国立大学

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国立大学(こくりつだいがく、: National university)とは、政府によって運営又は設立されている大学国立学校である大学のことである。

日本

概要

2011年(平成23年)時点で86校(うち大学院大学 4校)が存在している。

日本における国立大学は現在、国立大学法人の設置する大学として存在している。以前は文部科学省に置かれる施設等機関であり、1949年(昭和24年)に制定された国立学校設置法(昭和24年法律第150号、国立大学法人法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成15年法律第117号)の施行により廃止)に基づいて日本国が設置していた。2003年(平成15年)に制定された国立大学法人法(平成15年法律第112号)の規定により、2004年(平成16年)4月1日に国立大学は国立大学法人の設置する大学に移行した。

このうち「世界最高水準の教育研究活動の展開が相当程度見込まれる国立大学法人」が文科省により「指定国立大学法人」に指定されている。2018年3月時点で5校ある(東北大学東京大学京都大学東京工業大学名古屋大学[1]

日本ではほとんどの国立大学が自治権を持って運営している。学生数は、全大学生のうち2割程[2]

なお、国立の短期大学については2017年(平成29年)現在全て廃止されている。

参照: 国立短期大学

国立大学の入学試験

国立大学の一般入試は、通例「大学入試センター試験」(以下、センター試験)の受験が必須で、5教科7科目(理系英語数学①②・国語理科×2・地理歴史公民×1、文系は英語・数学①②・国語・理科×1・地理歴史公民×2)という広範囲を選択することになっており、また、それに加えて大学別の個別試験(2次試験)も受験しなければならない為、大学入試センター試験(マーク形式)・2次試験(主に記述形式)を合わせると、私立大学に比して試験科目数が非常に多く、オールラウンドな学力が要求されている(但し、中には前期日程後期日程何れにおいても、5教科7科目を課さず、試験科目数を軽減している国立大学も僅かながら存在している)。また、記述形式が中心の2次試験では、解答のみを答える私立大学やセンター試験のマーク形式と異なり、解答のみならず、その解答に至るまでの正確な過程や考察も答える問題が非常に多く、より高度な学力が要求されている。また、試験日程は、前期・後期のみであることが基本である為、日程さえ異なれば幾つでも併願可能な私立大学に比べ、受験可能数が最大2回と非常に限られている。このような入試形態から、有名進学校では国立大学志願者が比較的多い。

またセンター試験は問題の難度が難関大学の2次試験に比較して易しく、難関大学の受験生であれば高得点をマークすることが比較的容易であるため、そのような大学ではセンター試験の加点比重を小さくする措置をとる特徴がある。また、京都大学理学部のようにセンター試験を一次選抜のみに用い、最終的な合格者選抜には二次試験の得点のみを用いる形式もある。

また、推薦入試AO入試制度を設けている国立大学もあり、入学する際に必要とされるのは推薦入試用の個別試験のみで、センター試験を受験する必要が無い場合もある(中にはセンター試験を利用した推薦入試もある為、一概には言えない)。これらの入試を用いる場合は,センター試験を受験しなくても国立大学に合格することができる。一部の医学部医学科、看護科、教員養成系学部では、卒業後一定期間地元の医療機関・学校に勤務することを条件とする地域枠推薦入学者選抜、地域枠編入学者選抜を行っている。

詳しくはそれぞれの大学のセンター試験傾斜配点などの案内に目を通されたい。

また、日本の大学の内、国立大学は1/8程度であり、私立大学に比べて数が非常に少なく、また学生数も少ないのも特徴である。

特例入試や追試験

各種の事情で多くの受験生が入学試験を受験できない場合には、特例入試や追試験が実施される場合がある。1995年(平成7年)の阪神・淡路大震災による特例入試と、2009年(平成21年)から2010年(平成22年)の新型インフルエンザ流行による追試験は、国立大学協会のイニシアティブで全国的に行われている。

阪神・淡路大震災が発生したのは1995年(平成7年)の大学入試センター試験直後に当たる1月17日で、国立大学への入学願書の提出が迫っていた。このため、願書の提出にも影響したと考えられる。国立大学協会は、2月3日に「阪神大震災で被災した受験生を対象とする特例入試の実施について」という文書を各国立大学へ送り、被災受験生の負担を軽減するために可能な手段を講じるように要請した。受験資格は、被災市町村に住居か在学校があり、3月27日の時点でいずれの国公立大学にも合格していない受験生で、一大学に限って受験が可能である。試験が行われたのは3月28日以降(D日程入試)で、最終的に国立大95校、公立大48校の全校が特例入試を行うことになった[3]。選抜方法としては、面接や調査書など、学力検査以外の方法で行う例も少なくなかった。文部省の発表によると、阪神大震災特例入試を志願した受験生は全国の合計で1,479人で、うち1,440人が実際に試験を受け、347人が合格している[4]

新型インフルエンザは、2009年平成21年)5月に国内感染者の発生が確認され、冬季に行われる大学入試への影響が懸念された。文部科学省は、10月8日に国公私立大学へ「平成22年度大学入学者選抜に係る新型インフルエンザ対応方針」として、大学入試センター試験の追試験を、例年の方式(1週間後に東京関西の2ヶ所で行う)から、2週間後に各都道府県で行うように変更することと、各大学で追試験等を実施することが望ましいことを通知した。これを受け、国立大学協会は、前期日程と後期日程の概ね1週間後に追試験を行うという方針を10月26日に決定し、公表した。合格者は、本試験と追試験をあわせて行うので、各大学は、本試験と難易度が同一の追試験を作成する必要がある。なお、大学の事情によっては、独自の方法で対処を行うことも許される。

国立大学・大学院の配置と名称

47都道府県全てに最低一つの国立大学が設置されている。

ほぼ全ての国立大学の大学名は所在地名を由来とする。都道府県名が多いが、令制国名など(信州大学琉球大学)、都市名(弘前大学金沢大学など)、地域ブロック名(東北大学や九州大学)といった例もある[5]横浜国立大学は校名に「国立」を入れている。

地名に由来しない国立大学は電気通信大学、そして大学院大学である総合研究大学院大学政策研究大学院大学の3校のみである。かつては図書館情報大学(現在は筑波大学と統合)もそうであった。なお、一橋大学(東京都国立市)の名称は、前身の東京商科大学があった東京都千代田区の一ツ橋に由来する。お茶の水女子大学(東京都文京区)の名称は、前身の東京女子高等師範学校が江戸時代から「御茶ノ水」と呼ばれていた文京区湯島1丁目(現在の東京医科歯科大学付近)にあったことに由来する。

国立大学と賞

日本においてはノーベル賞受賞者の全てが国立大学出身者で占められている[6]。このうち、13人が旧帝国大学の出身である。学問領域ごとに設けられている国際的賞であるフィールズ賞ガウス賞ウルフ賞に至っては、日本人受賞者全員が旧帝大出身者である。

アメリカ合衆国

アメリカ合衆国には州立大学や市立大学などの公立大学はあるが、国立大学は存在していない[7]。ただし、国立の高等教育機関が全くないわけではなく、軍関係の陸軍士官学校海軍兵学校空軍士官学校などがAcademy(アカデミー)として存在し、アメリカンフットボールなどのスポーツでは他の大学と対戦することもある[7]

脚注

  1. 第3期中期目標期間における指定国立大学法人の追加指定について文部科学省(2018年3月20日)2018年4月29日閲覧
  2. 短大生含む。文部科学省ホームページ,「私立大学」,http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shiritsu/ ,2016年7月6日閲覧
  3. 朝日新聞、1995年2月18日
  4. 朝日新聞、1995年4月18日
  5. 地元の国立大学名と重複しなければ、私立大学や公立大学が県名+大学を名乗っている例もある(青森大学福岡大学など)。
  6. 埼玉大学山梨大学、京都大学、名古屋大学、徳島大学、東京工業大学、神戸大学、東京大学、長崎大学、東北大学、北海道大学。
  7. 7.0 7.1 古村治彦『ハーヴァード大学の秘密』PHP研究所、2014年、154-158頁

関連項目

外部リンク