セルロイド

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ファイル:Ballsizes.JPG
セルロイド製のピンポン玉

セルロイド (celluloid) は、ニトロセルロース樟脳などから合成される合成樹脂硝酸セルロース)の名称である。歴史上最初の人工の熱可塑性樹脂である。象牙の代用品として開発され、加熱(大体90℃)で軟化し、成形が簡単であることからかつて大量に使われた。

歴史

20世紀の半ばまでは、食器の取っ手や万年筆の筒や眼鏡のフレーム、洋服の襟(カラー)やおもちゃ、飾り物などに広く利用されたセルロイドだが素材の顕著な可燃性が問題となり、アメリカから広まったセルロイド製品の市場からの排除運動が世界へ広まり、のちにそれらの製品の多くはアセテートポリエチレンなど後発のすぐれた合成樹脂素材に取って代わられた。

アニメーション製作に使われる「セル」は、当初セルロイドのシートを使用していたため、現在も名前として残っている。

欠点

硝酸セルロースは極めて燃え易く、摩擦熱などによって発火し易い。さらに光などで劣化し、耐久性が低いという欠点がある。

ファイル:9-5 cine film.jpg
劣化が進んでいるセルロイド製の9.5mmフィルム

前者の欠点は取り扱いやすさという点では致命的であり、セルロイド工場では素材の自己反応性による発火が、しばしば火災の原因となった。映画の初期作品(1950年代まで)はセルロイドをベースとしたフィルムで記録されており、映画館ではフィルム照明のアーク灯や電球の高温や摩擦によりセルロイドフィルムが発火するなどの事故も起きた。可燃性でフィルム自体が劣化しやすいセルロイドの特性は、フィルム原本の保管を基本とするフィルム保管施設の作品の長期アーカイブ上の課題となっている。また実際に日本では火災事故が起きている(フィルムセンター火災)。日本ではセルロイドは消防法の可燃性の規制対象物(第5類危険物)に指定され製造、貯蔵、取扱方法が厳しく定められている。

またセルロイド製品は長期にわたる光や酸素などの影響を受けると、元のセルロースと硝酸に分解・劣化して、ベトついたり、亀裂を生じたりしやすい。このため長期保存に向かず、無傷で現存しているアンティーク製品は多くはない。また分解過程で強酸性ガスを発生させ、セルロイド自身や周辺の金属などを、腐食させる可能性がある。

用途

セルロイドに代わる、不燃性の酢酸セルロース(アセテート)など、プラスチック類の代替素材の開発が目覚ましく進歩したことから、現在では多く用いられることはなくなった。代表的な製品はピンポン玉(但し、現在はほとんどプラスチック製のボールが用いられている)、人形ギターピックや、その美しさから眼鏡のフレームやペン軸の材料として、引き続き少量が使われている。

セルロイド人形

前記のような加工しやすさから、日本東京府本田村(現・葛飾区)で1914年(大正3年)、人形などセルロイド製おもちゃの生産が始まり、多数が輸出された。発火しやすいことを問題視したアメリカ政府の輸入禁止により、産業としては衰退。2002年に製造を再開した葛飾区の平井玩具製作所(外部リンク参照)が2018年時点で国内唯一の生産会社である[1]

関連項目

脚注・出典

外部リンク