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{{出典の明記|date=2013年6月23日 (日) 17:21 (UTC)|ソートキー=植物}}
 
{{生物分類表
 
|名称 = ススキ
 
|色 = lightgreen
 
|画像=[[File:Miscanthus sinensis ja02.jpg|280px]]
 
|画像キャプション = ススキ
 
|界 = [[植物界]] [[:w:Plantae|Plantae]]
 
|門階級なし = [[被子植物]] {{Sname||Angiosperms}}
 
|綱階級なし = [[単子葉類]] {{Sname||Monocots}}
 
|目 = [[イネ目]] [[:w:Poales|Poales]]
 
|科 = [[イネ科]] [[:w:Poaceae|Poaceae]]
 
|属 = [[ススキ属]] ''[[:w:Miscanthus|Miscanthus]]''
 
|種 = '''ススキ''' ''M. sinensis''
 
|学名 = ''Miscanthus sinensis'' [[ニルス・アンデション|Andersson.]] ([[1855年|1855]])
 
|和名 = ススキ(芒、薄)
 
}}
 
  
'''ススキ'''(芒、薄、{{snamei|Miscanthus sinensis}})とは、[[イネ科]]ススキ属の[[植物]]。'''尾花'''ともいい[[秋の七草]]の一つ。また'''[[カヤ (草)|茅]]'''(かや。「'''萱'''」とも書く)と呼ばれる有用植物の主要な一種。
+
'''ススキ'''(芒、薄、{{snamei|Miscanthus sinensis}}
野原に生息し、ごく普通に見られる多年生[[草本]]である。
 
  
== 特徴 ==
+
イネ科の多年草。カヤとも呼ばれる。広く東アジアに分布し,各地の山野や土手などに普通に生える。地下に分枝した短い根茎があり,大きな株をつくって毎年地上茎を伸ばし高さ 2mに達する。葉は線形で緑色,中肋の部分だけ白い。秋,茎頂に十数本ぐらいの側枝のある花穂を出し,各枝にはほとんど基部から小穂が並ぶ。花には長い芒 (のぎ) があり,また基部に白色または帯赤紫色の多数の長い毛があるので,穂はふさふさして獣の尾のようにみえ,オバナ (尾花) の別名がある。秋の[[七草]]として挿花にも使われ,茎は屋根をふいたり,炭俵や草履に使われる。日本にはススキの仲間として常緑の[[トキワススキ (常盤薄) ]],暖地の海岸に生える大型の[[ハチジョウススキ]]などがある。
高さは1から2m。地下には短いがしっかりした[[地下茎]]がある。そこから多数の花茎を立てる。[[]]は細長く、根出葉と稈からの葉が多数つく。また、[[ケイ酸]]を多く含むため堅く、縁は鋭い鉤状になっているため、皮膚が傷つくことがある。
 
  
夏から秋にかけて[[茎]]の先端に長さ20から30cm程度の十数本に分かれた[[花穂]]をつける。花穂は赤っぽい色をしているが、[[種子]](正しくは穎果・えいか)には白い毛が生えて、穂全体が白っぽくなる。種子は風によって飛ぶことができる。
 
 
日本には全国に分布し、日当たりの良い山野に生息している。
 
 
夏緑性で、地上部は冬には枯れるのが普通であるが、[[沖縄諸島|沖縄]]などでは常緑になり、高さは5mに達する。その形ゆえに、たまに[[サトウキビ]]と勘違いする観光客がいる。国外では朝鮮半島・中国・台湾に分布するほか、[[北米]]では[[侵略的外来種]]として猛威をふるっている(日本に[[セイタカアワダチソウ]]が侵入したのと逆の経路で伝播)。
 
 
== 遷移上の位置づけ ==
 
植物[[遷移 (生物学)|遷移]]の上から見れば、ススキ草原は[[草原]]としてはほぼ最後の段階に当たる。ススキは株が大きくなるには時間がかかるので、初期の草原では姿が見られないが、次第に背が高くなり、全体を覆うようになる。ススキ草原を放置すれば、[[アカマツ]]などの先駆者(パイオニア)的な[[樹木]]が侵入して、次第に森林へと変化していく。後述の茅場の場合、草刈りや火入れを定期的に行うことで、ススキ草原の状態を維持していたものである。
 
 
== 分類 ==
 
本州南部以南の海岸線には、葉の幅が広く、ざらつきの少ないものがあり、これを'''ハチジョウススキ'''({{snamei|M. condensatus}} Hack.)という。変種と見なす立場もある。
 
 
同属の別種もいくつかある。やや華奢な植物で、水辺に生えて、綿毛が純白のものに'''[[オギ]]'''(荻、{{snamei|M. sacchariforus}} (Maxim.) Benth.)がある。ススキよりさらに大きく、堤防などに大きな株を作るものに'''トキワススキ'''({{snamei|M. floridulus}} (Labill.) Warb.)がある。他にも[[カリヤス]](苅安、{{snamei|M. tinctorius}} Hack.)、[[カリヤスモドキ]]({{snamei|M. oligostachyus}})など数種が知られるが、多くない。
 
 
ススキはイネ科の代表のひとつと見なされているから、ススキの名を持つ植物は多く、たとえば以下のようなものはさほどススキに似ておらず、分類上も近くはないがその名を持っている。
 
*[[アブラススキ]]、[[コメススキ]]、[[ヒメアブラススキ]]、ススキ[[メヒシバ]] など
 
 
== 利用 ==
 
かつては「'''[[カヤ (草)|茅]]'''」(かや)と呼ばれ、農家で[[茅葺]](かやぶき)屋根の材料に用いたり、[[家畜]]の餌として利用することが多かった。そのため集落の近くに定期的に刈り入れをするススキ[[草原]]があり、これを'''茅場'''(かやば)と呼んでいた。現在では、そのような利用がされないので、その多くは遷移が進んで、[[雑木林]]となっている。そのため、ススキ草原に生育していた植物には、かつて普通種であったが、現在は稀少になっているものがある。また、[[カヤネズミ]]なども同様に見かけにくくなっている。
 
 
また、未成熟の穂を食用とする地域もある。
 
 
東京・雑司ヶ谷[[法明寺 (豊島区)|鬼子母神]]では、ススキの穂を[[ミミズク]]の姿に作った「[[すすきみみずく]]」が有名。
 
 
== 文化 ==
 
{{節スタブ}}
 
 
=== 日本文化とススキ ===
 
[[月見#八月十五夜|十五夜]]の[[月見]]には、[[ハギ]](萩)とともにススキを飾ることが多い。
 
[[花札]]では、八月、すなわち[[旧暦]][[8月 (旧暦)|8月]]、[[新暦]]の感覚で[[秋]]に相当する時節に用いられている。
 
[[沖縄県|沖縄地方]]には、ススキの葉を環のように結んで[[お守り|魔除け]]とする[[風習]]がある。
 
 
[[ファイル:Haflinger horse on pasture in the Netherlands.jpg|thumb|right|230px|尾花栗毛の[[ウマ|馬]]]]
 
 
{{Anchors|尾花|尾花栗毛}}[[日本語]]では、ススキの穂は、それを動物の[[尾]]に見立てて'''尾花'''(おばな)と呼ぶことがあり、ススキ自体もそのように呼ばれることがある。この「尾花」はススキおよびススキの穂を意味する[[古名]]であり、[[奈良時代]]初期の[[歌人]]・[[山上憶良]]が『[[万葉集]]』(巻八 1538)にて「[[ハギ|萩]]の花 '''尾花''' [[クズ|葛]]花 [[ナデシコ|撫子]]の花 [[オミナエシ|女郎花]] また [[フジバカマ|藤袴]] [[アサガオ|朝顔]]の花」と詠んだように、古来、[[七草#秋の七草|秋の七草]]の一つに数えられている。
 
また、[[馬の毛色]]で'''尾花栗毛'''(おばなくりげ)というのは、[[栗毛]]馬や栃栗毛馬であることに加えて[[鬣|鬣(たてがみ)]]や尾の長毛が[[白|白色]]のものを指す。この白毛は遠目には[[金色]]に輝いて見えるため、その特徴を秋のススキの穂になぞられて呼ばれたものである。
 
 
{{Anchors|枯れ尾花|枯尾花}}'''枯れすすき'''(枯薄、花も穂も枯れたススキ)には'''枯れ尾花'''/'''枯尾花'''(かれおばな)という呼称(古名)もあり、現代でも「'''[[幽霊]]の正体見たり枯尾花'''」という[[ことわざ|諺]]はよく知られている。これは[[江戸時代]]中期の[[国学|国学者]]で[[俳句|俳人]]の[[横井也有]]が俳文集『[[鶉衣]]』の中で「一年松木淡々己れ高ぶり 人を慢(あなど)ると伝へ聞き 初めて対面して[[お化け|化物]](ばけもの)の正躰見たり枯れ尾花 其(そ)の誠心なること大概この類なり」と述べたうちの「化物の正躰見たり枯尾花」が世に広まりつつ変化したものであるが、これは「[[猜疑心|疑心暗鬼]]に陥った心境下では風になびく枯れ尾花のような何でもないものも怪しげに思え、幽霊のようなただならないものと見間違えてしまう」ということから、「[[恐怖]]心や[[猜疑心]]があると、何でもないものでも、怖ろしげなもの、怪しげなものに思えてしまう」ということを意味する譬えとなっている。さらには、やはりススキの穂にまつわる[[類義語]]として「'''[[落武者]]は薄の穂にも怖'''(お)'''ず'''」 (''cf.'' [[wikt:落ち武者は薄の穂にも怖ず|wikt]]) があるが、こちらは「落武者は捕まることを警戒し、怯えているためススキの穂にも恐怖する」ということから転じて先の諺と同じ意味で用いられる。
 
また、江戸時代中期の俳人・[[与謝蕪村]]は「[[狐火]]の 燃えつくばかり 枯尾花」と詠んでいるが、こちらは、夜の野原にて風に揺らめく枯尾花の情景を、怪しく燃え盛る[[現世|この世]]のものならぬ狐火に譬えた[[俳句]]<!--※上述の諺と区別を明示します。-->である。
 
 
== ギャラリー ==
 
<gallery>
 
ファイル:Miscanthus sinensis4.jpg|穂についている葯
 
ファイル:Miscanthus sinensis5.jpg|実の部分の拡大
 
ファイル:Leaf edge of Miscanthus sinensis.png|葉の縁の鋭い鉤状の拡大(目盛りの 0-1 は1[[ミリメートル]]長)。不用意に触れると手足を切ることがある。
 
ファイル:Miscanthus sinensis variegation flower leaf jp.jpg|斑入り品種<br/>鷹羽薄(たかのはすすき)、矢羽薄(やはね-)
 
ファイル:Han iri susuki Zebra grass.png|斑入り品種<br/>矢筈薄(やはず-)。虎斑薄(とらふ-)とも呼ばれる。
 
ファイル:Tonomine highland Kamikawa Hyogo pref Japan05bs3.jpg|[[砥峰高原]]ススキ大群生
 
ファイル:Soni highlands Nara08n4592.jpg|[[曽爾高原]]のススキ群生
 
ファイル:Hakone sengokuhara susuki1.jpg|箱根[[仙石原]]のススキ野
 
</gallery>
 
 
==ススキに関する諸項目 ==
 
=== ススキが登場する作品 ===
 
*[[船頭小唄]]
 
* 昭和枯れすすき(歌謡曲:[[さくらと一郎]]、映画:松竹1975年、[[野村芳太郎]]監督)
 
 
===ススキに関連する地名===
 
*[[すすきの]](北海道札幌市)
 
*[[すすき野]](神奈川県横浜市)
 
*[[日本橋茅場町]](東京都)
 
 
===著名なススキ群生地===
 
*[[砥峰高原]]
 
*[[曽爾高原]]
 
 
==関連項目==
 
*[[カヤ (草)]]
 
*[[すすきみみずく]]
 
 
{{Wikiquote|薄}}
 
{{Commons|Miscanthus sinensis}}
 
 
{{デフォルトソート:すすき}}
 
{{デフォルトソート:すすき}}
 
[[Category:イネ科]]
 
[[Category:イネ科]]
 
[[Category:草]]
 
[[Category:草]]

2019/4/24/ (水) 10:22時点における最新版

ススキ(芒、薄、Miscanthus sinensis

イネ科の多年草。カヤとも呼ばれる。広く東アジアに分布し,各地の山野や土手などに普通に生える。地下に分枝した短い根茎があり,大きな株をつくって毎年地上茎を伸ばし高さ 2mに達する。葉は線形で緑色,中肋の部分だけ白い。秋,茎頂に十数本ぐらいの側枝のある花穂を出し,各枝にはほとんど基部から小穂が並ぶ。花には長い芒 (のぎ) があり,また基部に白色または帯赤紫色の多数の長い毛があるので,穂はふさふさして獣の尾のようにみえ,オバナ (尾花) の別名がある。秋の七草として挿花にも使われ,茎は屋根をふいたり,炭俵や草履に使われる。日本にはススキの仲間として常緑のトキワススキ (常盤薄) ,暖地の海岸に生える大型のハチジョウススキなどがある。