ヨーロッパ連合

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European Union; EU

ヨーロッパの政治経済面での統合を目指し,加盟国間の相互協力強化を目的に設立された機関。単一の通貨はユーロ。2016年現在加盟国はアイルランド,イギリス,イタリア,エストニア,オーストリア,オランダ,キプロス,ギリシア,クロアチア,スウェーデン,スペイン,スロバキア,スロベニア,チェコ,デンマーク,ドイツ,ハンガリー,フィンランド,フランス,ブルガリア,ベルギー,ポーランド,ポルトガル,マルタ,ラトビア,リトアニア,ルクセンブルク,ルーマニアの 28ヵ国。1958年西ヨーロッパ各国の経済統合を監督するためヨーロッパ経済共同体EECが創設された。1967年 EECはヨーロッパ石炭鉄鋼共同体 ECSC,ヨーロッパ原子力共同体 EURATOMと合体し,ヨーロッパ共同体 ECを結成。1960~80年代に EECおよび ECが推進した貿易自由化政策が成功したため,加盟各国はより広範な ECの統合を受け入れやすくなった。加盟国の経済・政治統合に向けた努力は,1991年のマーストリヒト条約(ヨーロッパ連合条約)に結実,1993年11月1日同条約が発効し,EUが発足した。マーストリヒト条約は EC加盟国以外のヨーロッパ諸国にも EU加盟の道を開き,1995年にオーストリア,フィンランド,スウェーデンが EUに加盟した。その後も 2004年にキプロスなど 10ヵ国が,2007年にはブルガリアとルーマニアが,2013年にはクロアチアが加盟するなど圏域は拡大。1999年に発効したアムステルダム条約と,2009年に発効したリスボン条約により,EUの政治的な統合がより推進された。

EUの頂点に,加盟各国首脳とヨーロッパ理事会議長,ヨーロッパ委員会委員長からなり,年 4回の会合をもつ最高意思決定機関のヨーロッパ理事会がある。EUの中核をなすのは,行政機関のヨーロッパ委員会,決定機関のヨーロッパ連合理事会(閣僚理事会),立法機関のヨーロッパ議会である。ヨーロッパ委員会は,加盟国から 1人ずつ選出された委員で構成され,任期は 5年。ヨーロッパ連合理事会は加盟国政府の閣僚級代表各 1人によって構成され,EUにおける真の決定権をもつ。ヨーロッパ議会は議席数 751,任期 5年で加盟国国民の直接選挙で選出される。また EUの司法機関としてヨーロッパ連合司法裁判所がある。

ECの主要目標の一つは,加盟各国の経済を統合して,共通の通貨と中央銀行をもつ,国境のない単一市場をつくりだすことであった。ECは 1978年のヨーロッパ通貨制度 EMSの創設を監督し,各国通貨の交換率を規定し,加盟各国の金融安定を支援した。1979年に発効した EMSは,EC加盟国の通貨をリンクさせ,日々の交換率の乱高下を回避する一方,定期的な再調整を認めている。労働力の移動を促進するため,EC各国間の労働移動に関する各種規制も事実上撤廃した。1987年 EC加盟国は単一ヨーロッパ議定書を採択し,将来,統合自由貿易市場を創設するという意志を宣言した。これを履行するための施策は 1990年,為替管理の撤廃とヨーロッパ全域にまたがる銀行,保険,証券,その他金融サービスの障壁廃止とともにスタートした。

マーストリヒト条約に盛られた経済取り決めは,ドイツフランクフルトにヨーロッパ通貨機構を発足(1994.1.1.発効)させ,また ECとヨーロッパ自由貿易連合 EFTAの加盟国間で広大な自由貿易域,ヨーロッパ経済領域を創設(1994発足)することによって,このプロセスをいっそう進展させた。ヨーロッパ中央銀行は 1999年1月ユーロを単一通貨と決定。ユーロは銀行間取引やカード決済に導入され,2002年1月1日から紙幣と硬貨もユーロに移行した。

2012年10月,「60年以上にわたりヨーロッパの平和と和解,民主主義と人権の向上に貢献した」功績によりノーベル平和賞を授与された。

2016年6月,イギリスで EU残留・離脱を問う国民投票が行なわれ,その結果,離脱が決まった。イギリスは EU加盟国のなかで初めての離脱国となる。