ブンタン

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ブンタン文旦学名Citrus maxima Merr.)は、柑橘類の一種である。標準和名はザボン(朱欒、香欒、謝文)。ボンタンジャボンとも呼ばれる。

名称

原生地は東南アジア中国南部・台湾などであり、日本には江戸時代初期に渡来した。漢字をそのままに音読みしているが、本品の貿易船主である謝文旦という人名の潮州語読み(ジアブンタン、zia bhungdang)に因む。果肉が淡い黄色の品種(白欒)を文旦(ブンタン)、果肉が赤い品種(朱欒)を謝文(ジアブン)と呼び分けたとも言われる。ザボンは第二次世界大戦前にはジャボンと呼ばれるのが一般的で、ジアブン、ジャボン、ザボンと変化したと考えられる。なお現代の中国語では一般に「柚子」と呼ぶ(ユズは「香橙」と呼ぶ)。

日本伝来の地は鹿児島県阿久根市とされ、生産量も多いことなどから1971年に市の木に制定されている[1]

特徴

ブンタンの樹は3メートルほどまでに育ち、その果実は品種により直径15から25センチメートル、重さ500グラムから2キログラムまで様々な大きさに育つ。果実は皮の厚さが特徴で大きさの50%程度を占める程であり、果肉は果汁が少ないが独特の甘みと風味を持つ。なお果実の収穫は年末頃に行われることが多いが、採取したては酸味が強すぎるので、数ヶ月間貯蔵して酸味を減らした後に出荷される。

ブンタンは自然交雑により色々な品種を生み出しており、グレープフルーツナツミカンハッサクなどはブンタンの血を引いている。ブンタンそのものも品種が多く、西日本(特に高知熊本鹿児島)では色々なブンタンが栽培されている。高知では「ウチムラサキ(ウチムラ)」(内紫)と呼ばれる果皮の内側が薄紫のブンタンに似た柑橘類があるが、実は水分に乏しくパサパサしており、味もブンタンに劣る。この「ウチムラサキ」は文旦の原種と言われている。

日本における2010年の収穫量は9,719トンであり、そのうち約90%が高知県において生産されている[2]

利用

果実は生食の他、ベトナムカンボジアタイ王国では果肉を和え物の素材とする。

加工食品の原料としても用いられ、皮や果肉を用いた砂糖漬け(ザボン漬け文旦漬け)、マーマレードボンタンアメなどは有名。近年、香港で流行しているデザート楊枝甘露は、マンゴーと沙田柚を主原料にして作られる。

果皮にはナリンギンなどのフラボノイドリモネンβ-ミルセンが多く含まれ、中国に於いて、光七爪、光五爪などと称し、生薬としても利用される。特に、化州柚の果皮は毛橘紅と呼ばれる。いずれも、皮の内側を剥ぎ、乾燥させた上で、咳止めなどの喉の薬、食欲不振の改善などに用いられる。

外皮にはシトラールリモネンリナロールなど柑橘類に共通の揮発成分を含む他、特異的な香気成分としてノートカトンを含む。ノートカトンは、グレープフルーツナツミカン等のブンタンからの交雑種にのみ含まれる成分である。皮には他にサンショウと同じく、にしびれを感じさせる(局所麻酔性)辛味成分サンショオールも含んでいる。

主なブンタンの種類

  • 阿久根文旦(本田文旦)
  • 安政柑 - 日本原産で晩白柚に次いで大きい柑橘類
  • 麻豆文旦
  • 河内晩柑 - 「美生柑」ほか別名多数
  • 土佐文旦(法元文旦)
  • 大橘
  • 平戸文旦
  • 江上文旦
  • 晩王柑
  • 晩白柚(ばんぺいゆ) - 柑橘類で最大の果実
  • 獅子柚 - 大柚や鬼柚などとも呼ばれ大型の柚子と間違えられがちだが、実は文旦類である。
  • 大橘(パール柑) - 文旦の一種で表面が滑らかなのが特徴。熊本県では「パール柑」[3]、鹿児島県では「サワーポメロ」という名称が使われている[4]
  • チャンドラポメロ - ポメロは文旦の意
  • 沙田柚 - 中国広西容県産で、華南で一般的
  • 化州柚 - 中国で生薬の毛橘紅として利用
  • 水晶文旦
  • 紅まどか - 1993年に登録された新品種、食味がよく耐寒性があるのが特徴
  • 高岡文旦 - 果重が500グラム程度で、果汁が豊富。甘味と酸味のバランスがよく、まろやかな味が特長。町民の公募により名前が決められ、「太陽と緑の宮崎原産“高岡文旦”素朴で日向おとめの味」のキャッチコピーが作られた[5][6]

脚注

  1. 阿久根市 観光・特産品(ボンタン)”. 阿久根市. . 2012閲覧.
  2. 農林水産省特産果樹生産動態等調査 2013年7月23日閲覧
  3. 大橘(パール柑)(Pearlkan)”. 熊本県地産・地消サイト. 熊本県. . 2015閲覧.
  4. サワーポメロ”. 花・果樹. 鹿児島県. . 2014閲覧.
  5. 高岡文旦”. みやざきの味と花101. 宮崎県. . 2014閲覧.
  6. 高岡文旦”. 宮崎中央青果株式会社. . 2014閲覧.

関連項目