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− | {{出典の明記|date=2015年7月}}
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− | {{Wiktionary|出家}}
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− | '''出家'''(しゅっけ、{{lang-pi-short|pabbajja}}、{{lang-sa-short|pravrajyaa、प्रव्रज्या}}) とは、[[師僧]]から正しい[[戒律]]である『[[沙弥戒]]』や『[[具足戒]]』を授かって[[世俗]]を離れ、家庭生活を捨て[[仏教]]に入ることである。'''落飾'''(らくしょく)ともいう。対義語は[[還俗]](げんぞく、“俗界に還る”の意)。
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− | [[在家]](ざいけ)と対比される。[[インド]]では、[[紀元前5世紀]]頃、[[バラモン教]]の伝統的権威を認めない[[沙門]](しゃもん)と呼ばれる[[修行者]]が現れ、[[解脱]](げだつ)への道を求めて[[禅定]]や苦行などの[[修行]]にいそしんだ。有力な沙門の下には多くの弟子が集まり、出家者集団を形成したが、[[釈迦]]もその沙門の1人であった。
| + | '''出家'''(しゅっけ、{{lang-pi-short|pabbajja}}、{{lang-sa-short|pravrajyaa、प्रव्रज्या}}) |
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− | 仏教における出家の伝統はこれに由来する。仏教教団において[[剃髪]](ていはつ)して[[袈裟]]を被い、「'''正式に[[受戒]](じゅかい)して入門した[[沙弥]]や[[沙弥尼]]'''」になることを言うが、その後、「'''[[具足戒]]を受けて正規の[[僧]]となった[[比丘]]や[[比丘尼]]'''」を呼ぶ場合にも使う。
| + | [[在家]] (ざいけ) の対。家庭における日常生活を求道,修行の妨げになるとして,家庭生活を捨て,修行に最も適すると思われる環境に入って,修行に没頭すること。また,その人をもいう。 |
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− | == 概要 ==
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− | [[仏教|仏教徒]]は、[[在家]]と出家者である[[僧]]とに大別できる。
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− | 在家者([[優婆塞]]・[[優婆夷]])には、[[三宝]]に帰依する「三[[帰依]]戒」と、「[[五戒]]」([[六斎日]]には「[[八斎戒]]」)が授けられる。
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− | それに対し出家者の場合、見習い僧([[沙弥]]・[[沙弥尼]])の段階では、「三帰依戒」と、「[[沙弥戒]]」・「沙弥尼戒」としての「[[十戒 (仏教)|十戒]]」等を授かって出家する。(沙弥尼の場合、その後、[[式叉摩那]](正学女)という[[六法戒]]が課された二年の期間が設けられる。)
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− | そして、20歳を越えてから、「[[具足戒]]」([[波羅提木叉]])が授けられ、この具足戒を授かることにより、正式な[[僧伽]](僧団)の一員としての出家修行者([[比丘]]・[[比丘尼]])となる。
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− | 具足戒の条項は数が多くかつ具体的であり、『[[四分律]]』では[[僧|比丘]]は約250戒、[[僧|比丘尼]]は約350戒にものぼる。[[釈迦]]を師とし出家修行を行うことはすなわちこの戒を守った修行スタイルを維持することに他ならない。また、戒を授かった修行者には目に見えない力である[[戒体]]が備わるとされる。
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− | 具足戒や僧伽の運営方法は、[[仏典]]の[[律蔵]]に収められており、[[釈尊]]が制定したこれらは弟子が勝手に変更することはできない<ref name="AUM">『オウムという悪夢』([[別冊宝島]]229) P206 [[橋爪大三郎]]著</ref>。<!--教派や地域によって若干の違いはあるものの、基本的な内容は[[大乗仏教]]や[[上座部仏教]]、金剛乗(真言乗)の[[密教]]でも変わることなく現在まで受け継がれている。-->
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− | == 地域別 ==
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− | === 上座部仏教(南伝仏教) ===
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− | 上記した出家の雛形は、初期仏教、[[部派仏教]]の時代を通じて継承され、現在でも[[上座部仏教]]では基本的に維持されている。
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− | === 中国・日本(北伝仏教) ===
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− | [[大乗仏教]]や[[密教]]が段階的に伝播してきた中国仏教では、[[律宗]]を除いては、全般的に部派仏教時代の[[具足戒]]が重視されることはなかった。加えて、『[[梵網経]]』に基づく[[菩薩戒]]なども作られ、日本仏教にも大きな影響を与えることになった。<!--[[中国]]では、仏教の出家主義は[[儒教]]の側から「[[孝]]」などの社会規範を乱すものとしてしばしば非難を受けた。また[[唐|唐代]]以降は、国家経済的見地から出家行為自体を統制し、出家者数を国家的に管理する[[度僧制度]]が整えられた。-->
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− | 日本には[[奈良時代]]に[[律宗]]の[[鑑真]]が『[[四分律]]』を伝え、[[具足戒]]に則った伝統的な[[僧伽]]・出家の制度が確立された。
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− | しかし、中国から[[天台宗]]を伝えた[[最澄]]は、[[具足戒]]を[[小乗]]の戒として軽視し、『[[梵網経]]』の[[菩薩戒]]に基づく独自の[[大乗仏教|大乗]][[戒壇]]を[[比叡山]]に創設した。日本の[[天台宗]]や、そこから派生した[[日蓮宗]]などの宗派は、当初から他国のような僧伽(基本は20人以上の出家の僧侶からなる僧団)としての伝統をもたない。また、天台宗より派生した他の宗派や禅宗では、具足戒は概して重視されず、[[鎌倉時代]]には、[[叡尊]]に始まる[[真言律宗]]など一部を除き、正式な具足戒、及び伝統的な僧伽・出家制度は衰退・消滅した。この時期には[[浄土真宗]]のように教義上で公式に妻帯を認め開祖の子孫による[[世襲]]制を行った宗派も出現した。
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− | [[江戸時代]]には<!--[[黄檗宗]]の開祖・[[隠元]]の来日などによって[[禅|禅宗]]や[[真言宗]]、天台宗の各宗派が中国系の[[具足戒]]を伝え、-->真言宗では「正法律」を唱えた[[慈雲]]尊者、天台宗では[[天皇]]から師として仰がれた[[豪潮]]律師らの活躍により日本でも一時期、正式な出家の戒律と僧伽がごく一部では復活したが、広まりはなかった。
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− | [[明治時代]]になると、[[1872年|明治5年]][[4月25日]]公布の[[太政官布告]]第133号「'''[{{NDLDC|788366/7}} 僧侶肉食妻帯蓄髪等差許ノ事]'''」にて、僧侶の妻帯・肉食等を公的に許可し、それが近代の[[文明開化]]の一環として好意的に受容されたことで、ますます在家と出家の区別は有名無実化した。さらには[[1875年|明治8年]][[2月13日]]公布の[[平民苗字必称義務令]]によりすべての国民に苗字(名字・姓)を名乗ることが義務付けられ、僧侶も例外とされなかったので、日本の僧侶は出家の身でありながら俗姓を戒名の上に付けて名乗る(たとえば[[朝比奈宗源]]・[[高田好胤]]など)ことになった。
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− | なお、現在の日本では[[第二次世界大戦]]の影響もあって、それ以降は[[破戒僧]]という言葉も[[廃語|死語]]となり、「仏教としての僧侶」における立場よりも、[[釈尊]]の教えや仏教の戒律からは逸脱した[[葬式仏教]]に由来する、個人の信仰によらない「職業(さらには[[家業]])としての僧侶」が定着した。一応は[[剃髪]]した僧侶が多いとされるが、[[浄土真宗]]を先例として中に剃髪せず、ごく一般的な髪型をしている者も数多く存在する。また、仏教では本来、出家者は在家者を教え導き、在家者は出家者を経済的に資助する者とされて、出家の精神的優位が説かれたが、[[紀元前1世紀]]頃に始まった[[大乗仏教]]においては、[[菩薩]](ぼさつ)による[[衆生]]済度(しゅじょうさいど)の観点から、在家の意義も積極的に認めた。
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− | === チベット仏教 ===
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− | [[チベット仏教]]では、大乗仏教・密教が混合しているとはいえ、[[アティーシャ]]によって戒律復興運動がなされた結果、具足戒を経る僧伽・出家制度は、現在も多くの宗派で維持されている。
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− | == 脚注 ==
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− | === 注釈 ===
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− | === 出典 ===
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− | == 関連項目 ==
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− | * [[戒律]]・[[律 (仏教)|律]]
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− | * [[具足戒]]・[[波羅提木叉]]
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− | * [[僧伽]]
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− | * [[得度]]
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− | * [[度牒]]
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− | * [[修行]]
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− | * [[修験道]]
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− | * [[托鉢]]
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− | * [[出家詐欺]]
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− | * [[還俗]]
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− | {{Buddhism2}}
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| [[Category:仏教用語]] | | [[Category:仏教用語]] |
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