「ジボラン」の版間の差分

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'''ジボラン''' (diborane、B<sub>2</sub>H<sub>6</sub>) は、[[ホウ素]]の[[水素化物]]。狭義の[[ボラン]](モノボラン、BH<sub>3</sub>)の[[二量体]]として存在する。
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'''ジボラン''' (diborane、B<sub>2</sub>H<sub>6</sub>)  
  
単体は無色で、特徴的な甘い臭気を持つ気体。[[分子量]]は 27.67([[空気]]を1とした場合の[[比重]]は 0.965)。[[融点]]は -164.9 ℃、[[沸点]]は -92.8 ℃。[[CAS登録番号]]は 19287-45-7。
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化学式 B<sub>2</sub>H<sub>6</sub> 。化学的に活発な,揮発性の水素化ホウ素 ([[ボラン]] ) の1つ。これらは 1912~36年に [[A.ストック]]らによって合成された。ジボランは高級水素化ホウ素の出発物質として重要。融点-165.5℃,沸点-92.5℃。常温では比較的安定であるが,湿気があると自然発火する。強い還元作用があり,アルコールと反応して水素を発生し,常温で多くの有機化合物を還元する。水に触れると瞬間的に加水分解し,ホウ酸を生じる。ホウ素の中性子吸収断面積が大きいので,中性子カウンターの材料に使われる。また高い燃焼熱を利用して航空機,ロケット用燃料に使われる。すぐれた還元剤として有機合成にも利用される。
 
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ジボランは[[水素化ホウ素ナトリウム]] (NaBH<sub>4</sub>) を[[硫酸]]で[[加水分解]]するか、BF<sub>3</sub> や BCl<sub>3</sub> と処理すると得られる。
 
: <ce>2 NaBH4\ + H2SO4 -> B2H6\ + Na2SO4\ + 2 H2</ce>
 
 
 
== 性質 ==
 
[[酸素]]および水分を遮断した状態では 25 ℃ において安定であるが、湿気のある[[空気]]中では低温においても自然発火する。[[水]]により瞬時に[[加水分解]]し、[[ホウ酸]] (H<sub>3</sub>BO<sub>3</sub>) と[[水素]]を生じる。空気を遮断して 100 ℃ に加熱すると B<sub>10</sub>H<sub>14</sub> など、より高次のボラン類を生成する。
 
 
 
[[アルコール]]と反応すると、[[ホウ酸エステル]]を生ずる。
 
: <ce>B2H6\ + 4 CH3OH -> 2 HB(OCH3)2\ + 4 H2</ce>
 
 
 
[[エーテル (化学)|エーテル]]などの[[溶媒]]中で[[アルケン]]と反応させると、単量体に解離したモノボランに[[付加反応]]を起こし、[[ヒドロホウ素化]]反応が起こる。
 
 
 
== ジボランの構造 ==
 
ジボランの、水素-ホウ素間の4個の電子のうち2個(ホウ素-水素-ホウ素の結合)は、ホウ素の空軌道を使っている。水素-ホウ素結合で結びついている4個の水素原子と2個のホウ素原子は同一平面上に位置するが、ホウ素-水素-ホウ素の結合の中間に位置する2つの水素原子は平面の上下にある。このような結合を[[三中心二電子結合]]と呼ぶ。
 
{{main|ボラン}}
 
 
 
== ジボランの用途 ==
 
ジボランは[[半導体]]材料[[気体|ガス]]として重要である。[[重合]][[触媒]]や[[還元剤]]、[[ロケット]]の[[推進剤]]としても役立つ。ただし、[[引火性]]が高く、[[爆発性]]で、さらに[[毒性]]が高い。
 
 
 
ジボランを用いると、半導体表面にホウ素を[[ドープ]](添加)できる。[[シリコン]]膜上にホウ素をドープすると、電子の不足した領域、すなわち[[P型半導体|p型]]のシリコン膜を形成できる。なお、[[N型半導体|n型]]のシリコン膜を形成するには電子が過剰な[[ヒ素]]をドープすればよいため、[[アルシン]]を用いる。単なるシリコン薄膜形成には[[シラン (化合物)|シラン]](モノシラン)や[[ジクロロシラン]]が適する。
 
 
 
ジボランをドープするには[[化学気相成長]] (CVD) 装置などの[[真空チャンバー]]を用いる。[[水素]]をキャリア(薄めるガス)としたジボランを通じ、放電を起こすことでドープできる。また、他のボラン類の合成材料ともなる。
 
 
 
== ジボランの危険性 ==
 
ジボランの[[発火点|自然発火温度]]は 38 ℃ - 52 ℃ と低く、爆発範囲は 0.8 - 98 % と広い。ホウ酸と爆発性の高い水素に分解しやすいことから、[[高圧ガス保安法]]では「その消費に際し災害の発生を防止するため特別の注意を要するものとして政令で定める種類」として、ジボランを含む、モノシラン、アルシンをあらかじめ定めている。
 
 
 
ジボランの1日8時間作業の許容濃度は 0.1 [[ppm]]([[米国産業衛生専門家会議|TLV-TWA]]: Threshold Limit Values-Time Weighted Average、時間加重平均許容濃度)である。吸入すると咳や息苦しさを覚え、脱力感を覚えるという。なお、アルシンの許容濃度は 0.005 ppm である。
 
 
 
== 関連項目 ==
 
* [[ジボラン(4)]]
 
  
 
{{水素の化合物}}
 
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{{ホウ素の化合物}}
 
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[[Category:無機化合物]]
 
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2018/10/22/ (月) 23:49時点における最新版


ジボラン (diborane、B2H6)

化学式 B2H6 。化学的に活発な,揮発性の水素化ホウ素 (ボラン ) の1つ。これらは 1912~36年に A.ストックらによって合成された。ジボランは高級水素化ホウ素の出発物質として重要。融点-165.5℃,沸点-92.5℃。常温では比較的安定であるが,湿気があると自然発火する。強い還元作用があり,アルコールと反応して水素を発生し,常温で多くの有機化合物を還元する。水に触れると瞬間的に加水分解し,ホウ酸を生じる。ホウ素の中性子吸収断面積が大きいので,中性子カウンターの材料に使われる。また高い燃焼熱を利用して航空機,ロケット用燃料に使われる。すぐれた還元剤として有機合成にも利用される。





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