「ユークリッド原論」の版間の差分

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{{基礎情報 書籍
+
{{テンプレート:20180815sk}} __NOINDEX__
|title = 原論
 
|orig_title = {{lang-grc|Στοιχεῖα}} ストイケイア
 
|image = Woman teaching geometry.jpg
 
|image_size = 230px
 
|image_caption = [[バースのアデラード]]による『原論』のラテン語訳の口絵。1309年-1316年頃。
 
|author = [[エウクレイデス|ユークリッド]]
 
|translator = [[中村幸四郎]]・[[寺阪英孝]]・[[伊東俊太郎]]・[[池田美恵]]、[[斎藤憲]]・[[三浦伸夫]]
 
|illustrator = <!-- イラスト -->
 
|published = 2011年5月25日、2008年1月28日
 
|publisher = [[共立出版]]、[[東京大学出版会]]
 
|genre = 数学書
 
|country = <!-- 国 -->
 
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|type = <!-- 形態 -->
 
|pages = <!-- ページ数 -->
 
|preceded_by = <!-- 前作 -->
 
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|id = ISBN 978-4-320-01965-2<br />ISBN 978-4-13-065301-5<br />ISBN 978-4-13-065302-2
 
|portal1 = 数学
 
}}
 
[[ファイル:Oxyrhynchus papyrus with Euclid's Elements.jpg|thumb|right|[[エジプト]]中部の[[オクシリンコス・パピルス|オクシュリュンコス]]で発見された『ユークリッド原論』の[[パピルス]]の[[写本]]断片。紀元[[100年]]ごろの作。図は『原論』第2巻の命題5に添えられたもの。]]
 
'''ユークリッド原論'''(ユークリッドげんろん)は、[[紀元前3世紀]]ごろに[[エジプト]]の[[アレクサンドリア]]の[[数学者]][[エウクレイデス|ユークリッド]]によって編纂されたと言われる数学書『'''原論'''』(げんろん、{{lang-grc-short|Στοιχεία}}, '''ストイケイア'''、{{lang-en-short|Elements}})のことである。著者のユークリッドに関する資料は乏しく実在性を疑う説もあり、原論執筆の地がアレクサンドリアであることに対する明確な根拠も無い。[[プラトン]]の学園[[アカデメイア]]で知られていた[[数学]]の成果を集めて体系化した本と考えられており、論証的学問としての[[数学]]の地位を確立した古代[[ギリシア]]数学を代表する名著である。古代の書物でありながらその影響は古代に留まらず、後世の人々によって図や注釈が加えられたり翻訳された多種多様な版が作られ続け、20世紀初頭に至るまで標準的な数学の教科書の一つとして使われていたため、西洋の書物では[[聖書]]に次いで世界中で読まれてきた本とも評される。英語の数学「Mathematics」の語源といわれているラテン語またはギリシア語の「マテーマタ」({{lang-grc-short|Μαθήματα}})は「レッスン(学ばれるべきことども)」という意味であり、このマテーマタを集大成したものが『原論』である<ref>[[#東大版|高橋(2008)]], pp. i-ii.</ref>。
 
 
 
== 内容 ==
 
=== 構成 ===
 
ユークリッド原論の内容は[[幾何学]]、[[比例|比例論]]、[[数論]]、無理量論([[無理数]])からなる。このうちで幾何学については、議論の前提の一つである[[平行線公準]]の必要性が疑問視されて19世紀に[[非ユークリッド幾何学]]が成立したため、原論と同じように平行線公準を正しいとした前提から論じた幾何学は、原論以後に得られた成果も含めて[[ユークリッド幾何学]]と呼ばれる分野になった。
 
 
 
全13巻で内容は以下の通り<ref>[[#共立版|中村(1996)]], p. 489.より引用。</ref>。
 
{| class="wikitable"
 
|+
 
! 巻数 !! 定義 !! 公準 !! 公理 !! 命題 !! 内容
 
|-
 
! 第1巻
 
| 23 || 5 || 5<br />(又は9) || 48 || 平面図形の性質
 
|-
 
! 第2巻
 
| 2 || 0 || 0 || 14 || [[面積]]の変形(いわゆる[[幾何学的代数]])
 
|-
 
! 第3巻
 
| 11 || 0 || 0 || 37 || [[円 (数学)|円]]の性質
 
|-
 
! 第4巻
 
| 7 || 0 || 0 || 16 || 円に内接・外接する[[多角形]]
 
|-
 
! 第5巻
 
| 18 || 0 || 0 || 25 || [[比例|比例論]]
 
|-
 
! 第6巻
 
| 4 || 0 || 0 || 33 || 比例論の図形への応用
 
|-
 
! 第7巻
 
| 22 || 0 || 0 || 39 || [[数論]]
 
|-
 
! 第8巻
 
| 0 || 0 || 0 || 27 || 数論
 
|-
 
! 第9巻
 
| 0 || 0 || 0 || 36 || 数論
 
|-
 
! 第10巻
 
| 第1群&nbsp;4<br />第2群&nbsp;6<br />第3群&nbsp;6 || 0 || 0 || 115 || [[無理数|無理量論]]
 
|-
 
! 第11巻
 
| 29 || 0 || 0 || 39 || [[立体図形]]
 
|-
 
! 第12巻
 
| 0 || 0 || 0 || 18 || 面積・[[体積]]
 
|-
 
! 第13巻
 
| 0 || 0 || 0 || 18 || [[正多面体]]
 
|}
 
 
 
平面の初等幾何について述べられているのは'''1'''、'''2'''、'''3'''、'''4'''巻と'''6'''巻。
 
ただし、この内容はユークリッド本人の業績というよりは、それ以前に[[ピタゴラス]]学派等の貢献により、ユークリッドの時代より前から既に体系化されていた情報を再編纂したものである可能性が高い。
 
 
 
また、'''5'''巻、'''12'''巻は当時の[[プラトン学派]]数学者[[エウドクソス]]の業績であるし、'''10'''巻、'''13'''巻は同じくプラトン学派の[[テアイテトス]]の貢献によりもたらされたものと考えられる。
 
よって、ユークリッド本人は主に既存の知識と最新の学術成果を付け加えて、『原論』を編纂したものと考えられる。
 
 
 
'''14'''巻、'''15'''巻も存在するが、それらはユークリッドの時代より後になって付け加えられたものだと考えられている。ハイベア・メンゲ編纂の『[[#Heiberg&Menge1883-1916|エウクレイデス全集]]』では第5巻に'''14'''巻、'''15'''巻がスコリア(古注)とともに収録されている<ref>[[#Heiberg&Menge1883-1916|Heiberg&Menge(1883-1916)]]</ref>。
 
 
 
=== 定義・公準・公理 ===
 
『原論』ではいくつかの定義からはじまり、'''5'''つの[[公準]](要請)と、'''5'''つ(又は'''9'''つ)の[[公理]](共通概念)が提示されている。議論の前提となる点や線、直線、面、角、円、中心などの概念が定義され、次のような'''5'''つの公準を真であるとして受け入れることにより、作図の問題の基礎を明確にしている。
 
# 任意の一点から他の一点に対して直線を引くこと
 
# 有限の直線を連続的にまっすぐ延長すること
 
# 任意の中心と半径で円を描くこと
 
# すべての直角は互いに等しいこと
 
# 直線が'''2'''直線と交わるとき、同じ側の内角の和が2直角より小さい場合、その'''2'''直線が限りなく延長されたとき、内角の和が2直角より小さい側で交わる。
 
これらのうち5番目の公準については古代より、他の公理、公準に比して突出して複雑であることから、自明とするには疑問とされていたが、この疑問により、近代に至ってこの公準が成立しないとする幾何学である[[非ユークリッド幾何学]]の発端となる。
 
さらに公準の後に次のような公理が示される。これはあらゆる学問に共通の真理として受け入れられるものであり、研究において常に参照すべきものとされている。
 
# 同じものに等しいものは、互いに等しい
 
# 同じものに同じものを加えた場合、その合計は等しい
 
# 同じものから同じものを引いた場合、残りは等しい
 
# [不等なものに同じものを加えた場合、その合計は不等である]
 
# [同じものの2倍は、互いに等しい]
 
# [同じものの半分は、互いに等しい]
 
# 互いに重なり合うものは、互いに等しい
 
# 全体は、部分より大きい
 
# [2線分は面積を囲まない]
 
 
 
ただし[]で囲まれた公理は公理に含めないことがある。第5公理は第2公理から導かれる。また第9公理を現代的に言い換えると「異なる2点を通る直線はただ1本だけ存在する」となる。第9公理は幾何学に関するものなので、本来は公準に含められるものと考えられる。
 
 
 
== 原典と翻訳 ==
 
=== 日本語訳 ===
 
*{{Cite book|和書|others=[[山田昌邦]]訳|year=1873|month=6|title=幾何学|volume=巻之1-3|publisher=開拓使|id={{NDLJP|828426}}|ref=山田1873}} - 第1巻の英訳の邦訳。
 
*{{Cite book|和書|author=[[エドワード・ワレン・クラーク|格拉克(クラーク)]]述|others=[[山本正至]]・[[川北朝鄰]]訳|year=1875-1878|volume=7冊(首巻、1-6巻)|title=幾何学原礎|publisher=文林堂|id={{NDLJP|828479}}|ref=クラーク1875-1878}} - 格拉克(クラーク)が[[静岡学問所]]で英語で口述した第1-6巻の邦訳。演習問題が追加されている。
 
*{{Cite book|和書|author=アイザック・トドハンター|authorlink=アイザック・トドハンター|others=[[長澤龜之助]]訳、[[川北朝鄰]]閲|origyear=1862|year=1884|month=10|title=宥克立(ユークリッド)|publisher=東京数理書院|id={{NDLJP|828946}}|ref=トドハンター1884}} - I. Todhunter, ''Elements of Euclid'' (1862)の邦訳。
 
*{{Cite book|和書|editor=[[ヨハン・ルードウィッヒ・ハイベア|ハイベア]]・[[ハインリッヒ・メンゲ|メンゲ]]編|others=[[中村幸四郎]]・[[寺阪英孝]]・[[伊東俊太郎]]・[[池田美恵]]訳・解説|title=ユークリッド原論|publisher=[[共立出版]]|ref=共立版}} - 全13巻の最初の邦訳。
 
** (ハードカバー)1971年7月。ISBN 4-320-01072-8
 
***(抜粋)『世界の名著9』 池田美恵訳 [[中央公論社]] 1972年
 
** (縮刷版)1996年6月。ISBN 4-320-01513-4
 
** (追補版)2011年5月。ISBN 978-4-320-01965-2
 
*{{Cite book|和書|editor=[[ヨハン・ルードウィッヒ・ハイベア|ハイベア]]・[[ハインリッヒ・メンゲ|メンゲ]]編|title=エウクレイデス全集|volume=(全5巻)|publisher=[[東京大学出版会]]|ref=東大版}} - 「エウクレイデス全集」の世界初の近代語訳。
 
** 第1巻 原論I‐VI、[[斎藤憲]]・[[三浦伸夫]]訳・解説、2008年1月。ISBN 978-4-13-065301-5
 
** 第2巻 原論VII-X、斎藤憲 訳・解説、2015年8月。ISBN 978-4-13-065302-2
 
** 第4巻 デドメナ/オプティカ/カトプトリカ、斎藤憲・[[高橋憲一]]訳・解説、2010年5月。ISBN 978-4-13-065304-6
 
 
 
=== 英訳 ===
 
*{{Cite book|author=Euclid|authorlink=ユークリッド|others={{仮リンク|トーマス・L・ヒース|en|Thomas Little Heath}}|year=1956|title=The Thirteen Books of the Elements|volume=Vol. 1 (Books I and II), Vol. 2 (Books III-IX), Vol. 3 (Books X-XIII)|publisher=Dover Publications|id=ISBN 0-486-60088-2 ISBN 0-486-60089-0 ISBN 0-486-60090-4|url=http://www.perseus.tufts.edu/hopper/text?doc=Euc.+1&redirect=true|ref=Heath1956}}- [http://books.google.com/books?id=UhgPAAAAIAAJ vol. 1], [http://books.google.com/books?id=lxkPAAAAIAAJ vol. 2], [http://books.google.com/books?id=xhkPAAAAIAAJ vol. 3], [http://books.google.com/books?id=KHMDAAAAYAAJ vol. 3 c. 2]
 
 
 
=== 原典 ===
 
*{{Cite book|editor={{仮リンク|ヨハン・ルードウィッヒ・ハイベア|en|Johan Ludvig Heiberg (historian)}}; {{仮リンク|ハインリッヒ・メンゲ|en|Heinrich Menge}}|year=1883-1916|title=Euclidis Opera Omnia|volume=8 vols. & 1 suppl.|publisher=Teubner|location=Leipzig|url=http://www.wilbourhall.org/index.html#euclid|ref=Heiberg&Menge1883-1916}} - ギリシア語の原典とそのラテン語訳。全8巻+補遺1巻から成る。
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{脚注ヘルプ}}
 
{{reflist|2}}
 
 
 
== 参考文献 ==
 
*{{Cite book|和書|author=[[ベノ・アルトマン]]|others=[[大矢建正]]訳|year=2002|month=11|title=数学の創造者 ユークリッド原論の数学|publisher=[[シュプリンガー・ジャパン]]|isbn=4-431-70969-X|ref=アルトマン2002a}}
 
**{{Cite book|和書|author=ベノ・アルトマン|others=大矢建正訳|year=2002|month=11|title=数学の創造者 ユークリッド原論の数学|publisher=[[丸善出版]]|isbn=978-4-621-06450-4|ref=アルトマン2002b}}
 
*{{Cite book|和書|author=[[斎藤憲]]|year=1997|month=6|title=ユークリッド『原論』の成立 古代の伝承と現代の神話|publisher=[[東京大学出版会]]|isbn=4-13-061301-4|ref=斎藤1997}}
 
**{{Cite book|和書|author=斎藤憲|year=2008|month=9|title=ユークリッド『原論』とは何か 二千年読みつがれた数学の古典|series=[[岩波科学ライブラリー]]148|publisher=[[岩波書店]]|isbn=978-4-00-007488-9|ref=斎藤2008}}
 
*{{Cite book|和書|author=[[ロビン・ハーツホーン|R.ハーツホーン]]|others=[[難波誠]]訳|year=2007|month=10|title=幾何学I 現代数学から見たユークリッド原論|publisher=シュプリンガー・ジャパン|isbn=978-4-431-10004-1|ref=ハーツホーン2007a}}
 
**{{Cite book|和書|author=R.ハーツホーン|others=難波誠訳|year=2007|month=10|title=幾何学I 現代数学から見たユークリッド原論|publisher=丸善出版|isbn=978-4-621-06236-4|ref=ハーツホーン2007b}}
 
**{{Cite book|和書|author=R.ハーツホーン|others=難波誠訳|year=2008|month=2|title=幾何学II 現代数学から見たユークリッド原論|publisher=シュプリンガー・ジャパン|isbn=978-4-431-10005-8|ref=ハーツホーン2008a}}
 
**{{Cite book|和書|author=R.ハーツホーン|others=難波誠訳|year=2008|month=2|title=幾何学II 現代数学から見たユークリッド原論|publisher=丸善出版|isbn=978-4-621-06312-5|ref=ハーツホーン2008b}}
 
 
 
== 関連項目 ==
 
{{Div col}}
 
*[[アルキメデス|シラクサのアルキメデス]]
 
*[[クラウディオス・プトレマイオス]]
 
*[[バースのアデラード]]
 
*[[ペルガのアポロニウス]]
 
*[[プロクロス]]
 
*[[マテオ・リッチ]]
 
*[[徐光啓]]
 
{{Div col end}}
 
 
 
== 外部リンク ==
 
{{wikisourcelang|el|Στοιχεῖα}}
 
{{wikisourcelang|en|The Elements of Euclid}}
 
{{commonscat|Elements of Euclid}}
 
* [http://mis.edu.yamaguchi-u.ac.jp/kyoukan/watanabe/elements/hyoushi/ ユークリッド原論(試案)] - [[山口大学]] [[渡邉正]]研究室
 
* [http://www.rimath.saitama-u.ac.jp/lab.jp/fsakai/he.html ユークリッドの原論] - [[埼玉大学]] [[酒井文雄]]研究室
 
*{{MathWorld|title=Elements|urlname=Elements}}
 
*{{MathWorld|title=Euclid's Postulates|urlname=EuclidsPostulates}}
 
* [http://www.lulu.com/content/829379 Euclid's Elements(in Ancient Greek) -- free download]
 
* 古代ギリシャ語とラテン語訳のテキスト:[http://www.wilbourhall.org/index.html#euclid ハイベア・メンゲ編纂の『エウクレイデス全集』のPDFスキャン(パブリック・ドメイン)]
 
{{エウクレイデス}}
 
 
 
{{デフォルトソート:ゆうくりつとけんろん}}
 
[[Category:古代ギリシアの書籍]]
 
[[Category:公理]]
 
[[Category:幾何学]]
 
[[Category:数論]]
 
[[Category:数学書]]
 
[[Category:科学史]]
 
[[Category:数学に関する記事]]
 

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