円錐曲線

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円錐曲線(えんすいきょくせん、conic curve, conic section; 円錐断面)とは、円錐面を任意の平面切断したときの断面としてえられる曲線群の総称である。

歴史

古代ギリシャのアポロニウスが円錐曲線論の体系を著書にまとめ、中世ヨーロッパではケプラーによって天体の軌道との関連が見出された。またアポロニウスによる総合幾何学的な円錐曲線論はオイラーによって解析幾何学を用いて現代的に書き換えられた。

概要

円錐曲線は、xy-平面 R2 上で定義され、次の陰関数曲線によって与えることが出来る。

[math]ax^2+2bxy+cy^2+2dx+2ey+f=0\,[/math]

また、任意の2次式 P(x,y) に対し、P(x,y) = 0 が円錐曲線になることから、円錐曲線は二次曲線とも呼ばれる。

任意の円錐曲線は、適当に直交変換することによって、次の形のいずれかに変形することができる(括弧内は円錐の切断方法)。

  • 円(全ての母線と交わり、底面に平行な平面で切断)
[math]X^2+Y^2=r^2 \quad[/math]
  • 楕円(全ての母線と交わり、底面に平行でない平面で切断)
[math]pX^2+qY^2=1 \quad[/math]
  • 放物線(母線に平行な面で切断)
[math]2pX-qY^2=1 \quad[/math]
  • 双曲線(母線に平行でない平面で切断)
[math]pX^2-qY^2=1 \quad[/math]
  • 二直線(軸を全て含む平面で切断)
[math]pX^2-qY^2=0 \quad[/math]

尚、全て p>0, q>0 である。上の形の式を円錐曲線の標準形という。ただし、二直線は退化していると考え、円錐曲線に含まない場合も多い。また、楕円と正円とは円錐曲線の種別としてはしばしば区別を受けない。学問によっては、正円を円錐曲線に含まないこともある。

離心率による分類

ファイル:Eccentricity.svg
準線を共有する、いくつかの離心率 e に対応する円錐曲線
ファイル:OrbitalEccentricityDemo.svg
焦点を共有する、いくつかの離心率 e に対応する円錐曲線

別な定義のしかたとして、直線 l と、その直線上に含まれないような点 F を取る。直線 l 上で点 H を動かすとき、その直角位置上で PF : PH = e : 1 (e > 0) を満たすような点 P の集合は円錐曲線を描く。この時、PFPH の比 e離心率といい、直線 l準線、点 F焦点という。

ここで、焦点 F を極とする平面極座標 (r, θ) を新たにとれば、動点 P軌道

[math]r(\theta) = \frac{l}{1 + e \cos \theta}[/math]

という極方程式によって表すことができる。r は線分 PF の長さ、θ は線分 PFx 軸となす角度である。この式は、el という2つのパラメタを通じて、楕円・放物線・双曲線の3種の円錐曲線を統一的に表しているといえる。

離心率 e は、描かれる円錐曲線の概形を次のように決定するパラメーターである。

  • 0 < e < 1: 楕円
  • e = 1: 放物線
  • e > 1: 双曲線

他方、l半通径または半直弦と呼ばれるパラメタで、焦点 F から準線 l までの距離に離心率 e を掛けたものである。

なお、この方法で円錐曲線を描画した際、正円は現れない。これが円錐曲線に正円を含まないことがある由来になっているのだが、数学で円錐曲線を考える際は、便宜上 e = 0 であるとき円を描くとされる(実際は点となる)。あるいは、準線と焦点を無限に離した極限で円になると考える。

代数構造

円錐曲線 C種数 0 をもつ。したがって一変数 t有理関数 f(t), g(t) によって

  • x = f(t), y = g(t)

と表すことができる。C から一点をとり、その点を通る直線と C と交点を求めることでこのような表示を求めることができる。

もし C有理数の係数によって定義され、なおかつ有理点を持てば、f(t), g(t) は有理係数の有理関数となり、これによってすべての有理点を表す式が得られる。

脚注

参考文献

関連文献

関連人物

関連項目

外部リンク