トリクロロシラン

提供: miniwiki
2018/8/19/ (日) 20:47時点におけるAdmin (トーク | 投稿記録)による版 (1版 をインポートしました)
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
移動先:案内検索


トリクロロシラン (trichlorosilane) は、ケイ素塩素水素から成る無機化合物で、分子式は HSiCl3 と表される。高温で熱分解を起こして単体ケイ素に変わる性質から、半導体工業において高純度ケイ素の主原料として利用される[1]。水と触れると速やかに分解してシリコーンのポリマーおよび塩化水素となる[1]。反応性が高く入手が容易であることから、有機ケイ素化合物の原料ともされる[1]

製造

工業的には、トリクロロシランは塩化水素のガスを 300 ℃ でケイ素の粉末に吹き付けて製造する[1]。下式のように、トリクロロシランとともに水素が生じる[1]

[math]\rm Si + 3 HCl \longrightarrow HSiCl_3 + H_2[/math]

適切に設計された反応装置では、80-90% の収率でトリクロロシランが得られる。主な副生物は四塩化ケイ素 (SiCl4)、六塩化二ケイ素 (Si2Cl6)、ジクロロシラン (H2SiCl2) であり、トリクロロシランは蒸留により取り出される。この逆反応により高純度の単体ケイ素が得られる。

用途

上記のように、トリクロロシランは高純度の多結晶ケイ素の原料とされる[1]

出典

  1. 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 岩崎史哲、小田開行「トリクロロシラン」、『有機合成化学協会誌』第59巻第10号、有機合成化学協会、2001年、 1005-1007頁、 doi:10.5059/yukigoseikyokaishi.59.1005