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|参照法条 = [[日本国憲法第21条|憲法21条]]、民法1条,民法709条,民法710条,民法723条,刑法230条の2
 
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'''サンケイ新聞事件'''(さんけいしんぶんじけん)とは、サンケイ新聞(現・[[産経新聞]])に掲載された[[自由民主党 (日本)|自由民主党]]の[[日本共産党]]に対する[[意見広告]]をめぐって、共産党が反論権([[アクセス権 (知る権利)|アクセス権]])を求めて発行元の[[産業経済新聞社]]を訴えた[[裁判]]。
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'''サンケイ新聞事件'''(さんけいしんぶんじけん)
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サンケイ新聞(現・[[産経新聞]])に掲載された[[自由民主党 (日本)|自由民主党]]の[[日本共産党]]に対する[[意見広告]]をめぐって、共産党が反論権([[アクセス権 (知る権利)|アクセス権]])を求めて発行元の[[産業経済新聞社]]を訴えた[[裁判]]。
  
 
== 概要 ==
 
== 概要 ==
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一審・二審とも憲法21条から直接に反論権は認められない、人格権の侵害を根拠としても[[新聞]]に反論文の無料掲載などという作為義務を負わせることは法の解釈上も条理上もできないとされ、また当事件では[[名誉毀損]]も成立しないとして共産党の請求は[[棄却]]された。[[判決 (日本法)|判決]]を不服とした共産党はただちに[[上告]]したが[[最高裁判所 (日本)|最高裁]]は上告棄却し、日本共産党の全面敗訴が確定した。
 
一審・二審とも憲法21条から直接に反論権は認められない、人格権の侵害を根拠としても[[新聞]]に反論文の無料掲載などという作為義務を負わせることは法の解釈上も条理上もできないとされ、また当事件では[[名誉毀損]]も成立しないとして共産党の請求は[[棄却]]された。[[判決 (日本法)|判決]]を不服とした共産党はただちに[[上告]]したが[[最高裁判所 (日本)|最高裁]]は上告棄却し、日本共産党の全面敗訴が確定した。
 
== 意義 ==
 
反論権(アクセス権)に関する訴訟の代表として知名度が高い事件である。政党批判など新聞の[[表現の自由]]に対して間接的危険(萎縮効果)をもたらすおそれがあるとして判例は反論権には否定的で、少なくとも憲法21条から具体的権利としては認められず、具体的権利とするためには明文化された法制度の確立が必要とされた。しかし、明文化したところで[[マスメディア]]の消極的表現の自由を侵害するものとして違憲と判断される可能性も高い。 ただし判例も留保しているように不法行為が成立する場合(名誉毀損などの場合)の反論権は[[民法 (日本)|民法]]723条による救済方法の一つとしては考えうる。
 
 
== その後 ==
 
元来サンケイ新聞は[[反共主義]]を掲げていたが、この事件によって両者の反目は決定的となった。その中で[[1988年]]、[[北朝鮮による日本人拉致問題]]のうち、[[アベック失踪事件]]を追っていた[[橋本敦]]議員の秘書・[[兵本達吉]]は、情報源となる[[1980年]]1月の産経新聞の記事について、執筆者の[[阿部雅美]]に連絡を取った。共産党からは反共の産経新聞との接触を禁じられていたが、兵本は構わずに阿部の元に電話をかけた。阿部も相手が共産党関係者と聞くと構えた口調になったが、兵本の熱意に押され、事件の内容をこと細かく話したという。しかし両組織の関係上、この2人が実際に会えたのは[[横田めぐみ]]の拉致が明らかになった後だったという<ref>[[高世仁]]著「娘をかえせ 息子をかえせ ―北朝鮮拉致事件の真相―」、旬報社</ref>。
 
  
 
== 脚注 ==
 
== 脚注 ==
 
<references />
 
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== 関連項目 ==
 
* [[産経新聞]]
 
* [[日本共産党]]
 
* [[アクセス権 (知る権利)]]
 
  
 
== 外部リンク ==
 
== 外部リンク ==
 
* [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55168 裁判例情報(判例検索システム)]
 
* [http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55168 裁判例情報(判例検索システム)]
  
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[[Category:産経新聞の歴史]]
 
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2018/10/5/ (金) 12:00時点における版

最高裁判所判例
事件名 反論文掲載請求事件
事件番号 昭和55(オ)第1188号
1987年(昭和62年)4月24日
判例集 民集第41巻3号490頁
裁判要旨
  1. 憲法二一条の規定から直接に、所論のような反論文掲載の請求権が他方の当事者に生ずるものでないことは明らかである。
  2. これらの負担(反論権)が、批判的記事、ことに公的事項に関する批判的記事の掲載を躊躇させ、憲法の保障する表現の自由を間接的に侵す危険につながるおそれも多分に存する。
  3. 不法行為が成立する場合にその者の保護を図ることは別論として、反論権の制度について具体的な成文法がないのに、反論権を認めるに等しい上告人主張のような反論文掲載請求権をたやすく認めることはできない。
  4. 本件広告によつて政党としての上告人の名誉が毀損され不法行為が成立するものとすることはできない。
最高裁判所第二小法廷
裁判長 香川保一
陪席裁判官 牧圭次島谷六郎藤島昭林藤之輔
意見
多数意見 全員一致
意見 なし
反対意見 なし
参照法条
憲法21条、民法1条,民法709条,民法710条,民法723条,刑法230条の2
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サンケイ新聞事件(さんけいしんぶんじけん)

サンケイ新聞(現・産経新聞)に掲載された自由民主党日本共産党に対する意見広告をめぐって、共産党が反論権(アクセス権)を求めて発行元の産業経済新聞社を訴えた裁判

概要

1973年(昭和48年)12月2日にサンケイ新聞は自由民主党から広告料をもらったうえで同党の日本共産党に対する意見広告を紙面に掲載した。その内容は「前略 日本共産党殿 はっきりさせてください。」というタイトルで、当時の日本共産党が参議院選挙向けに掲げていた「民主連合政府綱領」が、自衛隊安保条約天皇国会・国有化の各点について「日本共産党綱領」と比較して矛盾していると批判するもので、目、鼻、口などがバラバラになった顔のイラストも添えられていた[1]

日本共産党はこれを意見を求める挑戦的広告だとして、憲法21条から反論権(アクセス権)が導かれるとして、「同一スペースの反論文の無料掲載」をサンケイ新聞に求めたが、サンケイ新聞側は「自由民主党と同じく有料の意見広告であれば掲載するが、無料では応じられない」と回答した。これに対して日本共産党は東京地裁に仮処分を求めたが、申請を却下された。さらに共産党は産業経済新聞社を相手取って「同一スペースの反論文の無料掲載」をさせるよう東京地方裁判所に訴訟を起こした。

一審・二審とも憲法21条から直接に反論権は認められない、人格権の侵害を根拠としても新聞に反論文の無料掲載などという作為義務を負わせることは法の解釈上も条理上もできないとされ、また当事件では名誉毀損も成立しないとして共産党の請求は棄却された。判決を不服とした共産党はただちに上告したが最高裁は上告棄却し、日本共産党の全面敗訴が確定した。

脚注

  1. 朝日新聞(東京本社版)1987年4月25日付朝刊1面より

外部リンク



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