八十二銀行

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株式会社八十二銀行(はちじゅうにぎんこう、英称THE HACHIJUNI BANK, LTD.)は、長野県長野市に本店を置く地方銀行

概要

地銀界では比較的財務体質が良好であるため、有力地銀に挙げられることが多い。長野県及び長野市等35市町村(2013年現在)が指定金融機関としている[1]

県内の他、群馬県埼玉県東京都新潟県愛知県岐阜県大阪府に営業拠点を持つ。また海外では香港に支店を置くほか、上海大連バンコクシンガポールに駐在員事務所を置く。

信用格付けS&Pから「A」を、R&Iから「A+」を付与されている(2014年3月末現在)。

沿革

前身行の沿革
八十二銀行の沿革

店舗

国内151店舗・海外1店舗を有する。

全国地銀との連携

2014年平成26年)1月28日、八十二銀行は、北海道銀行北海道)・七十七銀行宮城県)・千葉銀行千葉県)・静岡銀行静岡県)・京都銀行京都府)・広島銀行広島県)・伊予銀行愛媛県)・福岡銀行福岡県)(銀行名は地方順)との間で、連携および協力を発表(銀行名は地方順)[7][8]

この連携は各行が有する情報・ネットワークを活用し、新たな価値を共創することで地域経済の再生および活性化を目的としており、具体的な連携策として、各行による協調融資や取引先企業のM&A(合併・買収)での協力などが想定されている。

一部報道では、この連携が地銀再編のきっかけになる可能性が指摘されている[9][10]

情報処理システム

八十二銀における情報処理システムは、CIFを基礎に預金、貸出金、為替、日計などを統合した総合オンラインシステムを自行で開発し、1971年(昭和46年)4月、長野、大町支店において稼働が開始され、1975年(昭和50年)3月、全店でのオンライン化が完了した[11]。さらに1979年(昭和54年)4月には、外国為替システムを開発したほか、1983年(昭和58年)4月には公共債の窓口販売及び、金地金の販売業務をオンライン化している。その後、銀行のオンラインシステムが社会インフラストラクチャーとして安定運行を求められたことや、ATM等の稼働延長も強く求められた状況に鑑み、1984年(昭和59年)5月、行内に次期オンライン推進委員会が設置された[12]

1986年(昭和61年)3月には、次期システムの共同開発で琉球銀行との間で調印に至り[注 2]1989年1月の稼働を目指し構築に入るが、稼働直前の最終確認テスト時に予期せぬ不安定要因が見つかった為、稼働を約4か月遅らせるなどの曲折を経て、1989年(平成元年)5月8日、勘定系、情報系、対外接続系の3システムから成る「新総合オンラインシステム」が稼働を開始した[13]

琉球銀と開発にあたった新システムは、効率的なシステムの開発や運用を求める地銀界の動きを背景に、1993年(平成5年)10月に親和銀行、翌年5月に山形銀行2000年(平成12年)5月には関東銀行2001年(平成13年)1月に宮崎銀行と次々に採用された。これらシステム導入行の頭取会の席上、システムの共同開発や運用による経費・投資の削減は前向きに取り組まなければならない経営課題であるとの認識が共有され、「六行システム研究会」が発足した[注 3]。この六行会では、システム共同化で基本合意に至ったほか[14]、基幹システムにのみならず、広範囲なシステムについても共同で開発にあたる方針が打ち出された。なおこの会は、2000年7月の関東銀の加盟を期に当時の茅野実八十二銀頭取の発案でじゅうだん会と命名された[15][注 4]

じゅうだん会による共同版システムは、八十二銀の基幹システムをベースとし同行が開発にあたり、システムの運用管理及びアプリケーションの保守作業は日本IBMが担い、勘定系、情報系のほか営業店端末、ATMシステム、本部業務システム、インターネットバンキングなどが対象とされた。2002年(平成14年)3月には、八十二銀で稼働が開始され、その後加盟各行において順次稼働が開始された[16][17]

2015年5月、営業活動の支援を目的に、iPadを使ったモバイルシステムの稼働を開始している[18][19]

ATM提携

ATMでは、東邦銀行福島県)、長野県下信用金庫6金庫(長野松本上田諏訪飯田アルプス中央)のキャッシュカード(ぐるっと信州ネット)による出金については自行扱いとなる。東邦銀行との相互間は法人カードも対象。

コンビニATMローソンATMセブン銀行と提携しているほか、イオングループのショッピングセンター等設置のイオン銀行とも提携している。

残高照会は曜日や時間帯に関係なく無料だが、セブン銀行での入出金及びイオン銀行での出金では利用手数料が必ず課金される。ローソンATMについては、2011年平成23年)6月1日付けで利用される地域によって手数料が改定され、県内及び県外に分かれて異なる手数料(長野県内での利用:終日有料、長野県外での利用:これまで通り、入金は終日無料・出金は平日日中のみ無料)が適用される[20]

関連会社

連結子会社

注・出典

  1. 第八十二国立銀行を前身とする第八十二銀行は、全く別の銀行である。同行は、1897年に第三国立銀行を前身とする第三銀行(現存の第三銀行とは無関係)に合併されている。
  2. 1973年(昭和48年)1月、琉球銀と八十二銀との間でオンラインシステムの譲渡契約を締結。翌年11月から琉球銀は八十二銀と同じシステムが稼働していた。
  3. 八十二銀、琉球銀、親和銀、山形銀、阿波銀、宮崎銀の6行。
  4. 2002年4月に武蔵野銀行が加盟。また2007年には親和銀がふくおかFG入りの為脱退。関東銀はつくば銀行茨城銀行と合併し筑波銀行へと改称している。

出典

  1. 八十二レポート2013
  2. 『長野県の歴史』山川出版社、1974年5月、273ページ
  3. 銀行変遷史データベース”. 全国銀行協会 銀行図書館. . 2018閲覧.
  4. 八十二銀行のあゆみ(沿革)
  5. “八十二銀頭取に湯本氏が昇格”. 日本経済新聞. (2013年4月19日). http://www.nikkei.com/article/DGXNASDF1900T_Z10C13A4EE8000/ . 2014-8-31閲覧. 
  6. “八十二銀行、八十二信用保証を完全子会社化 グループ経営効率化”. M&A Times. (2015年8月31日). http://ma-times.jp/20875.html . 2015-9-5閲覧. 
  7. “地銀9行が地域再生で連携 福岡銀など、域外融資も”. 日本経済新聞. (2014年1月28日). http://www.nikkei.com/article/DGXNASGC2801E_Y4A120C1PP8000/ . 2014-8-31閲覧. 
  8. 地域再生・活性化ネットワークの構築について (PDF, 八十二銀行ニュースリリース:2014年1月28日発表)
  9. “全国9地銀、最大規模の業務提携 メガ攻勢に対抗、再編起爆剤にも”. 産経ニュース. (2014年1月28日). http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140128/fnc14012823370019-n1.htm . 2014-8-31閲覧. 
  10. “進まぬ再編の後押しなるか 大手地銀9行連合の波紋”. ダイヤモンド・オンライン. (2014年2月17日). http://diamond.jp/articles/-/48791 . 2014-8-31閲覧. 
  11. 『八十二銀行八十年史』P.459
  12. 『八十二銀行八十年史』P.460
  13. 『八十二銀行八十年史』P.463
  14. 「地銀6行とシステム共同化 八十二銀開発担当」『信濃毎日新聞』 2001年4月19日
  15. 『八十二銀行八十年史』P.466
  16. 『八十二銀行八十年史』P.467
  17. “日本IBMの地銀システム共同化プロジェクトに注目”. 日経コンピュータ. (2003年6月4日). http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/OPINION/20030603/1/ . 2014-8-31閲覧. 
  18. “モバイルシステムの構築および外訪活動用タブレット端末のアプリ開発について” (プレスリリース), 八十二銀行, (2015年5月25日), https://www.82bank.co.jp/ct/other000011600/news20150525a.pdf . 2015-9-5閲覧. 
  19. “VDI最前線 (2)八十二銀行、行内外で“画面”自動切り替え”. 日経コンピュータ. (2015年8月20日). http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/080400189/080600002/?ST=system&P=1 . 2015-9-5閲覧. 
  20. ローソンATMの設置拡大とご利用手数料の変更について (PDF, 八十二銀行ニュースリリース:2011年2月10日発表)

参考文献

  • 八十二銀行編 『八十二銀行八十年史』 八十二銀行、2013年。

関連項目

  • 三菱グループ - 資本・融資関係が近い。
  • 信越化学工業 - 旧帝国銀行(旧三井銀行)→旧第一銀行からの流れで久しく続いていた現みずほ銀行からの主力行の鞍替えで同行が名乗りを上げる。
  • 国立銀行 - 第十九国立銀行と第六十三国立銀行の他に、長野県内の国立銀行としては第十四国立銀行(松本)、第二十四国立銀行(飯山)、第百十七国立銀行(飯田)が存在した。

外部リンク