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'''ツアーバス'''とは、日本において[[旅行代理店]]が[[貸切バス]]を借り上げて人員の輸送を行う[[企画旅行#募集型企画旅行|募集型企画旅行商品]]、又はその目的で用いられる貸切バスをいう。
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'''ツアーバス'''
  
この項目においては、バスを用いた募集型企画旅行商品のうちバスによる「旅行参加者の移動(輸送)」のみを提供するタイプのものを中心に取り上げることとし、「バスツアー」と呼ばれる、貸切バスで移動しながら観光地への入場や食事・買物等を伴う企画旅行としてパック化された商品や、バス以外の交通機関を経路の一部に組み込んだ商品については原則取り扱わない。
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日本において[[旅行代理店]]が[[貸切バス]]を借り上げて人員の輸送を行う[[企画旅行#募集型企画旅行|募集型企画旅行商品]]、又はその目的で用いられる貸切バスをいう。
  
 
== 概要 ==
 
== 概要 ==
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このため、ツアーバスにおいては、代金は「運賃」ではなく「旅行代金」として収受され、バス事業者自らが旅行代理店として募集型企画旅行の主催者(又は受託者)となるもの以外は、参加者がバス事業者に代金を直接支払う事はなく<ref group="†">道路運送法第21条では、一般貸切旅客自動車運送事業者が乗合旅客の運送を行えるのは災害時など特別な場合に限られることを定めている。</ref>、主催する旅行代理店(営業窓口、または集合場所等に駐在する証明書(外務員証)を携帯した旅行代理店の外務員{{Refnest|group="†"|旅行業法第12条の6では、旅行代理店の営業所外での取引行為を行う者に所定の外務員証の携行及び、取引時の掲示を義務づけている。外務員証については全国旅行業協会では正会員向けに統一外務員証を作成し<ref>{{cite web|url=http://www.anta.or.jp/kaiin/card/index.html|title=カード型「全旅協統一外務員証」の作成について|accessdate=2012-9-3|author=全国旅行業協会}}</ref>、日本旅行業協会では外務員証の用紙(ひな形)を頒布している<ref>{{cite web|format=PDF|url=http://www.jata-net.or.jp/membership/purchase/pdf/hanpu.pdf|title=申込書兼販売物リスト|accessdate=2012-9-6|author=日本旅行業協会}}</ref>が、国土交通省令で定める様式であれば必ずしもこれらを用いる必要はない。}})に支払うことになる。貸切バスで観光地などを巡る一般的な[[団体旅行]](バス[[パッケージツアー|ツアー]])と大きく異なる点として、貸切バス事業者の職員である[[車掌]]・[[バスガイド]]は同乗しない、また、旅行代理店の職員である[[添乗員]]も随行しない、出発から到着までの間は運送(輸送)以外の役務提供は行われない<ref group="†">「企画旅行」の体裁を満たすため、使い捨て[[おしぼり]]や[[歯ブラシ]]などの小物が配布される場合がある。</ref>。[[食事]]の提供、[[観光]]施設の入場や[[宿泊]]・休憩は旅行代金に含まれない。
 
このため、ツアーバスにおいては、代金は「運賃」ではなく「旅行代金」として収受され、バス事業者自らが旅行代理店として募集型企画旅行の主催者(又は受託者)となるもの以外は、参加者がバス事業者に代金を直接支払う事はなく<ref group="†">道路運送法第21条では、一般貸切旅客自動車運送事業者が乗合旅客の運送を行えるのは災害時など特別な場合に限られることを定めている。</ref>、主催する旅行代理店(営業窓口、または集合場所等に駐在する証明書(外務員証)を携帯した旅行代理店の外務員{{Refnest|group="†"|旅行業法第12条の6では、旅行代理店の営業所外での取引行為を行う者に所定の外務員証の携行及び、取引時の掲示を義務づけている。外務員証については全国旅行業協会では正会員向けに統一外務員証を作成し<ref>{{cite web|url=http://www.anta.or.jp/kaiin/card/index.html|title=カード型「全旅協統一外務員証」の作成について|accessdate=2012-9-3|author=全国旅行業協会}}</ref>、日本旅行業協会では外務員証の用紙(ひな形)を頒布している<ref>{{cite web|format=PDF|url=http://www.jata-net.or.jp/membership/purchase/pdf/hanpu.pdf|title=申込書兼販売物リスト|accessdate=2012-9-6|author=日本旅行業協会}}</ref>が、国土交通省令で定める様式であれば必ずしもこれらを用いる必要はない。}})に支払うことになる。貸切バスで観光地などを巡る一般的な[[団体旅行]](バス[[パッケージツアー|ツアー]])と大きく異なる点として、貸切バス事業者の職員である[[車掌]]・[[バスガイド]]は同乗しない、また、旅行代理店の職員である[[添乗員]]も随行しない、出発から到着までの間は運送(輸送)以外の役務提供は行われない<ref group="†">「企画旅行」の体裁を満たすため、使い捨て[[おしぼり]]や[[歯ブラシ]]などの小物が配布される場合がある。</ref>。[[食事]]の提供、[[観光]]施設の入場や[[宿泊]]・休憩は旅行代金に含まれない。
 
== 都市間ツアーバス ==
 
[[#ディズニーランドツアーからツアーバスの誕生へ|後述する]]2000年のバス事業に関する規制緩和以降、かつて(2013年7月まで)多く運行されていたのが、'''都市間ツアーバス'''(としかんツアーバス)あるいは'''高速ツアーバス'''(こうそくツアーバス)と称される、特定の都市(例:[[東京都]]内 - [[大阪市]]内)間を[[高速道路]]経由の夜行便(一部は昼行便)で結ぶものである。[[国土交通省]]では、高速道路([[高速自動車国道]]または[[自動車専用道路]])を経由する'''2地点間の移動のみを主たる目的とする募集型企画旅行'''として運行される貸切バスを「高速ツアーバス」と定義づけていた<ref name="def">{{cite web|format=PDF|url=http://www.mlit.go.jp/common/000215058.pdf|title=過労運転防止に係る緊急対策について|accessdate=2012-9-20}}</ref>。
 
 
利用者側から見た移動の手段としてみれば、乗合バス事業者が運行する[[高速バス]]([[路線バス]])と較べて車両の内装や価格帯に大きな違いがなく、これら高速ツアーバスを含めて「高速バス」として取り上げるものもあった<ref group="†">一例として、[[楽天トラベル]]では高速ツアーバスと高速路線バスを総合して「[http://travel.rakuten.co.jp/bus/ 高速バス予約]」として紹介しているほか、[[日経トレンディ]]でも2011年9月号掲載記事「[http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20110830/1037481/ 出張も旅行も“安くて贅沢”が常識!? 「超豪華高速バス」の正体を探る!]」で、[[弘南バス]]の「[[ラ・フォーレ号|津軽号]]」(高速路線バス)と共に[[海部観光]]・[[イルカ交通]]のツアーバスも含めて「(広義の)高速バス」として扱う事例などが見られる。</ref>。しかし、高速ツアーバスは[[道路運送法]]に基づき[[認可]]を受けた'''路線(乗合)バスではない'''ため、[[時刻表|定時運行]]や利用者個人の支払う料金([[運賃]]相当)、[[運転手]]の連続乗務時間と交代回数、車両の運用などに規定が及ばないことをはじめ、[[バスターミナル]]や[[バス停留所|バス停]]を使えない(大型バス対応の駐車場を使うか、それができない場合は路上駐車となる)、出先で点検整備を行う[[車庫]](営業所)がない場合が多い、高速道路の通行料金区分が異なる<ref group="†">高速道路の通行料金区分は、高速バスは乗合バス(路線バス)のため大型車、ツアーバスは募集型企画旅行に属する貸切バスのため特大車の区分となる。</ref>など異なる部分も多くある。
 
 
この形態による都市間バスについては、[[#ディズニーランドツアーからツアーバスの誕生へ|後述のように]]催行・運行業者や設定コースの増大に連れ、既存の乗合バス(路線バス)制度との法的な整合性を中心に、かねがね議論の的になっていたが、2012年4月29日に[[関越自動車道]]の[[藤岡ジャンクション]]付近で発生した[[関越自動車道高速バス居眠り運転事故|高速夜行ツアーバスの過労による居眠り運転事故]]を契機に、高速ツアーバスについては規制の方向に切り替えられるようになり、国土交通省・[[観光庁]]は両者の誤認を避けるために高速バス表示ガイドラインを2012年6月29日に通達し<ref>{{cite press release|url=http://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk2_000009.html|title=「高速バス表示ガイドライン」の策定|date=2012-6-29|accessdate=2012-8-29|author=国土交通省、観光庁|publisher=国土交通省}}</ref>、「高速乗合バス」と「高速ツアーバス」の別などを明示<ref group="†">主にツアーバス事業者に対して「ツアーバス(募集型企画旅行)」であることを表示させていた。乗合バスについても「高速乗合バス(路線バス)」であることを表示していた事業者も多かったが、明記していない事業者もあった。</ref>するよう指導。後に制度変更が行われ、'''2013年7月末をもって募集型企画旅行としての高速ツアーバスを運行することはできなくなった'''。これにより、業界大手の企業については、体制を整備し、2013年8月から乗合バス事業の認可を得て、[[#「新高速乗合バス」制度の施行|後述する]]「新高速乗合バス」に転換したが<ref group="†">実際には企画・催行していた旅行会社自ら乗合バス事業の許可を得てバスを保有し運行するのではなく、委託先の貸切バス事業者に乗合バス事業の許可を取得させるか(旅行会社のグループ会社の場合が多い)、合弁で運行を行う乗合バス事業者を設立した上で、企画・催行していた旅行会社は、委託先事業者が運行する路線バスとなった座席を引き続き販売し、乗車時の案内を行う形態に移行したケースがほとんどである。</ref>、「新高速乗合バス」に転換できる企業体力のない中小業者のほとんどは事業の停止・撤退を余儀なくされた。
 
 
なお、以下の項では特に注釈が無い限りは「高速バス」は高速乗合バス(主に高速道路を運行する路線バス)、「ツアーバス」は高速ツアーバス(募集型企画旅行に属する貸切バス)を指すものとする。
 
 
== 歴史 ==
 
この節においては、貸切免許による乗合運送の特別許可から募集型企画旅行商品としてのツアーバスに至る一連の歴史について扱う。
 
 
=== 帰省バスの誕生 ===
 
旅行商品の形態によるバスでの旅客輸送としては、[[お盆]]や[[年末年始]]を中心に帰省者を主な利用対象として大都市と地方都市の間で運行されていた「帰省バス」と称するものがある。
 
 
帰省バスの起源は1960年代にさかのぼる。大阪府に本拠を置く[[中央交通 (大阪府)|中央交通]]が1961年に日本で初めての帰省バスの運行を開始したと自称しており<ref>{{cite web|url=http://www.chuo-kotsu.co.jp/tc/company/inc.html|title=会社概要・沿革|author=中央交通トラベルクラブ|accessdate=2012-9-10}}</ref>、{{要出典範囲|相鉄バスでも1963年の帰省バスの風景が紹介され、|date=2012年9月11日}}[[西鉄バス]]でも1962年12月28日に福岡 - 大阪間で帰省バスの運行を開始したとしている<ref name="nishitetu-1960">{{cite web|url=http://www.nishitetsu.co.jp/corporate/history_3.htm|title=西鉄について・沿革・昭和31年~昭和40年|author=西日本鉄道|accessdate=2012-9-11}}</ref>。中には名古屋 - 鹿児島間や大阪 - 鹿児島間のように、24時間以上かけて運行するバスもあった<ref group="†">月刊『近鉄』(2017年現在、[[近畿日本鉄道]]の駅等で配布されている『近鉄ニュース』の前身)1967年1月号(第239号、近畿日本鉄道発行)、23頁によると、近畿日本鉄道が運行する大阪 - 鹿児島間は26時間を要し、名古屋近鉄バスが運行する名古屋 - 鹿児島間は所要時間の表記がないが、[[名神高速道路]]が開通していた当時の状況から、29時間程度を要していたとみられる。</ref>。
 
 
当時の帰省バスはバス事業者(主に都市部の[[大手私鉄]]や私鉄系バス事業者)が関連の旅行代理店を通じて企画して運行されることが多かった(自社の路線バスや鉄道施設に広告された)。これら帰省バスの多くは1980年代以降には高速バスの需要調査も兼ねることにつながり、[[石見銀山号]]など多客期の帰省バスの実績から定期運行に繋がった例も多い。
 
 
一例として、1980年代前半に新宿 - 飯田間で帰省バスを運行していた[[信南交通]]が挙げられる。盆期・年末年始には4台連行で運行するなど好調で、後の[[中央高速バス]]伊那・飯田線の運行開始につながった。{{要出典範囲|一時は倒産寸前とまで言われた同社が単年度黒字になるまで押し上げる要因となった好例である。|date=2012-9-5}}今日では高速路線バスの発達、高速ツアーバスの普及、法改正などにより、募集型企画旅行商品として季節(臨時)催行される、あるいは既存の路線免許を組み合わせるなどして路線認可を得た上で期間限定の高速路線バスとして運行する例<ref group="†">[[西鉄高速バス]]・[[大分バス]]の「日豊海岸 くろしお号」、[[中国ジェイアールバス]]・[[防長交通]]の「宇部・山口・広島 - 東京線」など。</ref>がある程度である。
 
 
=== スキーバスの隆盛 ===
 
スキーシーズンのスキー客の送迎を目的に大都市とスキー場との間でスキーバスが運行された。[[岩原スキー場]](新潟県)によれば、最初の夜行日帰りスキーバスは1961年に運行されたとしており<ref>{{cite web|url=http://www.iwa-ppara.com/history|title=岩原スキー場 81年の歴史|author=岩原スキー場|accessdate=2012-9-10}}</ref>、西鉄バスでも1963年12月にはスキーバスの運行を開始したとしている<ref name="nishitetu-1960"/>。
 
 
スキー場の[[ロープウェイ]]、[[チェアリフト|リフト]]や宿泊券等のバウチャーと一体化した旅行商品(当時の用語では主催旅行、現在の募集型企画旅行)として催行された。
 
 
現在では、[[バブル崩壊]]に伴うスキーを含むレジャーブームの終焉により催行が少なくなっており、2013年-2014年の冬期まで[http://www.seibutravel.co.jp/ 西武トラベル]が主催していた苗場ライナーの例を挙げる。同ツアーはスキーシーズンの毎週末に最少催行人数1名で、[[西武観光バス]]の貸切バスを使用し、[[品川プリンスホテル]]・[[サンシャインシティ#サンシャインシティプリンスホテル|サンシャインシティプリンスホテル]]等と[[苗場プリンスホテル]]間の移動手段のみを主に提供する<ref group="†">往復参加の場合に限りドリンク券を提供</ref>。私鉄系旅行代理店による企画、私鉄系路線バス事業者の貸切部門による運行、集合・解散場所は関係会社の敷地という点を除くと都市間高速ツアーバスに近い催行・運行形態であった。2014年12月からは「苗場ホワイトスノーシャトル」として季節運行の高速乗合バスに転換、[[伊豆箱根バス]]と[[西武観光バス]]が運行する。
 
 
スキーバスに類似する催行形態として、登山バスがあげられる。[[さわやか信州号]]は登山バスが路線転換した例である。
 
 
=== 会員制バスの誕生 ===
 
{{main|銀嶺バス#札幌 - 留萌間 都市間バス問題}}
 
 
1980年代初頭、[[北海道]][[稚内市]]の[[銀嶺バス#主なグループ会社|北都観光]]が、路線申請するほどの数は見込めないが<ref group="†">路線バスの場合、乗客がいなくても運行する義務があり、いわゆる「空気輸送」となってしまうこともある。</ref>、確実に需要の存在する[[札幌市|札幌]]と[[稚内市|稚内]]を結ぶ会員制バスの運行を開始したのが始まり<ref group="†">実際の運行は道北観光バス・銀嶺バスが担当した。</ref>で、1984年1月には、道内の貸切バス活性化の一環として、北海道運輸局が会員制バスの運行を充実する方針を明らかにした{{Sfn|鈴木|1989|p=183}}ことから、札幌から北海道内の各地を結ぶ会員制バスが多数設定された{{Sfn|鈴木|1989|p=183}}。しかし、路線バスの免許秩序が乱れるという理由で疑問を呈されていた{{Sfn|鈴木|1989|p=183-184}}。
 
 
この状況下で1984年5月に北都観光・銀嶺バスが札幌と留萌を結ぶ会員制バスの運行を開始し{{Sfn|鈴木|1989|p=184}}、これに対して北海道中央バスが北海道運輸局に対して北都観光の留萌線の運行を廃止させるように要請した{{Sfn|鈴木|1989|p=184}}。しかし、北都観光では「違法ではなく需要もある」と反発した{{Sfn|鈴木|1989|p=184}}。最終的に、北海道運輸局では1984年12月に、会員制定期バスに対しては当時の[[道路運送法]]24条の2(貸切免許による乗合運送の特別許可){{Refnest|group="†"|1953年に条文追加<ref>[http://hourei.hounavi.jp/seitei/hou/S28/S28HO168.php 昭和28年法律第168号 道路運送法の一部を改正する法律]</ref>。その後の道路運送法改正により、[[廃止代替バス#21条バス|21条バス]]がこれに相当する。}}を適用することとなり{{Sfn|鈴木|1989|p=184}}、それまで会員制定期バスを運行していたバス事業者に加えて沿岸バスが道路運送法24条の2に基づいて申請することとなった{{Sfn|鈴木|1989|p=184}}。
 
 
これを受けて、運輸省では1986年6月10日に通達「一般貸切旅客自動車運送事業者による乗合旅客運送の許可について」(昭和61年6月10日地自第124号、地域交通局長から各地方運輸局長等あて通達)を示し、「運行区間が乗合バス事業者の路線と全部又は一部で重複し、取扱旅客につき競合関係が生ずる場合」などの条件に該当する場合、道路運送法24条の2の適用を指導することとなった{{Sfn|制度変遷|p=7}}。
 
 
=== ディズニーランドツアーからツアーバスの誕生へ ===
 
1990年、名古屋-[[東京ディズニーランド]](TDL)間に[[ジェイティービー|日本交通公社(現在のJTB)]]によるツアーバス「パンプキンX-PRESS」が定期催行された。このツアーはTDLの団体[[東京ディズニーリゾート#チケット|パスポート]]と組み合わせる事で主催旅行を設定した。以後、各旅行会社により各地からTDLに向かうツアーが登場しているが、「パンプキンX-PRESS」を含め、往路は出発地を夜に出て翌朝現地に到着・現地解散(以後は自由行動)、復路はその日の夜に集合し、その翌朝(出発日から数えて3日目の朝)に着くのが一般的で、1日遊んで宿泊費が要らないことから学生を中心に人気が出た。
 
 
さらに2000年、「道路運送法及びタクシー業務適正化臨時措置法の一部を改正する法律」(平成12年5月26日法律第86号)が公布され、2002年2月1日に施行された。これは乗合バス・タクシーの需給調整を廃止するとともに、道路運送法の目的から「道路運送に関する秩序の確立」を除くものであり{{Sfn|制度変遷|p=7}}、バス事業の大幅な規制緩和をもたらすものであった(この法律施行に伴い、1986年の通達が廃止されている{{Sfn|制度変遷|p=8}})。
 
 
これらの動きに呼応するように、ディズニーランドツアーから派生する形で2001年4月14日に新宿・横浜-[[ユニバーサル・スタジオ・ジャパン]](USJ)間に[[近畿日本ツーリスト]]によるツアーバス「ベイドリームライナー」が定期催行された<ref>{{Cite press release|url=http://www.knt.co.jp/kouhou/news/01/01_05.htm|title=ユニバーサル・スタジオ・ジャパンへの直通バス「ベイドリームライナー」運行|publisher=近畿日本ツーリスト|date=2001-02-15|archiveurl=https://web.archive.org/web/20070314085205/http://www.knt.co.jp/kouhou/news/01/01_05.htm|archivedate=2007年3月14日|accessdate=2013-05-03|deadurldate=2017年9月}}</ref>。このツアーは、往復の他に片道の参加を可能とし、USJの他に京都、新大阪での中途解散も設定され、宿泊やパスポートを付帯しないプランも設定された。ベイドリームライナーに続き、2001年5月に[[オリオンツアー]]が「関西バス」を催行開始<ref>オリオンツアー公式サイト[https://web.archive.org/web/20091107033957/http://www.orion-tour.co.jp/guide/qa/#a45 よくある質問Q&A(2009年11月7日のアーカイブ)]のA8-1に記述あり</ref>、2001年7月には西日本ツアーズ(現・[[WILLER TRAVEL]])が東京 - 大阪間で催行開始した<ref>{{Cite web|url=http://www.willer.co.jp/group/history.html|title=沿革|publisher=WILLER TRAVEL|accessdate=2013-05-03}}</ref>。
 
 
2005年7月28日、国土交通省自動車交通局は「ツアーバスに関する当面の対応方針について」と題した通知文書(自動車交通局旅客課新輸送サービス対策室長・同課旅客運送適正化推進室長から各地方運輸局旅客第一課長等あて事務連絡)<ref name="tsutatsu20050728">{{cite web|author=国土交通省自動車交通局旅客課新輸送サービス対策室長,旅客運送適正化推進室長|title=ツアーバスに関する当面の対応方針について|format=PDF|url=http://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/date/sikyoku_hp/pdf_common_riku/bus/j1_t070622.pdf#page=4|date=2005-7-28|accessdate=2013-4-5}}</ref>を示した。この中で「旅行業者が募集型企画旅行(改正前旅行業法では主催旅行と定義)で行う、観光やスキーといった移動以外の目的を伴わない、2地点間の移動のみを主たる目的とした「ツアーバス」が、一般乗合旅客自動車運送事業類似行為ではないかとの疑義」に対して、「2地点間の移動を目的とした募集型企画旅行であっても、正規の貸切契約に基づく運行については、旅行会社に対して道路運送法上の責任は問えない」との指針を示した{{Sfn|制度変遷|p=8}}(これにより、ツアーバスの業態が法的に事実上認知されたような受け止め方をされたという指摘もある<ref name="sangin20120904">{{Cite journal ja-jp|author=国土交通委員会調査室 山越伸浩|date=2012-9|title=高速ツアーバス問題について― 関越道高速ツアーバス事故と高速ツアーバスのあり方の見直し―|url=http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2012pdf/20120904073.pdf#search='%E3%81%A4%E3%81%82%E3%83%BC%E3%81%B0%E3%81%99+%E5%8F%82%E8%AD%B0%E9%99%A2'|format=PDF|journal=立法と調査|serial=332|publisher=参議院事務局企画調整室|pages=73-90|accessdate=2013-4-1}}</ref><ref>{{cite conference|url=http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_kaigiroku.htm|title=第180回国会衆議院国土交通委員会議録第7号|date=2012-5-18|accessdate=2013-4-1}}</ref>)ことを踏まえ、旅行会社の主催によるツアーバスの催行が急速に増加し、2006年時点でツアーバスを催行する旅行業者が既に約30社に上っていたといわれる<ref>{{Cite press release|url=http://www.willer.co.jp/news/press/detail.php?id=1|publisher=WILLER TRAVEL|title=[新路線拡大]高速ツアーバスブランド『WILLER EXPRESS』7月1日より全国30路線74便運行開始。|date=2006年6月22日|accessdate=2012年9月6日}}</ref>。
 
 
[[2008年]]には、任意団体「高速ツアーバス連絡協議会」が[[業界団体]]として設立されている<ref>[http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20081002AT1D0206D02102008.html 「高速ツアーバス、安全対策強化へ 業界団体を設立」]日本経済新聞 2008年10月2日</ref>が、同団体の組織率は、企画実施会社(主催者)が観光庁把握の52社中37社(71 %)、運行会社(貸切運行受託会社)が国土交通省把握の235社中38社(16 %)にとどまっている。
 
 
== 都市間ツアーバスを催行していた主な旅行代理店 ==
 
{{独自研究|section=1|date=2013年11月}}<!--「主な」たる定義が一切示されていないため。(現状は執筆者各々が、好き勝手に列挙しているだけの体であるため。)-->
 
括弧内はツアーバス商品名。下記以外にも多数存在する。
 
 
=== 高速乗合バスへ移行した主なツアーバス ===
 
以下は高速乗合バスへ移行した主なツアーバスである。ただし乗合移行後に運行を中止した路線も含まれる。
 
 
* [[オリオンツアー]]([[オー・ティー・ビー|オリオンバス]])-  [[H.I.S]]グループ
 
* [[WILLER TRAVEL|ウィラートラベル]]([[WILLER EXPRESS]])- [[WILLER ALLIANCE|ウィラー・アライアンス]]グループ
 
* [[ロータリーエアーサービス]]([[旅バス|キラキラ号]]) - 債権者破産を申立られている<ref>{{Cite press release |title=株式会社ロータリーエアーサービスに対する「債権者破産申立て」について|publisher=スカイマーク株式会社|date=2013-3-14|url=http://www.skymark.co.jp/ja/company/press/130314_press.pdf|format=PDF|accessdate=2013-4-3}}</ref>。2014年7月に[[桜交通]]に事業譲渡し消滅。翌8月に関連会社のケーケーエアー及び旅バスとともに破産申請を行った。現在は桜交通系列に編入。
 
* [[ロイヤルホリデー]](ロイヤルエクスプレス)
 
* [[ユタカ交通]](ユタカライナー)
 
* 日本ユース旅行([[ジャムジャムエクスプレス|JAMJAMライナー]])
 
* MKトラベル(MKナイトシャトル) - [[MKグループ]] - 2014年9月30日を最後に運行終了。
 
* 日本案内通信([[サンシャインエクスプレス|サンシャインツアー]])
 
* [[平成エンタープライズ]](VIPライナー)
 
* [[富士セービングバス]](旅の散策) - 2015年3月限りで事業廃止。現在は平成エンタープライズのVIPライナー(運行は同社系列の平成コミュニティバス)及び桜交通(系列のAT LINERも含む)の散策バスに移行。
 
* [[海部観光]](マイエクスプレス)
 
* [[さくら観光]] - [[桜交通]]系列。「さくら高速バス」に移行。
 
* 高知駅前トラベル(スマイルライナー) - [[高知駅前観光]]系列
 
* [[新日本ツーリスト (香川県)|新日本ツーリスト]](コトバスエクスプレス) - [[琴平バス]]系列
 
* アミイファクト(アミー号) - [[山一サービス]]・武井観光・ウエスト観光バスに移管し、アミー号の乗車券を販売する総代理店に移行。
 
* アップオン(NETWORK)
 
* 中央交通トラベルクラブ(ウェルカムライナー) - [[中央交通 (大阪府)]]系列
 
* [[マアト (旅行代理店)]] (たびのすけバス) - [[青垣観光バス]]に移管。
 
* [[イルカ交通]](ドルフィンライナー)- 大和トランスポートグループ。「きときとライナー」東京線となったが、運行休止。
 
* [[丸一観光]](グリーンライナー)
 
* ケイ・エス(MKツアーランド) - 「中日本ハイウェイバス」に移行
 
* [[青木バス]](あおぞらツアー)
 
* [[トラビスジャパン]](花バス)
 
* [[アリーナ (バス)|アリーナ]]([[WILLER EXPRESS|AREX]])- 移行後はWILLER GROUPとの合弁会社「WILLER EXPRESS北信越」に移管。
 
* イーグルトラベル(ムーンスター号) - [[イーグルバス]]系列
 
* 旅クラブジャパン(ミルキーウェイエクスプレス)
 
* 高速バスツアーズ - 「KBライナー」に移行
 
* [[弘南バス]]<ref>弘南バスは、[[ノクターン号]]など、元々からの高速路線バスも運行している。</ref>(アップル号・[[えんぶり号]])- アップル号のみ移行後『[[パンダ号]]』に統合。
 
* オーケー商事([[ブルーライナー]]) - 2014年8月30日を最後につくしの観光バスが運行していた福岡 - 関西便が運行休止となる。広栄交通バスに移管し、オーケー商事(現 ブルーストーク)はブルーライナーの乗車券の乗車券を販売する総代理店に移行。
 
* フジトラベル([[東京富士交通|ナイトライナー]])
 
* グレーストラベルインターナショナル(グレースライナー)- グレース観光系列
 
* [[サンマリンツアー]](サンマリンライナー) - 2016年に南九州観光バスに事業譲渡し消滅。
 
* ラド観光九州([[南九州観光バス|福岡シティライナー]]) - 「南九号」に移行
 
* [[ハッコートラベル]](ハッコーライナー)
 
* [[山口運送]](みとシティライナー)
 
* まりも急行札幌号([[網走観光交通]]) 路線化前は、阿寒湖温泉旅館組合のツアーバスとして運行。
 
 
=== 運行を中止した主なツアーバス ===
 
* [[サン太陽トラベル]](East West Shuttle) -  [[ダイヤモンドバス|吹田スキーバス事故]]において、当該スキーバスを催行していた事業者。事故後社会的信用が低下し、事業停止・破産。
 
* [[ハーヴェストホールディングス]](ハーヴェストライナー) -  [[関越自動車道高速バス居眠り運転事故]]の当該ツアーバスを催行していた。事故後に事業停止、破産。
 
* ベルプランニング(高速ライナー) - 事業停止、破産
 
* 銀河計画(JJライナー)
 
* SUGIZAKI・トラベルサポート(STSライナー) - [[杉崎観光バス]]系列。但し、2014年7月より杉崎観光バスが自社運行の高速バス路線を開設している。
 
* 佐土原運送(トラポータ・ライン)
 
* アイ観光バス(あいアイライナー)
 
* 宮崎ツアーサービス(福岡シティライナー)
 
* アクセスインターナショナル(アクセスブルーライナー) - 事業停止、破産
 
* シーズリートラベル(旅ライナー) - 後に主催会社が総合観光に移り、先述の「VIPライナー」に発展解消した。
 
* 南薩観光(シティライナーウェスト)
 
* 夢湖観光(ドリームレイクライナー) - 無期限休止。貸切バス事業は継続。
 
* 房総エキスプレス(東京アクアライナー) - 同社が請け負う企業送迎バスの車両送り込みを兼ねて運行開始。都市間ツアーバスとしては珍しく、東京都内への通勤客をターゲットとしていた。2013年を以って休止し、貸切バス事業のみ継続。
 
 
<gallery widths="200px">
 
ファイル:Daewoo-BX212-WILLER-EXPRESS.jpg|[[WILLER EXPRESS]]のツアーバス用車両<br />(大宇バスBX212)
 
ファイル:Tabi Bus K-1007 Kirakira-Go Hyundai Universe.jpg |[[ロータリーエアーサービス]]のツアーバス「キラキラ号」<br />([[ヒュンダイ・ユニバース]]、旅バス運行)
 
ファイル:Sadowara-bus308.jpg|佐土原運送の宮崎⇔博多「トラポータ・ライン」用車両<br />(自社運行・いすゞ・ガーラHD)
 
ファイル:Akipro aerobus-JJliner.jpg|銀河計画のツアーバス「JJライナー」<br />(三菱ふそう・エアロバス、亜希プロ運行)
 
ファイル:Fujisavingbus queen-I tabinosansaku.jpg|[[富士セービングバス|富士興商グループ]]のツアーバス<br />「旅の散策」<br />(三菱ふそう・エアロクィーンI、富士セービングバス運行)
 
ファイル:TenryoKankoBus 666.jpg|[[オリオンツアー]]の九州⇔関東ツアーバス<br />(三菱ふそう・エアロクィーン、[[天領バス|天領観光]]運行)
 
ファイル:Heisei Enterprise VIP Liner Selega-HD.jpg|[[平成エンタープライズ]]が催行・運行する「VIPライナー」<br />(日野・セレガ)
 
ファイル:Fuji Kanko bus Royal Express01.jpg|ロイヤルホリデーのツアーバス「ロイヤルエクスプレス」<br />(日野・セレガ、富士観光バス運行)
 
ファイル:Diamond Kanko bus Sunshine Tour01.jpg|サンシャインツアーのツアーバス<br />(三菱ふそう・エアロエース、ダイヤモンド観光バス運行)
 
ファイル:Yamaichi-7070.jpg|アミィファクトのツアーバス「アミー号」<br/>(三菱ふそう・エアロエース、[[山一サービス]]運行)
 
</gallery>
 
 
== その他の運行形態 ==
 
高速ツアーバス同様、貸切バスを利用しながら輸送に特化した旅行商品としては、[[スポーツ観戦]]や[[コンサート]]などの[[イベント]]開催時にイベント参加者の交通の便を確保する目的で、周辺の都市から輸送するイベントツアーバスがある。この場合はイベントの主催者が提携する旅行代理店を斡旋し、その旅行代理店がスポット的な募集型企画旅行を主催する形を取る。遠方発着の場合は観戦・観劇チケットを含んで「バスツアー」として催行されることも多いが、最寄り駅からの交通の便確保のために観戦・観劇チケットを含まない形態のイベントツアーバスが催行される場合もある。尚、イベントツアーバスは、目的となるイベントの参加がツアー参加の条件に加えられ目的外利用が禁じられた。
 
=== 観光地周遊型 ===
 
[[File:Hokuto kōtsū S200F 2468.JPG|thumb|180px|観光地周遊型「北海道リゾートライナー」]]
 
空港や新幹線停車駅などの交通拠点から観光地を経由して主要宿泊地または交通拠点へ向かう(あるいはその逆)形態。
 
 
バスガイドの乗務や途中観光地での見学時間を設定することなどからバスツアーの類型の一つとも言えるが、観光地での行動(食事や観光施設への入場)は任意となっており、旅行商品としてはあくまでもバスでの移動のみを提供する。旅行代理店が主催するため[[定期観光バス]]には該当せず、単純往復で運行されるものでもない。観光客誘致のために自治体<ref group="†">佐賀県武雄市が主導する[http://www.city.takeo.lg.jp/info/2012/07/post-905.html ハウステンボス・武雄「周遊ツアーバス」]など</ref>や観光団体<ref group="†">山口県観光連盟が主導する「[http://www.bochobus.co.jp/gururi/gururi.htm おいでませ山口号]」など</ref>が主導する例がある。
 
 
航空会社系の旅行会社(ANAセールスやジャルパック等)の募集型企画旅行商品の一部として組み込まれる場合もあり(写真の北海道リゾートライナーもそのようなケースがある)、高速ツアーバスとは異なる内容が多い。
 
 
また、[[伊東園ホテルズ]]、[[湯快リゾート]]、[[大江戸温泉物語]]の送迎バスも観光地周遊型に分類される。
 
 
=== 会員制高速バス ===
 
高速ツアーバスは一般的に募集型企画旅行の参加者への移動のサービスを提供するもので、一度(あるいは1往復)しか乗車できないが、会費を支払うことで一定期間(主に1年間)有効となる会員を募集し、会員はその期間中、高速道路を経由する2地点間の移動サービスを一定期間乗り放題とする形態の会員制高速バス<ref name="def"/>もあった。主宰者が主宰するバスに会員期間中、追加料金を支払うことなく何度でも乗車することが可能で、同じ観光地を何度も訪れる観光利用の促進を図った。
 
 
このような会員制高速バスの例として、[[福岡市]]と[[平戸市]]・[[竹田市]]など九州各地の観光地を結ぶ「[[YOKARO]]バス」や、福岡市と平戸市を結ぶ「ロマン号<ref>[http://hiradokankou.blog.fc2.com/blog-entry-195.html 平戸 ロマン号] - 平戸観光バスです!、2011年3月8日</ref>」、福岡市と山鹿市を結ぶ「よへほ号<ref>[http://www.kumanomoto.com/around/log_201105.html 山鹿・平山温泉と福岡を結ぶ会員制直行バス「よへほ号」] - くまの素</ref>」などがあった。
 
 
「ロマン号」「よへほ号」は乗合化以前に運行を終了した。「YOKAROバス」は乗合バス化された後も引き続き会員制を維持したが、2014年に福岡 - 平戸間の1路線を残して運休した。残った福岡 - 平戸間では2016年に会員制を終了した。
 
 
== 車両 ==
 
昼行便・夜行便ともに、高速バス用ではなく[[観光バス]]用の車両が用いられることが多い。観光バス用車両は座席配置が前後11列もしくは12列・横4列で、トイレや洗面台、フットレストやレッグレストなど、長距離高速路線バスでは基本装備に挙げられるものは装備していない場合が多く、路線バスでは設置が義務づけられている車いす席も、設置義務がないため設置されていない。
 
 
都市間ツアーバスに特化した貸切事業者の中には、座席を前後10列で横4列または3列とし、フットレスト・レッグレスト・トイレ・個別のプライバシー[[カーテン]]・本革シートなどの夜行路線バスと同等の接客設備を備えた車両を導入している事業者もある。また横2列配置で個室に近い座席配置とした車両も存在する。これらについては料金が割高に設定されている。
 
 
新高速バス制度施行直前の時期は、新制度への移行を見越し一般の高速路線バス仕様車両が各社で導入されていた。
 
 
== のりば ==
 
高速バスが、旅客運送事業の許可や路線の届出のために[[バス停留所|停留所]]や[[バスターミナル]]施設を設置しなければならないのに対し、ツアーバスはこれらの義務がなくコスト低減の一助となっている。しかし、乗合バス用の停留所やターミナルの大半は利用できないため、一般的な企画旅行同様に立ち入り・[[停車]](客待ちを行う場合は[[駐車]]も)禁止場所以外の路上や駐車場、観光バス乗り場等から出発することが多い。利用の際は、事前に集合場所や受付方法を把握することが求められるほか、悪天候時でも、屋根の無い路上で待たなければならないこともある。ツアーバス自体の台数の多寡や、[[駐車|路上駐車]]や道路[[工事]]などの状況如何でも乗車場所が変わる。中には「まがり角から5m以内」や「横断歩道、自転車横断帯とその側端から前後に5m以内」のように、道路交通法違反(駐車違反)となる場所で客待ちをしているケースも見られる<ref>[http://www.koun-itf.jp/cgi/tool/DataFile/policy/bus1.pdf 全日本交通運輸産業労働組合協議会 新宿西口周辺ツアーバス実態調査]</ref>。
 
 
[[ファイル:Sakura-Kotsu-1782.jpg|250px|thumb|right|[[さくら観光]]仙台営業所「仙台駅東口さくらターミナル」から出庫中の仙台ライナー専用車]]
 
[[File:Hakata-chikushi-perking.jpg|thumb|博多駅筑紫口に停車中のツアーバス]]
 
上記の問題に対応するため、ツアーバス事業者(旅行代理店)自身が専用のターミナルやデスクを開設する例がある。
 
* [[さくら観光]]では、[[2008年]]11月に新設した仙台営業所敷地内に「仙台駅東口さくらターミナル」を開設している。
 
* [[WILLER TRAVEL]]では、独自のターミナルとして[[2010年]]4月に[[新宿住友ビルディング]](新宿住友三角ビル)玄関前に「WILLER バスターミナル新宿西口」<ref>{{cite press release|url=http://travel.willer.co.jp/press/detail.php?id=54|title=WILLER バスターミナル新宿西口」を4月5日から開設スマートチェックインを導入|author=WILLER TRAVEL|date=2010-3-19|accessdate=2012-8-31}}</ref>を、[[2011年]]4月に[[梅田スカイビル]]・イーストタワーに「WILLER バスターミナル大阪梅田」<ref>{{cite press release|url=http://travel.willer.co.jp/press/detail.php?id=83|title=高速ツアーバス「WILLER EXPRESS」が大阪にバスターミナルを4月5日に開設|author=WILLER TRAVEL|date=2011-3-5|accessdate=2012-8-31}}</ref>を開設している。また、2012年7月には[[浜松町バスターミナル]]にインフォメーションカウンターを開設している<ref>{{cite press release|url=http://travel.willer.co.jp/press/detail.php?id=83|title=浜松町バスターミナルに「WILLER INFORMATION」を開設|author=WILLER TRAVEL|date=2012-7-25|accessdate=2012-8-31}}</ref>。
 
 
== メリットとデメリット ==
 
=== 安価な移動手段 ===
 
国土交通省[[東北運輸局]]では、2008年に高速バスおよびツアーバスの利用実態調査を行い、その結果を公表している<ref>[http://www.tht.mlit.go.jp/puresu/ks080331.pdf 国土交通省東北運輸局「高速バス・ツアーバスの利用実態調査の結果について」平成20年3月31日]</ref>。この調査は[[仙台駅バスのりば|仙台駅周辺]]における関東発着便に限定しての調査だが、ツアーバスのサービスのうち、運行頻度、料金、予約・発券、座席の配置等に対する満足度は高速バスより高いという分析がされ、ツアーバスのサービスは総じて良好に受け止められていることが明らかになったとしている。また、ツアーバス利用者の75%が40歳未満と若年層の利用が多く、利用目的も「観光・娯楽目的」が多い。また、ツアーバスを選択した要因として、ツアーバス利用者のほぼ全員が「他の交通機関と比較し、料金が安いから」という点を掲げている。
 
 
加えて、自家用車でのドライブ等からツアーバスに移行する旅客も増えているという報道がなされている<ref>[http://sankei.jp.msn.com/economy/business/080715/biz0807151857011-n1.htm ガソリン高が追い風 高速ツアーバス需要上昇] - [[産経新聞]]2008年7月15日</ref>。この報道でも楽天バスサービス関係者の話として、ガソリン高の影響により割高感のあるマイカー旅行に比べて、ツアーバスの格安さに注目が集まっているのではないかとの分析を行っている。
 
 
=== 観光バス事業者へのしわ寄せと安全性 ===
 
2000年と2002年に[[道路運送法]]が改正され、バス事業の[[規制緩和]]が行われたことにより貸切バス事業へ参入する会社が急増した。これにより貸切バス事業者間で過当競争状態が生まれ、貸切バス運賃の値下げを希望する旅行代理店と運賃を値下げしてでも稼働率を上げたいという貸切バス事業者の思惑も相まって、ダンピングが進行し、運賃の低下が急速に進んでいる。加えて、貸切バス事業者(特に零細事業者)が[[燃料]]高騰などに伴う運行経費抑制の観点と、運転士の確保困難の状況から、運転士一人あたりの稼働率を上げる方策をとり、結果的に運転士の[[過労運転]]が問題となっている。ツアーバス運転士の過労運転が原因とされる事故としては、[[ダイヤモンドバス#吹田スキーバス事故|吹田スキーバス事故]](2007年2月、添乗員が死亡)、[[関越自動車道高速バス居眠り運転事故]](2012年4月、乗客7人が死亡)などの例がある。法令により労務管理が的確に為されている高速路線バスに比べて、高速ツアーバスは安全面に問題があると指摘されている。
 
 
これについては監督官庁である[[国土交通省]]が吹田スキーバス事故を受ける形で、省内に「貸切バスに関する安全等対策検討会<ref>{{cite report|author=国土交通省自動車交通局旅客課新輸送サービス対策室|title=貸切バスに関する安全等対策検討会|url=http://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk1_000009.html|accessdate=2013-4-5}}</ref>」を設けて2007年6月6日から2007年10月15日まで検討会を開催、同年10月に報告をまとめた<ref>[http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha07/09/091019_2_.html 貸切バスに関する安全等対策検討会報告~貸切バスの安全の確保・質の向上に向けて~]</ref>。これを受けて、2007年12月14日に通達「貸切バスにおける交代運転者の座席の確保等の安全確保の徹底」(平成19年12月14日国総観事第297号、総合政策局観光事業課長から(社)日本旅行業協会・(社)全国旅行業協会等あて通知<ref>{{cite web|author=国土交通省自動車交通局安全政策課長,自動車交通局旅客課長|title=貸切バスにおける交代運転者の座席の確保等の安全確保の徹底|format=PDF|url=http://www.anta.or.jp/kaiin/pdf/kasikiribus_betten1-2.pdf|date=2007-12-14|accessdate=2013-4-5}}</ref>)により、交替運転者が車内で身体を伸ばして休息できる設備の確保を徹底させる{{Sfn|制度変遷|p=10}}とともに、2008年6月2日には旅客自動車運送事業運輸規則を改正し、着地における乗務員の睡眠施設等の確保義務を明確化した<ref>{{Cite press release|title=旅客自動車運送事業運輸規則等の一部を改正する省令の公布について|url=http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha03_hh_000007.html| author=国土交通省自動車交通局安全政策課|date=2008-6-2|accessdate=2012-8-22}}</ref>。
 
 
また、長距離運行にかかる安全面への対応としては、2008年には国土交通省から「一般貸切旅客自動車運送事業に係る乗務距離による交代運転者の配置」に関する試行的指針が示され、運転者の1日の最大走行距離は、勤務時間等基準告示で定められた2日を平均した1日当たりの運転時間の上限(9時間)の運行距離に相当する670キロメートル(高速道路のみ走行の場合)とされた<ref>{{Cite press release|url=http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha02_hh_000002.html|title=貸切バスの乗務距離に基づく交替運転者の配置指針を試行的に定めました!|publisher=国土交通省自動車交通局|date=2008年6月27日|accessdate=2012年5月6日}}</ref>。ただしこの指針には拘束力がなく、違反した場合の罰則規定もない。
 
 
ただし、これらの指導は(ツアーバスを主催する)旅行代理店に対する指導ではなく運行に携わる貸切バス事業者に対するものが中心であったことから、行政による指導監督としては不十分という結果となり、2010年の総務省による行政指導、さらには[[#高速バスとツアーバスの「一本化」に向けた動き|高速バスとツアーバスの「一本化」に向けた動き(新高速乗合バスの制度発足)]]につながることになる。
 
 
== 高速バスとの関係 ==
 
[[ファイル:Kamigo-sa-20070601.jpg|220px|thumb|右が京急観光バスの高速路線バス、左がWILLER TRAVELのツアーバス]]
 
都市間ツアーバスと[[路線バス|高速路線バス]]は運行形態は異なるものの、バスによる都市間の移動手段という意味では共通していることから、競合するケースが増加している。但し、高速バス運行とツアーバス催行の両方を行うバス事業者([[弘南バス]]や[[奈良交通]]、[[アルピコ交通]]や[[イルカ交通]]など)や、既存の高速路線バスを廃止して同一区間を走行するツアーバスに転換する会社([[サンデン交通]]や[[南部バス]]<ref group="†">サンデン交通は下関 - 東京間の「[[ふくふく東京号]]」運行終了後、[[オリオンツアー]]から下関 - 東京便の運行を受託。その後は多客期に自社運行ツアーバス「サンデンライナー」を催行した。また、南部バスは[[シリウス号 (高速バス)|シリウス号]]の共同運行から撤退後、[[WILLER TRAVEL]]との提携により同線に充当していた車両を用いて八戸 - 東京便のツアーバスの運行を受託していた。</ref>)もある。その他、地元では路線バス事業を営みながらも、自社または系列の旅行代理店が主催するツアーバスの運行を一手に担う形で、都市間輸送へ実質的に進出している中小バス事業者もある([[高知駅前観光]]や[[イーグルバス]]、[[平成エンタープライズ]]など)。
 
 
また、手続きが簡便なことから、ツアーバス形式で需要調査を兼ねた運行を行った上で路線バスに移行するケース([[中央高速バス]]伊那・飯田線や[[エディ号]])や、路線バス運行の認可前にツアーバス形式で運行を開始する例([[常磐高速バス]]茨城空港線)もみられる。
 
 
=== 競争による利便性向上 ===
 
ツアーバスの催行される区間では、既存の高速バスが厳しい競争にさらされる例が多い。中でも[[首都圏 (日本)|首都圏]] - [[京阪神]]間は競争が激しく、[[JRバス]]の「[[ドリーム号 (高速バス)#廉価版|青春ドリーム号]]」、[[近鉄バス]]系の「[[ツィンクル号|カジュアル・ツィンクル号]]」「[[フライングライナー号|フライングスニーカー号]]」、[[京成バス]]の「きょうと号」など、ツアーバスと同程度の低運賃を打ち出し対抗する事例も見られる。
 
 
その一方、JRバス「[[ドリーム号 (東京 - 京阪神)#デラックス版|プレミアムドリーム号]]」のような高級志向のサービスによって、廉価主義のツアーバスとの棲み分けを模索する動きもあるが、この分野においても、大型シートを設置した高価格帯のツアーバスが現れるなど、競争の回避は難しくなっている<ref>[http://www.j-cast.com/2008/12/17032411.html 「安さ売り物」と「設備豪華」 深夜高速バスも「二極化」進む] J-CASTニュース、2008年12月17日</ref>。
 
 
=== 高速バス減収による生活路線廃止 ===
 
ツアーバスの台頭が、高速路線バスの廃止や統合などに繋がるケースも多い。地方の路線バス事業者には、生活交通路線の慢性的赤字を高速バスの収益で補填することで経営を維持しているケースも多く、高速バス部門の減収が生活交通路線の削減・廃止につながった例もある。「[[日経スペシャル ガイアの夜明け]]」 第268回 [http://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/backnumber/preview070619.html 町からバスが消える「~ 規制緩和で揺らぐ地域の足 ~ 」]([[テレビ東京]]系、 2007年6月19日放送)では、ツアーバス台頭による高速バスの減収で[[ジェイアールバス東北|JRバス東北]]が生活交通路線を廃止せざるを得なくなった現状が紹介されている。また、[[西鉄バス]]は路線バス事業の赤字を、高速バス事業と鉄道事業で補填していたが、雇用減少による通勤客の減少・高速道路の無料化社会実験により赤字拡大と高速バス収入が伸び悩み、2009年度から不採算路線の減便・廃止、営業所の統廃合、社員の解雇などが行われた{{Sfn|週刊東洋経済|2010|p=54-55}}。
 
 
=== 高速ツアーバスと路線高速バスの対比 ===
 
<!--類似した移動商品としての対比を示しています。「債務不履行の際の補償措置」など、直接的な対比に関係のない項目は割愛しました-->
 
以下に高速ツアーバスと路線高速バスの主要な相違点を示す<ref>JRバスグループ (2012年7月19日). “[http://www.kakuyasubus.jp/news/bus.html 高速乗合バス(路線バス)と高速ツアーバスの違いについて]”. [http://www.kakuyasubus.jp/ 高速バス・夜行バスのJRバス]</ref>。ただし、路線・運行事業者・主催者により取扱いが異なる場合がある。
 
{| class="wikitable" style="font-size:90%;"
 
|-
 
!style="width: 20%;"|項目
 
!style="width: 40%;" bgcolor=#ffeeee|高速ツアーバス(募集型企画旅行)
 
!style="width: 40%;" bgcolor=#eeeeff|高速乗合バス(路線バス)
 
|-
 
|根拠法令
 
|bgcolor=#ffeeee|[[旅行業法]]
 
|bgcolor=#eeeeff|[[道路運送法]]
 
|-
 
|主催者(利用者窓口)
 
|bgcolor=#ffeeee|ツアーを企画・主催する旅行代理店
 
|bgcolor=#eeeeff|運行する路線バス事業者
 
|-
 
|運行形態
 
|bgcolor=#ffeeee|貸切バス(旅行代理店がバス事業者と契約、若しくは旅行代理店を併営する貸切バス事業者が運行)
 
|bgcolor=#eeeeff|乗合バス(路線バスの一形態)
 
|-
 
|適用約款
 
|bgcolor=#ffeeee|旅行業約款(旅行代理店)<br />一般貸切自動車運送事業約款(貸切バス事業者)
 
|bgcolor=#eeeeff|一般乗合旅客自動車運送事業約款
 
|-
 
|運営主体設立時の手続き
 
|bgcolor=#ffeeee|旅行主催のための第1種・第2種旅行業登録
 
|bgcolor=#eeeeff|一般乗合旅客自動車運送事業の許可
 
|-
 
|路線新設・改廃時の手続き
 
|bgcolor=#ffeeee|ツアーバスとしての認可申請等は不要<ref group="†">ただし、ツアーで利用する貸切バスは、当該事業者の営業所がツアーの集合場所又は解散場所のいずれかになければならない(営業区域制限)。</ref>
 
|bgcolor=#eeeeff|路線バスとして[[地方運輸局]]に認可申請・届出が必要
 
|-
 
|高速道路の通行料金区分
 
|bgcolor=#ffeeee|特大車(貸切バス)
 
|bgcolor=#eeeeff|大型車(路線バス)
 
|-
 
|運賃/料金の弾力性
 
|bgcolor=#ffeeee|旅行契約による<br />参加者向けには弾力的運用が可能<ref group="†">ツアー代金そのものは自由料金であるが、貸切バスの運賃は[[地方運輸局]]による公示運賃である(上限・下限の範囲内でのみ運賃設定の自由が認められている)。また、ツアー料金の変動についても[http://www.kotorikyo.org/ 旅行業公正取引協議会]による自主管理ルール「募集型企画旅行の表示に関する[[公正競争規約]]」により管理されている。</ref>
 
|bgcolor=#eeeeff|上限運賃変更は[[国土交通大臣]]への認可申請が必要<br />実施運賃変更は[[地方運輸局]]への届出が必要<br />路線によっては日や時期により割引運賃となることもある。
 
|-
 
|割引運賃/料金の設定
 
|bgcolor=#ffeeee|小児料金・学生割引・障害者割引の設定がない
 
|bgcolor=#eeeeff|小児料金・学生割引(路線による)・障害者割引の設定がある
 
|-
 
|事前申込方法
 
|bgcolor=#ffeeee|旅行代理店の[[ウェブサイト]]・電話による申込。申込時に募集型企画旅行条件に基づく申込金が必要。
 
|bgcolor=#eeeeff|専用ウェブサイト<ref>[[発車オ〜ライネット]]、[[高速バスネット]]、[[楽バス]]など</ref>や、電話での予約(事前申込制を採用している路線の場合)、運行会社または提携鉄道会社・バス会社、又は旅行代理店(手配扱)の窓口での事前発券。
 
|-
 
|利用当日・直前の申し込み
 
|bgcolor=#ffeeee|出発数時間前に予約を締め切るケースが多い<br />出発直前の予約や、予約なしでの乗車は原則不可。
 
|bgcolor=#eeeeff|空席があれば発車直前の申し込みも可能<br />指定制を実施していない路線は、空席があれば予約なしで乗車できる。
 
|-
 
|運賃/代金の支払い
 
|bgcolor=#ffeeee|指定の支払期限日までに納付<ref group="†">現金納付または[[クレジットカード]]決済(窓口決済、ウェブサイト決済)、[[マルチメディアステーション|コンビニ端末]]決済の方法がある。</ref><br />利用のつど事前決済が原則で[[回数券]]形式での事前の払い込みはできない{{Refnest|group="†"|ツアーバスにおいて実際に「回数券」を販売したところ、[[資金決済法]]に抵触するとして観光庁より注意を受けた事例がある<ref>{{PDFlink|[http://www.mlit.go.jp/common/000146618.pdf 注意書(平成23年6月6日付け観観産第97号の1)]}}([[ロータリーエアーサービス|株式会社ロータリーエアーサービス]]向け) - 国土交通省観光庁観光産業課</ref>。}}。
 
|bgcolor=#eeeeff|事前発券の場合は[[発券]]時に全額支払<br />乗車時に車内で支払(現金または[[乗車カード]]利用)できる路線や、回数券<ref>[http://www.iyotetsu.co.jp/bus/kousoku/tokyo.html 回数券の発売例(伊予鉄バス「オレンジライナーえひめ号」)]</ref>・定期券<ref>[http://www.hiroko-group.co.jp/kotsu/kousoku/flower/unchin.htm 定期券の発売例(広島交通他「フラワーライナー」)]</ref>を発売している路線もある。
 
|-
 
|申込時に発行される券片(乗車券・バウチャーなど)・書類
 
|bgcolor=#ffeeee|バウチャーそのものはチケットレス<ref group="†" name="ticket">予約・申し込み時のウェブサイト画面やEメール(ツアーバスの場合は予約完了画面・確認通知、高速バスの場合はWeb乗車票・電子メール乗車票)を[[携帯電話]]に表示させるか、自ら印刷して持参する。</ref>または出納代行伝票でバウチャーに替える。<br />申込時に旅行契約書の交付等が必要{{Refnest|group="†"|旅行業法に基づく措置で、書面の交付または電磁的方法による伝達措置<ref>{{cite web|url=http://www.jata-net.or.jp/jatainfo/etbtsystem/pdf/guideline.pdf|format=PDF|title=インターネットを利用した旅行取引に関するガイドライン|page=36|date=2008-1|accessdate=2012-8-23}}</ref>が求められている}}。
 
|bgcolor=#eeeeff|事前発券の場合は乗車券が発行される(乗車券に代えて、チケットレス<ref group="†" name="ticket"/>の場合もある)。<br />乗車時に運賃を支払う場合は、乗車券を発行しない。
 
|-
 
|座席の指定・希望
 
|bgcolor=#ffeeee|原則として不可。当日の乗車時に指定された席が通知される。<br />ただし最近では座席を指定できるツアーバスもある。
 
|bgcolor=#eeeeff|座席指定便の場合は発券時に座席が指定される。発券システムにより希望座席の指定が可能な場合もある。<br />また、予約定員制(乗車保証のみの予約)や、そもそも事前予約制を採用していない路線もある。
 
|-
 
|利用者都合による変更
 
|bgcolor=#ffeeee|旅行条件による(便変更であっても旅行の取消し手続きが必要な場合あり)
 
|bgcolor=#eeeeff|座席指定でない乗車便変更の場合は乗車券の有効期限内であれば手続不要。それ以外は変更・払戻手続きが必要。
 
|-
 
|利用者都合による取消・払戻手数料
 
|bgcolor=#ffeeee|出発の21日前以前の取消は全額払戻。21日前から旅行開始前までの取消は残日数により代金の20%から50%の取消料が発生する。<ref group="†">標準旅行業約款による</ref>
 
|bgcolor=#eeeeff|出発の2日前までは100円、出発の前日又は当日(出発時刻前)は20%の払戻手数料がかかる。<ref group="†">一般乗合旅客自動車運送事業標準運送約款による</ref>
 
|-
 
|運行条件
 
|bgcolor=#ffeeee|旅行条件による。<br />運行に支障となる状況が発生した場合の他、確定日迄に最低催行人数に達しない場合に催行が中止される。
 
|bgcolor=#eeeeff|運送約款による。<br />運行に支障となる状況が発生しない限り、乗客の有無にかかわらず運行される。
 
|-
 
|乗降場所
 
|bgcolor=#ffeeee|都市中心部の路上や[[駐車場]]、団体バス乗降場が大半。
 
|bgcolor=#eeeeff|国土交通省に届け出た所定の[[バス停留所]]または[[バスターミナル]]
 
|-
 
|事故に対する責任の所在と賠償・補償措置
 
|bgcolor=#ffeeee|貸切バス事業者がバス運行の安全確保に責任を負う(主催者側にはバス運行の直接の安全確保の責任が生じない)<br />事故の場合はバス事業者の他、ツアーを企画・募集した旅行代理店が[[企画旅行#特別補償|特別補償]]を行う。
 
|bgcolor=#eeeeff|路線バス事業者がバス運行の安全確保に責任を負う<br />事故時の場合は運行のバス事業者が損害賠償責任を負う。
 
|-
 
|路線撤退や業者の倒産時の補償措置
 
|bgcolor=#ffeeee|倒産に至るまでに代替交通手段が確保されることはほとんどなく、旅行代理店が日本旅行業協会・全国旅行業協会の保証会員の場合は弁済業務保証金制度<ref group="†">日本旅行業協会のボンド保証保証会員の場合は、ボンド保証制度による弁済も行われる。</ref>や、非会員の場合は営業保証金制度などによる事後の金銭的補償にとどまる。
 
|bgcolor=#eeeeff|倒産に至る前に予約情報や回数券などの引き継ぎを適切に行ったうえで他の事業者への事業譲渡される場合や代替路線が開設される場合<ref group="†">[http://www.iwate-kenpokubus.co.jp/archives/1147/] [[岩手県北バス]]ウィンディ号終了に伴って代替の八盛号が発着地に新たに停車する例 </ref>、また適切な期間をもって営業終了の予告を行い、事前に購入された回数券なども手数料なく払い戻される場合<ref group="†">[https://web.archive.org/web/20091013211503/http://www.ryobi-holdings.jp/bus/kousoku/fukuyama_.htm][[ももっちライナー]]営業終了時の案内([[インターネットアーカイブ]]) </ref>が多い。
 
|}
 
 
== 高速バスとツアーバスの「一本化」 ==
 
=== ツアーバスの拡大に対する国土交通省の対応 ===
 
前述のようにバス事業の規制緩和により誕生したツアーバスであるが、一方で厳しい規制を強いられている高速(路線)バス事業者側からは早い段階から批判があった。[[両備ホールディングス]](両備バス)社長の[[小嶋光信]]は、ツアーバスについて「路線バス事業まがい」の事業を「法の不備を突かれて」認めてしまったと批判している<ref>[http://www.ryobi.gr.jp/message/message0801_4.html 両備グループ 代表メッセージ 規制緩和の功罪が分かる、中鉄バスと岡山電気軌道との共同運行秘話と提言]より。</ref>ほか、2012年発行の著書「日本一のローカル線をつくる」においても「同じ路線事業行為を行って、一方は規制されてコスト高を免れず、他方はフリーハンドで経営できるという、アンフェアな競争状態」と批判している<ref>{{Cite book ja-jp|author = [[小嶋光信]]|year = 2012|title = 日本一のローカル線をつくる たま駅長に学ぶ公共交通再生|publisher = 学芸出版社}}</ref>。
 
 
2005年7月の通達<ref name="tsutatsu20050728"/>では「旅客数に応じた運賃収受の場合は、乗合運送の無許可営業が考えられる」「事業運営の適正化が望ましいと判断される場合は、乗合許可申請を指導する」{{Sfn|制度変遷|p=8}}として乗合運送の類似行為に一定の歯止めをかける方向性が示されたものの、2006年5月の道路運送法改正では第一条に「道路運送の分野における利用者の需要の多様化及び高度化に的確に対応したサービスの円滑かつ確実な提供を促進する」という文言が書き加えられた{{Sfn|制度変遷|p=9}}こともあってむしろツアーバスを事実上認容するような動きが加速し、2006年6月30日付の通達「ツアーバスに関する取扱いについて」<ref>{{cite web|author=国土交通省自動車交通局旅客課新輸送サービス対策室長|title=ツアーバスに関する取扱いについて|format=PDF|url=http://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/date/sikyoku_hp/pdf_common_riku/bus/j1_t070622.pdf#page=6|date=2006-6-30|accessdate=2013-4-5}}</ref>では「運送の発地又は着地のいずれかが営業区域内に存在し、運送契約等が確認できれば経由地における旅客の取扱いは道路運送法上問題がない」との指針が示され、ツアーバスの運用の弾力化が図られることになり、これによってツアーバスのさらなる拡充につながったとの指摘もある<ref name="sangin20120904"/>。
 
 
しかしながらその一方で、特に貸切バス事業者へのしわ寄せの面([[#観光バス事業者へのしわ寄せと安全性|上述]])で問題が顕在化するようになったことから、2006年6月30日付の通達「『ツアーバス』に関する募集型企画旅行の適正化について」(平成18年6月30日国総旅振第101号、総合政策局旅行振興課長から(社)日本旅行業協会・(社)全国旅行業協会等あて通知)<ref name="tsutatsu20060630">{{Cite report |author=国土交通省総合政策局旅行振興課長|ink= | |date=2006-6-30|title=「ツアーバス」に関わる募集型企画旅行の適正化について|format=PDF|url=http://www.anta.or.jp/law/pdf/tourbus_tekiseika_h180630.pdf|publisher=全国旅行業協会|accessdate=2013-4-1}}</ref> にて、旅行業者に対して、道路運送法・[[労働基準法]]・[[道路交通法]]等の関係法令への違反行為の[[教唆]]、[[幇助]]となる可能性がある貸切バス事業者への強要行為を行わないよう指導するとともに、乗合バスの手配旅行と誤認させるような広告の禁止・旅行契約の締結の際に旅行条件の説明を行う事・乗車券の代わりとなる契約書書面等の交付(または代替措置)を行う事・旅行代金の収受を貸切バスの乗務員ではなく旅行業者等の外務員資格保有者が行うことなどの指導を行った。
 
 
しかし、2007年2月28日にあずみ野観光バスのスキーツアーバスが[[ダイヤモンドバス#吹田スキーバス事故|乗員・乗客を死傷させる交通事故]]が発生。事故原因が運転手の過労運転によるものとされたことから、貸切バス事業者に対して様々な指導が行われることとなった([[#観光バス事業者へのしわ寄せと安全性|上述]])。
 
 
=== 総務省による行政評価の実施とその影響 ===
 
これらの状況を踏まえ、所管官庁の国土交通省とは別に、[[総務省]][[行政評価局]]が2008年8月から2010年9月までの期間で貸切バスの安全確保対策等についての行政評価・監視を実施<ref>{{Cite report|title=貸切バスの安全確保対策に関する行政評価・監視 結果報告書|url=http://www.soumu.go.jp/main_content/000080885.pdf|format=PDF|author=総務省|date=2010-9-10|accessdate=2013-4-6}}</ref>した。この行政評価に伴う調査対象は、国土交通省のみならず、[[厚生労働省]]、[[公正取引委員会]]、[[国家公安委員会]]([[警察庁]])、事業者、関係団体等と多岐に及んた。
 
 
この調査の一環として、総務省行政評価局が2009年3月に貸切バス事業者4,304者と東京・大阪・京都の貸切バス駐車場で待機中のドライバー500人に対してアンケート(実態調査)を実施、事業者の61.1%(2,629者)とドライバーの27.2%(136人)から回答を得た<ref>{{PDFlink|[http://www.soumu.go.jp/main_content/000080884.pdf 貸切バスの安全確保対策に関する行政評価・監視結果報告書・アンケート編]}} - 総務省行政評価局2010年9月10日公表資料</ref>。その結果、貸切バス事業者と契約先(旅行代理店)との運送契約内容に関し、回答者の約40%が契約先から安全性を度外視した無理な要求は「ない」とする一方で、同数に近い事業者が、無理な要求が「常にある」又は「時々ある」と回答。また、158社は契約先からの運賃や契約内容に関する無理な要求が原因で事故・違反になったことがあると回答している。加えて、貸切バス業界そのものにおいて、9割以上が国交省への届出運賃を収受できていないと回答、届出運賃を下回る契約が常態化することで貸切バス事業者の経営を圧迫している実態が明らかになった。また、ドライバーの労働環境については1日当たりの拘束時間について運転者の60%近くが違反を経験、1日当たりの休息期間は運転者の3人に1人が日常的に違反、さらに1日当たりの運転時間については、運転者の78.0%が違反しているという実態が明らかになった。さらに運転中の睡魔や[[ヒヤリ・ハット]]体験はアンケートに回答したドライバーの9割が経験しており、その原因について「運行スケジュールが厳しく疲労が蓄積」(61.2%)、「休日や休息の不足による過労運転」(59.7%)を挙げているという現状が明らかになった。
 
 
この結果を踏まえ、総務省行政評価局では「貸切バス事業については、多数の法令違反があり、安全運行への悪影響が懸念」があると指摘。[[2010年]][[9月10日]]に国土交通省に対して以下の4項目の勧告を行った<ref>{{Cite press release|url=http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/34390_1.html|title=貸切バスの安全確保対策に関する行政評価・監視結果に基づく勧告|publisher=総務省行政評価局|date=2010年9月10日|accessdate=2012年4月12日}}</ref>。
 
* 貸切バス事業における安全確保対策の徹底
 
* 収受運賃の実態把握の実施及び公示運賃の検証
 
* 旅行会社への指導・監督の強化
 
* 貸切バス事業者に対する監査の効果的・効率的な実施
 
 
これを受ける形で、国土交通省では自動車局が中心となって、学識経験者・高速バス関係者・ツアーバス関係者らで組織する「バス事業のあり方検討会<ref>{{Cite web|title=バス事業のあり方検討会(旧)|url=http://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk3_000040.html|author=国土交通省自動車局旅客課|accessdate=2013-4-6}}</ref>」(座長:[[竹内健蔵]][[東京女子大学]][[教授]])を2010年10月24日に設置。12回の審議を経て、[[2012年]][[3月30日]]に最終報告書をまとめ、[[4月3日]]に公表された<ref>{{Cite press release|title=「バス事業のあり方検討会」報告書の公表について|url=http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha03_hh_000116.html|author=国土交通省自動車局旅客課|date=2012-4-2|accessdate=2013-4-6}}</ref>。報告書では、(高速)ツアーバスについて「実態としては高速(乗合)バスと同様の定時・定路線での運行であり、高速(乗合)バスと同じ規制の下で、乗合バスとして運行することが適当」と指摘。「安全性・利便性を確保する仕組みが整えられている」高速バスと「供給量や価格の柔軟な変更が可能」なツアーバスのそれぞれの長所を活かし、柔軟な供給量調整や価格設定等が可能な新たな高速(乗合)バス規制を導入することとし、(高速)ツアーバス事業者に対して新たな高速(乗合)バスへ移行させ、新たな高速(乗合)バス規制の下での一本化を図るべき、とまとめている<ref>{{PDFlink|[http://www.mlit.go.jp/common/000207284.pdf 「バス事業のあり方検討会」最終報告について]}} - 国土交通省自動車局旅客課</ref>。
 
 
=== 関越自動車道高速バス居眠り運転事故の影響 ===
 
[[File:Tenryo-orion.jpg|thumb|バスのドア付近に貼られたツアー主催者と運行会社名の表示]]
 
2012年[[4月29日]]、[[関越自動車道]]上り線で、高速ツアーバス運転手の過労運転が原因とされる交通死亡事故が発生([[関越自動車道高速バス居眠り運転事故]])。これを受けて、国土交通省自動車局は2012年5月29日、安全政策課内に「高速ツアーバス等の過労運転防止のための検討会」(座長:酒井一博公益財団法人[[労働科学研究所]]所長)を設置<ref>{{Cite press release|url=http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha02_hh_000086.html|title=「高速ツアーバス等の過労運転防止のための検討会」の設置について|author=国土交通省自動車局安全政策課|date=2012-4-29|accessdate=2012-8-23}}</ref>し、専門家を交えた検討を行い、パブリックコメントの実施を経て、2012年7月18日に国土交通省[[通達]]「旅客自動車運送事業運輸規則の解釈及び運用について」を改定、交代運転者の配置基準を「実車距離が400km(安全点呼等の特別な安全措置を行い、これを公表した事業者については500km)を越える場合」「1人の運転者の乗務時間が10時間を越える場合」に厳格化する措置<ref>{{Cite press release|url=http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha02_hh_000097.html|title=高速ツアーバス等の過労運転防止のための交替運転者の配置基準等の策定について|publisher=国土交通省自動車局|date=2012年7月18日|accessdate=2012年8月18日}}</ref>を定めると共に、同日から高速ツアーバスを運行する貸切バス事業者の安全への自主的な取組や、国土交通省が実施した最近の監査状況(法令違反や行政処分の有無など)の情報の公開を開始した。検討会の最終報告書は2013年4月2日に公表された<ref>{{cite web|format=PDF|author=高速ツアーバス等の過労運転防止のための検討会|url=http://www.mlit.go.jp/common/000993907.pdf|title=「高速ツアーバス等の過労運転防止のための検討会」報告書|date=2013-4-2|accessdate=2013-4-6}}</ref>
 
 
関越道での事故を受けて、国土交通省は高速ツアーバスを運行する貸切バス事業者を対象に緊急重点監査<ref name="mlit-report20120718">{{Cite report|url=http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha02_hh_000099.html|title=関越道における高速ツアーバス事故を受けた緊急重点監査の結果概要等について|author=国土交通省自動車局安全政策課|date=2012-7-18|accessdate=2012-8-22}}</ref>を実施したところ、立ち入り時点で何らかの法令違反を指摘された事業者が298者中250者(調査対象の83.8%)に上り、そのうち48者 (同16.1%) が重大又は悪質な法令違反を指摘されていたことが明らかになった。また、各地方運輸局の管内の主要な駅等で2012年7月20日から8月31日にかけて貸切バスの一斉点検を実施した所、332台中73台に問題があり行政指導を実施した旨が発表された<ref>{{Cite press release|url=http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha02_hh_000109.html|title=高速ツアーバスに対する一斉点検の結果について|date=2012-9-5|accessdate=2012-9-19}}</ref>。なお、行政処分を受けた事業者のうち新潟県の[[小千谷観光バス]]は処分に対し異議申立てを行ったことを公式サイトで発表している。観光庁・都道府県庁は旅行業者を対象に集中的立入検査<ref name="mlit-report20120718"/>を実施、高速ツアーバスを主催する旅行代理店59者中、何らかの法令違反(大半が取引条件説明書面等の未交付、記載不足等)を指摘された会社が28者 (47.4%) という結果であった。
 
 
さらに厚生労働省[[労働基準局]]は高速ツアーバスを運行する貸切バス事業場に対する監督指導を実施し、高速ツアーバスの運行に関わる339事業場の内、329事業場(全体の95.6%)に労働基準法違反(労働時間の超過、休日の非付与、割増賃金の不払等)を確認、260事業所(全体の76.7%)に改善基準告示違反(総拘束時間超過、最大高速時間超過、休息時間の非付与、最大運転時間超過、連続運転時間超過、休日労働等)が認められた<ref>{{cite press release|publisher=厚生労働省労働基準局監督課|url=http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002fisr.html|title=高速ツアーバスを運行する貸切バス事業場に対する監督指導実施状況|date=2012-7-18|accessdate=2013-4-1}}</ref>。
 
 
国土交通省では、関越道での事故等を踏まえ、当該事故の緊急対策において引き続き検討すべきとされた運行管理者制度その他の幅広い事項について検討する場として、改めて「バス事業のあり方検討会」(座長:中村文彦[[横浜国立大学]]大学院教授)を設置。2012年10月25日から2013年3月29日まで、計6回に渡り検討を行い、2013年4月2日に結果を報告した<ref>{{Cite report|format=PDF|author=バス事業のあり方検討会|url=http://www.mlit.go.jp/common/000993615.pdf|title=「バス事業のあり方検討会」報告書|date=2013-4-2|accessdate=2013-4-6}}</ref>。これを受けて、国土交通省では「高速・貸切バスの安全・安心回復プラン<ref>{{Cite report|url=http://www.mlit.go.jp/common/000993596.pdf|format="PDF|title=高速・貸切バスの安全・安心回復プラン|author=国土交通省自動車局|date=2013年4月2日|accessdate=2013年4月1日}}</ref>」を立案、委託者・受託者が一体となった安全管理体制(運輸安全マネジメントの実施)を2013年4月以降に構築するとともに、業界団体を中心とした適正化事業(コンサルティング)の導入を2013年5月以降に導入し、過労運転防止の為の交代運転手の配置基準を路線バスにも2013年8月より適用することとなった。
 
 
1日当たりの運転手の走行距離制限が厳格化されたことから、日帰りバスツアーでも2013年8月からは設定できなくなったコースがある<ref>[http://www.at-s.com/news/detail/744820762.html バス新制度 走行距離制限、日帰りツアーにも影響]静岡新聞社・静岡放送アットエス、2013年8月4日</ref>。
 
 
=== 「新高速乗合バス」制度の施行 ===
 
[[ファイル:647-3926 Seisyun Haba-rigiht Machida Yokohama Teisankankou Bus No.2 5506.JPG|thumb|240px|貸切バス事業者が高速路線バスの受託運行を行う例(画像左・[[ハーバーライト号|青春ハーバーライト号]]・西日本ジェイアールバス運行、[[帝産観光バス]]受託)]]
 
(旧)バス事業のあり方検討会の報告書並びに[[関越自動車道高速バス居眠り運転事故|関越道での事故]]を受け、2012年[[7月30日]]には、国土交通省自動車局が従来の「高速(乗合)バス」と「(高速)ツアーバス」を一本化した「'''新高速乗合バス'''」制度を定め<ref>{{Cite press release|url=http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha03_hh_000123.html|title=新高速乗合バスについて|publisher=国土交通省自動車局|date=2012年7月30日|accessdate=2012年8月18日}}</ref>、省令や通達の改正を行った<ref>{{Cite news|url=http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120730/plc12073018460009-n1.htm|title=高速バス、31日から新制度 ツアーバスも規制厳しく 国交省|work=[[MSN産経ニュース]]|publisher=[[産経新聞]]|date=2012年7月30日|accessdate=2012年8月18日}}</ref>。「高速・貸切バスの安全・安心回復プラン」でも、高速ツアーバスの新高速乗合バスへの移行・一本化を2013年7月末までに行うことが明記されており、同日をもって従来の旅行代理店等が主催する募集型企画旅行商品である「(高速)ツアーバス」は乗合バス事業者による「新高速乗合バス」に収斂された。
 
 
具体的には、
 
* 乗合バス事業者による「[[管理の受委託 (バス)|管理の受委託制度]]」に「乗合バス事業者から乗合バス事業者への委託」に加え、「乗合バス事業者から(一定の法令遵守要件を満たす)貸切バス事業者への委託」のスキームを導入する<ref>{{PDFlink|[http://www.mlit.go.jp/common/000219957.pdf 高速バスの管理の受委託について]}} - 平成24年7月31日付け国土交通省自動車局通達(国自安第55号・国自旅第236号・国自整第78号)</ref>。
 
** 貸切バス事業者への委託の場合は、受託者の保有する車両での運行を基本とする(乗合バス事業者への委託は委託者の保有する車両での運行が基本)。
 
** 委託できる車両数(台数)は「高速バス系統全体の実働車両数に対する委託比率が原則1/2以内(法令遵守状況により2/3以内)」の上限が設けられる。乗合バス事業者への委託の場合は、車両比率に代えて系統長に対する委託比率の上限を適用することが出来る。
 
** 管理の受委託には国土交通省の認可を要し、受託者から第三者への再委託(いわゆる「下請け運転」)は禁止する。
 
** 受託者の運行管理・整備管理について委託者が受託者に対して指導・助言を行うなど、委託者・受託者一体となった安全管理体制の構築を義務づける。
 
* バス路線の便数・価格の変更届出期間を現行の「30日前まで」から「7日前まで」に大幅短縮する。届け出る運賃は「固定額運賃」だけではなく、割引運賃については上限額と下限額(上限額の80%以内)を示した「幅運賃」での届出を認める。
 
というものである<ref>{{PDFlink|[http://www.mlit.go.jp/common/000219455.pdf 「新高速乗合バス」について(別紙資料)] - 国土交通省自動車局2012年7月30日}}</ref>。これにより、過去からツアーバスを主催している旅行代理店が引き続き同様の事業を継続するには、移行期間の間に営業所、車庫、車両及び運転手等を自己で準備し、一般乗合旅客自動車運送事業の許可を受け、乗合バス事業者に業態変更する必要があるとされている。
 
 
なお、バス停留所の確保は、参入を希望する乗合バス事業者の責務ではあるが、場所によってはかなりの困難が予想される事から、国土交通省は2012年11月30日に「高速ツアーバス等の高速乗合バスへの移行のための高速バス停留所調整ガイドライン」<ref>{{Cite press release|url=http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha03_hh_000131.html|title=「高速ツアーバス等の高速乗合バスへの移行のための高速バス停留所調整ガイドライン」の策定について|publisher=国土交通省自動車局旅客課|date=2012年11月30日|accessdate=2013年4月1日}}</ref>を策定して、大都市の一部の地域の調整にあたる事になり、実際に2013年3月1日に第1回新宿駅周辺高速バス停留所調整協議会<ref>{{Cite press release|url=http://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/press/date/1302/j1_p130227.pdf|format="PDF|title=第1回新宿駅周辺高速バス停留所調整協議会の開催について|publisher=関東運輸局自動車交通部旅客第1課|date=2013年2月27日|accessdate=2013年4月1日}}</ref>、2013年3月25日に第1回東京駅八重洲口周辺高速バス停留所調整協議会<ref>{{Cite press release|url=http://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/press/date/1303/j1_p130321.pdf|format="PDF|title=第1回東京駅八重洲口周辺高速バス停留所調整協議会の開催について|publisher=関東運輸局自動車交通部旅客第1課|date=2013年3月21日|accessdate=2013年4月1日}}</ref>を開催した。
 
 
高速ツアーバス連絡協議会では、協議会内部に停留所対策委員会を設置し、関係各所への訪問に加え、バスターミナルや路上の新設停留所の確保、既存停留所の共用等の調整を開始するとしている<ref name="bus_stop">{{Cite report|url=http://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/kikaku_kankou/tourbus/date/2/sidai.pdf|format=PDF|series=第2回 関東地方高速ツアーバス安全対策会議|title=高速ツアーバス連絡協議会 業態転換について|publisher=関東運輸局|author=高速ツアーバス連絡協議会|date=2012年9月25日|pages=45-49|accessdate=2013年4月1日}}</ref>。
 
また、会員各社の取組例として、旅行会社による貸切バス子会社の新設<ref group="†">オリオンツアーは自社系列のバス事業者「[[オー・ティー・ビー]]」を設立。日本ユース旅行及びロイヤルホリデーは主な運行委託先である[[エポック観光]]が中心となり「[[ジャムジャムエクスプレス]]」、「[[ロイヤルエクスプレス|ロイヤルバス]]」をそれぞれ立ち上げた。この他にも、日本案内通信は[[武元重機]]との合弁会社「[[武元重機|サンシャインエクスプレス]]」を設立している。</ref>(乗合事業許可も取得予定)や、貸切バス事業者が新車を乗合バス仕様で購入する例が紹介されている<ref name="bus_stop" />。
 
 
ツアーバスから新高速乗合バスへの転換実例としては、[[アルピコ交通]]の[[さわやか信州号]](季節催行)がある。同便は2012年度までは同社の貸切バス部門([[アルピコハイランドバス]])が運行するツアーバス形式で運行されていたが、2013年度の運行分から路線バスに転換した<ref>{{cite press release|title=さわやか信州号2013の運行について|url=http://sawayaka.alpico.co.jp/info/130301.php|publisher=アルピコ交通|date=2013-4-1|accessdate=2013-5-4}}</ref>(ただし、アルピコ交通自体が元々高速路線バスの運行事業者であり、いわゆるツアーバス専業の事業者とは事情が異なる)。一方、高速路線バス事業者の中にも新制度を活用する動きが見られ、2012年12月には既存の高速路線バス事業者である[[京王電鉄バス]]が[[西東京バス]]・[[アルピコ交通]]に管理の委託を開始、[[西日本ジェイアールバス]]においても格安便を中心に[[日本交通 (大阪府)]]や[[帝産観光バス]]に管理を委託する動きが見られている。運賃の変更についても京王電鉄バスが、新宿-甲府線の2枚綴回数券運賃を期間限定で2000円(普通運賃片道は1950円)とする<ref>{{Cite press release|title=特別割引「年末2回回数券」を販売します!|url=http://www.keio.co.jp/news/backnumber/news_release2012/nr121212_kofu.pdf|format=PDF|author=京王電鉄バス|date=2012-12-12|accessdate=2013-4-7}}</ref>など、各社がいわゆる季節性運賃の導入を発表している。
 
 
=== 都市間ツアーバスの終焉 ===
 
2013年(平成25年)7月30日、国土交通省は新高速乗合バス事業を営む49社、及び新高速乗合バスの受委託を行う30社に対して道路運送法に基づき許認可を行った<ref>[http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha03_hh_000146.html 7月31日夜からの新高速乗合バスの運行開始について](国土交通省、2013年7月30日)</ref>。翌31日をもって旅行業法に基づく都市間ツアーバスの運行は終了し、31日夜出発便から新高速乗合バスとしての運行を開始した。
 
 
従来の都市間ツアーバスを運行していた事業者のうち7割は新高速乗合バス事業に参入していない<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130730-OYT1T01076.htm 高速ツアーバス、7割撤退…8月から規制強化で](読売新聞、2013年7月31日)</ref>。事業者の減少に伴い路線・便数の減少や運賃の上昇が懸念されるが、[[太田昭宏]]・国土交通大臣は記者会見で、2013年8月のピーク期に新高速乗合バス大手6社が運行するバスの便数は前年同月比で約3割減少していることを指摘した上で、「(既存の)高速バスを含めた全体の中でツアーバスのシェアは6%程度。その中の3割減少ということ」と述べた<ref>[http://www.mlit.go.jp/report/interview/daijin130730.html 太田大臣会見要旨](国土交通省、2013年7月30日)</ref>。
 
  
 
== 脚注 ==
 
== 脚注 ==
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{{Reflist|2}}
 
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=== 参考文献 ===
 
* {{Cite book|和書|author =[[鈴木文彦]] |authorlink = |coauthors = |year = 1989|title = 高速バス大百科|publisher = [[中央書院]]|ref = {{SfnRef|鈴木|1989}} |id = |isbn = 4924420360}}
 
* {{Cite book|和書|author =鈴木文彦 |authorlink = |coauthors = |year = 1991|title = 新版・高速バス大百科|publisher = 中央書院|ref = {{SfnRef|鈴木|1991}} |id = |isbn = 492442062X}}
 
* [[NHKスペシャル]]「[http://www.nhk.or.jp/special/onair/070430.html 高速ツアーバス 格安競争の裏で]」([[2007年]][[4月30日]]放送)
 
* [[日経スペシャル ガイアの夜明け]]「[http://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/backnumber/preview070619.html 町からバスが消える『~ 規制緩和で揺らぐ地域の足 ~ 』]」([[2007年]][[6月19日]]放送)
 
* [[日本私鉄労働組合総連合会]]「[http://www.pru.or.jp/document/details.php?id=286&root=286 「ツアーバス」の実態]」
 
* [[全日本交通運輸産業労働組合協議会]]「[http://www.koun-itf.jp/cgi/tool/DataFile/policy/bus1.pdf 新宿西口周辺ツアーバス実態調査]」(2008年[[8月11日]])「[http://www.koun-itf.jp/cgi/tool/DataFile/policy/1118.pdf 東京駅周辺ツアーバス実態調査報告]」(2008年[[10月15日]])
 
* 『運輸と経済』2009年3月号(財団法人運輸調査局)の特集「新時代の高速バス」- [[高速バス]]事業者とツアーバス予約サイト双方の担当者による論稿が並んで掲載されている。
 
* {{Cite journal|和書 |author= 松浦大・麻田麻衣・中原美絵子・安西達也・吉田正志・梅崎恵司・山田雄一郎/松崎泰宏・大坂直樹 |year= 2010 |month= 7 |title= 特集/大異変!バス&タクシー&客船 |journal= [[週刊東洋経済]] |issue= 2010 7/17号 |pages= 36-85ページ |publisher= [[東洋経済新報社]]|ref = {{SfnRef|週刊東洋経済|2010}} }}
 
* {{Cite report|author = 国土交通省自動車局|authorlink=自動車局|url=http://www.mlit.go.jp/common/000136278.pdf|format=PDF||title = ツアーバスの制度的取扱いの変遷(第3回バス事業のあり方検討会 資料4)|ref = {{SfnRef|制度変遷}} |date=2011-01-20|pages=7-11| accessdate = 2013-05-03}}
 
  
 
== 関連項目 ==
 
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* [[旅行業法]]
 
* [[旅行業法]]
  
== 外部リンク ==
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* [http://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk2_000010.html 高速ツアーバス運行事業者リストの作成・公表及び同リストの活用](国土交通省自動車局)
 
  
 
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2018/9/20/ (木) 14:44時点における最新版

ツアーバス

日本において旅行代理店貸切バスを借り上げて人員の輸送を行う募集型企画旅行商品、又はその目的で用いられる貸切バスをいう。

概要

道路運送法に基づき路線バス事業者が運行を行う長距離路線バス(いわゆる高速バス)とは異なり、旅行業法に基づき旅行代理店等の主催者が観光バスを借り上げて、募集型企画旅行の形態で旅行参加者(=乗客)を募集する形態をとる。

このため、ツアーバスにおいては、代金は「運賃」ではなく「旅行代金」として収受され、バス事業者自らが旅行代理店として募集型企画旅行の主催者(又は受託者)となるもの以外は、参加者がバス事業者に代金を直接支払う事はなく[† 1]、主催する旅行代理店(営業窓口、または集合場所等に駐在する証明書(外務員証)を携帯した旅行代理店の外務員[† 2])に支払うことになる。貸切バスで観光地などを巡る一般的な団体旅行(バスツアー)と大きく異なる点として、貸切バス事業者の職員である車掌バスガイドは同乗しない、また、旅行代理店の職員である添乗員も随行しない、出発から到着までの間は運送(輸送)以外の役務提供は行われない[† 3]食事の提供、観光施設の入場や宿泊・休憩は旅行代金に含まれない。

脚注

注釈

  1. 道路運送法第21条では、一般貸切旅客自動車運送事業者が乗合旅客の運送を行えるのは災害時など特別な場合に限られることを定めている。
  2. 旅行業法第12条の6では、旅行代理店の営業所外での取引行為を行う者に所定の外務員証の携行及び、取引時の掲示を義務づけている。外務員証については全国旅行業協会では正会員向けに統一外務員証を作成し[1]、日本旅行業協会では外務員証の用紙(ひな形)を頒布している[2]が、国土交通省令で定める様式であれば必ずしもこれらを用いる必要はない。
  3. 「企画旅行」の体裁を満たすため、使い捨ておしぼり歯ブラシなどの小物が配布される場合がある。

出典

  1. 全国旅行業協会. “カード型「全旅協統一外務員証」の作成について”. . 2012-9-3閲覧.
  2. 日本旅行業協会. “申込書兼販売物リスト (PDF)”. . 2012-9-6閲覧.


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