ヴィオラ

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ヴィオラ
各言語での名称
viola
Bratsche
alto
viola
中提琴
ヴィオラ
分類

弦楽器 - ヴァイオリン属

音域
各弦の調弦。実音記譜
関連楽器
関連項目

ヴィオラまたはビオラは、西洋音楽で使われるヴァイオリン属弦楽器である。長い間独奏楽器としてはほとんど無視された存在であったが、近代以降では独奏曲も数多く作られるようになってきている。合奏重奏の中では中音部を受け持つ。しばしば「Va」「Vla」と略記される。

構造

ヴァイオリンとほぼ同じ構造であるが、低い音を出すために全体が大きくなっていて、特に厚みが増している。ヴァイオリン同様、顎に挟んで演奏する。

大きさ

大きさはヴァイオリンに比べ、胴の長さで50mmほど大きいといわれるが、ヴィオラの大きさは390mmほどから420mmを超えるものまでばらつきがある。アントニオ・ストラディヴァリコントラルトヴィオラ(CV)テナーヴィオラの2種類のヴィオラを製作している。現在残された、木の内型によればコントラルトヴィオラの胴長さは約41cmで、テナーヴィオラの胴長は約47cmである[1]。音響的には大きい方が有利であるが、大きすぎると演奏が困難になるため、演奏者は演奏技術・体格との兼ね合いで自分の弾くヴィオラを選択することになる。日本では405mmほどの大きさが好まれるが、世界的には小さめの寸法であり、ストラディバリウスが製作した寸法から410mm程度が標準とされる。これは前述のコントラルトヴィオラの大きさをほぼ継承したものと言える[2]。一方、アメリカ合衆国では大きなヴィオラが好まれ、あるヴィオラ製作コンクールでは「420mmを超えるもの」という条件があるくらいである。また長さのみならず、共鳴箱の容積を大きくとるために厚みを厚めに設計したもの、幅を広めに設計したものなど形もまちまちである。ヴィオラの大きさは、ヴァイオリンより音域が五度下がることから、本来胴の長さがヴァイオリン(360mm程度)の1.5倍の540mm程度であるべきという議論もあるが、実際にはきちんと製作され調整された楽器ならば420-430mmあれば十分というのが現在の認識である。もちろんヴィオラの音色は大きさのみによって決定されるものではないのでバシュメットのように標準的な寸法よりも若干小さめのヴィオラで魅力ある音色を出す演奏家もいるが、400mm以下のヴィオラでは本当のヴィオラの音とは言いがたいというのが本格的な制作者にみられる認識である。弦は楽器全体の長さに応じてヴァイオリン用のものより長いだけではなく、同じ高さのヴァイオリンの弦より太い。弓は一般的にヴァイオリンのものより短く、重量は重い。

調弦・記譜

中央ハ音のすぐ上のイ(A4、ラ)音から、完全5度ずつ下に向かって、ニ(D4、レ)、ト(G3、ソ)、ハ(C3、ド)であり、第4弦のハ音は中央ハ音の完全8度 (オクターヴ)下の音となる。この調弦はヴァイオリンより完全5度低く、チェロより1オクターヴ高い。

基本的にアルト記号 (ハ音記号)で楽譜に書かれるが、高音部にはト音記号も使われる。

演奏法

楽器を左肩に乗せ、顎で押さえて楽器を固定し、左手の指で弦を押さえて音程を決める。右手は弓で楽器の弦をこすって音を出す。ヴァイオリンとほとんど同じである。ヴィオラ用の練習曲や教本においても、セブシック「SCHOOL OF TECHNIQUE for VIOLA」、カール・フレッシュ「音階教本」などもとはヴァイオリン用に作られたものを5度音程を下げて編曲したものが広く使われている。

ほかの弦楽器と同じく、同一曲内で別の楽器に持ち替えることはほとんどないが、次の曲ではヴァイオリンと持ち替える。

主なヴィオラ曲

ヴィオラが活躍する楽曲

主なヴィオラ奏者

ヴィオラの独奏楽器としての地位を発掘した演奏家(ヴィオリスト)は、20世紀初頭から現代まで少なからず存在する。彼らの登場までヴィオラは、長らく独奏楽器としては無視された存在であった。現在でも「ヴィオラの第一人者なんてものはいない。(それほどの腕があればヴァイオリンへ鞍替えしてしまう)」というジョークが残っている。

詳細はヴィオリスト#著名なヴィオリストの一覧またはクラシック音楽の演奏家一覧#ヴィオラ奏者を参照

脚注

  1. 横山進一「ストラディヴァリウス」(2008年 アスキー・メディアワークス, アスキー新書 ISBN 978-4048674171)
  2. 横山 同掲書

関連項目

外部リンク