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{{Otheruses|機械装置|液体|懸濁液}}
 
{{出典の明記|date=2011年5月}}
 
'''サスペンション'''({{lang-en-short|suspension}})または'''懸架装置'''(けんかそうち)とは、主に[[車両]]において、路面の[[凸凹|凹凸]]を車体に伝えない緩衝装置としての機能と、[[車輪]]、[[車軸]]の位置決め、車輪を路面に対して押さえつける機能を持つことで、乗り心地や操縦安定性などを向上させる機構である。また、その他の[[機械]]類における、[[振動|防振]]機構([[インシュレーター]])のことを指す場合もある。
 
  
== 自動車のサスペンション ==
+
'''サスペンション'''{{lang-en-short|suspension}}
[[画像:Coilovers.jpg|thumb|200px|right|コイルオーバーの例]]
 
黎明期以来さまざまな方式のサスペンションが考案され[[実用]]化されているが、一般的な[[自動車]]のサスペンションは、基本的構成として車軸の位置決めを行うサスペンションアーム、車重を支えて衝撃を吸収する[[ばね|スプリング]]、スプリングの振動を減衰する[[ショックアブソーバー]](ダンパー)で構成される。[[欧米]]ではスプリングとショックアブソーバーが一体となった部品を'''コイルオーバー''' ({{lang-en-short|Coilover}}) と称することもある。
 
  
[[乗用車]]では、低コストな[[ストラット式サスペンション]](マクファーソン・ストラット式)が最も多く用いられている。乗り心地の向上や[[タイヤ]]の接地条件やクルマの姿勢(ロールセンターやアンチダイブ、アンチスクワットなど)を細かくコントロールする目的で、ジオメトリー自由度の大きい[[ダブルウィッシュボーン式]]や、さらなる安定性を得るために[[マルチリンク式サスペンション|マルチリンク式]]なども多く用いられている。
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1 自動車や電車で、車体をその上に載せて車輪からの振動を緩衝させる装置。懸架装置。
  
サスペンションの特性は同じ方式でも一様ではなく、使われる[[部品]]の固さや寸法に大きく依存する。一般に「サスペンションが硬い」と表現されるものは、車重に比して[[ばね定数]]が高い場合や[[ショックアブソーバー|ダンパー]]の減衰力が高い場合が多い。サスペンションが柔らかい方が路面の凹凸による衝撃を吸収しやすく、乗り心地を重視する乗用車ではサスペンションが柔らかくされる傾向にあり、スポーツカーやレーシングカーなどの自動車では旋回時や加減速時の車体挙動を抑えるためにサスペンションは硬くされる傾向がある。俗に「サスペンションがへたる」と表現される現象は、ほとんどの場合は[[ショックアブソーバー]]の減衰力が低下したり、サスペンションアームの軸部に用いられている[[ブッシュ]]の弾力性が失われたりすることで発生する。
+
2 懸濁液。英語のサスペンションと、ドイツ語のズスペンジオンとが混ざったサスペンジョンという呼称もよく使われる。
 
 
=== 方式 ===
 
懸架方式は大きく分けて[[車軸懸架]]([[固定車軸|リジッドアクスル]]・サスペンション)、[[独立懸架]](インディペンデント・サスペンション)、可撓梁式([[トーションビーム式サスペンション]])に分類される。単純な緩衝機能に留まらず、外力に対して車両の姿勢を積極的に制御し、安定させるシステムとして[[アクティブサスペンション]]や[[セミアクティブサスペンション]]がある。それに対し、旧来の懸架装置はパッシブサスペンションと呼ばれるようになった。
 
 
 
==== 車軸懸架方式 ====
 
[[画像:Beam axle 003.JPG|thumb|200px|right|I形ビームの[[リーフ式サスペンション|リーフリジッド式]]]]
 
車軸懸架方式は左右の車輪を車軸(アクスル)で連結したサスペンション形式で、[[馬車]]時代から続く長い歴史を持つ。[[ドライブシャフト]]がアクスルハウジング(アクスルチューブ)に覆われており、ドライブシャフトに角度を持たせるための[[軸継手]]を必要としないため、構造が簡単で耐久性が高い。左右の車輪が常に同軸上に保たれているため、対地キャンバーの変化が少ない。ホイールトラベル(ストローク)を大きく設計しやすいため、起伏の大きな路面状況での車輪の接地を保ちやすい。反面、バネ下重量が重くなる傾向にあり、速度が高くなると路面追従性や乗り心地が悪くなる。また、ロールセンターが高くなりがちで、旋回による車体の[[ローリング]]が大きいなどの短所がある。
 
 
 
[[大型自動車]]、[[商用車]]、[[クロスカントリー (自動車)|クロスカントリー]]車での採用例が多い。また、[[排気量]]1500 cc以下程度の大きさで[[前輪駆動]]の[[乗用車]]でも、リヤサスペンションに多く採用されている。
 
 
 
車軸懸架(固定車軸懸架式)を細分化すると次のような方式に分けられる。
 
* [[リンク式サスペンション]]
 
* [[リーフ式サスペンション]]
 
* [[ド・ディオンアクスル|ド・ディオン式サスペンション]]
 
 
 
==== 独立懸架方式 ====
 
[[画像:Mcpherson strut.jpg|thumb|200px|right|[[ストラット式サスペンション]]]]
 
左右の車輪が独立して動作するサスペンション形式で、バネ下重量が軽く、乗り心地や路面追従性に優れる。[[差動装置|デファレンシャル]]が車軸とともにバネ下にある固定車軸に比べ、[[フレーム形式 (自動車)|フレーム]]や車室の床を低くすることができ、デファレンシャルが[[機関 (機械)|エンジン]]の直下に配置される車種ではエンジン搭載位置も低くすることができる。[[リンク機構]]を用いることで、ストローク時のジオメトリーを操縦特性や安定性が向上するように[[設計]]することが可能である。一方で、部品点数が多く、製造[[費用|コスト]]や[[メンテナンス|整備]]コストが高くなりやすい。サスペンションアームの[[寸法]]の制約により、ストロークが短くなる傾向にある。
 
 
 
[[スポーツカー]]や[[レーシングカー]]に留まらず、現在では、一般的な[[乗用車]]や中型以下の[[貨物自動車|貨物車]]のほか、一部の[[観光バス]]ではフロントサスペンションに独立懸架が採用されている。乗用車では、リア・サスペンションにも独立懸架が多く用いられ、インディペンデント・リア・サスペンション (Independent Rear Suspention) の頭文字をとってIRSとも呼ばれる。
 
 
 
独立懸架方式を細分化すると次のような方式に分けられる。
 
* 一軸スイングアーム式
 
** [[スイングアクスル式サスペンション]]
 
** [[リーディングアーム式サスペンション]]
 
** [[トレーリングアーム式サスペンション]]
 
** [[セミトレーリングアーム]]式サスペンション
 
* 二軸スイングアーム式
 
** [[ダブルウィッシュボーン式サスペンション]]
 
** [[ダブルトレーリングアーム式サスペンション]]
 
* [[マルチリンク式サスペンション]]
 
* [[セントラルアーム]]式サスペンション
 
* [[ストラット式サスペンション]]
 
 
 
==== トーションビーム懸架方式 ====
 
{{main|トーションビーム式サスペンション}}
 
トーションビーム式サスペンションは、左右の車輪がねじれ(トーション)を許容する[[梁]](ビーム)で結ばれている構造で、独立懸架ほどではないが、車軸懸架よりも左右の車輪に自由度が与えられている。[[前輪駆動]](FF)車の後輪や[[トレーラー]]などに採用されている。特にFFが多い[[コンパクトカー]]や[[軽自動車]]の後輪用では主流となっている。
 
 
 
トーションビーム式を細分化すると次のような方式に分けられる。
 
* アクスルビーム式
 
* ピボットビーム式
 
* カップルドビーム式
 
 
 
=== 車軸以外のサスペンション ===
 
[[キャブオーバー]]型の大型[[貨物自動車]]のなかには、車軸のサスペンション以外に[[フレーム形式 (自動車)|フレーム]]と[[キャビン]]の間に緩衝装置を設ける'''キャブサスペンション'''を持つ物が多い。[[日本車|日本製]]トラックでは[[1981年]]([[昭和]]56年)に[[日野自動車]]製の車両で初めて導入された<ref>{{cite web
 
| url = http://www.tochigi-hino.co.jp/mame/m02.htm
 
| title = トラック豆知識2
 
| archiveurl = https://web.archive.org/web/20050316164744/http://www.tochigi-hino.co.jp/mame/m02.htm
 
| archivedate = 2005-3-16
 
| accessdate = 2010-6-20
 
| deadlinkdate = 2018年1月30日
 
| publisher = 栃木日野自動車株式会社
 
}}</ref>。キャブサスペンションはコイルばねや[[空気バネ]]、懸濁液方式などが用いられており、車軸のサスペンションの耐荷重性能強化と乗り心地の向上という相反する要素を両立するために採用されている。エンジン出力や[[最大積載量|積載量]]の割に[[ホイールベース]]が短い[[牽引自動車]]の[[トラクター]]では、[[操縦席|キャブ]]の[[ピッチング]]を抑えることができる。
 
 
 
また、トラック、[[バス (交通機関)|バス]]、[[四輪駆動]]車、[[建設機械]]、[[農業機械]]などでは、運転席が緩衝装置で支持されている'''サスペンションシート'''が採用されている物もある。ドライバーの任意でばねのプリロードを調整でき、不要な場合はロック(固定)できる。
 
 
 
=== 戦車のサスペンション ===
 
[[戦車]]が開発された当時はサスペンションは存在しないか、ないに等しい状況であったが、戦車を取り巻く環境が変化し、サスペンションが着目されるようになった。歴史上存在する戦車に取り入れられたサスペンションとして、リーフスプリング、コイルスプリング、[[ジョン・W・クリスティー|クリスティー]]式、[[トーションバー・スプリング|トーションバー]]式、[[ハイドロニューマチック・サスペンション|油気圧式]]などがある。
 
 
 
== オートバイのサスペンション ==
 
{{main|サスペンション (オートバイ)|[[:en:Suspension (motorcycle)]]}}
 
[[画像:Demper ducati 01.jpg|right|thumb|200px|オートバイのサスペンション([[ドゥカティ・ムルティストラーダ]]の後輪側サスペンションユニット)]]
 
[[オートバイ]]に使われるサスペンションは、そのほとんどの形式では[[ばね|スプリング]]と[[ショックアブソーバー]](ダンパー)が一体の''サスペンションユニット(クッションユニット)''となっている。自動車と比べると、オートバイではサスペンションスプリングの伸縮による車体の[[ピッチング]]が大きく、これによる操縦特性への影響が大きい。オートバイでは前輪側と後輪側で異なるサスペンション形式を採用する場合がほとんどである。
 
 
 
=== 前輪 ===
 
{{main|フロントサスペンション (オートバイ)}}
 
オートバイの前輪側サスペンションは、後輪側よりも早い時期から取り入れられていた。歴史的には'''ガーダーフォーク'''や'''アールズフォーク'''などの形式も広く用いられていたが、現在は多くの車種で'''テレスコピックフォーク'''と呼ばれる形式が採用されている。テレスコピックフォークは、単純な構造で部品点数を少なく作ることができるが、フォークに対して直角方向の[[荷重]]に弱いほか、[[ブレーキ|制動]]時などにフォークのストロークが大きくなる(前のめりになる)とキャスター角の変化が大きくなる短所を持つ。こうした短所を克服するために、'''ボトムリンク式'''や'''テレレバー式'''などの形式も採用されている。
 
 
 
=== 後輪 ===
 
{{main|リヤサスペンション (オートバイ)}}
 
初期のオートバイには後輪側に緩衝装置が無い車種も多く、代わりに[[サドル (オートバイ)|サドル]]にばねが付けられていたものも多かった。こうした車両の構造はリジッドフレームと呼ばれている。現在では、ほとんどの車種で[[リヤサスペンション (オートバイ)#スイングアーム式|スイングアーム式]]が採用されているが、かつてはプランジャー式やハブクッション式といった形式も存在した。
 
 
 
== 鉄道車両のサスペンション ==
 
{{main|鉄道車両の台車史|鉄道車両の台車}}
 
[[鉄道車両]]でも[[軌条]](レール)への追従性、車両の安定性、乗り心地や静粛性の向上を目的としてサスペンションが組み込まれているが、自動車とは異なり、[[ステアリング|舵取り装置]]が不要で、前後どちらの向きにも同じ[[速さ|速度]]で[[運転]]されることから、自動車とは構造が異なる。また、ゴム[[タイヤ]]方式や[[超低床電車]]などを除くと、左右の車輪は車軸と一体の[[輪軸 (鉄道車両)|輪軸]]を採用していて、各軸の軸受けに懸架装置がないと[[軌道 (鉄道)|軌道]]の狂いに対応できず、速度を上げた場合や[[活荷重|輪重]]の不均等が起こった際には[[脱線]]につながる。[[トロッコ]]などで懸架装置の無いものが見られるが、この場合は左右輪が独立して回転できるようにして車輪がレールへ乗り上げることを防いでいる。
 
 
 
鉄道の黎明期には[[機関車]]以外の[[客車]]や[[貨車]]は[[二軸車 (鉄道)|二軸車]]であり、車軸の支持方式は[[台枠]]に固定された軸箱守(ペデスタル)を位置決めに用い、緩衝に重ね板ばねを用いていた。これは現在でも二軸[[貨車]]などに用いられている。その後、車両の大型化と高速化が進むと固定車軸では対応できなくなり、[[ボギー台車]]が生まれた。レールに対する車輪の追従性は軸箱を支持する軸ばねが担い、乗り心地に関しては台車と車体の間に備わる[[枕バネ]]が受け持つ分業となった。[[新幹線]]では高速走行時の車両の安定化を図るため、[[新幹線500系電車|500系]] に[[アクティブサスペンション]]を取り入れて、300 [[キロメートル毎時|km/h]]での運行を実現した。
 
 
 
== 自転車のサスペンション ==
 
{{main|マウンテンバイク|フロントフォーク (自転車)}}
 
[[自転車]]においては、起伏の激しい路面を走る[[マウンテンバイク]]や[[ダウンヒル (自転車競技)|ダウンヒル競技]]用のダウンヒルバイク([[:en:Downhill bike]])にサスペンションを装備するモデルが多く、一部の[[クロスバイク]]でも装備されている。前後輪ともにサスペンションをもつフレーム構成を'''フルサスペンション'''、前輪のみにもつものを'''ハードテイル'''と呼ぶ。特に高速で起伏の激しい斜面を下るダウンヒルバイクではサスペンションストロークを大きくとったフルサスペンションである場合が多い。一方、サスペンション機構を付加することで車体重量が増え、構成部品にかかる費用が増加することから、安価な[[軽快車]]や、軽量性が求められる[[ロードバイク|ロードレーサー]]などではサスペンションを装備しないものが専らである。
 
 
 
== 家具のサスペンション ==
 
主に事務用の[[椅子]]において、人の身体が触れる部分の表層にクッション性と通気性を兼ね備える目的で弾性樹脂でできた網目状の布を用いるものがある。こうした布をサスペンションファブリックと呼び、この布を用いた椅子はSFチェアやメッシュチェアの名で呼ばれる。SFチェアの多くは、[[鋼]]もしくは高[[強度]]の[[樹脂]]を[[射出成形|成形]]した[[剛性]]の高い[[フレーム]]にサスペンションファブリックを張った、簡素な構造を持つ。
 
 
 
== 建築物のサスペンション ==
 
[[建築物]]の外装材の一種である[[カーテンウォール]]は幅2 m内外、高さ4 - 5 m程度の大判の[[ガラス]]が用いられる。このガラスには風圧に耐え、人や物が衝突して容易に破損しない耐衝撃性が求められるため、20 mm程度の厚みになり、1枚当たりのガラス重量は数百キログラムになる。一般的なガラス窓ではガラスの重量は[[サッシ]]下辺で支えられるが、カーテンウォール用の大判ガラスの[[重さ|重量]]をサッシ下辺のみで支持することは施工性や費用面で容易ではないため、ガラス上端を吊り金物で挟み、上部構造体の[[梁]]や[[床スラブ|スラブ]]に固定してガラスの重量を分担することで問題を解決している。こうした建築工法をサスペンション工法と呼ぶ。
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{脚注ヘルプ}}
 
{{Reflist}}
 
 
 
== 関連項目 ==
 
* [[サスペンションジオメトリー]]
 
* [[ホイール・アライメント]]
 
* [[スタビライザー]]
 
* [[アクティブサスペンション]]
 
* [[セミアクティブサスペンション]]
 
* [[スカイフック理論]]
 
* [[ばね]]
 
 
 
== 外部リンク ==
 
{{Commonscat|Automotive suspension technologies}}
 
* [http://www.ohlins.com/ ÖHLINS(高性能高精度サスペンションメーカー)]
 
* [http://www.bose.co.jp/jp_jp?url=/automotive/technology/suspension_system/index.jsp ボーズ・サスペンション・システム]
 
* [http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/hyoujun_gijutsu/brakesuspension/mokuji.htm 特許庁ホームページ-自動車・二輪車の ブレーキ・サスペンション部品]
 
 
 
{{自動車部品}}
 
  
 +
{{テンプレート:20180815sk}}
 
{{DEFAULTSORT:さすへんしよん}}
 
{{DEFAULTSORT:さすへんしよん}}
 
[[Category:自動車のサスペンション|*]]
 
[[Category:自動車のサスペンション|*]]

2018/10/12/ (金) 11:53時点における最新版

サスペンション: suspension

1 自動車や電車で、車体をその上に載せて車輪からの振動を緩衝させる装置。懸架装置。

2 懸濁液。英語のサスペンションと、ドイツ語のズスペンジオンとが混ざったサスペンジョンという呼称もよく使われる。



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