仙台市地下鉄東西線

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停車場・施設・接続路線
tKBHFa
0.0 T01 八木山動物公園駅
htSTRe
hKRZW
竜の口渓谷
htSTRa
tBHF
2.1 T02 青葉山駅
tBHF
3.7 T03 川内駅
tBHF
4.3 T04 国際センター駅
htSTRe
hKRZW
広瀬川
htSTRa
tBHF
5.0 T05 大町西公園駅
tBHF
5.7 T06 青葉通一番町駅
tSTR
あおば通駅
南北線
6.5 T07/N10 仙台駅
BHF-Rq
JR東:東北新幹線
STRq BHF-Lq
JR東:東北常磐仙山
HUBlg-R
空港仙石東北
tHST HUB-R
仙台駅
HUB-Lq HUBrf-R
JR東:仙石線
tBHF
7.2 T08 宮城野通駅
tBHF
8.4 T09 連坊駅
tSTR
JR東:宮城野貨物線
STRq tKRZ BSTq
仙台貨物ターミナル駅
tBHF
9.5 T10 薬師堂駅
tBHF
11.0 T11 卸町駅
tBHF
12.3 T12 六丁の目駅
tBHF
13.9 T13 荒井駅
tSTRe
KDSTe
荒井車両基地

東西線(とうざいせん)は、宮城県仙台市太白区八木山動物公園駅から同市若林区荒井駅を結ぶ、仙台市交通局仙台市地下鉄)の地下鉄路線である。ラインカラーは水色。2015年(平成27年)12月6日開業[1]路線記号T

事業名称は、仙塩広域都市計画 都市高速鉄道第4号 仙台市高速鉄道東西線[2][3]。事業延長は、計画で14.38km(地下式13.83km、地表式0.55km)[4]。市の南西から仙台市都心部を経由して市の南東へとほぼ東西に市を貫く経路を採っており、仙台駅南北線東日本旅客鉄道(JR東日本)各線と乗り換えできる。

概要

トンネルの断面積が南北線と比べて2/3程度と小さく、105Rの急曲線(一般地下鉄なら160Rまで)が5箇所あり[5]縦断勾配が57の急勾配区間[6](一般地下鉄なら35‰まで)を擁するミニ地下鉄の路線である。車両の駆動方式として鉄輪式リニアモーター方式を採用しており、車両の運転方式は、ATC(自動列車制御装置)の速度制限と地上側に設置されたトランスポンダ地上子からの地点情報を基に車両の自動運転を行う、ATO(自動列車運転装置)によるワンマン運転が行われる。

駅のホームはすべて島式ホームとしており、ホームには可動式ホーム柵(ホームドア)が設置されている。また、車両において回生ブレーキ時に発生した電力を変電所に設置されている駅設備に電力を供給するための装置を介して駅設備等に電力を供給することにより、電力の有効利用を図り省エネルギー化が図られている。

広瀬川を橋梁で通過しているが、これは、広瀬川を地下で通過した場合では青葉山駅が極端に深い駅となってしまうためである[7]

駅はすべて地下にあるが、駅間だけが地上に出るのは日本国内の地下鉄路線で当路線が唯一である。

路線データ

沿革

現在の地下鉄東西線建設計画は、仙台市都心部とその南西および南東の各地域を東西につなぐものである。主に仙台中町段丘[8]広瀬川河岸段丘)上の平地にある都心部に対し、南西部は広瀬川が形成した多数の河岸段丘および青葉山丘陵を侵食して形成したV字谷により、標高差の大きい複雑な地形が広がり、さらに仙台城天然記念物「青葉山」を回避するよう道路が建設されたことからボトルネックが多数ある。一方の南東部は、大年寺山断層[9]長町 - 利府線断層[9]が南北に通り、その東側には地下水位が浅い沖積平野が広がるという、地下が複雑な地形であり、その上には奈良時代からある陸奥国分寺周辺地域、江戸時代若林城下町(後に仙台城下町と合一)とその郊外部、そして、昭和初期から開発が始まる広大な土地区画整理事業地域[10][11]と、複雑な経緯で成立した市街地が広がり、特に旧若林城下町では城下町特有の狭小路線・屈曲路が多い。そのため、南西・南東の両地域と都心部との間はラッシュ時の渋滞が激しく、その改善は仙台市にとって長らく課題であった。

地下鉄東西線の構想は1970年代から検討されはじめた。しかし、当初は現在の計画とは異なっており、以下の3つの計画が並立していた。

すなわち、工業・流通団地が広がり、沿線の人口密度が低く、地下が複雑な南東部では地上の新交通システム、地上に路線を新設するには困難が多い都心部では国鉄(JR)および直通する地下鉄、標高差が大きい上に回避すべき保存地区が入り組む南西部には線形の自由度が高いモノレールや新交通システムなどの地上軌道を設置し、各々を接続する構想であった。上記の計画のうち、仙石線の地下化は連続立体交差事業として実施され、2000年(平成12年)に完成した(「仙台トンネル」、「あおば通駅#歴史」も参照)。

仙台駅 - 西公園間の地下鉄線整備については、地下化する仙石線をそのまま西公園まで延伸する案もあったが、当時の国鉄(後にJR東日本)の資金調達が困難だったことから、仙石線と直通する市営地下鉄新線を建設する案が模索された[12]。また、1989年(平成元年)の政令指定都市移行の際に編入合併した旧宮城町や旧秋保町などの西部地域と、都心部との接続の高速化も迫られ、モノレール南西線計画においては、青葉山八木山茂庭台などを経由して旧宮城町に建設予定だった愛子副都心に至る路線構想も発表した。これは、仙台市地下鉄南北線泉中央駅延伸が政令市移行の際に合併した北部の旧泉市へのバーターであったのと同様、西部の旧2町へのバーターの面が強い。

しかし、モノレール南西線と地下鉄線の乗り換えの不便が予想されること、短い地下鉄線やそれに続くモノレール南西線では採算が見込めないことを理由として市は計画を再検討し、1991年(平成3年)3月には、当時の石井亨仙台市長が旧計画の断念を発表。新たに、都心の南東方向に延びる六丁の目新交通システム構想と連動した八木山 - 六丁の目間の東西交通軸を検討することを発表した。その後、石井がゼネコン汚職事件で逮捕され、藤井黎新市長が東西線計画を継承した。藤井の下で東西線計画は検討が進められ、東西線は仙石線と分離した完全な独立路線となることになり、西部の旧2町への路線区間は削減され、旧仙台市部分のみに計画路線長は短くなった。バブル崩壊があったとは言え、政令市移行間もない時期に西部旧2町との約束は反故となった。

1998年(平成10年)8月、市は具体的な東西線のルート案を公表した。路線延長の短縮で従来の計画からすると不利益を被ることになる地域の不満解消のため、1999年(平成11年)7月に市は「アクセス30分構想[13]」を策定し、在来線への複数の請願駅の設置やオムニバスタウン事業によるバス交通の利便性向上など、JR・地下鉄・バスを含めた公共交通機関の総合的な利活用政策を進めることになる。2000年(平成12年)3月には東西線のルートが正式決定し、同時に鉄輪式リニアモーターカーを採用することも決定。同方式は1990年(平成2年)開通の大阪市営地下鉄長堀鶴見緑地線で導入されたばかりの新方式(ミニ地下鉄)であったが各地で導入が相次いでおり、また、表定速度が速いため「アクセス30分構想」を促進し、トンネル径が小さくて済むため建設費削減ができ、線形の自由度が高いため複雑な地形要素を克服できるなど東西線への導入利点が多かった。ただし、車両の規格が異なるため、仙台市地下鉄南北線及びJR各線との直通運転は不可能となった。

2005年 仙台市長選挙
(投票率:43.67%)[14]
候補者 東西線 獲得票数
梅原克彦 推進 141,005票
鎌田さゆり 再検討 81,889票
菅間進 再検討 55,145票
小野寺信一 反対 39,926票
伊藤貞夫 再検討 14,396票
佐藤和弘 再検討 10,498票

2005年(平成17年)7月31日投開票の仙台市長選挙では、地下鉄東西線の建設問題が争点となったが、勇退する藤井市政の継承と地下鉄東西線の建設推進を公約とした梅原克彦が当選し、反対派や慎重派の候補は落選した。しかし、反対派と慎重派の候補の得票を合計すると、推進派の梅原の得票を超えていたため、「市民の判断は建設推進ではないのではないか?」との考えが現在に至るまで残っている。ただし、反対派と慎重派の候補が乱立して市民の意見集約ができなかった選挙戦略の稚拙さのため、選挙後は反対派・慎重派だった市民の注目は急速に衰え、地下鉄東西線の建設は新市長の下で急速に推進された。

需要予測については「過大な見積もりではないか」という疑問がたびたび出され、裁判でも争点のひとつになった(後述)。仙台市は裁判で勝訴が確定すると、2012年(平成24年)8月22日に地下鉄東西線の事業費および需要予測を大幅に下方修正する発表を行った。

仙台市による予測[15][16]と、開業後の実測
時点 事業費(実質総負担)の予測
(開業後の決算は不明)
乗車人員
(開業後は実数)
仙台市の
推計人口
総額 市交通局
2003年 事業許可時 2,735.1億円 1,356億円 921億円 1,140億円 118,702人/日 107.6万人(予測)
2012年 再評価時 2,297.5億円 1,192億円 822億円 957億円 79,664人/日 105.1万人(予測)
2015年度[17] 54,056人/日 108.3万人[18]
(2015年12月1日)
2016年度[17] 62,263人/日 108.5万人[18]
(2016年12月1日)
2017年度 108.7万人[18]
(2017年12月1日)
※ 2018年6月1日現在の仙台市の推計人口は 108.8万人。

年表

  • 2000年(平成12年)3月23日 - 藤井黎仙台市長が地下鉄東西線のルートと機種を正式表明[19]
  • 2003年平成15年)9月18日 - 地下鉄東西線の第一種鉄道事業が許可[20]
  • 2005年(平成17年)4月25日 - 地下鉄東西線の工事施行が許可される。
  • 2007年(平成19年)11月 - 地下鉄東西線本体工事が着工。
  • 2011年(平成23年)
  • 2012年(平成24年)
    • 2月 - 軌道の敷設工事着手[15]
    • 5月 - 車両製造着手[15]
  • 2013年(平成25年)
  • 2014年(平成26年)6月13日 - 「広瀬川橋りょう」「西公園高架橋」[26]が、平成25年度土木学会賞(田中賞)を受賞[27]
  • 2015年(平成27年)
    • 12月5日 - 試乗会の最中の14:57頃、総合指令所の運行指令に関するシステムトラブル発生。当時運行していた9列車が最寄駅に緊急停車。この日のうちに部品を交換し、トラブルは解決、予定通り6日に開業と発表[28][29]
    • 12月6日 - 開業[30]

運行形態

全列車、八木山動物公園駅 - 荒井駅間を通して運行されている。運行本数は、平日の朝ラッシュ時間帯は約5分間隔、夕方ラッシュ時間帯は約6分間隔、日中と土日祝日は終日7分30秒間隔で運行されている。

また毎週金曜日(金曜が祝日となる場合は木曜日)は南北線と同様に通常の終電車の後に臨時列車(「仙台市地下鉄南北線#運行形態」を参照)を両方向1本ずつ運行している。

車両

建設についての議論

一部の市民の間には地下鉄東西線事業に対する疑問や反対意見があった。主に、杜の都・仙台の象徴であるケヤキ並木の一部伐採および、青葉山のオオタカ(準絶滅危惧種)の保護など環境に関するものと、建設費や維持費などの税金の使い道に関するもの、需要予測の正確性や費用対効果に関するものである。地下鉄ではなく建設費や運営費が地下鉄のそれらに比べて安いライトレールで東西交通軸を実現すればよいという意見もあったが、東日本大震災において地下鉄の強靭さが示される結果となった。また、現在の日本の地下鉄建設において一般的なシールド工法を採用すればケヤキ並木を破壊せずに建設できるという主張もあったが、沿線の並木については植樹帯の大きさや樹齢から限界を迎え、危険な状態の老木も散見される状態であり、工費の問題からも一部の主張にとどまった。青葉通りでは2008年(平成20年)1月28日から3月3日頃にかけてケヤキの伐採作業が施行された。

係争の経過

ファイル:SendaiPT17-07-07.jpg
仙台都市圏総合都市交通協議会 平成17年7月7日 平成17年度第1回技術検討部会 討議資料の中から将来のトリップ予測の部分
ファイル:Touzaisen15-9.jpg
平成15年9月に仙台市が予測した平成27年仙台都市圏の鉄道パーソントリップ数の調査結果422580トリップ/日(2015年東西線需要予測119116人/日の根拠となった)

仙台市民オンブズマンは東西線建設の差し止めを求めて訴訟を起こした。裁判の中では、費用対効果や需要予測が争点となった。仙台市は事業計画当初、費用便益比(費用便益分析)を2.63としていたが、予測が過大であると国土交通省から指摘を受け、数値を1.62に修正して事業認可を受けた。しかしこの数値は国が鉄道を建設する際に比較検討するために用いるマニュアルを仙台市が改変して算出したもので、マニュアル通りだと算出される数値は1.09であった。一審の仙台地方裁判所は判決でオンブズマンの訴えを棄却したが、東西線事業の費用便益比は1.09だと認めた。オンブズマンは判決を不服として控訴した。

二審では、パーソントリップ調査が争点となった。パーソントリップ調査は、交通モデルに基づき将来のトリップ数(人が移動する回数)を予測するもので、仙台市が主張する東西線の需要予測も1992年(平成4年)の第3回パーソントリップ調査が基となっている。2002年(平成14年)に行われた第4回仙台都市圏パーソントリップ調査(仙台都市圏20市町村:主体:宮城県・仙台市・国交省:国庫補助事業)では、4通りの予測が行われた。そのうち3つの予測はバス事業者や鉄道事業者への多額の補助金や高速道路の料金引き下げ、居住する地域の制限、採算性を考慮しないなど実現が難しい前提が多く設定されている。現実的な政策・施策を続けた場合の2015年(平成27年)時の鉄道トリップは35万7千人/日と予測とされ、結果として現況より5万8千人トリップ/日しか増えない。また、仙台市が東西線の需要予測の基とした第3回パーソントリップ調査による2015年(平成27年)時の鉄道のトリップ数42万3千/日と第4回パーソントリップ調査結果である鉄道トリップ数を比較すると短期間に鉄道需要が乱高下するという辻褄が合わない事態が発生している。市民オンブズマンは第4回パーソントリップを論拠とし、東西線の利用者数は1日当たり4万9千人から6万人であり、費用便益比は1を下回ると主張した。これに対し仙台市は、パーソントリップ調査から導き出された数値は参考値であり、それがそのまま需要予測になるわけではないと反論した。また、証人尋問では仙台市の交通政策課長が需要予測を検証しなおせば事業自体の見直しにつながると述べ、仙台市の需要予測の危うさを事実上認める証言をした。判決で仙台高等裁判所は、第4回パーソントリップ調査の優位性を一部認める一方で、仙台市の事業の手法に違法性があるとはいえないとして、オンブズマンの控訴を棄却した。費用便益比については、一審同様、市の主張を否定し、1.1であるとした。

仙台市民オンブズマンはさらに上告したが、最高裁判所はこれを受理せず、二審の判決が確定した。

なお、震災以降、仙台市では住宅需要が逼迫しており、鉄道沿線地が大量に準備されていたことは復興にプラスになっており、当初予想されていなかった復興住宅やマンション建設によって多くの住居が提供されつつある。一方で、東西線沿線のうち国際センター駅以西は居住に適した土地が極端に少ないため、沿線の宅地開発の効果は宮城野通駅〜荒井駅間に留まるとされる。また、震災3日目の3月14日に地下鉄南北線の9割以上に当たる地下鉄部分が運行を再開したこと、工事中の東西線にも目立った損傷が無かったことは、救助、救援活動とその後の復興に大きく貢献した。頻繁に宮城県沖地震に見舞われる仙台において、震災対策はきわめて重要である。

東西線開通を前提とした主な沿線計画・構想など

東西線沿線まちづくりの基本方針

東西線沿線の事業計画・構想は、南北線建設の際とは様相が異なる。南北線は、仙台市と泉市(当時)の人口増・市街地拡大に伴う交通需要の増大へ対応するために計画・建設され、開業前後には政令指定都市化のために泉市との合併を行う際のバーターに用いられた(泉中央駅延伸)。また、バブル期に開業したため、都心部の地価高騰を緩和し、副都心形成(泉中央副都心長町副都心)や都心周辺域の土地高度利用(特に上杉から北仙台のマンション建設)に寄与した。需要喚起のため、駅前には市のホール・体育施設・再開発ビルなどがはりつけられた。すなわち、長年の革新市政によって、人口の割りに都市機能や施設の拡充がなされて来なかった仙台市にとって、大都市へ転換するための開発型地下鉄であった。

一方の東西線は、計画当初は南北線と同様な思想であったが、市街地の機能転換と人口減少時代・都市間競争の時代に対応した沿線計画・構想がなされている。東西線の経路は多くの高校・大学を繋ぐ形に計画され、他の既存交通機関とも接続するため、移動の高速化や自由度の拡大と宮城県の高校の「全県一学区構想」との関係で仙台の高校の学力向上・競争力向上とも関連している(→学都仙台)。また、東北大学の新キャンパス構想も東西線開通が前提であり、六丁の目駅周辺の工場と東北大学サイエンスパークとが繋がれることから、産学連携も期待されている(→学都仙台広域交通計画等協議会)。東北最大の流通地区である卸町駅周辺では、価格破壊によって「中抜き流通」が顕在化して機能低下したため、都心回帰に対応した住宅の供給や、長年、市がバックアップしてきた演劇のさらなる活性化の拠点にしようとし、市のキャッチコピーの一つである劇都仙台と関連している。また、国の減反政策に伴う農地の市街化(荒井駅周辺)、仙台の戦後処理と仙台城の公園化、仙台城・仙台駅・陸奥国分寺などが結ばれることによる観光路線の面など、人口増があまり期待できない時代に交流人口増大を狙った沿線計画も多い。都心では、都心の業務・商業における2つの極である仙台駅西口(仙台駅。東京資本が多い)と一番町国分町(青葉通一番町駅。地元資本が多い)を結び、また、区画の大小混在のために各種の業務機能集積と繁華街形成が始まっている仙台駅東口南東部(宮城野通駅)が結ばれ、都心の拡大と業務地の多様性増大が期待されている。東西線の経路における住宅地が、人口の少ない若林区の下町地区や山の上の太白区八木山などであるため、利用客の中心である通勤・通学客の見込みが少なく、また、商機能低下が著しいサンモール一番町に隣接して青葉通一番町駅ができるため、東西線は単なる商店街活性化策とも言われることが多いが、実際は仙台の機能転換や都市間競争における戦略と密接に関係している。

西端の八木山動物公園駅には、動物園(八木山動物公園)と遊園地(八木山ベニーランド)が隣接し、近隣には仙台赤十字病院が存在するが、周辺の交通網は昭和40年代から変わっておらず、週末や冬期・悪天候時には数キロ単位の渋滞が常態化し、大型連休になると幹線道路だけではなく周辺に広がる住宅地の路地まで路上駐車の列が続く状況であった。これらの問題も東西線により解消が期待されている。

主な沿線開発計画・構想

  • 八木山動物公園駅
    • パークアンドライド関連整備(地下2地上5階建て、延べ約2万2000平方メートル、500台収容の駐車場。都市計画道路・川内旗立線及び八木山柳生線開通)
  • 青葉山駅
  • 国際センター駅周辺
    • 追廻地区引揚者住宅地)の公園化
    • 追廻地区と仙台城天守台との間の観光客用昇降装置
    • 国際会議や学会に対応した仙台城二の丸(東北大学川内文系キャンパス)と仙台国際センターとの間の有機的結合
  • 青葉通一番町駅
  • 仙台駅
  • 卸町駅
    • 卸町の流通・工業地区から市街地・住宅地へ用途変更。劇都仙台の拠点づくり。
  • 荒井駅
    • 荒井土地区画整理事業地区:農地から住宅地に用途変更。減反政策との関連。

駅一覧

全駅とも宮城県仙台市に所在。


番号
駅名 駅間キロ 営業キロ 接続路線 所在地
位置 行政区
T01 八木山動物公園駅
(ベニーランド前)
- 0.0   地図 太白区
T02 青葉山駅
(東北大学青葉山キャンパス前)
2.1 2.1   地図 青葉区
T03 川内駅
(東北大学川内キャンパス前)
1.6 3.7   地図
T04 国際センター駅
(仙台城跡入口)
0.6 4.3   地図
T05 大町西公園駅
(菓匠三全 本店前)
0.7 5.0   地図
T06 青葉通一番町駅
(藤崎前)
0.7 5.7   地図
T07 仙台駅 0.8 6.5 仙台市地下鉄:南北線 (N10)
東日本旅客鉄道:■ 東北秋田北海道新幹線東北本線常磐線仙台空港アクセス線仙石東北ライン仙山線仙石線あおば通駅
地図
T08 宮城野通駅
(ユアテック本社前)
0.7 7.2 東日本旅客鉄道:仙石線(仙台駅) 地図 宮城野区
T09 連坊駅
(仙台一高前)
1.2 8.4   地図 若林区
T10 薬師堂駅
(聖和学園前)
1.1 9.5   地図
T11 卸町駅
(仙台卸商センター前)
1.5 11.0   地図
T12 六丁の目駅
(サンピア仙台前)
1.3 12.3   地図
T13 荒井駅
(大成ハウジング本店前)
1.6 13.9   地図
  • 市交通局が副駅名広告を販売した。これにより、2015年12月6日から2020年3月31日まで、以下の駅にかっこ書きなどで副駅名が併記される[34]
    • 八木山動物公園(ベニーランド前)
    • 大町西公園(菓匠三全 本店前)
    • 青葉通一番町(藤崎前)
    • 宮城野通(ユアテック本社前)
    • 薬師堂(聖和学園前)
    • 卸町(仙台卸商センター前)
    • 六丁の目(サンピア仙台前)
    • 荒井(大成ハウジング本店前)
  • 2013年8月には、駅名についての意見を募るアンケートが実施されており、この結果をもとに正式な名称を決定するとの方針が示された(仙台駅の名称は、既存の南北線仙台駅と乗り継ぎ可能であることなどを理由に、このアンケートの対象外とされたことから、東西線駅名としての「仙台駅」の名称については決定事項と事実上みなされている)。同年10月21日には、駅名検討委員会より、国際センター駅を除いた全駅の駅名原案が発表[35]11月27日には最終案が発表され[36]12月24日に駅名が正式発表された[25]。仮称から変更された駅は以下の通り(左が仮称)で、これ以外の駅は仮称がそのまま正式駅名に採用された。
    • 動物公園駅 → 八木山動物公園駅
    • 西公園駅 → 大町西公園駅
    • 一番町駅 → 青葉通一番町駅
    • 新寺駅 → 宮城野通駅
  • 上表で背景が緑色の駅(=八木山動物公園・仙台・薬師堂・荒井)はバスプールが併設されている駅。
  • 仙台駅を中心としたバス運賃が100円均一の区間「100円パッ区」が設定されており、八木山動物公園駅・薬師堂駅・荒井駅の約1.5km圏内にも、バス運賃が100円均一の区間が設置された[37]
  • 車両基地は荒井駅の南東に設置される。
  • 各駅ともホームは1番線(3番線)・荒井方面がオレンジ色、2番線(4番線)・八木山動物公園方面が黄緑色となっており、各案内表示やホームドアの色も統一されている。また、接近放送・発車放送も統一されているが、南北線と男女逆で、1番線(3番線)が男声、2番線(4番線)が女声となっている。
東西線各駅の市営駐輪場の収容可能台数と利用率(2016年11月)[38][39]
駅名
(駐輪場名)
可能
台数
利用
グラフ(長さ:可能台数、利用率:赤)
(T01) 八木山動物公園駅 777 台 15.1 % 117
15.1 / 100
(T02) 青葉山駅 041 台 05.4 % 002
5.4 / 100
(T03) 川内駅 171 台 07.0 % 012
7.0 / 100
(T04) 国際センター駅 110 台 92.2 % 101
92.2 / 100
(T05) 大町西公園駅 090 台 38.1 % 034
38.1 / 100
(T07) 仙台駅(西口南) 178 台 68.0 % 121
68.0 / 100
(T09) 連坊駅 201 台 32.2 % 065
32.2 / 100
(T10) 薬師堂駅 481 台 98.8 % 475
98.8 / 100
(T11) 卸町駅 225 台 86.7 % 195
86.7 / 100
(T12) 六丁の目駅 360 台 49.0 % 176
49.0 / 100
(T13) 荒井駅 380 台 88.8 % 337
88.8 / 100

仙台市営バス営業所の民間委託

当路線が開通する2015年をめどに、仙台市営バス霞の目営業所を民間事業者に委託し、仙台市営バスの民間委託比率を、法定上限に近い50%弱にまで引き上げる予定としている(前段として、2013年4月より、新寺出張所の全業務および霞の目営業所の一部車両業務(霞の目営業所分室として分割運営)をそれぞれ宮城交通へ委託し、霞の目営業所分室委託分については、霞の目営業所全業務の委託開始とともに事業所振替を実施のうえで行う)。

すでに、2006年から白沢出張所ジェイアールバス東北仙台支店に、2008年から2013年まで岡田出張所東日本大震災の影響により、2012年4月から2013年3月は新寺出張所を代替で委託)を宮城交通に、2009年から七北田出張所をジェイアールバス東北仙台支店に、2010年から東仙台営業所(ただし、2010年4月から2011年5月までは、委託の前段として、新寺出張所を委託したうえで、2011年6月に委託事業所振替を実施)を宮城交通に委託している。

これにより、東西線開通に伴うバス路線再編と併せて、交通事業の公営企業会計の赤字幅を圧縮するとしている。

その他

  • 携帯電話サービスについては、全駅及び駅間のトンネル内において、NTTドコモauソフトバンクの通信・通話が利用可能[40]
  • 各駅のホームは、将来の5両編成への対応を前提として造られているが、1両分を壁で遮り、4両編成の運行でホームを運用している[41]

脚注

  1. “<地下鉄東西線>来年12月6日開業”. 河北新報 (河北新報社). (2014年11月17日). オリジナル2014年11月17日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20141117124629/http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201411/20141117_13054.html . 2016閲覧. 
  2. 第1回 - 仙台市 (PDF) - 仙台市
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関連項目

外部リンク

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