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{{鉄道車両
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{{テンプレート:20180815sk}}
| 車両名  = 京成AE形電車(2代)
 
| 背景色  = #1155cc
 
| 文字色  = #ffffff
 
| 画像    = Keisei Skyliner passing Higashi-Matsudo station.jpg
 
| 画像説明 = 京成AE形電車(2017年5月23日)
 
| 運用者  = [[京成電鉄]]
 
| 製造所  = [[日本車輌製造]]、[[東急車輛製造]]
 
| 製造年  = 2009年 - 2010年
 
| 製造数  = 8編成64両
 
| 運用開始 = 2010年7月17日
 
| 編成    = 8両編成([[MT比]]6M2T)
 
| 軌間    = 1,435 mm
 
| 電気方式 = [[直流電化|直流]]1,500V([[架空電車線方式]])
 
| 最高運転速度 = 160 km/h
 
| 設計最高速度 = 170 km/h
 
| 起動加速度 = 2.0 km/h/s
 
| 常用減速度 = 4.0 km/h/s
 
| 非常減速度 = 4.5 km/h/s
 
| 編成定員 = 398名
 
| 車両定員 =
 
| 自重    =
 
| 編成重量 = 300.5 t
 
| 編成長  = 153 m
 
| 全長    = 19,000 mm<br/>19,500 mm(先頭車)
 
| 全幅    = 2,794 mm
 
| 全高    = 4,030 mm
 
| 台車    = [[蛇行動#ヨーダンパ|ヨーダンパ]]付モノリンク式[[鉄道車両の台車史#ボルスタレス台車|ボルスタレス台車]]<br/>SS170M(電動)・SS170T(付随)
 
| 主電動機 = [[東洋電機製造]]製 [[かご形三相誘導電動機]]<br/>TDK6070-A形
 
| 主電動機出力 = 175 kW / 3,155 rpm
 
| 駆動方式 = [[TD平行カルダン駆動方式]]
 
| 歯車比  = 93:19 (4.89)
 
| 編成出力 = 4,200 kW
 
| 制御方式 = [[定速運転]]機能付き[[可変電圧可変周波数制御|VVVFインバータ制御]]
 
| 制御装置 = 東洋電機製造製 RG6009-A-M形
 
| 制動装置 = MBSA [[回生ブレーキ]]併用[[電気指令式ブレーキ|電気指令式]]
 
| 保安装置 = [[自動列車停止装置#1号型自動列車停止装置(1号型ATS)|1号型ATS]]・[[自動列車停止装置#C-ATS|C-ATS]]
 
| 備考    =
 
| 備考全幅 = {{ブルーリボン賞 (鉄道)|54|2011}}
 
}}
 
[[ファイル:Skyliner route Narita Sky Access ja.svg|thumb|300px|成田スカイアクセス 経路図]]
 
'''京成AE形電車'''(けいせいAEがたでんしゃ)は、[[2010年]]([[平成]]22年)に営業運転を開始した[[京成電鉄]]の[[特急形車両]]。2010年[[グッドデザイン賞]]および[[2011年]][[鉄道友の会]][[ブルーリボン賞 (鉄道)|ブルーリボン賞]]受賞。
 
 
 
本項では以下、特に速度の指定なく「高速運転」「高速走行」と記述した場合は、最高速度である160[[キロメートル毎時|km/h]]での走行を指すものとする。
 
 
 
== 概要 ==
 
=== 製造の経緯 ===
 
{{See also|成田新幹線|京成成田空港線}}
 
京成は[[成田国際空港]](2004年までは新東京国際空港、以下「成田空港」と表記)のアクセス輸送として、[[1972年]]に「[[スカイライナー]]」専用車として[[京成AE形電車 (初代)|AE車]]を登場させていた。AE車は空港開港の遅れと、[[東成田駅|空港駅]]の位置の悪さから開港後の空港輸送に本領発揮をしたとは言えない状況にあった。
 
 
 
一方、[[1971年]]4月には[[成田新幹線]]の基本計画が策定されており、[[1979年]]6月には[[成田市]]内での工事は進んでいたものの、肝心の都心側の建設の目処は立っていなかった。成田空港開港後の[[1981年]]には成田空港へのアクセスを担う高速鉄道の調査委員会が発足し、[[1984年]]には3ルートの提案のうち、[[北総鉄道|北総開発鉄道]](当時)を経由するルートが選定された。しかし、こちらの計画も、具体的な動きはないままであった。
 
 
 
この間、[[1991年]]には、成田新幹線のために用意された施設を[[成田空港高速鉄道]]に転換して、空港直下に乗り入れることになったが、その前年の[[1990年]]に京成は[[京成AE100形電車|AE100形]]を登場させた。以後、[[東日本旅客鉄道]](JR東日本)が運行する「[[成田エクスプレス]]」とともに、本格的に成田空港アクセス輸送の一翼をになうことになった。
 
 
 
しばらくはその状態で推移したものの、[[1999年]]には再び[[北総鉄道北総線]]経由のルートの実現に向けて検討委員会が発足し、[[2002年]]には施設を建設・保有する事業者が設立され、[[2010年]]の開業に向けて動き出すことになった。折りしも、成田空港では[[2005年]]に平行[[滑走路]](B滑走路)の延伸を行なうことで大型旅客機の離着陸回数の増加を図る方針を固め、2010年度完成予定で平行滑走路延伸の工事に着手した(予定より早く[[2009年]][[10月22日]]から供用開始<ref>『[http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/20090630/CK2009063002000095.html 10月22日オープン決定 成田空港の延伸滑走路]』([[東京新聞]]Web)</ref>)。滑走路延伸の完成に伴い、年間発着回数が20万回から22万回に増加することで、成田空港の利用者数はさらに増加すると見込まれた<ref>{{PDFlink|「[http://www.naa.jp/jp/airport/yakuwarigenjyo/2008/pdf/3_3.pdf 3.2500m平行滑走路の整備に向けて]」}}(成田国際空港株式会社公式サイト内「成田空港 - その役割と現状 -」第3章:成田空港の整備状況、2008年11月)</ref>。
 
 
 
2010年7月17日に開業した[[京成成田空港線|成田空港線]](成田スカイアクセス)では、一部の区間で最高速度を160km/hとすることにより、東京から成田空港までを30分台で結ぶことになったため、本ルートの空港アクセス列車を運行することになる京成でも、高速運転に対応している車両の導入を決定したものである。
 
<gallery>
 
ファイル:Keisei Skyliner 1st livery 1986.jpg|初代「スカイライナー」AE形
 
ファイル:Keisei Electric Railway AE100.jpg|二代目「スカイライナー」AE100形
 
ファイル:Keisei AE "Skyliner" passing Matsuhidai Station.jpg|三代目「スカイライナー」AE形(2代)
 
</gallery>
 
 
 
=== 導入構想から発表まで ===
 
[[2004年]]頃より新造計画を開始。同年6月に就任した第10代[[代表取締役]][[社長]]の[[花田力]]により、計画の詳細が明らかにされた。花田はこのAE形の製作費に約160億円を投資すると表明した<ref>「[http://www.nikkeibp.co.jp/archives/325/325628.html 新社長を直撃! 京成電鉄 その2 - 成田新高速鉄道で東京=成田を36分に]」2004年8月17日、[[日経BP|日経BP社]]</ref>。
 
 
 
形式名については、「空港アクセスと京成の原点回帰」の想いを込めて<ref name="rj514-90">『鉄道ジャーナル』通巻514号(2009年8月号) p90</ref>2代目の「AE形」<ref>厳密には「AE形」の呼称は今回は初めての使用となる。これは初代の正式形式名が[[京成AE形電車 (初代)|AE車]]であるため。</ref>と制定した。
 
 
 
[[2008年]][[4月9日]]に[[帝国ホテル]]で[[上戸彩]]をゲストに迎えて公式発表会が行われた<ref>なお鉄道車両の場合は、実車の落成前に公式に詳細を発表する事例は極めて少ない。</ref>。また同日、新スカイライナー特設サイトも開設された。
 
 
 
また、[[警笛#鉄道車両|ミュージックホーン]](補助警笛)、乗降中の[[バックグラウンドミュージック|BGM]]、車内アナウンスの際のチャイムは、鉄道に造詣の深いミュージシャンとして知られる[[向谷実]]が制作した<ref name="rj514-94">『鉄道ジャーナル』通巻514号(2009年8月号) p94</ref>。
 
 
 
== 編成・車種構成 ==
 
既存のAE100形と同様の、8両編成を基本編成とする。全車が[[普通車 (鉄道車両)|普通車]]である。また、将来の10両編成化を想定した仕様となっている<ref name="ks22-066b">{{PDFlink|[http://www.keisei.co.jp/keisei/kouhou/news/22-066b.pdf 新型スカイライナー(AE形)が「グッドデザイン賞」を受賞しました!]}} - 京成電鉄ニュースリリース 2010年9月29日</ref>。
 
 
 
{| class="wikitable" style="text-align:left; font-size:90%;"
 
|-
 
|rowspan="11" style="background-color:#044286;"| &nbsp;
 
|colspan="5" style="background-color:#dff;"| ↑ 成田空港
 
|-
 
! 号車 !! 車種!! 自重 !! 定員 !! 備考
 
|-
 
! 1
 
| [[制御車|制御]][[動力車|電動車]] (M2c) || 37.5t || 40人 || &nbsp;
 
|-
 
! 2
 
| 電動車 (M1) || 39.5t || 56人 || &nbsp;
 
|-
 
! 3
 
| 電動車 (M2N) || 38.5t || 56人 || &nbsp;
 
|-
 
! 4
 
| 電動車 (M1') || 40.0t || 52人 || サービスコーナー設置
 
|-
 
! 5
 
| [[付随車]] (T2) || 33.0t || 42人 || トイレ・洗面所・車椅子対応座席設置
 
|-
 
! 6
 
| 付随車 (T1) || 33.0t || 56人 || &nbsp;
 
|-
 
! 7
 
| 電動車 (M2S) || 39.0t || 56人 || &nbsp;
 
|-
 
! 8
 
| 制御電動車 (M1c) || 40.0t || 40人 || &nbsp;
 
|-
 
|colspan="5" style="background-color:#dff;"|↓ 京成上野
 
|}
 
 
 
<gallery widths="150" style="font-size:90%">
 
ファイル:AE3-8.jpg|8号車
 
ファイル:AE3-7.jpg|7号車
 
ファイル:AE3-6.jpg|6号車
 
ファイル:AE3-5.jpg|5号車
 
ファイル:AE3-4.jpg|4号車
 
ファイル:AE3-3.jpg|3号車
 
ファイル:AE3-2.jpg|2号車
 
ファイル:AE3-1.jpg|1号車
 
</gallery>
 
 
 
== 車体 ==
 
=== デザインコンセプト ===
 
車両[[デザイン]]や新[[ロゴタイプ|ロゴマーク]]の制定は[[ファッションデザイナー]]の[[山本寛斎]]が担当し、詳細な車両設計においては、内装については[[日本車輌製造]]が、外装については[[東急車輛製造]]がそれぞれ主に担当した<ref>巻頭特集「鉄道車両のデザイン」『鉄道ダイヤ情報』2011年8月号、交通新聞社</ref>。
 
 
 
エクステリアデザインのテーマは、風は速さの象徴であり、運び手としての役割や旅への誘いを行なうものであるという印象を統合したもので、空港への最速の運送手段という意味を込め、「風」とした<ref name="rj514-90"/>。また、インテリアデザインのテーマは、引き締まった様子や本質的なものを残すという意味の言葉であり、公共の空間に対する知的な配慮や透明感・優しさという意味を込めた「凛」とした<ref name="rj514-90"/>。
 
 
 
=== 構造 ===
 
[[ファイル:Keisei AE series (2009) AE1-8 front mask2.jpg|thumb|中央に4灯が集中配置された前照灯]]
 
基本構造は、京成では[[京成1600形電車|1600形]]車体更新時の試作車体以来、かつ本格的採用としては初となる[[アルミニウム合金]]製の車体で、中空押出型材を使用した[[ダブルスキン構造]]として軽量化を図った。
 
車体全長(先頭車19,500[[ミリメートル|mm]]、中間車19,000mm)や床面の高さ (1,100mm) はAE100形と同様の寸法であるが、客用扉はAE100形より200mm拡大した幅1,000mmの片開き扉で、高速走行中の[[トンネル]]突入時における客室内の急激な気圧変動を軽減するため、客用扉を室内側から4本のシリンダで押し付ける機構を設けた。[[自動ドア#ドアエンジン|ドアエンジン]]は空気式である。また、空調装置の給排気口にも、同様の目的でシャッターを設けている。
 
 
 
またAE(2代目)形は、[[印旛日本医大駅]] - [[空港第2ビル駅]]間の18.1kmの区間において、160km/hの運転を行わせるための列車選別装置を搭載しており、専用の車上子から地上子に列車種別を送信することにより、地上信号機にGG信号を現示させて、この車両に限り160km/hの運転を許可している<ref>一般の列車は、地上信号機はG信号を現示し、最高速度は120km/hである</ref>。
 
 
 
先頭部分の形状は「疾風」をイメージした<ref name="rj514-91">『鉄道ジャーナル』通巻514号(2009年8月号) p91</ref>[[ストリームライン|流線型]]を採用しており、スピード感の表現および高速走行時の空力特性の観点から、ノーズ部を大きく確保した。[[前照灯]]は中央に4灯を集中配置している。
 
 
 
客室側面窓は連続窓で、車内を明るくするために面積を大きくした。また、4号車のサービスコーナーには、外観上の軽快さを表現するために丸窓を縦に3つ配置し、アクセントをつけることを図った。
 
 
 
AE100形とは異なり、[[都営地下鉄浅草線|都営浅草線]]への入線は考慮されておらず、前面[[貫通扉]]は設置されていない。
 
 
 
側面[[方向幕|種別・行先表示器]]には、[[フルカラー]][[発光ダイオード|LED]]式が採用された。
 
 
 
=== 塗装・ロゴ ===
 
車体色は、AE車とAE100形で採用されていたグローバルホワイト・ヒューマンレッド・フューチャーブルーに代わり、ベースカラーをストリームホワイトとし、ウインドブルーの線を入れるという2色塗りとした。これは「風」を連想したものである。
 
 
 
ウインドブルーは日本の伝統色である[[藍色]]に対して、山本がアレンジの上メタリック調としたもので、幕板部から屋根まで、また先頭部分正面にかけてをこの色とした<ref name="rj514-91"/>。また、ウインドブルーは腰板部にも2本の帯として入れることで、スピード感を強調することをねらった<ref name="rj514-91"/>。
 
 
 
ロゴマークは従来から一新され、これまでの[[頭文字]]のみ大文字+小文字の組み合わせ「Skyliner」より「i」を除く全ての文字が大文字となる。また、「SKYLiNER」の頭文字「S」をシンボライズしたデザインの文字が新ロゴマークの右端に記されている。「i」の上の{{Color|#cc0000|●}}は日本国[[国旗]]の「[[日本の国旗|日の丸]]」を表しており、これは日本を代表する空港特急を日本国外にアピールする目的の意味もある<ref name="rj514-90"/>。
 
また、車体色は実際に車体に色を塗り決定したエピソードがある。
 
 
 
=== インテリア ===
 
==== 客室 ====
 
{{Triple image|right|Keisei AE series (2009) cabin.jpg|240|Keisei AE series (2009) checkerboard floor.jpg|192|Keisei AE series (2009) cabin entrance door.jpg|96|天井はドーム型で間接照明|床面は市松模様をアレンジしたもの|端部の通路上には26インチ液晶ディスプレイ (LCD) を設置}}
 
客室内の[[天井]]は開放感を与えるため<ref name="rj514-91"/>、床面から2,400mmと可能な限り高くとった[[ドーム]]型である。客室照明は間接照明を京成では初めて採用し、AE100形と比較して[[蛍光灯]]数を約2倍にすることで、照度を確保すると同時に落ち着いた空間を演出することを図った。
 
 
 
客室内床面は日本の伝統模様である[[市松模様]]をアレンジしたデザインとした。なお、「成田エクスプレス」用E259系車両の客室内床面や普通車座席にも市松模様が使われている。
 
 
 
客室端部の通路上には[[車内案内表示器|車内情報表示器]]として、営業用の鉄道車両では最大級となる26インチ[[液晶ディスプレイ]] (LCD) を採用し、[[日本語]]、[[英語]]、[[中国語]]、[[朝鮮語|韓国語]]の4か国語表示を行う<ref name="rj514-94"/><ref>日本語は[[森谷真弓]]、英語は[[クリステル・チアリ]]が担当している。</ref>こととした。また、[[操縦席|運転台]]に設置したカメラにより、前面展望の風景を映すことも可能とした<ref name="rj514-94"/>。到着直前には、20か国語で「ありがとう」を表示する<!--<ref>左上から英語、[[アラビア語]]、[[ドイツ語]]、[[ヘブライ語]]、[[スペイン語]]、中国語、[[スワヒリ語]]、[[トルコ語]]、韓国語、[[イタリア語]]、[[モンゴル語]]、[[ポルトガル語]]、[[ロシア語]]、[[フィンランド語]]、[[ヒンディー語]]、[[マレー語]]、[[ペルシア語]]、[[フランス語]]、[[タイ語]]、日本語の順。</ref>-->。
 
 
 
==== 座席 ====
 
{{Double image aside|right|Keisei AE series (2009) seat.jpg|129|Skyliner syanai.JPG|200|座席|各座席脚部にある[[配線用差込接続器|電源コンセント]]
 
}}
 
車両の[[鉄道車両の座席|座席]]は、[[岡村製作所]]が設計・制作を担当した2人がけの回転式リクライニングシートとなり、座席間隔(シートピッチ)を[[京成AE100形電車|AE100形]]と比較してさらに10mm広げて1,050mmとし、座席幅も20mm拡大して前後左右両方向にゆとりを持たせている。
 
 
 
アルミニウム合金製のフレームを使用し、一部はフレームを露出させることでシャープさを表現した。また、伸縮性を有する1枚の織物でクッション機能を有する新素材「バネックス<ref>[[川島織物セルコン]]が開発。自動車用座席や車椅子に使用されている。詳細は[http://www.kawashimaselkon.co.jp/transport/banex/index.html 公式サイト]を参照。</ref>」を、営業用の鉄道車両では初めて<ref name="rj514-91"/>採用することにより、着座時の底つき感をなくすことを図った<ref name="rj514-92">『鉄道ジャーナル』通巻514号(2009年8月号) p92</ref>。また、各座席脚部の前後に[[ノートパソコン]]や[[携帯電話]]の充電などに利用することを考慮した[[配線用差込接続器|電源コンセント]]を2箇所ずつ設けた<ref name="rj514-92"/>。座席下の[[暖房]]ヒータは吊り下げ式とすることで、広い足元空間を確保している。
 
 
 
==== 荷物置き場 ====
 
{{Double image aside|right|Keisei AE series (2009) luggage space.jpg|98|Keisei AE series (2009) security cameras.jpg|320|荷物置き場|デッキに設置された防犯カメラ}}
 
荷物置き場はAE100形と同様の2段式であるが、幅はAE100形の約2倍となる1,500mmに拡大し、容積の増大を図っている。荷物置き場は客室から直接目視が可能なように配置するとともに、防犯[[監視カメラ]]を設置することで、さらなるセキュリティの向上を図った。
 
{{-}}
 
 
 
==== その他設備 ====
 
各車両の出入台には防犯監視カメラを設置したほか、客用扉の足元には注意を喚起する意味で、黄色のLEDをステップライトとして設けた<ref name="rj514-92"/>。また、扉脇の手すりもグラデーション塗装とした上で、上下にLEDを配置した。車内の案内のため、必要な箇所では[[点字]]や[[触地図]]による案内表示を設けている。
 
 
 
AE100形同様、サービスコーナーを設けるが、AE100形では5号車に設置しているのに対して、2代目AE形では4号車に設置されている。サービスコーナーには[[清涼飲料水]][[自動販売機]]と[[自動体外式除細動器]] (AED) が設置されている。
 
 
 
[[列車便所|トイレ]]はベビーチェアや[[ベビーベッド|おむつ交換台]]・[[オストメイト]]機能を備えた[[ユニバーサルデザイン|多機能]][[便器#腰掛大便器(洋式・洋風大便器)|洋式トイレ]]と[[小便器|男性用小便所]]、[[洗面器#洗面台・洗面所|洗面所]]が5号車に設置されている。男性用小便所の便器は[[フランス]]製のものを採用する<ref name="rj514-92"/>など、トイレ内のデザインにも留意され、従来の列車トイレにはない空間を演出することをねらった<ref name="rj514-92"/>。洋式トイレの汚物処理方式は清水空圧式である。
 
 
 
また、緊急時に備えて、脱出用の[[梯子]]を1号車・3号車・6号車・8号車に設けた。
 
{{multiple image
 
| align    = left
 
| direction = horizontal
 
| image1    = Keisei AE series (2009) handrail.jpg
 
| width1    = 110
 
| caption1  = 扉脇の手すりはグラデーション塗装
 
| image2    = Keisei AE series (2009) deck.jpg
 
| width2    = 124
 
| caption2  = 4号車に設置されたサービスコーナー
 
| image3    = Keisei AE series (2009) toilets.jpg
 
| width3    = 124
 
| alt3      =
 
| caption3  = 多機能トイレ
 
| image4    = Keisei AE series (2009) urinal.jpg
 
| width4    = 220
 
| alt4      =
 
| caption4  = 男性用小便所ではフランス製の[[便器]]を採用
 
}}
 
{{-}}
 
 
 
==== 運転台 ====
 
[[ファイル:Keisei AE series (2009) Cockpit.JPG|thumb|運転席]]
 
[[操縦席|運転台]]の[[マスター・コントローラー|主幹制御器]]は左手操作のワンハンドル式(力行とブレーキを1つのハンドルで操作する方式)を採用した。ブレーキの段数は従来車の5段とは異なり、7段である。また、40km/h以上の時に、マスコンを切の位置に戻して、その後に運転台右側の定速スイッチを押すことにより、一定の速度を保つことが可能な[[定速運転|定速制御]]装置を採用した<ref>ちなみにAE100形は、25km/h以上でマスコンハンドルをP4の位置に入れることで定速装置が作動する。</ref>。
 
{{-}}
 
 
 
== 主要機器 ==
 
制御装置は、[[かご形三相誘導電動機]]4台を1群として制御する[[可変電圧可変周波数制御|VVVF(可変電圧・可変周波数)インバータ]]で、2号車・4号車・8号車に2群分を搭載する。主回路は2レベル式で、インバータ装置の主変換[[半導体素子|素子]]は[[絶縁ゲートバイポーラトランジスタ|IGBT]]である。[[トルク]]制御に[[空間ベクトル|ベクトル]]制御を採用することで円滑な加減速を可能としている。
 
 
 
補助電源装置は[[三相交流]]440[[ボルト (単位)|V]]、210kV[[アンペア|A]]の容量を有するIGBT素子使用の[[静止形インバータ]] (SIV) を3号車と7号車に搭載する<ref name="rf580-14">『鉄道ファン』通巻580号(2009年8月号) p14</ref>。これらの制御機器や補助電源装置などの[[冷媒]]として[[純水]]を使用することで、環境負荷の軽減を図っている。
 
 
 
高速走行に対応するため、主電動機はAE100形よりも強力となる1時間定格出力175[[ワット|kW]]のTDK-6070-A形[[かご形三相誘導電動機|三相交流誘導電動機]](端子電圧1,100V、電流122A、周波数107Hz、定格出力175kW、定格回転数3,155rpm)を採用し、歯数比は19:93 (4.89) に設定した。高速性能を大きく取っている分、[[起動加速度]]は京成の車両では久方振りに低く取っており、2.0km/h/sである<ref>通常、鉄道車両の場合は加速性能と高速性能は相反している。すなわち高速性能を上げると加速性能は低くなる場合が多い。</ref>。
 
{{Vertical_images_list
 
|幅= 240px
 
| 1=Keisei AE series (2009) Truck SS170M(AE1-8).jpg
 
| 2=電動台車
 
| 3=Keisei AE series (2009) Truck SS170T(AE1-6).jpg
 
| 4=付随台車
 
}}
 
動力台車=SS170M型動力台車 付随台車=SS170T型台車
 
 
 
[[鉄道車両の台車|台車]]は、京成としては初となる[[鉄道車両の台車史#ボルスタレス台車|ボルスタレス台車]]を採用している<ref name="rj514-93"/><ref>一般特急用[[京成3000形電車 (2代)#7次車(3050形)|3000形7次車(通称3050形)]]は[[京浜急行電鉄]]への[[直通運転]]を考慮し、従来車と同様の[[ボルスタアンカー]]付き台車を採用している。</ref>。また、軸箱支持装置はモノリンク式を採用しており、軸ばねがあるふくらみの後方には軸ダンパーを装備している。この台車は[[京成3500形電車|3500形]](1両)と[[京成3700形電車|3700形]](8両1編成全台車)で試験を行ったボルスタレス台車の試験結果、および同型の試作台車による台車回転試験をベースとして改良している。また先頭車両には、[[大手私鉄]]では初の[[アクティブサスペンション|フルアクティブサスペンション]]を採用し、台車に取り付けた[[蛇行動#ヨーダンパ|ヨーダンパ]]とともに車体への動揺を緩和して、乗り心地を向上させている。
 
 
 
制動装置(ブレーキ)は[[回生ブレーキ]]<!--発電ブレーキではありません-->を併用した[[電気指令式ブレーキ|電気指令式空気ブレーキ]]を採用したほか、高速走行時に対応した基礎ブレーキ装置として、電動台車(電動機により駆動される台車)には油圧で動作するキャリパー式[[ディスクブレーキ]]を、駆動軸のない付随台車には空気圧で動作するテコ式のディスクブレーキと片押し式の踏面ブレーキを採用した<ref name="rj514-93">『鉄道ジャーナル』通巻514号(2009年8月号) p93</ref>。
 
 
 
[[集電装置]](パンタグラフ)はPT7131-C形シングルアーム式を、偶数号車に1台ずつ搭載する。パンタグラフの折り畳み高さは地上から4,050mmとなった。高速走行に対応するため、離線防止のためのオイルダンパを設けたほか、パンタ上昇検知装置によりパンタグラフの状態確認を運転台の[[鉄道車両のモニタ装置|モニタ]]画面で行なうことを可能にした。
 
 
 
[[エア・コンディショナー|冷房装置]]は[[集中式冷房装置|集中式]]を各車の屋根上に1基搭載する。能力は41.86kW (36,000[[カロリー|kcal]]/h) である。暖房は座席下の吊り下げヒータのほか、厳冬期における室内温度の早期立ち上げを図る目的で冷房装置に電熱ヒータを内蔵している。
 
 
 
[[圧縮機#容積圧縮機|電動空気圧縮機]] (CP) はスクロール式(1,600l/min)で、1号車と6号車に各1台搭載する<ref name="rf580-14"/>。
 
 
 
== 運用 ==
 
2010年[[7月17日]]に営業運行を開始した。成田空港線経由の「スカイライナー」を中心に、ラッシュ時には本線経由の「モーニングライナー」・「イブニングライナー」でも運用される。2010年大晦日から2011年元日にかけての終夜運転では当形式による「シティライナー」の運転が行われ、それ以降の終夜運転には「シティライナー」への充当もなされている。
 
 
 
[[印旛日本医大駅]] - [[空港第2ビル駅]]間で、在来線では日本国内最速の160km/h運転を行っている。なお、設計上の最高速度は170km/hである。
 
 
 
== その他 ==
 
当形式の導入に際しては、[[ニッセイ・リース]]([[日本生命保険|日本生命]]系列)からの[[リース]]方式が採用された<ref>[http://www.nissay-lease.co.jp/recruit/project/project01.html <プロジェクト紹介> 京成電鉄様の新型スカイライナー] ニッセイ・リース株式会社</ref>。
 
 
 
京成の新車は日本車輌製造(豊川製作所)製も含めて東急車輛製造横浜製作所(現在の[[総合車両製作所]]横浜事業所)から京急線・都営地下鉄浅草線経由で搬入されるのが通例であるが、車体長が他車よりやや長く、都営浅草線通過に必要な非常用[[貫通扉]]もなく、[[起動加速度]]2.0km/h/sである事などから、本形式では系列会社である[[新京成電鉄]]や[[北総鉄道]]([[千葉ニュータウン鉄道]]所有の[[住宅・都市整備公団9100形電車|9100形]]などが該当)と同様な搬入方法を取っており、日本車輌で落成した編成は[[京葉臨海鉄道]][[千葉貨物駅]]から、東急車輛で落成した編成は同社横浜製造所からそれぞれ陸送されている。
 
 
 
2010年9月29日、京成の鉄道車両では初となるグッドデザイン賞を受賞した<ref name="ks22-066b"/>。さらに2011年5月24日には、初代AE車に続いて二度目となる鉄道友の会[[第54回ブルーリボン賞 (鉄道)|ブルーリボン賞]]を受賞した<ref>{{Cite press release |title=新型スカイライナー(AE形)が「2011年 ブルーリボン賞」を受賞することが決定しました! |publisher=京成電鉄 |date=2011年5月24日 |url=http://www.keisei.co.jp/keisei/kouhou/news/23-005g.pdf |format=PDF |language=日本語 |accessdate=2018年4月22日 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20110616060529/http://www.keisei.co.jp/keisei/kouhou/news/23-005g.pdf |archivedate=2011-06-16}}</ref>。
 
 
 
京成の公式ホームページにてIR資料として公表されている「2018年3月期 第2四半期決算説明会」では、2019年度に9年ぶりに1編成を増備することを計画している<ref>{{Cite web |date=2017年11月15日 |url=http://www.keisei.co.jp/keisei/ir/library/dl/presentation/2018_2nd_kessan.pdf |title=2018年3月期 第2四半期決算説明会 |format=PDF |publisher=京成電鉄 |accessdate=2018年4月22日|archiveurl=https://web.archive.org/web/20171201044544/http://www.keisei.co.jp/keisei/ir/library/dl/presentation/2018_2nd_kessan.pdf |archivedate=2017-12-01 |deadlinkdate=}}</ref>が、これがAE9編成となるのか、あるいは別の形式となるのかまでは明確にされていない。
 
 
 
[[2018年]]4月20日には成田山開基1080年祭の記念として「成田屋号」が京成上野-[[京成成田駅|京成成田]]で運行され、往路は京成本線経由、復路は成田スカイアクセス経由のルートであった。歌舞伎役者デザインのヘッドマークであり、[[市川海老蔵 (11代目)|市川海老蔵]]が[[成田山新勝寺]]での「御練り行列」「奉納演舞」の実施のために乗車している。「成田屋号」は[[2008年]]の成田山開基1070年祭時にAE100形で運転されて以来である<ref>{{Cite web|website=[[鉄道ファン (雑誌)|railf.jp(鉄道ニュース)]] |date=2018年4月21日 |url=https://railf.jp/news/2018/04/21/203000.html |title=京成電鉄で「成田屋号」運転 |publisher=[[交友社]] |accessdate=2018年4月22日}}</ref><ref>{{Cite news |author=上新大介 |url=https://news.mynavi.jp/article/20180420-keiseinaritayago/ |title=京成電鉄「成田屋号」市川海老蔵が乗車、AE形に歌舞伎役者の装飾 |newspaper=[[マイナビニュース]]|publisher=[[マイナビ]]|date=2018年4月20日 |acessdate=2018年4月22日 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20180422040740/https://news.mynavi.jp/article/20180420-keiseinaritayago/ |archivedate=2018年4月22日}}</ref>。
 
 
 
== 関連項目 ==
 
{{Commonscat|Keisei AE series (II)}}
 
{{Wikinews|京成電鉄・成田スカイアクセスが開業 都心と成田空港を最短36分で連絡}}
 
* [[JR東日本E259系電車]]
 
* [[京成成田空港線]]
 
* [[成田高速鉄道アクセス]]
 
* [[JR西日本681系電車|JR西日本681系]]・[[JR西日本683系電車|683系電車]] - 2015年3月13日まで北越急行にて160キロ運転を行っていたJR西日本の車両。速度計は681系と同じ。
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{脚注ヘルプ}}
 
{{Reflist|2}}
 
 
 
== 参考文献 ==
 
* 京成電鉄 新スカイライナー公式サイト
 
* 京成電鉄 帝国ホテル開催の公式発表
 
* エリエイ出版部『[[とれいん (雑誌)|とれいん]]』 2008年6月号
 
* 京成電鉄(株)車両部計画課課長補佐 田中良治 「京成電鉄AE形」 鉄道ジャーナル社『[[鉄道ジャーナル]]』通巻514号(2009年8月号) pp90 -95
 
* 京成電鉄(株)車両部計画課 「新車ガイド1 京成電鉄AE形」 [[交友社]]『[[鉄道ファン (雑誌)|鉄道ファン]]』通巻580号(2009年8月号) pp10 - 17
 
 
 
== 外部リンク ==
 
* [https://www.keisei.co.jp/keisei/tetudou/skyliner/jp/index.html スカイライナー成田空港アクセス] (京成電鉄)
 
* [http://rail.hobidas.com/blog/natori09/archives/2009/05/post-1016.html ホビダス編集長敬白:「新型スカイライナー誕生。(上)」] ([[ネコ・パブリッシング]])
 
* [http://rail.hobidas.com/blog/natori09/archives/2009/05/post-1017.html ホビダス編集長敬白:「新型スカイライナー誕生。(下)」] (ネコ・パブリッシング)
 
* [http://www.jiji.com/jc/v2?id=20090520keisei_skyliner&rel=y&g=pol 時事ドットコム 新型スカイライナー] ([[時事通信社]])
 
* [http://www.n-sharyo.co.jp/business/tetsudo/topics/tp090622.html 京成電鉄株式会社殿向新型スカイライナー完成(日車トピックス)]
 
* [http://www.n-sharyo.co.jp/business/tetsudo/pages/keisae200.htm 京成電鉄AE形特急電車「新型スカイライナー」(日本車輌製造)]
 
 
 
{{京成電鉄の車両}}
 
{{ブルーリボン賞選定車両一覧}}
 
{{デフォルトソート:けいせいAEかたてんしや2}}
 
[[Category:京成電鉄の電車|AE_2]]
 
[[Category:2009年製の鉄道車両]]
 
[[Category:日本車輌製造製の電車]]
 
[[Category:東急車輛製造製の電車]]
 
[[Category:グッドデザイン賞]]
 

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