両取り

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両取りフォーク、Fork)とは、チェス将棋において相手の駒を取るために、1つの駒で2つ以上の相手の駒を同時に攻撃する戦略である。相手は1度に1つの駒しか逃げることができないため、どちらかの駒を取ることができる。 取られそうな両方の駒を取られない形で打開するには、両取りをかけている駒を取るか、相手のキング(王)への攻撃などを組み合わせて相手に取る暇を与えないなどの方法が考えられる。 また、ディスカバード・チェック(空き王手)の形を利用することで、両取りの形にすることも可能である。

両取りはしばしば、他の戦略と組み合わせて用いられる。

ナイトや桂馬は他の駒を飛び越せるという性質があるため、両取りの駒として用いられやすい。

両取りの種類は、チェスでは一般的には取る方の駒の種類による。例えばナイト両取りとは、ナイトを相手の2つ以上の駒を同時に攻める位置に移動することである。一方将棋では、一般的には取られる方の駒の種類によって、例えば飛金両取り等と言われる。キングを含めてどの種類の駒でも両取りをかけることは可能であり、またどの種類の駒も両取りの対象となり得る。

チェス

チェスのクイーンや将棋の飛車角も両取りの駒として用いられやすいが、他の駒と比べて価値が高いため、両方の駒が守られていない場合か、一方の駒がキング(王)の場合以外は相手の駒を取ることは少ない。守られたクイーンによって相手のクイーンとキング(あるいは守られていない駒)を狙う両取りは、クイーンの交換を迫る場合に有効である。

ポーンによっても、右と左の斜め前に相手の駒がある場合、両取りすることができる。右図では、黒のポーンは2つの白のルークを狙っている。

ロイヤルフォーク」とは、チェスにおいてキングとクイーンの両取りに使われる言葉である。「グランドフォーク」とは、キング、クイーンと1つか2つのルークを両取りする状況に使われる言葉である。


右の例(Tissir-Dreev 2004)は、2004年の世界チェス選手権の第1ラウンドで、Mohamed Tissirとアレクセイ・ドレーフの間で行われた試合である。 33...Nf2+ 34.Kg1 Nd3と進行して白が投了した。最終的には黒のナイトが白のクイーンとルークを両取りして、クイーンが逃げてルークとナイトの交換を許した。

将棋

将棋では飛車角行桂馬による両取りが比較的よく見られる。桂馬によるものは「桂馬ふんどし」と俗称され、駒得を狙う基本的な手筋である。また、銀将を使って金将または飛車の両取りを狙う「割り銀」も有名な手筋である。香車によるものは直接2枚の駒を狙ったものではないが、一方の駒が逃げても他方を取ることができるために両取りの範疇に入る。これは「香車田楽」と俗称される。

両取りは駒得を狙ったものが多い。たとえば図の右下で示した「桂馬ふんどし」では、自らの桂馬と、相手の金将または銀将を交換することで駒得を図るものである(△2七金、▲3七桂、△同金、と進むと、桂馬と銀将の交換になるが、一般に金又は銀の方が桂より価値が高い)。

一方が玉将の場合は「王手角取り」、「王手金取り」というように言われる。とくに角行による王手飛車取りは「王手飛車」と言われ、状況にもよるが極めて強力な手として知られる。王手のかかった両取りは、王手への対応(逃げる、合駒を打つなど)を優先しなければならない制約があるため、もう一方の駒は交換ではなく単純に取られてしまう場合も多い。図の右上で示した「王手飛車」の場合、△3二角と打てれば角行と飛車の交換にとどまるが、それ以外の駒を合駒としたり玉将が逃げた場合には、飛車が只で取られることになる。

王手がかかっている場合を別として、両取りはどちらかの駒を逃がしても他方が取られるため、駒を逃げる手筋は有効でない場合も多い。そのため、両取りを放置して別の手が指されることが多く、とくに相手の両取りを機に反撃を始めることも好まれる。「両取り逃げるべからず」という有名な格言がある。棋士同士の対局の場合は、「王手飛車をかけた方が負ける」という言葉もある(棋士は王手飛車になる可能性まで踏まえて指しているため)。


参考文献

  • 米長邦雄、『米長流 必ず勝つ基本手筋』、有紀書房、1986年。ISBN 978-4638072301

関連項目

外部リンク


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