「吉井藩」の版間の差分

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'''吉井藩'''(よしいはん)は、[[上野国|上野]][[多胡郡]]吉井(現在の[[群馬県]][[高崎市]][[吉井町 (群馬県)|吉井町]]吉井)に存在した[[藩]]。藩府は[[吉井陣屋]]に営まれた。
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'''吉井藩'''(よしいはん)
 
 
== 藩史 ==
 
[[小田原征伐]]後、[[関東]]に入部した[[徳川家康]]は、[[譜代大名|譜代]]の家臣・[[菅沼定利]]に2万石を与えて吉井に入れた。これが吉井藩の起こりである。定利は[[天正]]20年([[1592年]])に領内で[[検地]]を行い、さらに[[六斎市]]を開いて町割りを行うなどして藩政の基盤を固めた。[[関ヶ原の戦い]]があった[[慶長]]5年([[1600年]])、定利は菩提寺として[[玄太寺]]を建立している。関ヶ原では[[徳川秀忠]]軍に従軍して[[真田昌幸]]と戦った。定利は慶長7年([[1602年]])10月22日に死去し、跡を養嗣子の[[奥平忠政|忠政]]が継いだ。忠政は家康の娘婿・[[奥平信昌]]の3男で、生母が家康の娘・[[亀姫 (徳川家康長女)|亀姫]]であったことから、松平姓を名乗ることを許された。忠政は慶長15年([[1610年]])7月26日、実父の信昌から家督を譲られて、[[美濃国|美濃]][[加納藩]]に移封となったため、吉井藩は廃藩となり、その所領は[[天領|幕府直轄領]]・[[旗本]]領となった。
 
 
 
[[天和 (日本)|天和]]2年([[1682年]])3月29日、[[大番頭]]だった[[堀田正休]]が1万石で入って吉井藩を再立藩した。正休は[[元禄]]11年([[1698年]])3月7日に[[近江国|近江]][[近江宮川藩|宮川藩]]に移され、再び吉井藩は廃藩・天領となった。
 
 
 
[[宝永]]6年([[1709年]])4月6日、[[松平信清]]は上野国内において3,000石を加増されて1万石の[[大名]]となり、[[陣屋]]を矢田(現在の高崎市吉井町矢田)に置いて吉井藩を再立藩した。このため、吉井藩は矢田藩とも言われている。幕末期の[[元治]]元年([[1864年]])7月21日、第9代藩主・[[松平信発|信発]]が陣屋を吉井に移したため、正式に吉井藩となった。
 
 
 
最後の藩主家となった松平家([[鷹司松平家]])であるが、この家は[[五摂家]]の一つ[[鷹司家]]から分かれており、[[松平信平|鷹司信平]](信清の祖父)が[[徳川家光]]の[[徳川将軍家御台所|御台所]]・[[鷹司孝子]]の弟という縁で[[江戸]]に入ったことから始まった。信平は[[承応]]3年([[1654年]])3月10日、松平姓を与えられて松平信平と名乗った。[[延宝]]2年([[1674年]])には上野と[[上総国]]両国内において7,000石の知行を与えられた。その後、嫡男の[[松平信政|信政]]、その子の信清に家督が継がれ、信清の時代に1万石の大名となった。小藩ながらその待遇は[[国主]]格、あるいは[[徳川御三家|御三家]]と同様に遇されていた。
 
 
 
しかし石高自体は小さく、第5代藩主・[[松平信成|信成]]の頃から財政難が始まる。信成は[[寛政]]9年([[1797年]])に倹約令を出したが、効果はなかった。第7代藩主・[[松平信敬|信敬]]も倹約令などを出して財政再建を主とした藩政改革を行ったが、やはり効果はほとんど無かった。第9代藩主・[[松平信発|信発]]は[[安政]]6年([[1859年]])、[[常陸国|常陸]][[水戸藩]]主・[[徳川斉昭]]蟄居の命を伝える上使を務めた功績から、莫大な恩賞を授かっている。藩政においても農民兵を採用した軍制改革を行っている。最後の藩主・[[吉井信謹|信謹]]は[[慶応]]4年([[1868年]])2月22日、[[徳川氏|徳川家]]との訣別を表すためにか、松平姓を捨てて吉井姓に改めている。その後、[[戊辰戦争]]では新政府側に与して戸倉に出兵した。
 
 
 
明治2年([[1869年]])の[[版籍奉還]]は上野国の諸藩に先駆けて行い、信謹は[[知藩事]]となる。しかし同年12月25日、信謹は知藩事を辞し、吉井藩は廃藩となった。その後、吉井の地は[[岩鼻県]]、群馬県、[[熊谷県]]を経て、群馬県に最終的には編入された。
 
 
 
== 現存建物 ==
 
吉井町郷土資料館に[[吉井陣屋]]の表門が移築現存する。また、藩士長屋も現存する。
 
 
 
== 歴代藩主 ==
 
=== 菅沼(奥平)家 ===
 
2万石。[[譜代大名|譜代]]。
 
#[[菅沼定利|定利]](さだとし)〔従五位下 小大膳〕 
 
#[[奥平忠政|忠政]](ただまさ)〔従五位下 飛騨守〕
 
 
 
=== 幕府領・旗本領 ===
 
慶長15年([[1610年]]) - 天和2年([[1682年]]):幕府直轄領および旗本領
 
 
 
=== 堀田家 ===
 
1万石。譜代。
 
#[[堀田正休|正休]](まさやす)〔従五位下 豊前守〕
 
 
 
=== 幕府領・旗本領 ===
 
[[元禄]]11年([[1698年]]) - 宝永6年(1709年):幕府直轄領および旗本領
 
 
 
=== 松平(鷹司)家 ===
 
1万石。[[親藩]]。
 
#[[松平信清|信清]](のぶきよ)〔従四位下 越前守 侍従〕
 
#[[松平信友 (吉井藩主)|信友]](のぶとも)〔従四位下 越前守 侍従〕
 
#[[松平信有|信有]](のぶあり)〔従四位下 左兵衛督 侍従〕
 
#[[松平信明 (吉井藩主)|信明]](のぶあきら)〔従四位下 左兵衛督 侍従〕
 
#[[松平信成|信成]](のぶしげ)〔従四位下 左兵衛督 侍従〕
 
#[[松平信充|信充]](のぶみつ)〔従四位下 左兵衛督 侍従〕
 
#[[松平信敬|信敬]](のぶよし)〔従四位下 弾正大弼 侍従〕
 
#[[松平信任|信任]](のぶただ)〔従四位下 左兵衛督 侍従〕
 
#[[松平信発|信発]](のぶおき)〔従五位下 左兵衛督 侍従〕
 
#[[吉井信謹|信謹]](のぶのり)〔従四位下 左兵衛督 侍従〕
 
 
 
== 幕末の領地 ==
 
「[[旧高旧領取調帳]]」では、[[上野国|上野]]分はすでに[[岩鼻県]]の管轄となっているが、ここでは「[[角川日本地名大辞典]]」(10・群馬県)の記述によった。
 
* [[上野国|上野]]
 
** [[甘楽郡]]のうち - 1村([[岩鼻県]]に編入)
 
** [[多胡郡]]のうち - 6村(同上)
 
** [[緑野郡]]のうち - 10村(同上)
 
** [[那波郡]]のうち - 1村(同上)
 
** [[群馬郡]]のうち - 7村(同上)
 
** [[勢多郡]]のうち - 1村(同上)
 
* [[上総国|上総]]
 
** [[夷隅郡]]のうち - 3村([[大多喜藩]]に編入)
 
** [[長柄郡]]のうち - 3村(うち1村を[[鶴舞藩]]、3村を[[安房上総知県事]]に編入。なお[[相給]]があるため村数の合計は一致しない)
 
 
 
== 脚注 ==
 
<references/>
 
 
 
{{s-start}}
 
{{s-bef|before=([[上野国]])|表記=前}}
 
{{s-ttl|title=行政区の変遷
 
|years=[[1864年]] - [[1869年]]|years2=}}
 
{{s-aft|after=[[岩鼻県]]|表記=次}}
 
{{end}}
 
{{江戸時代の藩}}
 
  
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矢田 (やだ) 藩ともいう。江戸時代,[[上野国]] (群馬県) 吉井地方を領有した藩。天正 18 (1590) 年菅沼氏が2万石で立藩。慶長7 (1602) 年まで在封。天領を経て,天和2 (82) ~元禄 11 (98) 年堀田氏1万石,しばらく天領,宝永6 (1709) 年松平 (吉井) 氏が1万石で入封,陣屋を矢田に移して廃藩置県にいたった。松平氏は譜代,江戸城大広間詰。
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[[Category:藩]]
 
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吉井藩(よしいはん)

矢田 (やだ) 藩ともいう。江戸時代,上野国 (群馬県) 吉井地方を領有した藩。天正 18 (1590) 年菅沼氏が2万石で立藩。慶長7 (1602) 年まで在封。天領を経て,天和2 (82) ~元禄 11 (98) 年堀田氏1万石,しばらく天領,宝永6 (1709) 年松平 (吉井) 氏が1万石で入封,陣屋を矢田に移して廃藩置県にいたった。松平氏は譜代,江戸城大広間詰。



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