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{{出典の明記|date=2015年7月21日 (火) 04:19 (UTC)}}
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'''マソラ本文'''(マソラほんもん、{{lang-en-short|Masoretic Text}}
'''マソラ本文'''(マソラほんもん、{{lang-en-short|Masoretic Text}})とは、[[ユダヤ教]]社会に伝承されてきた[[ヘブライ語聖書]]のテキストをいう。ユダヤ教の成立以後にそれぞれの時代ごとにソーフェリーム、タンナイーム、アモライーム、マソラ学者などと呼ばれる宗教的指導者であり宗教学者でもあるグループがさまざまな編集を加えたものである。ヘブライ語のマソラ (מסורה) とは伝統の伝達のことを示す語である。
 
[[Image:2nd century Hebrew decalogue.jpg|right|250px|thumb|'''ヘブライ語で書かれた2世紀のマソラ本文''' 1902年にW.L.ナッシュがエジプトで発見したため「ナッシュ・パピルス」と呼ばれている。十戒などが記述されている。]]
 
==評価==
 
ユダヤ教では、古くなり使えなくなった写本は必ず[[ゲニザ]]([[:en:Genizah]])に収容され、その後手続きを踏んで廃棄される(焼かれる)ため、古い時代の写本は存在しない。しかしながらその写本は「決して記憶に頼って書いてはならず、必ず元となる写本を見てから書かなければいけない。」といったことを初めとするユダヤ教で定められた非常に多くの厳格なルールに則って作成されているために、古い時代の本文をよく保存していると考えられている。そのことは[[死海文書]]等に残されている古い時期の写本と内容を照合してもほとんど内容が変わっていないことからも確認できる。そのため、現在伝わっているヘブライ語聖書のテキストの中では最も原型をよく伝えていると考えられている。そのため現在ヘブライ語聖書の学術的な校訂本を作成するときは基本的にこのマソラ本文をもとにしている。
 
==含まれる文書の範囲・数・配列==
 
===含まれる文書の範囲===
 
[[ヤムニア会議]]で決定したとされる。キリスト教でいう[[外典]]([[第二正典]])は含まれない。
 
  
===含まれる文書の数===
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ユダヤ教社会に古くから伝承されてきたヘブライ語聖書の本文。マソラと呼ばれる伝承者により継承される。現代のヘブライ語聖書の学術的校訂本の底本には、パレスティナのティベリアを本拠地としたマソラの家系、ベン・アシェル家による本文(ベン・アシェル本文)の質の高い写本である「アレッポ写本」(10世紀ごろ)、「レニングラード写本」(11世紀ごろ)が主に用いられる。
全部で22の文書が含まれる。現代のキリスト教では通常含まれる文書の数を39としているが、含まれる文書の範囲は同じである。他に24、27とするものもある。この数の違いは、サムエル記、列王記、歴代誌の上下それぞれが1巻と数えられること、エズラ記とネヘミヤ記が併せて1巻と数えられること、十二小預言書が1巻と数えられること、ルツ記が士師記に含まれること、哀歌がエレミヤ書に含まれることなどによる。
 
 
 
===マソラ本文での各文書の配列===
 
マソラ本文ではそれぞれの文書は次のような順序で配置されている。ある学説ではこの順序は聖典として認められた順序を反映しているとされるが、確実な証拠があるわけではない。
 
*[[律法]](トーラー)
 
*:[[創世記]]、[[出エジプト記]]、[[レビ記]]、[[民数記]]、[[申命記]]
 
*[[預言者]](ネビーイーム)
 
**前の預言者
 
*:[[ヨシュア記]]、[[士師記]]、[[サムエル記]]、[[列王記]]
 
**後の預言者
 
*:[[イザヤ書]]、[[エレミヤ書]]、[[エゼキエル書]]
 
***小預言書(十二小預言書)
 
*:[[ホセア書]]、[[ヨエル書]]、[[アモス書]]、[[オバデヤ書]]、[[ヨナ書]]、[[ミカ書]]、[[ナホム書]]、[[ハバクク書]]、[[ゼファニヤ書]]、[[ハガイ書]]、[[ゼカリヤ書]]、[[マラキ書]]
 
*[[諸書]](ケスービーム)
 
**[[真理]](エメス)
 
*:[[詩篇]]、[[ヨブ記]]、[[箴言]]
 
**[[巻物]](メギロース)
 
*:[[雅歌]]、[[ルツ記]]、[[哀歌]]
 
*:[[コヘレトの言葉]]、[[エステル記]]、[[ダニエル書]]、([[エズラ記]]+[[ネヘミヤ記]])、[[歴代誌]]
 
 
 
==マソラ本文に見られる特有の現象==
 
マソラ本文にはさまざまな特有の現象が見られる。マソラ本文はこのような現象も忠実に伝承している。理由がある程度推測できるものもあるが、なぜそのようにするのか理由のはっきりしないものも多い。写本を作成するときにはこれらもすべて同じように写し取ることとされている。
 
*異常な文字
 
*:決まった場所で特別な書き方をする文字がいくつかある。
 
**大きすぎる文字
 
*:特定の箇所で特別大きく書く文字。[[創世記]]の初めの文字、[[歴代誌]]のはじめの文字、律法全体のちょうど真ん中にあるとされる文字など。
 
**小さすぎる文字
 
*:特定の箇所で特別小さく書く文字。その文字がある本文と無い本文の両方を保存しようとした工夫の跡ではないかとされる。
 
**つり上がった文字
 
*:特定の箇所で通常より上の位置に書く文字。小さすぎる文字と同様にその文字がある本文と無い本文の両方を保存しようとした工夫の跡ではないかとされる。
 
**ちぎれた文字
 
**逆転した文字
 
**閉じたメム、開いたメム(注:メム [''mem''] は/m/の音価を持つ[[ヘブライ文字]])
 
 
 
*点
 
:いくつかの特定の箇所で文字の上に点を打ってある。古代の写本の中に訂正の意味で文字の上に点を打った事例があるため、この場合も、訂正の痕跡ではないかとする説がある。
 
*[[空白]](ビスカー)
 
*分離符
 
:縦に書かれた線である。写本を作成する途中で、「ここまで写し終えた」という意味で付けられた印をそのまま受け継がれたものではないかとされている。
 
 
 
*区分
 
**節区分
 
**段落区分
 
 
 
*ケリーとケティーブ{{enlink|Qere and Ketiv}}
 
:本文と異なった単語や文を欄外に書いて「書かれていないが読め」として欄外の注記にある本文を読ませようとするものである。[[永遠のケリー]]といったものもある。
 
*写本家(ソーフェリーム)の訂正、写本家の省略
 
 
 
*[[母音]]記号
 
:本来のヘブライ語には母音を表す文字は存在しない。しかしそれでは読み方がわからなくなるため、後になって母音を表す記号が考え出された。[[ティベリア]]方式によるもの([[ヘブライ語のティベリア式発音|ティベリア式発音]])と[[バビロニア]]方式によるもの{{enlink|Babylonian vocalization}}とがある。
 
*[[アクセント記号]]
 
 
 
*マソラ
 
*:聖書本文の周囲に書かれた注釈のことをいう。大マソラ、小マソラ、縁のマソラなどに分かれている。ある書が全体で何文字あるか、あるいは全体でいくつの単語があるのか。ある単語は全部でいくつあるか。ある書の真ん中の文字はどれになるのか。そのほか写し間違いが起きやすい箇所への注記などを含んでいる。
 
 
 
==参考資料==
 
*「旧約聖書の本文研究――「ビブリア・ヘブライカ」入門」[[日本基督教団]]出版局、1997年(原書1952年、初版1988年第5版)
 
*[[左近淑]]「旧約聖書緒論講義」[[教文館]]、1998年  ISBN 4764226073
 
*[[榊原康夫]]「旧約聖書の生い立ちと成立 増補改訂版」1994年10月25日 [[いのちのことば社]] ISBN 4-264-01501-4
 
*榊原康夫「旧約聖書の写本と翻訳」2000年10月1日 いのちのことば社 ISBN 4-264-01875-7
 
  
 
==著名な写本==
 
==著名な写本==
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* [[アレッポ写本]]
 
* [[アレッポ写本]]
 
* [[預言者写本]]
 
* [[預言者写本]]
 
==外部リンク==
 
{{commonscat|Masoretic works}}
 
*[http://dtime.jp/bible DT Wokrs]BHS本文
 
*[http://www.sacred-texts.com/bib/tan/index.htm レニングラード写本 ヘブライ語旧約原典]
 
{{christ-stub}}
 
  
 
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[[Category:旧約聖書]]
 
[[Category:旧約聖書]]

2018/10/2/ (火) 21:56時点における最新版

マソラ本文(マソラほんもん、: Masoretic Text

ユダヤ教社会に古くから伝承されてきたヘブライ語聖書の本文。マソラと呼ばれる伝承者により継承される。現代のヘブライ語聖書の学術的校訂本の底本には、パレスティナのティベリアを本拠地としたマソラの家系、ベン・アシェル家による本文(ベン・アシェル本文)の質の高い写本である「アレッポ写本」(10世紀ごろ)、「レニングラード写本」(11世紀ごろ)が主に用いられる。

著名な写本




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