「ヒ化ガリウム」の版間の差分

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'''ヒ化ガリウム'''(ヒかガリウム、gallium arsenide)は[[ガリウム]]の[[ヒ化物]]であり、[[組成式]]はGaAsである。[[化合物]][[半導体]]であるため、その性質を利用して[[半導体素子]]の材料として多用されている。半導体分野では'''ガリウムヒ素'''(ガリウム砒素)という{{要出典|date=2018年6月|俗称}}<ref>{{Cite web |url=http://ci.nii.ac.jp/|title=CiNii Articles - 日本の論文をさがす - 国立情報学研究所 |accessdate=2013-02-04}}該サイトの論文検索(全文)では「ガリウムヒ素」が283件、「ヒ化ガリウム」が52件である。</ref>、さらにはそれを短縮した'''ガリヒ素'''という呼称で呼ばれることも多い。
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'''ヒ化ガリウム'''(ヒかガリウム、gallium arsenide)
 
 
== 性質 ==
 
銀色の金属状化合物で、常温で安定な[[結晶構造]]は[[閃亜鉛鉱]]型([[結晶構造#主な結晶構造|ジンクブレンド型]])構造をとる。[[式量]]は144.64、[[融点]]1511 K、[[比重]]は5.310である。[[ヒ素]]化合物だが単独での毒性は弱い。しかし[[酸]]や水蒸気と反応し、有毒な[[アルシン]]を生成する。半導体材料としての性質は、1.43 [[電子ボルト|eV]] の[[バンドギャップ]]を持つ[[III-V族半導体]]であり、[[電子移動度]]は 0.85 m<sup>2</sup>/(V s)、[[ホール]]移動度は 0.04 m<sup>2</sup>/(V s) である。
 
 
 
== 特徴 ==
 
一般的な半導体材料である[[シリコン]]よりも電子移動度が高く、アン[[ドープ]]基板の抵抗率が非常に高い([[シート抵抗]]値が数 MΩ)ことから、[[半絶縁性基板]]と呼ばれる。
 
高い抵抗率によって基板への[[リーク電流]]や[[寄生容量]]を抑えることができ、現在の[[SOI]]技術による[[電界効果トランジスタ|FET]]と同様の性質を持つ。
 
このような性質から、応答が速く消費電力の少ない[[半導体素子]]の製造に適した材料となっている。一方で、絶縁性の元となっているミッドギャップ近傍の[[準位]]が[[時定数]]を増大させる結果となっているため(数ms~数s)、不安定動作の原因となっている。
 
 
 
== 用途 ==
 
前述の利点を生かして、[[ヘテロ接合_(半導体)|ヘテロ構造]]を使用した、[[高電子移動度トランジスタ|HEMT]]や[[HBT]]等の高速通信用の半導体素子の材料として多用されている。
 
また、[[直接遷移]]形の材料であるため赤色・赤外光の[[発光ダイオード]]に広く用いられており、[[半導体レーザー]]にも使用されている。
 
 
 
== 毒性 ==
 
ヒ化ガリウムは[[IARC発がん性リスク一覧]]でGroup1に分類されており、発ガン性が指摘されている。このため、ヒ化ガリウムを含有する半導体を廃棄する際には適切な処理が求められる。特に一般ゴミに混入しないよう細心の注意が必要である。
 
また粉砕や破砕などを行なうと粉塵を吸い込む危険性がある。
 
  
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化学式は GaAs。ガリウムヒ素ともいう。周期律表の第 III族元素のガリウム Ga と第V族元素のヒ素 As との金属間化合物で半導体。閃亜鉛鉱型構造の結晶格子 (格子定数 <i>a</i>=5.653Å ) をもち,融点 1238℃,比重 5.307,禁制帯幅 1.37eV ,電子の移動度 8500cm<sup>2</sup>/Vs ,正孔の移動度 420cm<sup>2</sup>/Vs 。半導体としてシリコンやゲルマニウムに比べて電子の移動度が著しく大きいため,直列抵抗と電子走行時間の小さいことが要求される高周波用トランジスタやダイオードの材料に適しており,禁制帯幅がシリコン,ゲルマニウムより大きいため,はるかに高温度まで半導体として使用できる。また,直接遷移型のエネルギー帯構造をもつため,電子と正孔の再結合による発光の効率が高く,発光ダイオードや半導体レーザーの材料に適し,伝導帯に約 0.36eV 離れた2つの谷 (エネルギーの極小点) があり,エネルギーの低い谷に比べてエネルギーの高い谷での電子移動度が非常に小さいため,2つの伝導帯谷間の電子遷移によって負性抵抗,いわゆるガン効果が生じる。これらの GaAs の特長を利用したショットキー・バリア・ダイオード,可変容量ダイオード,発光ダイオード,半導体レーザー,ガン効果ダイオードが次々と実用化されている。
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== 脚注 ==
 
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== 関連項目 ==
 
* [[III-V族半導体]]
 
* [[化合物半導体]]
 
  
 
{{ガリウムの化合物}}
 
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[[Category:半導体材料]]
 
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2018/9/30/ (日) 12:21時点における最新版


ヒ化ガリウム(ヒかガリウム、gallium arsenide)

化学式は GaAs。ガリウムヒ素ともいう。周期律表の第 III族元素のガリウム Ga と第V族元素のヒ素 As との金属間化合物で半導体。閃亜鉛鉱型構造の結晶格子 (格子定数 a=5.653Å ) をもち,融点 1238℃,比重 5.307,禁制帯幅 1.37eV ,電子の移動度 8500cm2/Vs ,正孔の移動度 420cm2/Vs 。半導体としてシリコンやゲルマニウムに比べて電子の移動度が著しく大きいため,直列抵抗と電子走行時間の小さいことが要求される高周波用トランジスタやダイオードの材料に適しており,禁制帯幅がシリコン,ゲルマニウムより大きいため,はるかに高温度まで半導体として使用できる。また,直接遷移型のエネルギー帯構造をもつため,電子と正孔の再結合による発光の効率が高く,発光ダイオードや半導体レーザーの材料に適し,伝導帯に約 0.36eV 離れた2つの谷 (エネルギーの極小点) があり,エネルギーの低い谷に比べてエネルギーの高い谷での電子移動度が非常に小さいため,2つの伝導帯谷間の電子遷移によって負性抵抗,いわゆるガン効果が生じる。これらの GaAs の特長を利用したショットキー・バリア・ダイオード,可変容量ダイオード,発光ダイオード,半導体レーザー,ガン効果ダイオードが次々と実用化されている。

脚注




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