ナウト
ナウト(英: Nauto, Inc.)は、アメリカカリフォルニア州パロアルトに本社を置く画像認識技術と人工知能アルゴリズムを開発するスタートアップである。自動運転車の開発には莫大な走行データや事故原因の蓄積が必要となるが走行データを収集する有効な方法の1つとしてゼネラルモーターズ、トヨタ自動車、BMWといった自動車メーカーやAndroid OSの生みの親アンディ・ルービンが率いるPlayground Globalから注目され出資を受けている。[1]
概要
ナウトは運輸事業者を想定した法人向けAI搭載通信ドライブレコーダーを開発している。このドライブレコーダーは後付式でどのような車にも簡単に取り付けでき、LTE通信機能を保有する。カメラは前方と後方2つ搭載されており外部とドライバーの様子も同時に監視して通信ネットワークを介してクラウドサーバーに走行情報や事故原因を送信。ディープラーニングとコンピュータビジョン技術を用いてクラウド上で解析しデータとして蓄積している。[2]
また、このドライブレコーダーは内部にGPUを搭載しており、クラウドに送信せずデバイス内部のみで車内と車外の映像を分析して危険判断を行うことができる。危険と判断された場合、運転手に警告アラートを出すことで事故の予防や運行管理にも活用でき、アメリカのタクシーでは事故が2割軽減したと紹介されている。[3]例えば事故予防では運転手が運転中にスマートフォンを操作したり対向車や歩行者との事故リスクがあると通知し、運行管理では顔認識機能を用いて飲酒運転、居眠り運転、脇見運転、煽り運転を検知し運転手へ警告。勤務中の運転手ごとの運転リスク情報を蓄積することで雇用主は高リスクドライバーの特定を行うことができる。[4]
2018年8月より日本国内でも提供が開始された。オリックス自動車では1台あたり1万3,000円の初期費用と月額利用額5,500円で提供している。
沿革
- 2015年3月3日 - Stefan HeckとFrederick Sooにより設立
- 2016年4月13日 シリーズAラウンドでPlayground Global、Draper Nexus Venturesなどから1200万ドル調達[5]
- 2016年10月7日 - シリーズAラウンドでAllianz X、Toyota AI Ventures、BMW iVenturesなどから資金調達[6]
- 2017年7月19日 - シリーズBラウンドでソフトバンク・ビジョン・ファンド、General Motors Ventures、Toyota AI Ventures、BMW i Venturesなどから1億5900万ドル調達[7]
- 2018年8月6日 - オリックス自動車がNauto製ドライブレコーダーの日本国内提供開始[8]
出典
- ↑ “走行データ企業「ナウト(Nauto)」とは?トヨタやBMWらがこぞって出資するワケ”. ビジネス+IT (2018年4月3日). . 2018閲覧.
- ↑ “ソフトバンクが運転支援デバイスのNautoに出資――調達総額は180億円”. techcrunch (2017年7月20日). . 2018閲覧.
- ↑ “人工知能をもつドラレコの可能性とは…Nauto Japan 井田哲郎 代表【インタビュー】”. response (2017年12月18日). . 2018閲覧.
- ↑ “Nauto CEO ステファン・ヘック氏の事業戦略説明会リポート。AIによる自動運転で「交通事故回避に3000億km分の走行データが必要」”. Car Watch (2018年1月19日). . 2018閲覧.
- ↑ “グーグル元幹部A・ルービン氏の企業、Nautoに出資--自動車向けデータサービス企業”. cnet (2016年4月14日). . 2018閲覧.
- ↑ “アンディ・ルービンが目をつけたナウト(Nauto)にトヨタとBMWが呉越同舟する理由”. wirelesswire (2016年10月12日). . 2018閲覧.
- ↑ “ソフトバンクが運転支援デバイスのNautoに出資――調達総額は180億円”. techcrunch (2017年7月20日). . 2018閲覧.
- ↑ “オリックス自動車、AI搭載通信ドライブレコーダー「Nauto」を国内法人向けに提供”. ITmedia (2018年7月20日). . 2018閲覧.