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{{生物分類表
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[[ファイル:サトウキビ.jpg|サムネイル]]
|名称 = サトウキビ
+
'''サトウキビ'''(砂糖黍、学名:''Saccharum officinarum''
|色 = lightgreen
 
|画像= [[画像:Saccharum_officinarum_-_Köhler–s_Medizinal-Pflanzen-125.jpg|220px]]
 
|画像キャプション = サトウキビ
 
|界 = [[植物界]] [[:w:Plantae|Plantae]]
 
|門階級なし = [[被子植物]] [[:w:Angiosperms|Angiosperms]]
 
|綱階級なし = [[単子葉植物]] {{sname||Monocots}}
 
|目 = [[イネ目]] [[:w:Poales|Poales]]
 
|科 = [[イネ科]] [[:w:Poaceae|Poaceae]]
 
|属 = [[サトウキビ属]] ''[[:w:Saccharum|Saccharum]]''
 
|種 = '''サトウキビ''' ''S. officinarum''
 
|学名 = ''Saccharum officinarum''
 
|和名 = サトウキビ(砂糖黍)
 
|英名 = Sugarcane
 
}}
 
[[Image:Starr_030523-0142_Saccharum_officinarum.jpg|180px|right]]
 
'''サトウキビ'''(砂糖黍、学名:''Saccharum officinarum'')は、[[イネ科]][[サトウキビ属]]の[[植物]]。
 
  
== 呼称 ==
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イネ科の多年草。東アジアの熱帯原産と推定される。砂糖の原料植物としてキューバ,オーストラリア,台湾をはじめ南方地域で大規模に栽培されている。日本でもかつて四国 (特に香川) や熊本で栽培され,また南西諸島や小笠原諸島でも栽培されたが,現在はほとんどを輸入原糖に頼っている。茎は高さ2~4m,直径2~5cm,中実の円柱状で表面は緑色,黄緑色,紅紫色などで,さらに白色のろう物質でおおわれる。茎は 10~20%のショ糖を含み,そのまま噛んで甘い汁を吸うこともある。出穂直前の時期に茎を刈取り,圧縮してそのしぼり汁から原糖をとる。この原糖から煮沸,濃縮,結晶化を繰返して精製し,白砂糖をつくる。しぼり汁を発酵させた酒を糖酎といい,さらにこれを蒸留したものがラム酒で,西インド諸島で多く産する。
日本語の別名は'''甘蔗'''(かんしゃ、かんしょ)である<ref>[http://id.ndl.go.jp/auth/ndlsh/00570230 サトウキビ](国立国会図書館典拠データ検索・提供サービス)</ref>。ただし、「かんしょ」の発音は「甘藷」([[サツマイモ]])と同音であり、サトウキビの産地とサツマイモの産地が重複していることもあり、紛らわしいので好まれない。中国語では{{lang|zh|甘蔗}}({{ピンイン|gānzhè|ガンジョー}})と呼ぶ。
 
 
 
[[種子島]]では '''おうぎ'''、奄美群島の[[徳之島]]では '''うぎ'''、[[沖縄方言]]では '''ウージ''' と呼ばれている。これらは[[オギ]](荻)が訛ったものであるが<ref>[http://ryukyu-lang.lib.u-ryukyu.ac.jp/srnh/details.php?ID=SN51914 ヲゥージ:沖縄言語研究センター首里・那覇方言音声データベース]</ref>、オギは[[イネ科]][[ススキ属]]であり属が異なる植物である。[[新聞]]の[[見出し]]などでは、単に「'''キビ'''」と書かれることもある<ref>{{cite news |title=与那国、キビに枯れあがり 7月の雨、平年の4分の1 |newspaper=[[八重山毎日新聞]]|date=2014-8-27 |url=http://www.y-mainichi.co.jp/news/25687/ |accessdate=2014-8-30 }}</ref>。
 
 
 
学名”Saccharum officinarum”は「薬局の砂糖」を意味し、製糖が伝播しカナリア諸島などの栽培が行われていた15世紀のヨーロッパで、薬局が砂糖を甘味料や薬として扱っていたことに由来する。<ref>ラム酒大全 - ISBN 4416516134</ref>
 
 
 
== 特徴 ==
 
[[テンサイ]]と並んで[[砂糖]](蔗糖)の原料となる[[農作物]]である。栽培種の起源は[[ニューギニア島]]とその近くの島々と言われ、世界各地の[[熱帯]]、[[亜熱帯]]地域で広く栽培される。
 
 
 
[[茎]]は[[タケ|竹]]のように木化し、[[節]]がある。茎の節間の内部は竹とは異なり空洞ではなく、[[糖分]]を含んだ[[髄]]となっている。茎は高さ3 mにもなる。[[葉]]は[[トウモロコシ]]のように幅広い線形である。秋には茎の先端から[[ススキ]]のような[[穂]]を出す。
 
 
 
== 産地・栽培 ==
 
サトウキビ発祥の地は、現在のニューギニア島あたりで、紀元前6000年前後に現在のインド、さらに東南アジアに広まったといわれている<ref>『砂糖のイスラーム生活史』 佐藤次高 岩波書店 P17-40</ref>。また、インドを原産とする文献もある<ref>{{Cite book |和書 |title=原色牧野植物大図鑑 |author1=牧野富太郎 |authorlink=牧野富太郎 |year=1982 |page=p666}}</ref>。古代サンスクリット語による古文書の記載から、砂糖の精製は北インドが発祥ではないかとされている。
 
 
 
[[2002年]]時点の世界生産量は12億9000万トンという膨大な量に及ぶ(小麦は同年5億7000万トン)。[[ブラジル]] (28.0%)、[[インド]] (21.7%)、[[中華人民共和国|中国]] (6.4%) の順であるが、地域別に集計すると[[アジア|アジア州]] (43.5%)、[[南アメリカ|南アメリカ州]]、[[北アメリカ|北アメリカ州]]の順となる<ref>[[国際連合食糧農業機関|FAO]] Production Yearbook 2002</ref>。
 
 
 
サトウキビは'''[[C4型光合成]]'''と呼ばれるタイプの光合成を行う植物であり、栽培には十分な日照と、豊富な水源が必要である。
 
 
 
[[日本]]では、主に[[沖縄県]]と[[奄美群島]]を中心に栽培されている。また、[[九州]]や[[四国地方]]の[[高知県]]([[黒潮町]]など)や[[愛媛県]]([[四国中央市]]など)でも栽培されている。[[香川県]]([[東かがわ市]]など)や[[徳島県]]([[上板町]]など)では、[[和三盆]]という砂糖の原料として'''竹糖'''(ちくとう、たけとう)と呼ばれる茎が細いサトウキビが栽培されている。世界におけるサトウキビの商業栽培の最北限は、四国から伝播した[[横須賀町 (静岡県)|遠州横須賀]]地区([[静岡県]][[掛川市]]南西部)とみられる。ただし、竹糖はシネンセ種 (''S. sinense'') の為、一般的なオフィシナルム種 (''S. officinarum'') を使って和三盆と同じ製法で砂糖を製造しても同じ味にはならない。<!--(ただし、[[九州]]・[[本州]]の太平洋側などでも栽培は可能である。)-->
 
 
 
九州・四国等の温暖な地域で栽培されるサトウキビは製糖の歩留まりが低い為、[[農研機構]](独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構)は早生系のサトウキビの品種改良を行って2011年10月31日に本土向けサトウキビ育成品種として「黒海道(くろかいどう)」を発表している<ref>[http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/press/laboratory/karc/016945.html 本邦初の本土向けサトウキビ育成品種「黒海道(くろかいどう)」]</ref>(品種登録出願番号:第25823号)。
 
 
 
作型は春に植えてその年の冬に収穫する春植え栽培と、夏に植えて翌年の冬に収穫する夏植え栽培、そして収穫後の地下株から再び出る芽から栽培し収穫する株出し栽培がある。
 
海外では植え付けを行なうと、刈り入れまでほとんど人手が入らないが、日本国内では植付けから収穫までの間は、雑草防除や発根を促進し地上部の倒伏を防ぎ養水分の吸収を盛んにする為、1、2回培土を行う。収穫の際は、まず斧に似た農具で生え際で切り倒し、別人が鎌を用いて茎に巻き付いている枯れ葉を除去し先端部分を切り離す(先端部分は苗として利用する)。茎は適当に集めて置いておき、作業の終わり頃に搬送に適した量に結わえ付けて運搬車に載せる。そこまではほとんど人力で行なわれる。[[台湾]]・[[キューバ]]・[[ブラジル]]など規模の大きい外国の生産地では専用の大型収穫機が使われるが、日本でも小型の収穫機械による収穫が広まっている。
 
 
 
== 生産量 ==
 
{| class="wikitable" align=left style="clear:left"
 
|+ 上位10カ国 - 2005年集計
 
!国名!!単位:1000 t
 
|-
 
| {{flagicon|Brazil}} [[ブラジル]] || align="right" | 422,926
 
|-
 
| {{flagicon|India}} [[インド]] || align="right" | 232,300
 
|-
 
| {{flagicon|China}} [[中華人民共和国]] || align="right" | 87,768
 
|-
 
| {{flagicon|Pakistan}} [[パキスタン]] || align="right" | 47,244
 
|-
 
| {{flagicon|Mexico}} [[メキシコ]] || align="right" | 45,195
 
|-
 
| {{flagicon|Thailand}} [[タイ王国|タイ]] || align="right" | 43,665
 
|-
 
| {{flagicon|Colombia}} [[コロンビア]] || align="right" | 39,849
 
|-
 
| {{flagicon|Australia}} [[オーストラリア]] || align="right" | 37,822
 
|-
 
| {{flagicon|Indonesia}} [[インドネシア]] || align="right" | 29,505
 
|-
 
| {{flagicon|USA}} [[アメリカ合衆国]] || align="right" | 25,307
 
|-
 
|-
 
|'''世界の総生産量''' || align="right" | '''1,011,581'''
 
|-
 
|colspan=2|''出典: <br>[[国際連合食糧農業機関]] (FAO)''<ref>[http://faostat.fao.org/site/340/default.aspx faostat.fao.org]</ref>
 
|}
 
{{-}}
 
 
 
== 利用 ==
 
<!--[[File:Parque da Guarda 18.JPG|thumb|250px|搾汁の一例(->[[:File:Moenda de cana.ogv|動画]])]]-->
 
茎の隨を生食したり、搾った汁を[[製糖]]その他食品化学工業や工業用[[エタノール]]製造の原料とするなど多様な利用方法がある。[[沖縄県]]などで作られる[[黒糖]]のほか、[[四国]]地方で作られる[[白下糖]]と呼ばれる粗糖や、それを精製した上質の砂糖[[和三盆]]の原料もサトウキビである。
 
 
 
21世紀初頭以来の[[原油価格]]高騰により[[燃料]]用エタノールの需要急増で、砂糖も高騰傾向にある。
 
 
 
=== 食用 ===
 
[[File:A video of Sugarcane juice extraction.ogv|thumb|250px|搾汁の一例]]
 
生産地では茎の髄をそのまま噛んで食べたり、機械で汁を搾って飲んだりする。食べる時は外側の硬い皮を歯で剥き、中の白く糖分に富んだ部分(髄)を咬んで汁を啜り、カスを吐き出す。
 
 
 
汁を搾って飲む場合は、同様に皮を剥いたあと手動や電動の搾汁機に差し込んで汁を搾る。搾ったままの汁はやや青臭いが、冷やしたり[[レモン]]汁を加えたりするとより美味しくなる。東南アジアからインドにかけてのメジャーな飲料である。
 
 
 
[[ベトナム料理]]などでは、茎の皮を剥いた髄に[[エビ]]などの[[魚肉練り製品|練り物]]を付けて揚げたり焼いたりした料理がある。
 
 
 
[[中華人民共和国|中国]]の[[四川料理]]には、サトウキビの髄を細く切り、魚などと共に辛い汁で煮る料理がある。
 
 
 
=== 燃料 ===
 
砂糖やラム製造時にサトウキビの絞りかす(バガス)が濃縮・蒸留の燃料としても利用されてきたが、廃糖蜜や搾りかすを原料に[[バイオ燃料]]開発も行われている。
 
 
 
サトウキビを絞った汁から砂糖を取除いた液体は「[[廃糖蜜]]」([[廃糖蜜|モラセス]])と呼ばれ、これを発酵させていわゆる[[バイオマスエタノール]]を取り出し、自動車燃料の一部として使う研究が行なわれている。
 
 
 
[[ブラジル]]では1980年代から自動車燃料等のアルコールへの転換が政府主導で進められており、燃料用のサトウキビを政府が一定価格で買い上げるため、それまで栽培されなかった地方でも栽培が増えている([[:pt:Cana-de-açúcar|ポルトガル語版]]の表を参照)。
 
 
 
[[日本]]でも[[バイオマス]]のひとつとして、[[アサヒビール]]が研究を行い、品種改良された「モンスターケーン」と呼ばれる[[分蘖]](ぶんげつ)数が多く従来の2倍の収穫量があるとされているサトウキビの栽培が行なわれており、小規模のアルコール製造工場を沖縄に建設し、試験生産と自動車への試験運用を行っている。<br>現在、日本では法令上、自動車燃料での利用は、ガソリンに3%の混合が限界であり、それ以上の混合率やアルコール単体の自動車での利用が認められていないが、[[宮古島市#産業|宮古島市]]、[[伊江村]]においてバイオマス燃料に対する実証実験が行われており、この実験結果次第で、自動車用燃料におけるアルコール比率の[[規制緩和]]が期待される。
 
 
 
=== 酒類原料 ===
 
絞り汁や廃糖蜜が[[蒸留酒]]の原料として用いられる。世界的には[[カリブ海]]周辺諸国発祥の[[ラム酒]]が著名であり、原料を糖蜜とする蒸留酒をラム酒と総称することもある。他には[[ブラジル]]の[[カシャッサ]](ピンガ)、[[タイ王国|タイ]]の[[ウイスキー#その他の産地|タイ・ウイスキー]]、日本の[[焼酎#黒糖焼酎|黒糖焼酎]]([[奄美諸島|奄美群島]]限定生産)や[[焼酎#連続蒸留焼酎(焼酎甲類)|焼酎甲類]]の原料として用いられる。[[フィリピン]]では、[[醸造酒]]の[[バシ]]の原料として用いられる。[[ケニア]]では絞り汁を[[ソーセージノキ]]の実と共に発酵させて造るムラチナ(Muratina)が知られている(参照: [[ソーセージノキ#アルコール飲料製造への利用]])。
 
 
 
=== 搾りかすの利用 ===
 
サトウキビの絞りかすを[[バガス]]({{Lang-en|bagasse}})という。製糖、蒸留の燃料にされる他、バガスからは、製紙用[[パルプ]]、[[フルフラール]]の製造原料としての工業利用がなされているほか、[[蝋]](サトウキビロウ)を採ることができ、[[オクタコサノール]]の分離も行われている。[[キクラゲ]]類の栽培用培地の原料として使用する場合も有る。
 
 
 
== 関連作品 ==
 
*『[[さとうきび畑]]』(歌:[[森山良子]]、作詞・作曲:[[寺島尚彦]])
 
*『[[さとうきび畑の唄]]』([[TBSテレビ|TBS]][[ドラマ]]、脚本:[[遊川和彦]]、プロデューサー:[[八木康夫]]、演出:[[福澤克雄]]、出演:[[明石家さんま]]など)
 
*『[[島唄 (THE BOOM)|島唄]]』(歌:[[THE BOOM]]、作詞・作曲:[[宮沢和史]]) - 歌詞の中にウージ(沖縄方言でのサトウキビ)が出てくる。
 
*『[[ウージの唄]]』(歌:[[かりゆし58]]、作詞・作曲:前川慎吾)
 
*『[[深呼吸の必要 (映画)|深呼吸の必要]]』(映画)
 
 
 
== 参考文献 ==
 
* [[伊藤汎]]監修『砂糖の文化誌 ―日本人と砂糖』 八坂書房 2008 ISBN 9784896949223
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{脚注ヘルプ}}
 
{{Reflist}}
 
 
 
== 関連項目 ==
 
{{commonscat|Saccharum|サトウキビ}}
 
*[[砂糖]]
 
*[[三角貿易]]
 
*[[プランテーション]]
 
*[[植民地]]
 
*[[アントニオ猪木]] - サトウキビの搾りかすを事業化しようとした
 
*[[ラム酒]] - サトウキビの蒸留酒
 
*[[糖蜜#廃糖蜜| 廃糖蜜]] - 砂糖製造の副産物。モラセス。
 
  
 +
{{テンプレート:20180815sk}}
 
{{DEFAULTSORT:さとうきひ}}
 
{{DEFAULTSORT:さとうきひ}}
 
[[Category:イネ科]]
 
[[Category:イネ科]]

2018/12/29/ (土) 19:59時点における最新版

サトウキビ.jpg

サトウキビ(砂糖黍、学名:Saccharum officinarum

イネ科の多年草。東アジアの熱帯原産と推定される。砂糖の原料植物としてキューバ,オーストラリア,台湾をはじめ南方地域で大規模に栽培されている。日本でもかつて四国 (特に香川) や熊本で栽培され,また南西諸島や小笠原諸島でも栽培されたが,現在はほとんどを輸入原糖に頼っている。茎は高さ2~4m,直径2~5cm,中実の円柱状で表面は緑色,黄緑色,紅紫色などで,さらに白色のろう物質でおおわれる。茎は 10~20%のショ糖を含み,そのまま噛んで甘い汁を吸うこともある。出穂直前の時期に茎を刈取り,圧縮してそのしぼり汁から原糖をとる。この原糖から煮沸,濃縮,結晶化を繰返して精製し,白砂糖をつくる。しぼり汁を発酵させた酒を糖酎といい,さらにこれを蒸留したものがラム酒で,西インド諸島で多く産する。



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