レクサス・LC

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LC(エルシー、Lexus LC)は、トヨタ自動車が展開する高級車ブランドレクサスから販売されているラグジュアリー2ドアクーペである。

概要

2016年1月11日、2016年デトロイトモーターショーにて、「LC500」を世界初披露した[1]。2016年2月18日には、オランダのデン・ハーグにおいて、ハイブリッドモデルの「LC500h」を世界初披露し[2]。合わせて、同年3月に開催するジュネーブモーターショーで「LC500h」の出品も発表[3]。2017年3月16日に日本市場で正式にデビューを飾った。

レクサス初のFセグメントのクーペモデルであり、2012年にデトロイトモーターショーで発表したコンセプトカー「LF-LC」[4]の革新的なデザインイメージをモチーフに、新開発プラットフォームによる骨格を活かして開発が行われた。 「LC500」とハイブリッドシステムを搭載する「LC500h」の2種が用意され、今後のレクサスのFR車に展開される「GA-L(Global Architecture-Luxury)プラットフォーム」を初採用した。 「LC500」には、RC FGS Fにも搭載されるV型8気筒5.0Lエンジン「2UR-GSE」型を搭載。最高出力/最大トルクは、351kW(477PS)/540N・m(55.1kgf・m)を発生。最大トルクは、「RC F」・「GS F」対比で、10N・m(1.1kgf・m)向上している。また、トランスミッションには、新開発の10速オートマチックトランスミッション「Direct Shift-10AT」を組み合わせている。

LC500h」には新型エンジン「8GR-FXS」型を核とした「マルチステージハイブリッドシステム」を搭載。システム最高出力は264kW(359PS)と公表されている。マルチステージハイブリッドシステムは、LEXUSのハイブリッドシステムに有段ギヤを組み合わせた世界初の機構。2つのモーターを使用した電気式無段変速機と4段ギアの自動変速機構(ステップAT)を組み合わせることで、無段階変速機構からの出力自体を変速、パワフルな走りと燃費の良さを両立させている。さらに無段変速機構による有段変速制御と4段変速を組み合わせる事で擬似的な10段変速を実現している[注 1]。これにより従来のTHS IIにおいてエンジンの回転数と加速が同調しないラバーバンドフィールの問題を解決し、ハイブリッドシステムでありながらダイレクトなスポーティードライブを実現している。また、バッテリーはレクサスブランドとしては初採用となるリチウムイオン二次電池を搭載。それに伴い、「HYBRID」エンブレムも通常のものではなく「MULTI STAGE HYBRID」タイプに変更されている。そのマルチステージハイブリッドについては、「ドリフトができるようにしたい」という思想から開発がスタートしている[5]

開発責任者の佐藤恒治は、コンセプトのLF-LCを見たときサスペンションもエンジンも入るスペースのないほど低いシャシーを見て「市販車として実際に走らせるのは到底不可能と思った」という。しかし半年前に米国でGSを発表したとき否定的な意見が多かったのに対して、LF-LCは「このデザインは今後のレクサスが進むべき方向を示している」「レクサスはこういうクルマをつくれるブランドであって欲しい」と非常に評価が高かったことから開発が決まり、最終的にコンセプトに近いデザインで販売できた[6]

2016年北米アイズ・オン・デザイン・アワードのベストデザイン賞・ベストプロダクションカー賞を受賞している[7]

デザイン

エクステリア
特徴あるデザインは、トヨタが米国カリフォルニア州に置くデザインスタジオである「CALTY」で生まれた。LCの全長は4,770mm(187.4インチ)で、ホイールベースは2,870mm(113インチ)。フロントオーバーハングとリアオーバーハングはかなり短く、フロントは920mm(36.22インチ)、リアは970mm(38.19インチ)。 レクサスのデザインアイコンとなった巨大なスピンドルグリルをはじめ、砂時計状の形状が反復して表現されており、平面視でもフロントフェンダーとリアフェンダーが飛び出し、ドアパネルが内側に引き込まれているように見える。

フロントフェンダーからのラインは、ピラーを黒く塗った屋根の境界をも形成する。レクサスは、Cピラーモールディングの鋭いエッジのインスピレーションとして “伝統的な日本刀”を挙げている。スピンドルシェイプはリア中央のデザインにもはっきりと見ることができ、他のすべての要素もどこかで一度深く絞り込まれている。なお、LCはレクサスブランドとして初めてリヤに「LEXUS」のロゴエンブレムが付かない車種である。

インテリア
LCのインテリアは、ドライビングプレジャーと快適性が融合したインテリアとなっている。 コックピットは、ドライバーとクルマの一体感を醸成するドライビングポジションとし、ペダル配置、ステアリング傾角、シートのホールド性など、徹底した走り込みに基づく細部にこだわったレイアウトを実現。 シフトバイワイヤシステムや、直感的な操作に対応した次世代マルチメディアを操作系に採用。 ステアリングホイールは、握る位置に合わせて断面形状を緻密に変化させ、手にしっくりと馴染むよう配慮。パドルシフトにはマグネシウム素材を使用し、操作性と質感が相まって、ドライビングプレジャーの高まりを演出した。 助手席は、人を包み込みながら、車両前方へ視覚的に広がりを感じさせる開放的な空間づくりを目指した。 レザーやアルカンターラを採用し、触って感じる素材感や使うたびに深まる心地良さを、 レクサス独自の感性とクラフトマンシップによる繊細で高品質なモノづくりで実現。メーターは、IS及びRCの「F SPORT」グレードで採用されている可動式マルチインフォメーションディスプレイを全車に採用した。 また、ボディ骨格から考慮し開発されたオーディオシステムの採用など、上質なおもてなしの空間を提供している。

予防安全

LCには、予防安全パッケージ「Lexus Safety System +」が採用された。ミリ波レーダーとカメラを用いて前方の車両や歩行者を検出し、警報、ブレーキアシスト、自動ブレーキで衝突回避支援および被害軽減を図る「プリクラッシュセーフティシステム(歩行者検知機能付衝突回避支援タイプ)」、車線維持をサポートする「レーンキーピングアシスト」、夜間歩行者の早期発見に寄与しロー・ハイビームを自動で切り替える「オートマチックハイビーム」、そして先行車との車間距離を保ちながら追従走行する「レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)」、これら4つの先進安全技術をパッケージ化し、多面的な安全運転支援を強化している。更に、エンジンフードを4つの支点でポップアップさせる4点式ポップアップフードをレクサスブランドで初採用している。

年表 

2017年3月16日
日本での発売を発表[8]。「LC500h」は同日発売。「LC500」は4月13日発売。
ラインアップは、V型8気筒5.0Lエンジンを搭載する「LC500」、V型6気筒3.5Lマルチステージハイブリッドを搭載する「LC500h」の2種。両モデル共に、「標準仕様」、「L Package」、「S Package」の3種の仕様を設定している。
ボディカラーは「ホワイトノーヴァガラスフレーク〈083〉」、「ダークグレーマイカ〈1G0〉」、「ソニックシルバー〈1J2〉」、「ソニックチタニウム〈1J7〉」、「ブラック〈212〉」、「グラファイトブラックガラスフレーク〈223〉」、「ガーネットレッドマイカ〈3S0〉」、「ラディアントレッドコントラストレイヤリング〈3T5〉(メーカーオプション)」、「アンバークリスタルシャイン〈4X2〉」、「ディープブルーマイカ〈8X5)」に加え、新規開発色の「ネープルスイエローコントラストレイヤリング〈5C1〉(メーカーオプション)」を加えた全11色を設定。
「標準仕様」、「S Package」のインテリアは、シートマテリアルが「アルカンターラ/ 本革」で、インテリアカラーは「ブラック」、「オーカー」、「ダークローズ」の3色を設定。「L Package」はシートマテリアルが「セミアリニン本革」となり、インテリアカラーは前述の3色に加え、専用色「ブリージーブルー」がメーカーオプション設定となる[注 2]
2018年4月5日
特別仕様車「Structural Blue」を発売[9]
「Structural Blue」は、 LEXUSの日本国内での累計販売台数50万台達成を記念した特別仕様車。LC500/LC500hの「L Package」をベースに、専用ボディカラーとして、モルフォ蝶の羽から着想を得た「構造発色」原理を応用し、レクサス独自の技術により開発した新色「ストラクチュラルブルー〈8Y0〉」を採用。また、専用インテリアカラーとして「Structural Blue」専用「ブルーモーメント」と「ブリージーブルー」の2種類を設定。その他、フロント245/40RF21+リヤ275/35RF21ランフラットタイヤ&鍛造アルミホイール(ポリッシュ仕上げ+ブラック塗装)、特別仕様車専用スカッフプレート(CFRP)、"マーク・レビンソン"リファレンスサラウンドサウンドシステム、カラーヘッドアップディスプレイ、ステアリングヒーター、寒冷地仕様が特別装備された。
2018年8月30日
一部改良[10]
ステアリングサポート[注 3]のアルミダイキャスト化による剛性の向上や、ブッシュ特性のチューニングなどによりステアリングフィールを向上させた。また、ショックアブソーバーに伸圧独立オリフィスを採用することで、減衰力可変幅の拡大や摩擦低減など乗り心地と操縦安定性の向上を図った。さらに、ブレーキ制御、マルチステージハイブリッドシステムのチューニングなどによりドライバーの運転意図に沿った、より滑らかな加減速を実現させている。
クラウドと車載機でのルート探索を融合したハイブリッドナビゲーションシステムの標準設定により、利便性を向上させた。
G-Linkの機能のひとつとなる「ヘルプネット」は、新たに「D-Call Net[注 4]」に対応。事故や急病時に、車両データをもとに重症度を指定してドクターヘリなどの早期出動判断を行う機能で、緊急時の対応力を高めている。
2018年10月31日
特別仕様車「Luster Yellow」を発売[11]。(2018年12月31日までの期間限定受注)
特別仕様車「Luster Yellow」は「LC500」および「LC500h」の「標準仕様」がベース車両。ボディカラーは「ネープルスイエローコントラストレイヤリング〈5C1〉」のみの設定で、インテリアカラーには金環日食をモチーフとした専用設定色「ラスターイエロー」を採用。また、専用パーフォレーションパターンとイエローステッチを施した運転席・助手席セミアニリン本革&10Way調整式パワーシートと上下電動調整式ヘッドレスト(運転席・助手席)、専用スカッフプレート(CFRP)を特別装備。また、「S Package」専用装備であるトルセンLSD、ギヤ比可変ステアリング[VGRS]、21インチ鍛造アルミホイール(ポリッシュ仕上げ+ブラック塗装)、アクティブリヤウイング(格納式)、VDIM(アクティブステアリング統合制御付)、LDH(レクサス・ダイナミック・ハンドリングシステム)、アルカンターラルーフ/サンバイザー/ピラー・ルーフサイドガーニッシュ/パッケージトレイのほか、ベース車両ではメーカーオプション設定である「カラーヘッドアップディスプレイ」も装備リストに加えている。
2019年1月11日
2019年北米国際自動車ショー(デトロイトモーターショー)にて、コンバーチブルクーペのコンセプトカー「LC Convertible concept」を世界初公開する、と発表[12]

モータースポーツ

2017年(平成29年)より、従来のRC Fに代わってSUPER GTGT500クラスに参戦する[13]。SUPER GTのレギュレーションにより、エンジンはスーパーフォーミュラと共通の2リッター直列4気筒直噴ターボのトヨタ・RI4Aを搭載する。

「プライベーターチームの意見をよく聞きながら開発した」というこのマシンは圧倒的な戦闘力を発揮し、デビュー戦岡山でレクサスチーム全車が上位(1-2-3-4-5-6)を占めるという歴史的完勝を記録した。その後は5勝を挙げるもLC同士でポイントを食い合った結果MOTUL AUTECH GT-Rに一時首位を許すが、最終的にはKeePer TOM'S LC500がチャンピオンを獲得した。なおこのチャンピオンは「開幕戦で表彰台に登ったチームはチャンピオンになれない」というジンクスを打ち破ってのもので、なおかつドライバーの二人とも史上最年少の23歳という記録も打ち立てた。

2018年(平成30年)にはレクサス・Fのロゴの書かれた市販車テスト用のLC500で、ニュルブルクリンク24時間レースのSP-PROクラスに参戦。ドライバーは土屋武士/松井孝允/蒲生尚弥/中山雄一。序盤に接触で足回りにダメージを負った他、ギアボックスにトラブルも生じて一時ガレージに収容されたが、修復して総合98位で完走した。

車名の由来

  • 「LC」の車名は 「Luxury Coupe」[14]の頭文字をとった略であるとともに「Lexus Challenge」という意味が込められている[15]

脚注

注釈

  1. 1 - 3速は無段変速による擬似3段変速と有段ギヤの1速、4 - 6速は擬似3段変速と有段2速、7 - 9速は擬似3段変速と有段3速の組み合わせとなる。なお10速は無段変速と有段4速の組み合わせで、いわゆる高速巡航時のオーバードライブとなってCVTとして作動、省燃費に寄与する。
  2. 「ブリージーブルー」は、ホワイトノーヴァガラスフレーク〈083〉、ダークグレーマイカ〈1G0〉、ソニックシルバー〈1J2〉、ソニックチタニウム〈1J7〉、ブラック〈212〉、グラファイトブラックガラスフレーク〈223〉、ディープブルーマイカ〈8X5〉のボディカラーを選択した場合のみ、選択可能。
  3. ステアリングの一部で、ステアリングコラムを支持する部品。
  4. 認定NPO法人・緊急ヘリ病院ネットワーク(HEM-Net)の登録商標。詳しくはhttp://www.hemnet.jp/

出典

  1. “LEXUS、デトロイトモーターショーで新型ラグジュアリークーペ「LC500」を世界初公開” (プレスリリース), LEXUS, (2016年1月12日), https://lexus.jp/pressrelease/news/20160112.html 
  2. “LEXUS、世界初マルチステージハイブリッドシステム搭載の新型ラグジュアリークーペ「LC500h」をワールドプレミア” (プレスリリース), LEXUS, (2016年2月18日), https://lexus.jp/pressrelease/news/20160218.html 
  3. “LEXUS、ジュネーブモーターショーに新型ラグジュアリークーペ「LC500h」を出展” (プレスリリース), LEXUS, (2016年2月15日), https://lexus.jp/pressrelease/news/20160215.html 
  4. “LEXUS、北米国際自動車ショーに「LF-LC」を出展” (プレスリリース), LEXUS, (2011年12月22日), http://www2.toyota.co.jp/jp/news/feature/20111222.html 
  5. 【レクサス LC】ドリフトできるハイブリッドにしたかった…HVシステム制御開発者
  6. レクサスLC 開発責任者に聞く(2017年3月)― LexusのChallenge ―
  7. 「レクサス LC500」がアイズ・オン・デザイン・アワード2部門を受賞
  8. “LEXUS、新型ラグジュアリークーペ「LC」を発売” (プレスリリース), LEXUS, (2017年3月16日), https://lexus.jp/pressrelease/news/20170316.html 
  9. “LEXUS、国内累計販売台数50万台達成を記念し、特別仕様車を発売” (プレスリリース), LEXUS, (2018年4月5日), https://lexus.jp/pressrelease/news/20180405.html 
  10. “LEXUS、LS、LCを一部改良” (プレスリリース), LEXUS, (2018年8月30日), https://lexus.jp/pressrelease/news/20180830.html 
  11. “LEXUS、LC特別仕様車“Luster Yellow”を期間限定販売” (プレスリリース), LEXUS, (2018年10月31日), https://lexus.jp/pressrelease/news/20181031_2.html 
  12. “LEXUS、デトロイトモーターショーでコンセプトカー「LC Convertible concept」を世界初公開” (プレスリリース), LEXUS, (2019年1月11日), https://lexus.jp/pressrelease/news/20190111.html 
  13. LEXUS LC500 - LEXUS GAZOO Racing
  14. LEXUS>LCより
  15. レクサスLC ポイント解説 - GAZOO 2017年3月16日(2017年4月30日閲覧)

関連項目

外部リンク