ユーゴスラビア紛争

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ユーゴスラビア紛争(ユーゴスラビアふんそう)は、ユーゴスラビア連邦解体の過程で起こった内戦である。1991年から1999年(あるいは2001年)まで主要な紛争が継続した。

経緯

ファイル:Former Yugoslavia 2006.png
ユーゴスラビアの地図。黄色がスロベニア、赤がクロアチア、濃灰色と灰色がボスニア・ヘルツェゴビナ(灰色はスルプスカ共和国、濃灰色はボスニア・ヘルツェゴビナ連邦)、青がセルビア(北側がヴォイヴォディナ自治州)、薄青色がコソボ、薄緑色がモンテネグロ、オレンジ色がマケドニア共和国である。
ファイル:Ethnic Clensing.JPG
被害にあった建物

多民族国家のユーゴスラビアは、第二次世界大戦ではドイツイタリアに支配されていたが、戦後にパルチザン勢力を率いる指導者のヨシップ・ブロズ・チトーによって独立を達成する。この国家は、後に『七つの国境、六つの共和国、五つの民族、四つの言語、三つの宗教、二つの文字、一つの国家』と言われる程の多様性を内包していた。

戦後の世界ではアメリカ合衆国を中心とする西側陣営とソビエト連邦を中心とする東側陣営が対立する冷戦がはじまる。ユーゴはチトーが共産主義者であり東側陣営に属するが、ポーランドハンガリールーマニアなどの東欧諸国とは違い、ソ連の衛星国では無い独自の社会主義国家としての地位を保っていた。チトーのカリスマと国内融和政策によって、国内の民族主義者の活動が抑えられ、ユーゴスラビアに統一がもたらされていた。

1990年近くになると、ソ連国内においてはゴルバチョフ指導による民主化が進み、ルーマニアにおけるチャウシェスク処刑に代表される東欧民主化で東側世界に民主化が広がり共産主義が否定されると、ユーゴにおいても共産党による一党独裁を廃止して自由選挙を行うことを決定し、ユーゴを構成する各国ではチトー時代の体制からの脱却を開始する。また、各国ではスロボダン・ミロシェヴィッチ(セルビア)やフラニョ・トゥジマン(クロアチア)に代表されるような民族主義者が政権を握り始めていた。ユーゴの中心・セルビア共和国では大セルビア主義を掲げたスロボダン・ミロシェヴィッチが大統領となり、アルバニア系住民の多いコソボ社会主義自治州の併合を強行しようとすると、コソボは反発して1990年7月に独立を宣言し、これをきっかけにユーゴスラビア国内は内戦状態となった。

1991年6月に文化的・宗教的に西側に近いスロベニアが10日間の地上戦で独立を達成し(十日間戦争)、次いでマケドニア共和国が独立、ついで歴史を通じてセルビアと最も対立していたクロアチアが激しい戦争を経て独立した(クロアチア紛争)。ボスニア・ヘルツェゴビナ1992年に独立したが、国内のセルビア人がボスニアからの独立を目指して戦争を繰り返した(ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争)。セルビア国内でもコソボ自治州が独立を目指したが、セルビアの軍事侵攻によって戦争となった(コソボ紛争)。その後、マケドニア国内に大量のコソボ地域のアルバニア系住民が難民として押し寄せてたことから、マケドニアにも飛び火した(マケドニア紛争)。

紛争はNATO国際連合の介入により収束した。

内戦一覧

ユーゴスラビア紛争を描いた作品

小説

  • 楠見朋彦 『零歳の詩人』 集英社、1999年。ISBN 4-087-74448-5。
  • 米澤穂信さよなら妖精』 東京創元社〈ミステリ・フロンティア〉、2004年。ISBN 4-488-01703-7。 ※舞台は日本である。崩壊前のユーゴから来日した少女の出身国を巡る謎解き。
  • 島田荘司 『リベルタスの寓話』 講談社、2007年。ISBN 4-062-14276-7。

映画

音楽

関連項目

参考文献

  • 柴宜弘 『新版世界各国史(18) バルカン史』 山川出版社
  • 柴宜弘 『ユーゴスラヴィア現代史』 岩波書店
  • 柴宜弘 『図説 バルカンの歴史』 河出書房新社
  • ディミトリ・ジョルジェヴィチ 『バルカン近代史』 刀水書房
  • スティーヴン・クリソルド 『ユーゴスラヴィア史』 恒文社
  • ミーシャ・グレニー 『ユーゴスラビアの崩壊』 白水社
  • 徳永彰作 『モザイク国家 ユーゴスラビアの悲劇』 筑摩書房
  • 千田善 『ユーゴ紛争 多民族・モザイク国家の悲劇』 講談社
  • マイケル・イグナティエフ 『軽い帝国 ボスニア、コソボ、アフガニスタンにおける国家建設』 風行社
  • 最上敏樹 『人道的介入 正義の武力行使はあるか』 岩波書店
  • 高木徹 『ドキュメント 戦争広告代理店』 講談社
  • 佐原徹哉 (2008年3月20日). ボスニア内戦 グローバリゼーションとカオスの民族化. 日本、東京: 有志舎. ISBN 978-4-903426-12-9. 
  • 多谷千香子 (2005年10月20日). 「民族浄化」を裁く―旧ユーゴ戦犯法廷の現場から. 日本、東京: 岩波書店. ISBN 978-4004309734. 
  • 千田善 (2002年11月21日). なぜ戦争は終わらないか ユーゴ問題で民族・紛争・国際政治を考える. 日本: みすず書房. ISBN 4-622-07014-6. 
  • 岩田昌征 (1999年8月20日). ユーゴスラヴィア多民族戦争の情報像―学者の冒険. 日本: 御茶の水書房. ISBN 978-4275017703. 
  • 吉岡達也 (1993年6月15日). 殺しあう市民たち―旧ユーゴ内戦・決死体験ルポ―. 日本: 第三書館. ISBN 4-8074-9339-6. 

外部リンク


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