トリクロロシラン
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トリクロロシラン (trichlorosilane) は、ケイ素、塩素、水素から成る無機化合物で、分子式は HSiCl3 と表される。高温で熱分解を起こして単体ケイ素に変わる性質から、半導体工業において高純度ケイ素の主原料として利用される[1]。水と触れると速やかに分解してシリコーンのポリマーおよび塩化水素となる[1]。反応性が高く入手が容易であることから、有機ケイ素化合物の原料ともされる[1]。
製造
工業的には、トリクロロシランは塩化水素のガスを 300 ℃ でケイ素の粉末に吹き付けて製造する[1]。下式のように、トリクロロシランとともに水素が生じる[1]。
- [math]\rm Si + 3 HCl \longrightarrow HSiCl_3 + H_2[/math]
適切に設計された反応装置では、80-90% の収率でトリクロロシランが得られる。主な副生物は四塩化ケイ素 (SiCl4)、六塩化二ケイ素 (Si2Cl6)、ジクロロシラン (H2SiCl2) であり、トリクロロシランは蒸留により取り出される。この逆反応により高純度の単体ケイ素が得られる。
用途
上記のように、トリクロロシランは高純度の多結晶ケイ素の原料とされる[1]。
出典
- “An Introductory Guide to the Safe Handling of Chlorosilanes (PDF)”. Dow Corning. . 2017閲覧.
- Semiconductors: Silicon: Substrate Manufacture: Polycrystalline Silicon Production(2010年5月29日時点のアーカイブ)