弱め界磁制御]]はS(直列)、SP(直並列)、P(並列)の各ノッチにおいて最弱40%までの8段と在来車より多く設定し、細かな[[電気車の速度制御|速度制御]]が可能である。制御回路は[[継電器|リレー]]から[[ダイオード]]・[[サイリスタ]]・[[シンクロ電機|シンクロ]]電動機等の新技術が積極的に採用<ref group="*">これらの新技術は好結果を収め、後にEF64形やEF65形1000番台などに反映された。</ref>され、[[空転]]検知装置は電気機関車で初めて主電動機[[電機子]]電圧比較方式を採用した。
 
 
[[ファイル:JNR truck DT133.jpg|220px|thumb|両端台車(DT133形)]]
 
[[ファイル:JNR truck DT134.jpg|220px|thumb|中間台車(DT134形)]]
 
[[鉄道車両の台車|台車]]はダイアフラム形[[空気バネ|空気ばね]]を枕ばねに用いたDT133(両端)・DT134(中間)で、両端のDT133は空気ばねを介してまくらばりに全荷重を伝え、けん引力伝達にも[[ボルスタアンカー]]を用いる、同時期の電車用台車に近い構造になっている。中間のDT134は曲線通過時に横動に対応する必要があるため、上下揺れまくらと揺れまくら釣りを持つリンク式機構を備え、上揺れまくらが車体と結ばれている。
 
 
軸箱支持機構は台車枠の側梁から垂直に下ろされたピンと軸箱の円筒ゴムが摺動することで前後左右方向を弾性支持し、上下荷重は軸受直上に位置する2組のコイルばねが負担する、[[国鉄ED60形電気機関車|ED60形]]用DT106以来の方式が踏襲されている。
 
 
動力伝達機構は従来の[[吊り掛け駆動方式|吊り掛け式]]ではばね下重量が過大で[[軌道 (鉄道)|軌道]]負担が大きく、またMT56のような高速電動機ではフラッシュオーバなどの故障が頻発する恐れがあったことから、新開発のQD10[[クイル式駆動方式#中空軸可撓吊り掛け駆動方式|中空軸可撓吊り掛け式]]駆動装置を用いてばね下重量を軽減している。これは設計当時ドイツ連邦鉄道[[西ドイツ国鉄103型電気機関車|103型]]電気機関車などで採用されていたのと同様の機構で、国鉄電気機関車では最初で最後の採用例となった。
 
 
高速貨物列車の牽引が前提であるため、ブレーキ装置には[[自動空気ブレーキ#電磁自動空気ブレーキ|電磁ブレーキ]]指令装置と応速度単機増圧機能を装備する。[[圧縮機|電動空気圧縮機]] (CP) は10000系貨車の空気ばねにも空気圧を供給する<ref group="*">10000系貨車の空気ばねは7両分以上の空気圧供給をブレーキ管経由で行うと、それだけで自動ブレーキが作用してしまうほどの消費量となる。そのため、10000系貨車を長大編成で運用するには元空気溜管 (MRP) の引き通しと、それに空気圧を供給する大容量CPの搭載が必須であった。</ref>ため、EF65形と同様のMH92B-C3000を2基を搭載する<ref group="*">EF65形は1基搭載である。</ref>。
 
 
[[連結器]]は周囲にブレーキ指令を伝えるブレーキ管 (BP) および空気圧を供給する元空気溜管 (MRP)、と2系統の空気管を装備し、同形の連結器を備える10000系高速貨車との連結時には空気管も自動的に連結される構造である。これは10000系貨車の各台車に備えられた空気ばねと各車のブレーキ装置を駆動する動力源となる元空気溜に空気圧を供給するMRPを編成全体に引き通すためで、連結器本体は遊間のない[[日本製鋼所]]設計の密着式自動連結器を使用して連結時に各空気管も確実に接続される設計としている。
 
 
補機類や計器類の電源を供給する補助電源には、5kVAの容量を備えるMH81B-DM44B交流発電機を採用するが、これはEF65形と同じ物を搭載している。
 
 
電動機などの冷却に使用する電動送風機は、MH91G-FK99を2基搭載する。内訳は、第1 - 第4電動機用が1基、第5・6電動機・ブレーキ抵抗器用が1基である。
 
 
[[集電装置]]は、<!-- 当初はシングルアーム形のものが考えられていたが、<ref>斎間亨『電気機関車をつくる』筑摩書房〈ちくまプリマーブックス〉--><!-- 掲載されているデザイン画ではシングルアーム形となっています。 --><!-- </ref> -->直流電気機関車標準の菱枠パンタグラフであるPS17を装備した。後年には生産終了となっていたPS17の部品調達が難しくなったことから、PS22B下枠交差形パンタグラフへの換装が施工されたものがある。PS17の予備部品の在庫状況(PS22Bに載せ替えられて降ろされたPS17も再整備で備品となる)から必要に応じて行われるため、一気に全車に施工されるものではなく、また一度PS22Bに載せ替えられてから、再度PS17に載せ替えられたものも存在する<ref>『鉄道ファン』1991年11月号、交友社、p.43</ref>。
 
 
運転台操作機器は従来機関車の標準仕様から大きく変更された。ノッチ板を廃し電車同様の操作性をもつ[[マスター・コントローラー|主幹制御器]]ハンドル、電気機関車で初めて「セルシン」と呼称するシンクロ変換器を採用した弱め界磁ハンドル、[[人間工学]]の思想に基づき視認性を配慮して一直線に配置された計器類などを装備する。
 
 
== 形態区分 ==
 
=== 試作機(EF90形) ===
 
[[ファイル:JNR EF66 901maibara fuji.jpg|150px|thumb|901号機(1984年、米原機関区)]]
 
昭和40年度第2次債務により、1966年(昭和41年)9月に'''EF90形'''として川崎車輛+川崎電機で製作された。本形式の前身となる試作機である。最高速度 100 km/h の高速貨車コキ10000形・レサ10000形などと同時に試作され、各種試験に供された。外観上、正面窓の形状が若干異なる。中央の桟は幅が太く、隅の桟は量産車より内側に寄っている。また、側引き窓が2分割されている(量産車は1枚)。1968年(昭和43年)、量産1次車が製作されたのと同時期に量産車と仕様を統一する改造を行い、量産車と同じEF66形に編入して番号を'''EF66 901'''に変更した。前面窓の桟の移設は1987年(昭和62年)の全検入場時に行われたが、桟の幅は変更されなかった<ref>『鉄道ファン』1991年11月号、交友社、p.44</ref>。
 
 
[[1987年]](昭和62年)のJR移行時にはJR貨物に承継され、[[吹田機関区]]に配置され貨物列車に使用された。[[1996年]]12月にヘッドマーク「さよなら901」を装着して走行し同月28日の2060レ(幡生 → 吹田)で運用から離脱<ref name="EF66 0 100 p40">{{Cite book|和書|editor= |title=鉄道名車 モデル&プロファイル EF66 0&100番代|year=2011|publisher=ネコ・パブリッシング|pages=p.40|id=}}</ref>、[[保留車]]となり[[2001年]](平成13年)2月9日付で[[廃車 (鉄道)|廃車]]された<ref name="EF66 0 100 pp3637">{{Cite book|和書|editor= |title=鉄道名車 モデル&プロファイル EF66 0&100番代|year=2011|publisher=ネコ・パブリッシング|pages=pp.36 - 37|id=}}</ref>。現車は[[広島車両所]]構内で解体され、現存しない。
 
{{-}}
 
 
=== 基本番台 ===
 
{{Vertical_images_list
 
|枠幅 = 210px
 
|画像1= Ef66-0-02.jpg
 
|説明1= 上: 1次車 (11号機)
 
|画像2= EF6649 Fuji Hayabusa 20090312.jpg
 
|説明2= 下: 2次車 (49号機)
 
}}
 
1968年(昭和43年)から[[1974年]](昭和49年)にかけ55両が製作された。細部仕様の差異により1次車と2次車に区分される<ref name="EF66 0 100 pp2226">{{Cite book|和書|editor= |title=鉄道名車 モデル&プロファイル EF66 0&100番代|year=2011|publisher=ネコ・パブリッシング|pages=pp.22 - 26|id=}}</ref>。
 
 
==== 1次車 ====
 
1968年(昭和43年)から 1969年(昭和44年)までに20両(1 - 20号機)が製作された。
 
 
試作車である901号機をベースに以下に示す改良がなされている。
 
* 抵抗バーニア制御器をCS27からCS27Aに変更
 
* 界磁制御器をCS28からCS28Aに変更
 
* 台車をDT133からDT133Aに、DT134からDT134Aに変更
 
* 前方視界の改善のため、正面窓の桟を外側に移動
 
 
また、16号機以降は車体肩部分の主抵抗器排熱口が2分割から4分割に、18号機以降は抵抗バーニア制御器がCS27AからCS27Bに、界磁制御器がCS28AからCS28Bに変更された<ref name="EF66 0 100 28" />。
 
 
==== 2次車 ====
 
[[1973年]](昭和48年)から 1974年(昭和49年)まで35両(21 - 55号機)が川崎重工業で製作された。1次車と比較して多くの変更点がある。
 
 
外観での大きな相違は、前面窓直上に庇がついた点である。これは、集電装置スリ板で発生する金属粉やグリスによる汚れを防ぐためである。さらに、車体側面の点検蓋が車体中央のナンバープレート横に移設、前面誘導員用手すりの変更が行われた。前面ナンバープレート下の飾り帯にあった通風孔は廃止された。
 
 
内部機器の面では、抵抗バーニア制御器がCS27Cに、界磁制御器がCS28Cに変更された。電動発電機は補機・制御電源兼用とし、[[かご形三相誘導電動機|三相誘導電動機]]の採用と容量増強(5kVA → 90kVA)が行われたMH127A-DM84A形に変更された。補機類の電源が三相交流440Vに変更されたことから、電動空気圧縮機はMH3064A-C3000形2基に、電動送風機はMH3036B-FK99A形2基に変更された。主電動機にはコンバインドシャント[[抵抗器]]が追加された。高速回転時の整流改善を目的とする対策で、後年に充当された寝台特急運用では最高速度 110 km/h での営業運転を行うため、本件対策がなされた2次車を中心に充当している。台車の空気ばねをベローズ式からダイヤフラム式に変更したために、両端台車の形式がDT133Bに変更された。
 
 
[[自動空気ブレーキ]]装置には単機増圧装置に加え、[[国鉄20系客車|20系客車]]に搭載された編成増圧装置を作用させるための指令線を追設した。これは列車全体のブレーキシリンダ圧力を増加させる機構で、高速域からの非常制動時に[[制輪子]]と車輪の[[摩擦]]熱によって減衰する制動力を補うための装備である。
 
 
また、34号機以降は避雷器がLA15BからLA15Dに変更された。
 
 
2次車では振替台検が行われていた。振替台検とは1両分(両端台車2基と中間台車1基)を余分に用意して整備しておき、台検施行車の台車と取り換えることで入場期間を短縮し、取り換えられた台車を整備して次の入場に備えることを繰り返すものである。これによって本来1週間前後かかる施行期間が2日ですみ、稼働率を向上させられた。国鉄民営化に際して2社に所属が分かれるため、1987年3月いっぱいで廃止された<ref>『鉄道ファン』1991年11月号、交友社、p.41</ref>。
 
 
{| class="wikitable" style="margin: 0.5em; float: left; clear: both; text-align: center;"
 
|+
 
!製造次!!車両番号!!製造所!!製造名目!!予算
 
|-
 
|rowspan="6"|1次車||1 - 6||[[東洋電機製造]]<br />[[汽車製造]]||rowspan="2"|100km/h特急貨物列車新設用||rowspan="2"|昭和42年度第2次債務
 
|-
 
|7 - 13||[[川崎重工業車両カンパニー|川崎車輌]]<br />[[富士電機|川崎電機]]
 
|-
 
|14||東洋電機製造<br />汽車製造||rowspan="2"|増発ダイヤでの不足両数追加||rowspan="2"|昭和42年度第3次債務
 
|-
 
|15||川崎車輌<br />川崎電機
 
|-
 
|16・17||rowspan="2"|[[川崎重工業車両カンパニー|川崎重工業]]<ref name="Kawasaki" group="*">合併などによる社名変更。元は川崎車両・川崎電機。</ref><br />[[富士電機]]<ref name="Kawasaki" group="*"/>||フレートライナー増発用||昭和43年度第3次債務
 
|-
 
|18 - 20||[[汐留駅 (国鉄)|汐留]] - [[広島貨物ターミナル駅|東広島]]、[[下関駅|下関]] - 汐留間特急貨物列車増発||昭和43年度第5次債務
 
|-
 
|rowspan="6"|2次車||21 - 25||東洋電機製造<br />川崎重工業||rowspan="2"|東海道・山陽地区フレートライナー増発用||rowspan="2"|昭和48年度第1次民有
 
|-
 
|26 - 31||川崎重工業<br />富士電機
 
|-
 
|32・33||rowspan="2"|東洋電機製造<br />川崎重工業||増発「[[彗星 (列車)|彗星]]」所要牽引機捻出用||昭和48年度第3次民有
 
|-
 
|34 - 44||rowspan="2"|東海道・山陽・東北・山手貨物線貨物列車増発用<br />および身延・飯田線増強用||rowspan="2"|昭和49年度第2次民有
 
|-
 
|45 - 55||川崎重工業<br />富士電機
 
|}
 
{{-}}
 
 
===== 改造 =====
 
; ひさし取り付け
 
運転台窓に飛散する汚濁防止として新製時にひさしを取りつけられていなかった1次車を対象に行われた<ref name="EF66 0 100 pp2627">{{Cite book|和書|editor= |title=鉄道名車 モデル&プロファイル EF66 0&100番代|year=2011|publisher=ネコ・パブリッシング|pages=p.31|id=}}</ref>。1974年から行われた取り付けでは、全般検査に合わせて8両(5 - 7・13 - 17号機)が取り付けられたにとどまった<ref name="EF66 0 100 pp2627" />。その後、1993年度から始まった[[#延命・更新工事]]に合わせて取り付けが再開され<ref name="EF66 0 100 pp2627" />、11号機以外に取り付けられた。
 
 
=== 100番台 ===
 
{{Vertical_images_list
 
|枠幅 = 210px
 
|画像1= JRF_EF66-108.jpg
 
|説明1= 100番台1次車。108号機。
 
|画像2= EF66 127 EF66 121 20170511.jpg
 
|説明2= 100番台2次車。127号機。次位は121号機。
 
}}
 
JR移行後の[[貨物列車]]増発に対応するため[[製作]]された[[区分]]で、[[1989年]](平成元年)から[[1991年]](平成3年)にかけて[[川崎重工業]]で33両<ref group="*">川崎重工の車両製作拠点は兵庫工場であるが、本区分は2次車の一部を除き、坂出工場で製作された。同工場は後に川崎造船(現・[[川崎重工業船舶海洋カンパニー]])に移管されたため、稀有な製作例である。</ref>が製作された。性能や基本的な構造は0番台の最終増備車を踏襲したが、各部の仕様を変更している。
 
 
外観は大きく変更され、前面は正面窓を大型化し、上面が大きく傾斜した3面構成の意匠に変更され、灯火類は正面中位に前照灯・標識灯を横方向に配置する。正面窓にはウィンドウォッシャーが装備され、乗務員室には[[エア・コンディショナー|冷房装置]]が搭載された。外部塗色は車体上部が濃淡ブルーの組み合わせ、下部がライトパープル、乗務員室扉はカラシ色([[黄土色]])のJR貨物標準色である<ref name="RF337_61">[[#鉄道ファン337|『鉄道ファン』通巻337号、p.61]]</ref>。
 
 
電動機・制御機器は新たな規制への対応や機器類の有害物質排除など細部に変更が見られる。電動機では、整流改善対策として基本番台2次形(21号機以降)からコンバインドシャント抵抗器が用いられていたが、誘導コイルの見直しなどにより整流改善がなされたため、撤去されている。機器類では従来用いられていた補助リレーの製造中止により代替品に変更、セレン整流器がダイオード化、アスベストの排除が行われるなど、時代に合わせた設計変更がされている。台車は、空気ばねの形状を550[[直径|φ]]1山ダイヤフラム式に変更したFD133C・FD134Bを使用する<ref name="RF337_62">[[#鉄道ファン337|『鉄道ファン』通巻337号、p.62]]</ref><ref name="RF337_63">[[#鉄道ファン337|『鉄道ファン』通巻337号、p.63]]</ref>。
 
 
制動面では基本番台に改造で取り付けられた[[国鉄コキ50000形貨車|コキ50000形]]250000番台コンテナ車による100km/h運転対応の減圧促進装置が当初から設けられている<ref name="RF337_62" />。また電磁ブレーキ指令装置は、編成増圧機能が省略され、単機増圧方式となり、従来の空気差圧感知式の電空帰還器から、[[国鉄ED79形電気機関車#50番台|ED79形電気機関車(50番台)]]同様のカム接点付きのブレーキ弁に変更されている。空気圧縮機は空気管などのドレンによる腐食を防止するため、除湿装置が追加されている<ref name="RF337_61" />。
 
 
連結器は、[[国鉄10000系貨車|10000系貨車]]を牽引する機会がほとんどないことから、基本番台の密着式自動連結器から一般的な並形自動連結器に変更され<ref name="RF337_61" />、[[排障器|スカート]]の1位と4位にはMRPが設置されている。
 
 
仕様の差異により1次車と2次車に区分される<ref name="EF66 0 100 pp2226" />。
 
; 1次車
 
: 1989年(平成元年)に8両(101 - 108号機)が製作された。集電装置は0番台と同じPS22B下枠交差形パンタグラフを装備し<ref name="RF337_62" />、前面の灯火類は丸型のものを設置する。
 
; 2次車
 
: [[1990年]](平成2年)から1991年(平成3年)に25両(109 - 133号機)が製作された。単位スイッチ・[[遮断器|高速遮断器]]の非[[石綿|アスベスト]]化、抵抗バーニア・界磁制御機器類の仕様の変更、集電装置の変更(PS22B → PS22D)をおこなったほか、保守の簡素化のため、灯火類を一体化した角型形状・カバー付のものに変更した。屋根部分はロンテックスによる塗り屋根化を行い<ref name="RM138_29">[[#レイルマガジン138|『レイルマガジン』通巻138号、p.29]]</ref>、外部塗色は1次車の塗り分けに加えて車体裾部に 100 [[ミリメートル|mm]] 幅の青色の帯が追加された。
 
 
== 運用の変遷・現況 ==
 
=== 国鉄時代 ===
 
[[ファイル:Ef66 12 tonnel yokodai.jpg|thumb|220px|EF66 12けん引「海底トンネル号」(1984年8月22日 [[根岸線]][[洋光台駅]]付近)]]
 
新製当初、901号機は吹田第二機関区(現・[[吹田機関区]])に配置されたが、量産車は全車が下関運転所(現・[[下関総合車両所#運用検修センター|下関総合車両所運用検修センター]]<ref group="*">現車は幡生支所(現・[[幡生機関区]])に駐在する。</ref>)に配置された。901号機は[[姫路第二機関区]]に転属後、[[鷹取工場]]にて量産化改造を行ったうえで下関運転所に転属している<ref name="EF66 0 100 p129">{{Cite book|和書|editor= |title=鉄道名車 モデル&プロファイル EF66 0&100番代|year=2011|publisher=ネコ・パブリッシング|pages=p.129|id=}}</ref>。
 
 
1978年(昭和53年)から一部が[[広島機関区]]に転属し、貨物列車の大幅削減が実施された1984年(昭和59年)には広島機関区所属の車両が吹田機関区に転属している。転属後も引き続き東海道・山陽本線の貨物列車に使用された。
 
 
{| class="wikitable" style="font-size:80%; text-align:center; margin:1em 0em 2em 3em;"
 
|+1984年4月1日時点での車両配置<ref name="EF66 0 100 pp110129">{{Cite book|和書|editor= |title=鉄道名車 モデル&プロファイル EF66 0&100番代|year=2011|publisher=ネコ・パブリッシング|pages=pp.110 - 129|id=}}</ref>
 
!所属!!車両番号!!備考
 
|-
 
!下関車両所
 
|17 - 20・28・30 - 55・901号機||
 
|-
 
!吹田機関区
 
|1 - 16・21 - 27・29号機||27・29号機は下関からの転属
 
|}
 
 
その後、[[1985年]](昭和60年)[[3月14日]]の[[1985年3月14日国鉄ダイヤ改正|ダイヤ改正]]の際、2次車の一部が寝台特急「[[あさかぜ (列車)|あさかぜ]]」「[[さくら (列車)|さくら]]」「はやぶさ」「[[はやぶさ (列車)|みずほ]]」「富士」の[[東京駅|東京]] - [[下関駅|下関]]間での牽引に転用された。これは貨物列車縮減により運用に余裕が出たことに加え、「はやぶさ」の編成中に[[ロビーカー]]を増結して牽引定数が増加し、従来のEF65形では牽引力が不足するための措置である。
 
 
国鉄分割民営化を見据えて、貨物列車牽引機に充当される17 - 20・28・30 - 39・901号機が、1986年11月1日付で下関運転所から吹田機関区に転属した<ref name="EF66 0 100 pp110129" />。
 
 
=== JR貨物 ===
 
[[ファイル:JR Freight f66 18fc setoohasi test utazu.jpg|thumb|220px|EF66 18けん引本四備讃線重量試験列車(1988年、宇多津駅)]]
 
分割民営化時には1 - 39・901号機の40両を承継し、その後100番台33両を製作して73両体制となった。
 
 
国鉄から承継した車両はすべて吹田機関区に配置され、100番台は吹田機関区・[[岡山機関区]]・広島機関区に分散配置されていたが、[[1996年]](平成8年)[[3月16日]]のダイヤ改正で73両すべてが吹田機関区配置となった。また[[1999年]](平成11年)から[[2002年]](平成14年)にかけてJR西日本から41・44・52・54号機の4両を譲り受けている。
 
 
[[JR貨物コキ100形貨車|コキ100形貨車]]登場後は、100番台と同様にスカートの1位と4位側へのMRPの増設が、後にJR西日本から移籍した車両を含めて全機に施工された。
 
 
基本番台機に対しては乗務員室に冷風装置の取付を実施している。[[1988年]](昭和63年)に試験的に取付を実施し、1991年(平成3年)から本格対応として電源容量の大きい21号機以降<ref group="*">1 - 20号機は国鉄時代からの[[扇風機]]を設けるのみである。</ref>について取付を実施している。
 
 
また、1988年には18号機が瀬戸大橋の荷重試験列車の一部として使用された。
 
 
[[ファイル:JNR EF66 20 JR Freight livery okayama.jpg|thumb|220px|EF66 20 試験塗装]]
 
分割民営化後の[[1987年]]8月<ref group="*">1987年8月19日に構内試運転、翌20日に本線試運転を実施。</ref>に、20号機が試験塗装としてクリーム色ベースに青のライン、車体側面中央に大きなJRマークという塗り分けで登場した<ref>『鉄道ファン』1996年11月号、交友社、1996年、pp.117 - 119</ref>。同車は後に更新工事によって、旧更新色、新更新色と塗装が変更され、三度にわたって外観が変化したが、[[2010年]]3月16日付で除籍され<ref name="EF66 0 100 pp3637" />、[[広島車両所]]で解体された。
 
 
1993年からは基本番台の延命・更新工事が行われている。
 
{{main|#延命・更新工事}}
 
 
東海道・山陽本線を中心に運用されるが、1998年10月には[[東北本線]][[黒磯駅]]までの運用が追加された<ref>『鉄道ファン』1999年4月号、交友社、1999年、p.37</ref>。[[2000年代]]に入ってからは[[国鉄EF65形電気機関車|EF65形]]から本形式に運用が置き換えられた線区・列車もあるが、基本番台は製作後30年以上が経過し老朽化や状態不良・[[JR貨物EF210形電気機関車|EF210形]]による置き換えの進行もあって、2001年(平成13年)以降試作機の901号機および更新車を含む基本番台に廃車が発生している<ref group="*">JR貨物広島車両所で除籍された11号機は[[東日本旅客鉄道]](JR東日本)に寄贈され、[[さいたま市]][[大宮区]]の[[鉄道博物館 (さいたま市)|鉄道博物館]]に保存展示されている。</ref>。1次車は既に全車が運用を離脱し、JR西日本から移籍した車両にも廃車が発生している。
 
 
[[2016年]]3月1日時点では吹田機関区に基本番台6両(21, 26, 27, 30, 33, 36号機)、100番台33両(101 - 133)の合計41両が配置されている。基本番台は27号機のみが運用されている。2018年3月のダイヤ改正時点では東海道本線、山陽本線幡生駅以東区間、[[武蔵野線]]越谷貨物ターミナル駅以西で運用されている<ref>{{Cite book|和書|author=|editor=|title=JR貨物時刻表2018|date=|year=2018|accessdate=|publisher=社団法人鉄道貨物協会|pages=|author2=|author3=|author4=|author5=|author6=|author7=|author8=|author9=|id=}}</ref>。
 
 
11号機は[[東日本旅客鉄道]](JR東日本)に無償譲渡された後、[[鉄道博物館 (さいたま市)|鉄道博物館]]に展示のため連結器の空気管再設置やMRP管撤去など、35号機と同様に原型への復元作業が行われ、建設中の博物館建屋に搬入されている。35号機は運用離脱後、JR西日本に無償譲渡された。その後[[梅小路蒸気機関車館|京都鉄道博物館]]に展示のため冷房装置撤去と国鉄塗装への復元作業が行われ、建設中の博物館建屋に搬入された<ref group="*">京都鉄道博物館公式FacebookページでEF66 35の国鉄塗装への復元と展示について言及あり。</ref><ref>「[http://rail.hobidas.com/rmn/archives/2014/07/jref66_35dd51_756.html DD51 756・EF66 35が梅小路へ回送される]」 ネコ・パプリッシング『鉄道ホビダス』RMニュース、2014年7月7日</ref>。
 
 
==== 延命・更新工事 ====
 
{{Double image aside|right|JRF EF66-7.jpg|180|EF66 33 20170528.jpg|215|EF66 7(旧更新色)|EF66 33(新更新色)屋根上に冷房装置が設置されている}}
 
[[ファイル:JRF EF66-54.jpg|220px|thumb|EF66 54(新更新色)<br />車体裾に白色の太帯を配し、手摺が白色に塗装されていることが特徴。]]
 
1993年から2006年にかけて、内部機器の更新、側引き戸のステンレス化、前面ナンバープレート部の装飾および前照灯間のステンレス飾り帯の撤去などが行われた。施工済機は車体塗色を変更している。JR貨物所有の0番台全車に施行する予定であったが<ref>『鉄道ファン』1993年9月号、交友社、1993年、p.67</ref>、最終的に1 - 5・7 - 10・12・13・16 - 39・41・44・52・54号機に施行された。
 
 
更新工事を施工した車両には塗装変更を施した。この変更に関しては、100番台機と似た塗り分け(車体側面ルーバー位置を基準に、それより上部をディープブルーで塗装する。)でナンバープレートも100番台と同様に運転台直下に移設することも考えられた<ref name="EF66 0 100 p30">{{Cite book|和書|editor= |title=鉄道名車 モデル&プロファイル EF66 0&100番代|year=2011|publisher=ネコ・パブリッシング|pages=p.31|id=}}</ref>。最終的に、前面塗り分け位置のみを更新前と同じ位置にまで上昇させ、ナンバープレートの位置は更新前と同じとした<ref>{{Cite book|和書|editor= |title=鉄道名車 モデル&プロファイル EF66 0&100番代|year=2011|publisher=ネコ・パブリッシング|pages=p.30|id=}}</ref>。後に更新機の塗装が変更されたことから旧更新色とも呼称される。
 
 
[[2004年]](平成16年)施工の54号機以降は外部塗色が変更され、車体を青15号、正面と車体裾部にクリーム色1号を配した、国鉄色に近似するものとなった<ref>『J-train』Vol.14、[[イカロス出版]]、2004年、p.126</ref>。旧更新色と比べて色あせや汚れが目立たずにマスキングの手間を省くことができる塗装として採用され、この塗色は新更新色とも呼称される<ref name="EF66 0 100 p30" />。最終的に9・10・12・16・17・19 - 26・28 - 39・41・44・52・54号機が新更新色となった<ref group="*">33・36・54号機は旧更新色を経ることなく、国鉄色から新更新色に塗り替えられた。</ref><ref group="*">旧更新色もその後の全般検査において塗装変更された車両や、車両置き換えによって除籍された車両が増え、[[2010年]][[6月]]に広島車両所を出場した30号機を最後に姿を消し、JR貨物における現役の更新色車両は全て新更新色となっている。</ref>。初期に塗装が変更された16・19・20・54号機とそれ以外の車両では、手摺や車体裾帯の色などで若干の相違が見られる。
 
 
2006年9月に0番台最後となる更新工事を施工した27号機は、ほぼ国鉄塗装のままで出場した。変更箇所は「JR FREIGHT」の[[ロゴタイプ|ロゴ]]追加や腰板撤去に伴う製造[[銘板]]の移設、庇部分を含む屋根のグレー塗装化など、ごく僅かな箇所にとどまる。
 
 
{{multiple image
 
| align    = left
 
| direction = horizontal
 
| image1    = JNR EF66-27 SuperLiner HM.jpg
 
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| caption1  = EF66 27号機、屋根がグレーで塗装されている
 
| image2    = JNR EF666-27 FrontSide.jpg
 
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| caption2  = 1エンド側の運転室窓下に追加された「JR FREIGHT」のロゴ
 
| image3    = JNR_EF66-27_Plate.jpg
 
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| caption3  = 製造銘板
 
}}
 
{{-}}
 
 
=== JR西日本 ===
 
[[ファイル:EF66 55 asakaze No.1.jpg|thumb|220px|right|EF66 55牽引「あさかぜ1号」<br />(1988年)]]
 
[[ファイル:Hayabusa fuji.JPG|thumb|220px|EF66 46が牽引する「富士・はやぶさ」(2008年12月)]]
 
[[ファイル:Ef66-55-Crashed.JPG|thumb|220px|[[西日本旅客鉄道鷹取工場|鷹取工場]]で修理中のEF66 55(1992年8月30日)]]
 
分割民営化時には40 - 55号機の16両を承継した。「あさかぜ」「さくら」「はやぶさ」「みずほ」「富士」の東京 - 下関間での牽引で運用された。
 
 
[[1990年]]3月のダイヤ改正より、「[[あさかぜ (列車)|あさかぜ2号・3号]]」および「[[瀬戸 (列車)|瀬戸]]」の[[電源車]]の一部が、[[架線]]集電方式を採用した[[国鉄24系客車#「あさかぜ3・2号」、「瀬戸」用改造車|スハ25形300番台]]に改められたことから、緊急時に同車の[[集電装置|パンタグラフ]]を降下させるための装置が運転席に設けられ、指令用[[ジャンパ連結器|ジャンパ栓]](KE70HE)が連結器左横に増設されている。一部の車両は検査出場時に台車・床下機器がグレーに塗装されている。
 
 
東海道・山陽本線系統の寝台特急牽引のほか、保安装置として[[自動列車停止装置#ATS-P形(デジタル伝送パターン形)|ATS-P形]]を搭載することから、首都圏方面への[[団体専用列車|団体臨時列車]]牽引にも用いられた。
 
 
1994年12月のダイヤ改正で「みずほ」と「あさかぜ」1往復が廃止となった。このころから寝台特急削減に伴い余剰が発生し、41・44・52・54号機がJR貨物に移籍した。老朽や余剰による廃車は[[1995年]](平成7年)から発生し、[[1992年]](平成4年)の[[日本の鉄道事故 (1950年から1999年)#寝台特急さくらトレーラー衝突事故|寝台特急さくらトレーラー衝突事故]](山陽本線[[須磨駅|須磨]] - [[塩屋駅 (兵庫県)|塩屋]]間)で大破し復旧された55号機も[[蛇行動]]など不具合の頻発により同時期に廃車されている。
 
 
以後、[[下関地域鉄道部#下関車両管理室|下関地域鉄道部下関車両管理室]]<ref group="*">2009年6月1日に[[下関総合車両所#運用検修センター|下関総合車両所運用検修センター]]に改称されている。</ref>に10両(42・43・45 - 51・53号機)を配置し引き続き使用されたが、寝台特急の運用は漸次減少し、最後まで残存した「富士」・「はやぶさ」(東京 - 下関間)の運用が2009年[[3月14日]][[2001年以降のJRダイヤ改正|ダイヤ改正]]の列車廃止によって消滅し、定期運用を喪失した。その後、8両が廃車され<ref name="railf 201006">「JR旅客会社の車両配置表」 『鉄道ファン』2010年6月号(通巻591号)、交友社</ref>、45・49号機の2両のみ残存した<ref name="railf 201006" />。以後は臨時の[[特殊列車#工事列車|工事列車]](工臨)などに用いられたのち、2010年9月20日付で廃車となり、JR西日本所属車は消滅している<ref>{{Cite book|和書|editor=ジェー・アール・アール |title=JR電車編成表 2011冬 |year=2010 |publisher=交通新聞社|pages=p.349|id=ISBN 9784330184104}}</ref>。
 
 
=== 保存車両 ===
 
* EF66 1
 
** [[広島県]][[広島市]][[東区 (広島市)|東区]] [[広島車両所]]
 
*** 運用離脱後、国鉄色に復元の上で保存されている。ただし、2エンド側はナンバープレート台座と飾り帯が装着されていない、新更新色の仕様である。車両所内で訓練車として使用されることもある<ref name="100 youto">『J-train』Vol.39、イカロス出版、2010年、p.58</ref>。
 
* EF66 10
 
** [[京都府]][[京都市]][[下京区]] [[京都鉄道博物館]]
 
*** 1エンド側運転台の下半分のみカットモデルとして展示。
 
* EF66 11
 
** [[埼玉県]][[さいたま市]][[大宮区]] [[鉄道博物館 (さいたま市)|鉄道博物館]]
 
*** 運転台上部のひさしが無い、パンタグラフがPS17であるなど、落成当時の状態を残している。
 
*** 廃車後、2004年から2006年にかけて広島車両所公開イベントで展示されていたが、展示用としてJR東日本に譲渡。2007年5月21日に大宮まで回送され、展示のための整備を受けた上で鉄道博物館に収蔵された。展示にあたり、撤去されていた連結器の空気管の再設置やMRP管の撤去等、原型に復元する改造が施されている。
 
* EF66 35
 
** [[京都府]][[京都市]][[下京区]] 旧[[梅小路蒸気機関車館]]
 
*** 11号機と同じくJR貨物で活躍したのち、展示用としてJR西日本に譲渡された。その後、冷房装置を撤去し、国鉄塗装に変更されている。
 
*** 2015年1月4日・5日限定で扇形庫で展示された<ref>[http://railf.jp/news/2015/01/07/140000.html 梅小路蒸気機関車館で特別展示『蒸気機関車の頭出し』開催] - 交友社『鉄道ファン』railf.jp 2015年1月7日付</ref>。
 
** 京都府京都市下京区 京都鉄道博物館
 
*** 2016年4月29日に梅小路蒸気機関車館を拡張・リニューアルオープンした京都鉄道博物館にて常設展示となり、床下を見られるようにした嵩上げ展示となった。
 
* EF66 45・49
 
** [[京都府]][[京都市]][[右京区]] [[トロッコ嵯峨駅]]「[[ジオラマ・京都・JAPAN]]」[[京都府]][[木津市]] パン オ セグール
 
*** 1エンド側運転台部分のみのカットモデルとして展示。
 
*** 2010年9月18日・19日に下関から[[南福井駅]]まで回送され<ref>「[http://rail.hobidas.com/rmn/archives/2010/09/jref66_2.html EF66配給輸送]」 ネコ・パプリッシング『鉄道ホビダス』RMニュース、2010年9月22日</ref>、現地でカットモデル化されたのち、[[嵯峨野観光鉄道]]に運び込まれた<ref>『鉄道ファン』2011年1月号、交友社、2010年、pp.104 - 107</ref><ref>[http://www.jrf-hokuriku.co.jp/news/news10100402.html 嵯峨野観光鉄道様のEF66機関車をモニュメント用に改良する工事を受注しました。]ジェイアール貨物・北陸ロジスティックス、2010年10月</ref>。
 
* EF66 49
 
** [[京都府]][[木津川市]] 「パン オ セーグル」
 
*** 2エンド側運転台部分のみのカットモデルとして展示。<ref>[http://www.jrf-hokuriku.co.jp/news/news11061501.html EF66のカットモデルを納品しました]ジェイアール貨物・北陸ロジスティックス、2011年6月15日付</ref>。
 
* EF66 45
 
** [[埼玉県]][[さいたま市]][[緑区 (さいたま市)|緑区]] 「ほしあい眼科」
 
**2エンド側運転台部分のみのカットモデルとして展示。
 
 
<gallery perrow="4" widths="170" style="font-size:90%;">
 
ファイル:JRW 221 and EF66 driver cabs at Kyoto Railway Museum 2016-10-17.jpg|200px|[[京都鉄道博物館]]で保存されているEF66 10 運転台カットモデル(右)
 
ファイル:EF66-11 of JNR.jpg|200px|EF66 11(2007年5月26日 [[大宮車両所]])
 
ファイル:Main building of the Kyoto Railway Museum 048.jpg|200px|EF66 35(2017年4月22日 京都鉄道博物館)
 
ファイル:Japanese National Railways electric locomotive EF66 form.JPG|200px|「[[ジオラマ・京都・JAPAN]]」で保存されているEF66 49の1エンド運転台カットモデル
 
 
</gallery>
 
 
{{-}}
 
EF66の何号機かは不明であるが、東京貨物ターミナル駅の北側奥に踏切と一緒にカットモデルとして野ざらしに展示されている。
 
 
== 脚注 ==
 
{{脚注ヘルプ}}
 
{{Reflist|group=*}}
 
 
== 出典 ==
 
{{脚注ヘルプ}}
 
{{Reflist}}
 
 
== 参考文献 ==
 
* {{Cite journal|和書|author=坂本哲朗(JR貨物技術部運用車両課長) |year=1989 |month=5 |title=ニューフェイス電気機関車 |journal=[[鉄道ファン (雑誌)|鉄道ファン]] |issue=337 |pages= 60 - 63 |publisher=[[交友社]] |ref = 鉄道ファン337}}
 
* {{Cite journal|和書|author=坂井智孝 |year=1995 |month=3 |title=もっと知りたい! EF65 500 |journal=[[レイルマガジン]] |issue=138 |pages= 24 - 29 |publisher=[[ネコ・パブリッシング]] |ref = レイルマガジン138}}
 
* 鉄道ジャーナル社『[[鉄道ジャーナル]]』
 
** 別冊No.4 『国鉄現役車両1983』 1982年
 
** 2005年5月号 No.463 特集:鉄道貨物輸送の現状
 
* 電気車研究会『[[鉄道ピクトリアル]]』
 
** 1986年7月号 No.466 特集:EF66形電気機関車
 
** 2000年1月号 No.680 特集:貨物輸送
 
* ネコ・パブリッシング『国鉄冷蔵車の歴史(下)』 RM LIBRARY No.28 2001年
 
* 鉄動館 〜鉄道車両研究 by 鉄道ホビダス〜『RM EX』
 
** 2012年12月発行「RM EX 021 EF66形」国鉄最強のマンモス電機にしてJR初の新製直流機
 
* 交友社『鉄道ファン』
 
** 1986年5月号 No.301 「直流新形電機出生の記録 5」
 
** 1986年8月号 No.304 「直流新形電機出生の記録 8」
 
** 1989年12月号 No.344 「直流新形電機 交流・交直流電機出生の記録 補遺 I-1」
 
** 1991年11月号 No.367 特集:機関車EF66
 
 
== 関連項目 ==
 
[[ファイル:RN251-012.JPG|thumb|220px|レンフェ251形]]
 
* 本形式を基礎とした輸出機
 
** [[レンフェ251形電気機関車]] - [[三菱重工業]]による輸出・[[ライセンス生産|ライセンス]]機。
 
** [[中国国鉄6K型電気機関車]] - ED75形・本形式を基礎とした[[交流電化|交流]]電気機関車。
 
 
{{Commonscat|JNR EF66|EF66形}}
 
{{国鉄の新性能電気機関車}}
 
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{{JR貨物の車両リスト}}
 
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|1-1= 1966年製の鉄道車両
 
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