ペンドリーノ

提供: miniwiki
2018/9/22/ (土) 23:11時点におけるAdmin (トーク | 投稿記録)による版 (1版 をインポートしました)
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
移動先:案内検索

ペンドリーノ(Pendolino)とはイタリア高速列車のうち車体傾斜式電車による列車を指す通称。イタリア語振り子を意味するpendoloの派生語。

概要

イタリアでは1978年欧州初の高速新線がミラノフィレンツェ間の一部区間で部分開業を迎えた。1983年には250km/h運転を実現している。しかし、その後の整備でフランスドイツに後れを取り、全線が開業したのは1992年になってからである。

開発はイタリアの自動車メーカーとして有名なフィアット社の鉄道車輌部門(現在フランスのアルストム社と統合されている)である。山岳国ゆえ線形の悪い線区が多く、古くから車体傾斜式車両の開発に熱心だった国である[1]。1957年と1967年には車体傾斜式車両の試作車2種類が製作され、1971年には、後のペンドリーノの原型となる試作車Y-0160がフィアット社により完成された[2]。フィアットの元からの技術に加え、イギリス国鉄1970年代に開発したAPT370形の技術も購入して、1975年には初めて営業投入されるETR401が完成した[3]

在来線区間のスピードアップを果たすには曲線通過速度の向上が不可欠と言えるが、日本で実用化された台車の揺れ枕に組み込んだコロ装置による自然振り子方式ではなく、油圧シリンダーで車体そのものを8°前後傾斜させる強制車体傾斜式を採用しているのが特徴である。また、国内の高速新線ディレッティシマ、Direttissima)では最高速度250km/hでの走行も可能で、イタリア国内に一大ネットワークを構築した。高速新線ディレッティシマ)の走行も考慮されているが、高速新線でない在来線でも、安価に高速化を実現できるため、イタリア以外にも多くの国、主に高速新線を建設するほどの需要や経済的余裕がない国に輸出されている。現在はかつて370形が試験走行したイギリス西海岸本線にもペンドリーノの技術を採用した390形「ペンドリーノ・ブリタニコ」が導入されている。

その後、欧州各国でも採用され、在来線の高速化に大きく貢献している。

イタリア国内用車両

  • ETR4501988年に営業投入された初の車体傾斜車両。9両編成の動力分散式電車)で、直流専用
  • ETR4601994年に登場した第2世代。ETR450同様に、9両編成の動力分散式で直流専用電車だが、電動車の比率が減り、車体の幅が広くなり、定員も増加した。デザインジョルジェット・ジウジアーロによる。
  • ETR470(CIS:Cisalpino) : 1996年に登場。イタリア国内からスイス・ドイツへ乗り入れするチザルピーノに運用され、アルプス越えに対応するETR460の派生型で、交直流電車。当初は各国の国鉄またはその民営化された鉄道会社ではなく、チザルピーノ社(CIS)が保有していたが、現在ではスイス、イタリア両国での保有となっている。このほか、塗装もETR450・460・480の赤と白を基調とするものではなく、白と青を基調とする別のもので、在来線のみでの運用が前提のため、最高速度も200km/hに抑えられている。
  • ETR480 : ETR460がフランスへの乗り入れのため、電源方式が交直流対応になった形式。ETR470とは異なり、高速新線を走行することが前提の車両。ETR460と外観の違いはほとんどない。
    • 2006年、ETR460/ETR470の後継の第四世代のペンドリーノ車輌が落成した。中国での在来線高速化プロジェクトでアルストム社が納入するのもこのタイプである。
  • ETR600 : イタリア国内専用の第四世代ペンドリーノ。直流3000Vと交流25kV50Hzに対応。信号システムはERTMS(欧州共通信号システム)とSCMT(イタリア国内の信号システム)に対応。7両編成で最高速度250km/h。供食設備はビストロ車。
  • ETR610 : チザルピーノ社向けの第四世代ペンドリーノ。直流3000Vと交流25kV50Hzのほか、スイス・ドイツ・オーストリアに直通するため、交流15kV 16.7Hzにも対応。信号システムはERTMS・SCMTのほか、スイスZUB・SIGNUMとドイツLZB・PZBに対応。7両編成で最高速度250km/h。オーストリア直通の準備工事も行われている。供食設備は食堂車(18席)。

イタリア国外への輸出

フィンランド

ポルトガル

スペイン

スロベニア

イギリス

チェコ

今後の予定など

その他、ポーランドおよびルーマニアでの導入の動きがある。必ずしも高速新線を必要とせずに、安価に高速化が図れることから、今後も勢力を拡大するものと思われる。

関連項目

脚注

外部リンク


テンプレート:イタリアの高速鉄道