「サイコロ」の版間の差分

提供: miniwiki
移動先:案内検索
(1版 をインポートしました)
(内容を「 '''サイコロ'''('''骰子'''、'''賽子''')、または'''賽'''(さい)、'''ダイス''' (dice) 小立方体のさいころ,またそれを用いて行...」で置換)
(タグ: Replaced)
 
1行目: 1行目:
{{Otheruses|小道具のサイコロ|投資指標のサイコロ|サイコロジカルライン}}
 
[[ファイル:Dice.jpg|thumb|right|250px|サイコロ(ピップ)]]
 
[[ファイル:Transparent dice.jpg|thumb|right|250px|サイコロ(算用数字)]]
 
'''サイコロ'''('''骰子'''、'''賽子''')、または'''賽'''(さい)、'''ダイス''' (dice) は主として[[ゲーム|卓上遊戯]]や[[賭博]]等に用いる小道具で、[[乱数]]を発生させるために使うものである。
 
  
多くは[[正六面体]]で、転がりやすいように角が少し丸くなっている。各面にその面の数を示す1個から6個の小さな点が記されていて、対面の点の数の[[加法|和]]は必ず7となる。この点は“目”、または“ピップ” (pip)、“スポット” (spot)、まれに“ドット” (dot) とも呼ばれる。日本製の場合、1の面の目は赤く着色されていることが多い。ピップではなく[[算用数字]]が記されているものもある。
+
'''サイコロ'''('''骰子'''、'''賽子''')、または'''賽'''(さい)、'''ダイス''' (dice)  
  
各面に表示される数も“目”と呼ばれ、サイコロを振った結果表示される数を“出目”と呼ぶ。複数のダイスを同時に振ってすべて揃った出目を特に“[[ぞろ目|ゾロ目]]”と表現し、特にすべてが1の目が揃った場合のことを“ピンゾロ”と表現する。
+
小立方体のさいころ,またそれを用いて行う室内ゲーム。ダイスの6面には1~6の数が点で示され,向い合う面の合計は常に7になる。ゲームは世界各国で広く行われており,その種類は多く,遊戯法も複雑である。普通5個のダイスと,ダイスを入れて転がすのに用いる皮製のダイスカップを使い,目の出方によりいろいろな役を設けてその合計点数で勝負を競う。代表的な遊戯法には[[クラップス]],[[ポーカーダイス]],シカゴダイスなどがある。起源については諸説あるが,前 2000年頃のエジプトに始り,それが各国に広まったらしい。ギリシアの歴史家ヘロドトスの作品やインドの聖典『[[リグ・ベーダ]]』などのなかにもダイスに関する記述があり,ダイスが古くから世界各地で行われていたことが知られる。日本ではさいころ,さい (骰子,采,賽などと書く) などといわれ,[[すごろく]],博奕 (ばくち) などに使用する。古くは占いにも用いられ,『松屋筆記』に「さいを投て九条殿冷泉院の御事を占はれし…」などとみえる。盤すごろくでは2個,紙すごろくでは1個,博奕では四ツ采,三ツ采,二ツ采,一ツ采など種々の使用法がある。目は天一・地六,南四・北三,西二・東五と向い合せにしてある。また仏法すごろく (一名浄土すごろく) の采は,南・無・分・身・諸・仏の6字を6方面の木面に書き,こまのように回して用いる。采の起源は明らかではないが,「婆羅塞戯 (はらそくぎ) 」の語が『涅槃経 (ねはんぎょう) 』にあるところから,インドに起ったものと考えられる。
  
== 歴史 ==
+
{{テンプレート:20180815sk}}
[[ファイル:Tali.JPG|thumb|right|距骨]]
 
[[ファイル:Historical dice.jpg|thumb|right|アジアの古いサイコロ]]
 
[[ファイル:Shagai.jpg|サムネイル|右|『シャガイ』四面サイコロで各面ラクダ、ウマ、ヒツジ、ヤギと呼ばれる]]
 
最も原始的な形態の“サイコロ”は、[[タカラガイ|宝貝]]や表裏を塗り分けた木の実などを投げ、それが表か裏かを見るというものである。このような投げ棒型のサイコロは古代インドで良く用いられたし、近・現代においても[[インディアン|アメリカ・インディアン]]の文化や韓国の伝統ゲーム[[ユンノリ]]などで使われている。しかしながら、私たちがよく知る「サイコロ型」、つまり正六面体のサイコロも古代より出土しており、その成立は大変古いものであることが分かっている。
 
 
 
[[アジア]]では、古いものでは[[インダス文明]]の[[ハラッパー]]遺跡などからも出土しており、[[中国]]や[[インド]]でも古くから存在していたことが知られる。これらの出土品は必ずしも立方体ではなかった。投げ棒型の他に、棒状四角柱で転がして使うもの、三角錐のものなどがあった。
 
 
 
こういった正六面体でないサイコロの中でも独特なのが、牛や羊などの[[距骨]](後ろ足のくるぶしの骨)を用いるものである。距骨は一見すると六面体にも見えるが、どちらかといえばいびつな四角柱に近い形状であり、4種の出目を無作為に得ることができる(ただし、各面の確率は明らかに不均等である)。サイコロとして遊戯に用いる様子は古代ギリシア・ローマの彫刻や絵画にも描かれている。また、距骨は[[古代エジプト]]の[[副葬品]]にも見られ、他の形態と比べても古くから用いられていたことが分かる。紀元前の[[モンゴル]]の遺跡からも発見されており、地理的にも広く使われていた。このタイプのサイコロは、現在でもモンゴル語で「家畜のくるぶしの骨」を意味するシャガイ([[:en:shagai]])という名前で使用されている。
 
 
 
距骨を使ったサイコロこそが現在のサイコロの起源であるとする説も唱えられている。少なくとも、以下のように複数の言語でサイコロは骨と関連付けられている。
 
*英語では、古くは「動物の距骨」の意味の複数形「astragali」をサイコロの意でも用いていた。また現代英語でも「骨」の複数形「bones」をサイコロの俗語表現として用いている。
 
*中国語および日本語では「骰子」と表記するが、この「骰」は「投げる骨」の意の[[会意]]兼[[形声]]文字である。
 
 
 
正六面体のサイコロの発祥地は古代インドとも古代エジプトとも言われる。現在と同じように1の裏が6であり、反対面を足すと7になるサイコロの最古のものは、[[紀元前8世紀]]頃の[[アッシリア]]の[[遺跡]]から発掘されたものである。
 
 
 
この他、[[古代ローマ]]時代には[[正二十面体]]のサイコロも作られており、現在[[イギリス]]の[[大英博物館]]に収蔵されている。ただし、これは各面に記号を刻んだものであり遊具ではなく占い専用の道具であった可能性が高い。
 
 
 
古代メソポタミアの遺跡からは、4面のサイコロが出土したが、当初はゲームのコマと考えられた。
 
 
 
[[古代ギリシア]]では、3個、時に2個のサイコロを使った賭博が非常に盛んに行われており、特に上流階級の酒宴(シュンポシオン、[[ギリシア語]]:{{lang|el|συμποσιον}})の席では、欠かせないものとなっていた。また[[ギリシア神話]]には、[[パラメーデース]]がサイコロを発明したとの記述がある。
 
 
 
日本へは、[[奈良時代]]に中国から伝来した。当初は、棒状のものと正六面体のものの両方が用いられていたようである。
 
 
 
サイコロの目の確率は人智では予想ができないものと考えられていたため、サイコロの動きを、[[神]]の意志と捉えて宗教儀式などに用いられる事があった。特にサイコロ発祥の地の一つとされている[[インド神話|インドの神話]]を集録した『[[マハーバーラタ]]』にはサイコロ賭博の場面が多く登場する。これは、サイコロ賭博そのものが元々、物事の吉凶についてサイコロに託して占った結果を他者と比較した事に由来するからだとも言われている。日本でも[[平安時代]]に[[藤原師輔]]が[[親王]]誕生を祈願してサイコロを振った故事(『[[大鏡]]』)があり、[[院政]]全盛期に絶大な権力を誇った[[白河天皇|白河法皇]]が「賀茂河の水、双六の賽、山法師、是ぞわが心にかなわぬもの」([[鴨川 (淀川水系)|鴨川]]の水の流れ方、双六のサイコロの目、[[比叡山]][[延暦寺]]の[[僧兵]]、私の思い通りにならぬものはこれ)と述べたという記載が[[平家物語]]にある。また[[江戸時代]]には航海の安全を祈ってサイコロを船に祀るということが広く行われていた([[船霊]]参照)。
 
 
 
== 目と重心 ==
 
サイコロの目は、もとの六面体を凹ませることで作るため、目の分だけ各面から[[質量]]が取り除かれることになり、[[重心]]に偏りを生ませる。特に、最も数の差が大きい1の面と6の面が向かい合っているため、目の大きさが全て同一のサイコロは1の面側に重心が偏り、転がした際に6の面がもっとも上になりやすく、乱数発生に不都合が生じる。そのため、このことを考慮したサイコロでは、各面に刻む目の[[容積]]をその数に[[反比例]]させ、1の目が最も大きく、2はその半分、3は3分の1、…6は6分の1、という具合に徐々に小さくなるようにし、各面が失う質量を等しくすることにより、重心の偏りを避ける工夫がなされている。ただし、市販のサイコロの大部分はそこまで行わず、1の面の目だけが大きく他は同じ大きさといった程度である。この場合、最も上になりやすいのは5の面である。
 
 
 
また、各々の面において目の配置が点対称あるいは左右対称なのも、配置による重心の偏りをなくすための工夫である。
 
 
 
さらに、[[カジノ]]ゲームの[[クラップス]]や競技[[バックギャモン]]で使われるダイスでは、少しでも重心の偏りをなくすため、目を凹ませた後に素材と同比重の塗料(もしくは本体と同材質異色の材料)で埋めてある。また角も丸められてはいない。これらを'''プレシジョン・ダイス'''(precision dice、精密ダイス)という。
 
 
 
また、各目に穴を空けずに塗装するだけのサイコロもある。もちろん、このようなサイコロには重心の偏りが少ない。
 
 
 
逆に、わざと重心を偏らせて特定の目が出やすいようにしたものをグラサイと呼ぶ。
 
 
 
== 各国のサイコロ ==
 
=== 中国のサイコロ ===
 
[[Image:dice01.jpg|frame|right|上から西洋式・中国式・カジノ用のダイス]]
 
 
 
中国には紀元前よりダイスゲームに相当するものがあったが、[[秦始皇帝陵及び兵馬俑坑|秦始皇帝陵]]から出土したサイコロは14面であった。[[前漢|漢]]代になると18面のサイコロが使われるようになった。[[南北朝時代 (中国)|南北朝]]時代にはこのようなサイコロを「煢(けい)」と呼んだ<ref>[[顔之推]]『[[顔氏家訓]]』[[s:zh:顏氏家訓/卷第7|卷第七・雑芸]]「比世所行、一煢十二棋」</ref>。ほかに棒や木板を複数投げることもあった。その後、西域から[[すごろく|双六]]が伝来・流行するとともに、正六面体のサイコロが使われるようになった。
 
[[Image:18-sided_dice_from_tomb_of_Dou_Wan.jpg|thumb|150px|漢代中国の18面ダイス(煢)]]
 
中国のサイコロの特徴として、1と4の目が赤いことがあげられる。また2の目のつき方が西洋のものと異なる。全体的に目と目の間隔が狭い。4の目が赤い理由について、もとは1だけが赤かったのを、[[唐]]の[[玄宗 (唐)|玄宗皇帝]]が[[楊貴妃]]とダイスゲームをしていて、4の目で勝てたのを喜んで、4を赤く塗らせたという伝説がある<ref>呂種玉『言鯖』に見える。『[[和漢三才図会]]』の「雙陸」の項にも同じ話がある</ref>が、真偽不明である。同様の話が[[平治物語]](13世紀)にも見えるが、こちらでは3と4の目を赤くしたとある。
 
 
 
=== 朝鮮のサイコロ ===
 
[[Image:Korean14dice2.JPG|thumb|150px|新羅時代の14面ダイス(酒令具)]]
 
朝鮮のサイコロは中国の影響が強く、伝統的なサイコロはやはり1と4の目が赤い。中国の煢と同様の、[[新羅]]時代の14面([[切頂八面体]]を変形して各面の面積をほぼ同じにした形状で、正方形6面、六角形8面から成る)のサイコロが[[慶州市]]の雁鴨池から出土している。[[妓女#酒令|酒令]]用なので[[:ko:주령구|酒令具]]と呼ばれ、各目にはその目が出たときにする行為(罰ゲーム)が記されている。この酒令具の出土品(本物)は水分を取り除く保存処理のためオーブンに入れていたところ、温度が高すぎて燃えてしまったため現存しておらず、複製品だけが現存している<ref>灰になった新羅時代の14面体のサイコロ[http://www.chosunonline.com/article/20071014000009 上]・[http://www.chosunonline.com/article/20071014000010 下]([[朝鮮日報]])</ref>。近くからは六面体のサイコロも出土している。
 
 
 
板状のサイコロは現在も[[ユンノリ]]で使用されている。刻み目をつけた5面の棒状のサイコロはユンモク(輪木)と呼ばれ、スンギョンド([[陞卿図]])という出世すごろくの一種で使われる。
 
 
 
=== 日本のサイコロ ===
 
1の目を「ピン」と呼ぶ場合も多い。
 
 
 
「[[1926年]]に[[和歌山県]]の業者が天を示す1の目を赤く塗った。他社との差別化のためだったという。これが広まって日本製のサイコロの1の目は赤く塗られるようになった。」という俗説が流布されているが、根拠はない。他にも、[[日本の国旗|日の丸]]を元にしたとする説もある。
 
 
 
遊戯用は1の目が赤く、賭博用は1の目が黒いという俗説があるが、まったく事実とは異なる。任侠映画に長く携わってきた[[東映京都撮影所]]でも、「時代考証から云っても黒です。」としている。
 
 
 
== サイコロの雌雄 ==
 
[[ファイル:Sixsided Dice inJapan.jpg|thumb|right|日本製のサイコロ(天一地六東五西二'''北三'''南四: '''雄''')]]
 
サイコロの目の割り振りは、ほぼ「天一地六東五西二南三北四」(雌サイコロ)と決まっている<!--て、方角を示す道具としても使われる(つまり1の目がある面が上である)-->。これは、日本だけの特徴ではなく、世界的な共通点である。ただし、「南三」でなく「北三」になっているサイコロもあり、「南三」を'''[[メス|雌]]'''サイコロ、「北三」を'''[[オス|雄]]'''サイコロと呼ぶこともある([[異性体|異性]])。サイコロの雌雄の見分け方は、1・2・3の面が集まる頂点を正面に置き、1→2→3の順に見たときに[[時計回り]]になるのが雄サイコロ、反時計回りになるのが雌サイコロである。舟になぞらえて「天一地六表三艫四面舵二取舵五」ともいう。
 
 
 
== 立方体でないサイコロ ==
 
普通のサイコロは乱数の範囲が1〜6に限られるため、用途によっては不適当である。そのため、立方体ではない形状のサイコロも存在しており、これを'''多面ダイス'''、または'''多面体ダイス'''と呼ぶ。ちなみに、これらと併せて用いる場合、通常のサイコロは'''6面ダイス'''などと呼ばれる。
 
 
 
通常これらの多面ダイスでは目は算用数字で記されているため、6と9とを混同しないよう付点(6.と9.)や下線(<span style="text-decoration:underline;">6</span>と<span style="text-decoration:underline;">9</span>)が併記されている。
 
 
 
これらの各種多面体ダイスは、頻繁に乱数処理を行う[[テーブルトークRPG]]に代表される卓上ゲームに多用されることから、ホビーショップなどで入手可能な場合が多い。
 
 
 
また、インドや[[ネパール]]では古い形態のサイコロである投げ棒(ロット)式のサイコロが現在でも使われている。
 
 
 
=== 一般的な多面ダイス ===
 
[[ファイル:DnD Dice Set.jpg|450px|thumb|none|各種ダイス(左から4面、6面、8面、12面、20面、10面、10面(2桁))
 
]]
 
[[ファイル:Dados 4 a 20 caras.jpg|thumb|right|各種ダイス(4面〜20面)]]
 
[[ファイル:Wuerfel5.jpg|thumb|right|サイコロの数々]]
 
*4面ダイス - 形状は[[正四面体]]。1〜4の目を出す。二つのタイプがある。
 
*#上を向く面はなく、頂点の周囲に数字が振ってある。上の画像で手前に見えている面には、3つの数字1、2、4が書いてある。このうち上の頂点に書いてある4が出目である。隠れて見えない面でも、上の頂点の脇には4と書いてある。
 
*#面に出目が書いてあるダイスもあり、この場合は「床に接している面に書かれた出目」を読む。このタイプのほうが普及している<ref>2008年5月現在は、底面式の方が普及している</ref>。
 
*8面ダイス - 形状は[[正八面体]]。1〜8の目を出す。
 
*10面ダイス - 形状は正[[ねじれ双角錐|ねじれ双五角錐]]と呼ばれる、二つの五角錐を半分ずらして底面で貼り合わせたような形状。1〜10の目を出す。ただし、一般的に10は0と表記されている。
 
*:[[10進数]]の[[乱数]]を発生させるためのものだが、同じ目的のために、正二十面体の面に1〜10の目をそれぞれ二つずつ割り振った、より良い一様性が期待される「統計用乱数賽」が用いられることもある。しかし、ゲームの分野においては独特の形状が好まれ、あえて10面ダイスを用いる傾向にある。ホビーショップで売られているので、入手は統計用乱数賽より容易である。なお、[[#サイコロに適する図形|後述]]のように、正ねじれ双角錐の形状により、さらに面の個数を増やした双錐体ダイスを作ることができる。
 
*12面ダイス - 形状は[[正十二面体]]。1〜12の目を出す。
 
*20面ダイス - 形状は[[正二十面体]]。1〜20の目を出す。
 
*:1〜10の目がそれぞれ向かい合う面に二つずつ割り振られた「統計用乱数賽」もある。出目1〜10の一様性が期待される。
 
 
 
=== 稀な多面ダイス ===
 
14面、16面、24面、30面、60面、120面などのダイスも稀に見られる。いずれもサイコロに適した形状をしているため、実用に向く。ただし、ホビー用のサイコロはそれほど精度が高くない。
 
<gallery>
 
画像:14面体ダイス.jpg|14面ダイス([[ねじれ双角錐|ねじれ双七角錐]])
 
画像:D16.jpg|16面ダイス([[双角錐|正双八角錐]])
 
画像:24 sided dice d24.jpg|24面ダイス([[凧形二十四面体]])
 
画像:D24.jpg|24面ダイス([[四方六面体]])
 
画像:D24_triakis_octahedron_dice.JPG|24面ダイス([[三方八面体]])
 
画像:D30.jpg|30面ダイス([[菱形三十面体]])
 
画像:D48_dice.JPG|48面ダイス([[六方八面体]])
 
画像:D60_60men-saikoro.JPG|60面ダイス([[凧形六十面体]])
 
画像:D60_pentakis_dodecahedron_dice.JPG|60面ダイス([[五方十二面体]])
 
画像:D60_triakis_icosahedron_dice.JPG|60面ダイス([[三方二十面体]])
 
画像:D120_dice.JPG|120面ダイス([[六方二十面体]])
 
</gallery>
 
 
 
=== 非実用的な多面ダイス ===
 
なお、玩具として、「各面の面積や形状が異なる」「各面が不均等な配置」などのものも売られているが、出目は統計的に好ましくなく、実用的ではない。正[[角柱]]で底面も使用するものや、[[ゾッキヘドロン]]([[:en:Zocchihedron|Zocchihedron]])と呼ばれる100面ダイスなどが挙げられる。メビウスの輪の1面ダイスに至っては、「1」の目が出る確率が100%であり、[[ジョークグッズ]]となっている。また、完全に球状のサイコロで、内部にくぼみが設けられた空洞があり、振ると空洞内に入れられた鉄球がくぼみに入って目が出るような物もある。
 
 
 
ただし、各出目の出現確率が不均等である点を逆手に取り、特定の「出にくい目」などの効果を狙う使用法もある。たとえば[[まわり将棋]]では出目に大きく差がある将棋の駒をサイコロ代わりに使う。
 
 
 
また、特に[[球]]を元に作られたものを'''[[ゴルフボール]]形ダイス'''という場合があり、以下に示す画像では、11面、32面、50面、100面のサイコロがこれに相当する。
 
 
 
前述の[[新羅]]時代の[[朝鮮半島]]の14面のサイコロ(酒令具)も、各面の出る確率はほぼ同じであるが、正方形6面、六角形8面から成っているため、全ての面が同じ形状とはなっていない。
 
 
 
<gallery>
 
画像:D1_dice.JPG|1面ダイス([[メビウスの輪]])
 
画像:D05.jpg|5面ダイス([[三角柱]])
 
画像:D07.jpg|7面ダイス([[五角柱]])
 
画像:D10_truncated.jpg|10面ダイス([[双四角錐台]])
 
画像:D11_dice.JPG|11面ダイス
 
画像:D22_dice.JPG|22面ダイス
 
画像:D32.jpg|32面ダイス
 
画像:D50_sphere.jpg|50面ダイス
 
画像:Zocchihedron2.jpg|100面ダイス([[ゾッキヘドロン]])
 
画像:D144_dice_2.JPG|144面ダイス
 
画像:D06_sphere.jpg|球体ダイス
 
画像:D06_sphere_cut_open.jpg|球体ダイスの断面
 
</gallery>
 
 
 
== 目の異なるサイコロ ==
 
普通のサイコロは、6面体なら1〜6、20面体なら1〜20と、各面に1からそのサイコロの面数までの数を示す目を持つが、それとは異なる目を持つサイコロも存在している。
 
 
 
=== 数の範囲が異なるサイコロ ===
 
市販の6面ダイスに限っても、以下の目を持つサイコロなどが存在する。
 
[[ファイル:Frac_dice_d6.JPG|thumb|right|分数ダイス]]
 
*0, 1, 2, 3, 4, 5
 
*1, 1, 2, 2, 3, 3
 
*4, 4, 5, 5, 6, 6
 
*0, 0, 0, 1, 1, 1
 
*1, 1, 1, 2, 2, 2
 
*-1, -2, -3, -4, -5, -6
 
*1, -2, 3, -4, 5, -6
 
*-1, 2, -3, 4, -5, 6
 
*1/6, 1/3, 1/2, 2/3, 5/6, 1
 
*1, 1/2, 1/3, 1/4, 1/5, 1/6
 
*5, 6, 7, 8, 9, 10
 
*7, 8, 9, 10, 11, 12
 
*11, 12, 13, 14, 15, 16
 
*13, 14, 15, 16, 17, 18
 
*19, 20, 21, 22, 23, 24
 
*25, 26, 27, 28, 29, 30
 
*2, 4, 8, 16, 32, 64(ダブリングキューブ [[バックギャモン]]での倍率表示用)
 
*I(1), V(5), X(10), L(50), C(100), D(500)([[ローマ数字]])
 
 
 
=== 数以外を示すサイコロ ===
 
数以外を目に持つサイコロも各種存在しており、非常にバリエーションも豊富である。
 
*When, Where, Who, What, Why, How(5W1H。6面)
 
*+, -, ×, ÷, =, >(算術記号。6面)
 
*N, NE, E, SE, S, SW, W, NW(方位。8面)
 
*Sun, Moon, Mercury, Venus, Mars, Jupiter, Saturne, Uranus, Neptune, Pluto(天体。10面)
 
*January から December まで(12カ月。12面)
 
*白羊宮から双魚宮まで([[黄道十二宮]]。12面)
 
 
 
=== 占術用サイコロ ===
 
[[易経|易占]]専用に作られたサイコロも存在する。これは、主に[[筮竹#使用法|略筮法]]を模擬するもので、
 
* 8面ダイス2個(数字の代わりに、[[八卦|乾・兌・離・震・巽・坎・艮・坤]]の8文字が彫られている)
 
* 6面ダイス1個(同じく、[[爻|初・二・三・四・五・上]]の6文字)
 
以上の組み合わせから成る。中筮法を模擬するため、8面ダイスが6個使われることもある。入れたままでサイコロを振ることができる、専用の[[箱]]も市販されている。なお、八卦にはそれぞれ数字が配当されているため、通常の8面ダイスの数字を適宜読み替えて使用することも可能であるが、利便性は若干劣る。
 
 
 
=== 麻雀用サイコロ ===
 
{{see also|配牌#パッコロ}}
 
[[麻雀]]では、一般的には通常のサイコロを2つ同時に振り、開門個所(最初に牌を取る場所)を決定する。しかし、出目の関係から開門する場所に偏り(東家から順に8/36・9/36・10/36・9/36の確率)があり、また[[全自動麻雀卓]]がまだ普及していなかった時代は[[麻雀の不正行為#積み込み|積み込み]]が横行していたため、それらを解決するために'''パッコロ'''と呼ばれる麻雀専用のサイコロが考案された。これは2種類の正十二面体のサイコロがセットになったものである。これらは、以下の目を持つ。
 
* 開門用黒サイコロ
 
*: [[漢数字]]で一〜十二の目を持つ。
 
* 場決め用赤サイコロ
 
*: 東南西北がそれぞれ3つずつの目を持つ。
 
パッコロを採用したルール(立方体のサイコロ2個の2度振りも選択できる)もあるが、実際にはほとんど普及していない。
 
 
 
立方体のサイコロ2個の1度振りでも開門する場所に偏りが出ない方法も考案されている。5の目を4に変え、1・2・3・4・4・6の目を持つサイコロと普通のサイコロを1個ずつ使用することによって、各家ともに9/36(1/4)の確率となる<ref>[http://oak.zero.ad.jp/~zaf93998/m20.htm 公平なサイコロを作ってみよう]</ref>。
 
 
 
=== カレンダー用サイコロ ===
 
遊戯に用いるものではないが、サイコロ型の万年[[カレンダー]]が発売されている。4個の立方体で構成されており、月を表すサイコロ1個、日を表すサイコロ2個、曜日を表すサイコロ1個で構成されている。日を表すサイコロは一方に0・1・2・3・4・5、もう一方に0・1・2・6・7・8が書かれており、9は6を上下逆に置くことにより1日から31日までの日付がすべて表現できる。[[観光地]]の[[土産|土産物]]として売られていることがある。
 
 
 
== 不正なサイコロ ==
 
賭博(主として[[丁半]])で[[八百長]]が行われる際には、特定の数字が出る確率を高くし、胴元の勝率が高くなるように細工したサイコロが使われる。これを'''不正ダイス'''、または'''イカサマサイ'''、'''グラ賽'''などと呼ぶ。重心の偏りによって特定の数字が出る確率を高くする場合が多い。博徒が仕掛けを見破ってサイコロを噛んで割り、中の仕込みを露見させるという、映画などにおける道具立てとしてもよく知られている。
 
 
 
不正には、主に次の2種類の手法が良く知られている。
 
;ローデッド・ダイス(loaded dice)
 
:内部にサイコロ自体の素材より比重の高い金属などを仕込み、重心を偏らせたもの。
 
;シェイヴド・ダイス(shaved dice)
 
:本来立方体であるべきものを、高さだけをわずかに短くすることにより、重心を偏らせたもの。
 
 
 
この他にも、[[蝋]]や[[水銀]]などを内部に仕込み、重心を自由に操作できるようにしたヴァリアブル・ローデッド・ダイス(variable loaded dice)、サイコロ内部に磁石を、テーブル内部にはコイル等の電磁石を仕込み、電磁石に通電させることで磁石を反応させ、出目を操作できるようにしたマグネット・ダイス(magnet dice)など様々なものが考案されてきた。
 
 
 
[[水晶]]・[[ガラス]]・[[プラスチック]]といった透明な材質を用いたサイコロには、このような仕掛けがないことを示す役割もある。特にカジノでは、透明なプラスチック製のサイコロが用いられる。材質が透明であれば、一部に比重の違う素材を使っても、透かし見た際に屈折率の違いによって向こうが歪んで見えるため、すぐにわかってしまう。
 
 
 
== サイコロに適する図形 ==
 
=== 全面使用するサイコロの条件 ===
 
サイコロとして適している[[立体図形]]としては、以下の条件が挙げられる。
 
*[[凸多面体]]であること。
 
*全ての面が合同な凸多角形であること。
 
*全ての面が重心から等距離であること。
 
*全ての面が向かい合う平行面を持つこと。
 
最後の条件は、地面に固定されたときに真上に来る面が目を定めるためのものである。例えば、正四面体はこの条件に当てはまらないため、4面ダイスは目が読みにくい。
 
 
 
==== 具体例 ====
 
具体的な図形としては以下のものが挙げられる。
 
 
 
*[[正多面体]](プラトンの立体)から4種。
 
{| class="wikitable"
 
|+ 正多面体
 
|-
 
! 図形 !! 名称 !! 面数
 
|-
 
| [[ファイル:Hexahedron.gif|60px|立方体]] || [[立方体]] || 6
 
|-
 
| [[ファイル:Octahedron.gif|60px|正八面体]] || [[正八面体]] || 8
 
|-
 
| [[ファイル:Dodecahedron.gif|60px|正十二面体]] || [[正十二面体]] || 12
 
|-
 
| [[ファイル:Icosahedron.gif|60px|正二十面体]] || [[正二十面体]] || 20
 
|}
 
 
 
* [[カタランの立体]]([[半正多面体]](アルキメデスの立体)の[[双対多面体|双対]])から10種。
 
{| class="wikitable"
 
|+ カタランの立体
 
|-
 
! 図形 !! 名称 !! 面数
 
|-
 
| [[ファイル:Rhombicdodecahedron.jpg|60px|菱形十二面体]] || [[菱形十二面体]] || 12
 
|-
 
| [[ファイル:Triakisoctahedron.jpg|60px|三方八面体]] || [[三方八面体]] || 24
 
|-
 
| [[ファイル:Tetrakishexahedron.jpg|60px|四方六面体]] || [[四方六面体]] || 24
 
|-
 
| [[ファイル:Deltoidalicositetrahedron.jpg|60px|凧形二十四面体]] || [[凧形二十四面体]] || 24
 
|-
 
| [[ファイル:Rhombictriacontahedron.jpg|60px|菱形三十面体]] || [[菱形三十面体]] || 30
 
|-
 
| [[ファイル:Disdyakisdodecahedron.jpg|60px|六方八面体]] || [[六方八面体]] || 48
 
|-
 
| [[ファイル:Triakisicosahedron.jpg|60px|三方二十面体]] || [[三方二十面体]] || 60
 
|-
 
| [[ファイル:Pentakisdodecahedron.gif|60px|五方十二面体]] || [[五方十二面体]] || 60
 
|-
 
| [[ファイル:Deltoidalhexecontahedron.jpg|60px|凧形六十面体]] || [[凧形六十面体]] || 60
 
|-
 
| [[ファイル:Disdyakistriacontahedron.gif|60px|六方二十面体]] || [[六方二十面体]] || 120
 
|}
 
 
 
*[[平行六面体]]のうち、6面が合同の[[菱形]]のもの。
 
{| class="wikitable"
 
|+ 平行六面体
 
|-
 
! 図形 !! 名称 !! 面数
 
|-
 
| [[ファイル:Parallelepipedon.png|60px|平行六面体]] || 平行六面体 || 6
 
|}
 
 
 
*正[[双角錐]](正[[角柱]]の双対)のうち赤道面が偶数角形のもの。無限種。
 
*:具体的には、nを1以上の整数として、正双2n+2角錐(正2n+2角柱の双対)であり、4n+4面体。つまり、n=1: 正双四角錐(8面体)、n=2: 正双六角錐(12面体)、n=3: 正双八角錐(16面体)、n=4: 正双十角錐(20面体)など。
 
*正[[ねじれ双角錐]](正[[反角柱]]の双対)のうち双対となる反角柱の底面が奇数角形のもの。無限種。
 
*:具体的には、nを1以上の整数として、正ねじれ双2n+1角錐(正反2n+1角柱の双対)であり、4n+2面体。つまり、n=1: 正ねじれ[[双三角錐]](6面体)、n=2: 正ねじれ[[双五角錐]](10面体)、n=3: 正ねじれ双七角錐(14面体)、n=4: 正ねじれ双九角錐(18面体)など。
 
双角錐ダイスとねじれ双角錐ダイスとを総称して、'''そろばん珠形ダイス'''、または'''双錐体ダイス'''と言う。
 
 
 
=== 一部の面を使用するサイコロ ===
 
二つの底面間の距離が十分に長いのであれば、正角柱や正反角柱もサイコロとして適している。ちょうど、鉛筆を転がすようなものと思えば把握しやすい<ref>[[バトルえんぴつ]]のように、転がして使うことを意識した鉛筆も発売されている。</ref>。これらの形状のサイコロも実際に市販されている。
 
*正角柱。無限種。
 
*正反角柱。無限種。
 
角柱ダイスと反角柱ダイスとを総称して、'''麺棒形ダイス'''、または'''柱体ダイス'''と言う。
 
 
 
逆に、正角柱・円柱の側面を十分に短くすると、2つの底面を使った「2面サイコロ」ができる。ちょうど、硬貨を投げて[[コイントス]]をするようなものである。ただし、一般にはこれをサイコロとは呼ばない。
 
 
 
=== 多面化の問題点 ===
 
そろばん珠形ダイスと麺棒形ダイスの場合、理論上では面数は無限に増やせるが、面数が増えるほど、そろばん珠形は[[双円錐]]に、麺棒形は[[円柱 (数学)|円柱]]にそれぞれ近付くので、サイコロとして機能しなくなってくる。実際に機能するのは、最大でも[[双角錐]]で48面(正双二十四角錐)、[[ねじれ双角錐]]で50面(正ねじれ双二十五角錐)、[[角柱]]で25面(正二十五角柱)、[[反角柱]]で24面(正反十二角柱)程度と考えられる。市販のサイコロでは最大で、そろばん珠形では50面のもの(正ねじれ双二十五角錐)が、麺棒形では20面のもの(正反十角柱)がそれぞれ存在する。
 
<gallery>
 
画像:Dados rodillo.jpg|麺棒形ダイス
 
画像:D34_trapezohedron_dice.JPG|34面ダイス([[ねじれ双角錐|ねじれ双十七角錐]])
 
画像:D50_trapezohedron_dice.JPG|50面ダイス([[ねじれ双角錐|ねじれ双二十五角錐]])
 
</gallery>
 
 
 
== 出目に関する各種の値 ==
 
任意の面数を持つサイコロを、任意の回数ないし個数振る際の各種の値は、振る回数ないし個数を ''f''(ただし <math>f \in \mathbb{Z}</math> かつ 0 ≤ ''f'')、面数を ''p''(ただし <math>p \in \mathbb{Z}</math> かつ 1 ≤ ''p'')とし、各回の出目の和を合計値とすると、一般に以下の式で求められる。例として、3D6 (''f'' = 3, ''p'' = 6) の場合の値を添えた。
 
 
 
=== 合計値 ===
 
==== 最小値 ====
 
最小の合計値は、回数に等しい。
 
::(最小値)= ''f''
 
:例:3
 
 
 
==== 最大値 ====
 
最大の合計値は、回数と面数の積に等しい。
 
::(最大値)= ''fp''
 
:例:3×6 = 18
 
 
 
==== 分布範囲 ====
 
合計値の分布範囲は、最大値と最小値の差に等しく、回数と面数-1の積に等しい。
 
::(分布範囲)= ''fp''-''f'' = ''f''(''p''-1)
 
:例:3×6-3 = 3(6-1) = 15
 
 
 
==== 合計値の数 ====
 
合計値が取り得る値の数は、分布範囲に1を加えた値に等しい。
 
::(合計値数)= ''fp''-''f''+1 = ''f''(''p''-1)+1
 
:例:3×6-3+1 = 3(6-1)+1 = 16
 
 
 
==== 中点値 ====
 
サイコロの出目の合計値を考えた場合、その中点値([[:en:Mid-range|mid-range]])は、全種類の合計値の[[平均|算術平均]]に等しく、また必ず[[期待値]]に一致する。このため、各合計値の確率を計算せずとも、中点値を求めることで、極めて平易に期待値を知ることができる。具体的には、最大値と最小値の和を2で割った値であり、回数と面数+1の積を2で割った値に等しい。
 
::(中点値)= <math>\frac{fp + f}{2} = \frac{f ( p + 1 )}{2}</math>
 
:例:<math>\frac{3 \times 6 + 3}{2} = \frac{3 (6 + 1)}{2} =</math> 10.5
 
 
 
==== 総順列数 ====
 
出目の順列の総数は、''p'' 種類の出目から重複を許して ''f'' 回並べる[[順列|重複順列]]となる。
 
::(総順列数)= <sub>''p''</sub>Π<sub>''f''</sub> = ''p''<sup>''f''</sup>
 
:例:<sub>6</sub>Π<sub>3</sub> = 6<sup>3</sup> = 216
 
 
 
==== 任意の合計値の順列数 ====
 
任意の合計値となる出目の順列の数は、[[パスカルの三角形]]を応用し、<math>\left( \sum_{i = 0}^{p - 1} x^i \right)^f</math> の[[二項定理|係数を求める]]ことで算出可能である。任意の合計値を ''s''(ただし <math>s \in \mathbb{N}</math> かつ ''f'' ≤ ''s'' ≤ ''fp'')とすると、
 
::(任意合計値順列数)= <math>\sum_{i = 0}^{\left \lfloor \frac{s - f}{p} \right \rfloor} {}_{s - pi - 1} \mathrm{C}_{f - 1} \cdot {}_f \mathrm{C}_i  \cdot (-1)^i</math>
 
 
 
まず前述の式を変形し、パスカルの三角形の母関数を導き出す。
 
::<math>\left( \sum_{i = 0}^{p - 1} x^i \right)^f</math>
 
::= <math>(1 + x + x^2 + x^3 + \cdots + x^{p-1})^f</math>
 
::= <math>\frac{(1 - x)^f (1 + x + x^2 + x^3 + \cdots + x^{p-1})}{(1-x)^f}</math>
 
::= <math>\frac{(1 - x^p)^f}{(1 - x)^f}</math>
 
これを展開して、各項の係数を取り出し整理すると、上記の式となる。
 
:例(任意の合計値を11とした場合):<math>\sum_{i = 0}^{\left \lfloor \frac{11 - 3}{6} \right \rfloor} {}_{11 - 6i - 1} \mathrm{C}_{3 - 1} \cdot {}_3 \mathrm{C}_i \cdot (-1)^i</math>
 
::= <sub>10</sub>C<sub>2</sub>·<sub>3</sub>C<sub>0</sub>·(-1)<sup>0</sup>+<sub>4</sub>C<sub>2</sub>·<sub>3</sub>C<sub>1</sub>·(-1)<sup>1</sup>
 
::= 45×1×1+6×3×(-1)
 
::= 27
 
 
 
=== 確率 ===
 
==== 任意の合計値 ====
 
任意の合計値が出る確率は、上記の任意合計値順列数を総順列数で割った値となる。
 
::(任意合計値の確率)= <math>\frac{\sum_{i = 0}^{\left \lfloor \frac{s - f}{p} \right \rfloor} {}_{s - pi - 1} \mathrm{C}_{f - 1} \cdot {}_f \mathrm{C}_i  \cdot (-1)^i}{p^f}</math>
 
:例(任意の合計値を11とした場合):<math>\frac{27}{216} = \frac{1}{8} =</math> 0.125
 
 
 
==== ゾロ目 ====
 
すべて同じ目が出る確率は、
 
::(ゾロ目の確率)= <math>\frac{p}{p^f} = \frac{1}{p^{f -1}}</math>
 
:例:<math>\frac{6}{6^3} = \frac{6}{216} = \frac{1}{36} \approx</math> 0.0278
 
 
 
==== すべての目が1回以上 ====
 
<!--
 
7D6 の時 35/648 になるはずです。
 
''f'' ≥ ''p'' の時に、全種類の目が少なくとも1回以上出る確率は、
 
::(すべての目が1回以上の確率)= <math>\frac{p! \cdot p^{f - p}}{p^f}</math>
 
:例(7D6 の場合):<math>\frac{6! \times 6^{7 - 6}}{6^7}</math> = <math>\frac{4320}{279936}</math> = <math>\frac{5}{324}</math> ≈ 0.0154
 
-->
 
''f'' = ''p'' の時に、全種類の目が1回ずつ出る確率は、
 
::(すべての目が出る確率)= <math>\frac{p!}{p^p}</math>
 
 
 
''f'' = ''p'' + 1 の時に、全種類の目が1回以上出る確率は、
 
::(すべての目が出る確率)= <math>\frac{f!}{2 \cdot p^p}</math>
 
 
 
==== 特定の目が1回以上 ====
 
特定の目が少なくとも1回以上出る確率は、
 
::(特定の目が1回以上の確率)= <math>1 - \frac{(p - 1)^f}{p^f}</math>
 
 
 
==== 特定の目が1回 ====
 
特定の目が1回のみ出る確率は、
 
::(特定の目が1回の確率)= <math>\frac{f \cdot (p - 1)^{f - 1}}{p^f}</math>
 
:例:<math>\frac{3 \cdot (6 - 1)^{3 - 1}}{6^3} = \frac{25}{72}</math>
 
 
 
==== 特定の目が0回 ====
 
特定の目が1回も出ない、つまり特定の目以外の目しか出ない確率は、
 
::(特定の目が出ない確率)= <math>\frac{(p - 1)^f}{p^f}</math>
 
:例:<math>\frac{(6 - 1)^3}{6^3} = \frac{125}{216} \approx</math> 0.5787
 
 
 
== サイコロと遊戯 ==
 
遊戯の道具としては[[将棋]]の祖である[[チャトランガ]]で使われていたという説もあるなど(ただし、初期のチャトランガがどのようなゲームであったかについては論争もある<ref>{{Cite book|和書
 
|author=松田道弘
 
|authorlink=松田道弘
 
|origyear=1988
 
|title=ベストゲーム・カタログ 遊びの新世界をパトロール
 
|date=1993年9月30日
 
|publisher=[[社会思想社]]
 
|series=[[現代教養文庫]]
 
|isbn=4-390-11482-4
 
|pages=206-262頁
 
|chapter=世界最古のシミュレーション・ウォーゲーム「チャトランガ」
 
}}</ref>。詳細は「[[チャトランガ]]」を参照)歴史は古い。サイコロは最も一般的な乱数発生器と言える。
 
 
 
特に、[[シミュレーションゲーム]]や[[テーブルトークRPG]]などのゲームは様々なパターンの乱数発生を必要とするため、前述の多面ダイスも含めて様々な数と組み合わせのサイコロを使用する。これらのゲームでは、しばしば「'''nDm'''」という表記で使用するサイコロを表す。これは m 面のサイコロを同時に n 個振るか、もしくは1個の m 面のサイコロを n 回振るかした際の合計値という意味である。例えば、2個の6面体サイコロを振る場合は「2D6」と表記する。また、修正値を含めた「'''nDm+x'''」という表記や、複数の組み合わせを含めた「'''nDm+qDp'''」という表記などもある。これらの表記を「ダイス・コード」または「ダイス・ノーテーション」と言う。英語では dice code と呼ばれることはなく、[[w:en:dice notation|dice notation]]と呼ぶ。
 
 
 
== サイコロと文化 ==
 
サイコロは古くから運命をつかさどるものとして看做されることが多く、例えば[[浄土宗]]の開祖・[[法然|法然上人]]も六面に'''南無阿弥陀佛'''と記されたサイコロを使って占いをしたと文献に記されている<ref name="法然上人全集">石井敎道編『昭和新修 法然上人全集』([[浄土宗]]開宗八百年記念出版)平樂寺書店、1955年、1181-1187頁</ref>。また[[チベット]]仏教でも、サイコロ占いの手引書が[[ラマ (チベット)|ラマ僧]]によって著されるなど仏教の根本的な思想との関わりが深い<ref name="ダライ・ラマ法王">[http://www.tibethouse.jp/culture/fotune.html ダライ・ラマ法王日本代表部事務所ホームページ>チベットの占い]「占いと仏教」「さいころによる占い」</ref>。
 
 
 
また、比喩として引用されることも多い。有名なものでは以下のものなどが挙げられる。
 
*[[ガイウス・ユリウス・カエサル|カエサル]]が元老院に逆らい、[[ルビコン川]]を越えて南側の[[ガリア・キサルピナ]]に踏み入った時、率いていた軍勢に「[[賽は投げられた]] (alea iacta est)」と檄を飛ばした。運命の歯車は既に回ってしまった、といった意味で使われる。[[大事MANブラザーズバンド]]の[[賽は投げられた (大事MANブラザーズバンドの曲)|同名の曲]]はこの言葉にちなむ。
 
*『[[平家物語]]』によれば、[[白河天皇|白河法皇]]が権勢を誇った頃、どうしても自分の思い通りにならない天下の三不如意として「[[鴨川 (淀川水系)|加茂川]]の水、[[双六]]の賽、[[僧兵|山法師]]」の三つを挙げたという。
 
*[[アルベルト・アインシュタイン]]は[[量子力学]]の確率による世界観に対し、「神はサイコロを振らない」と表現して批判をした。
 
*いい加減なことを示す「でたらめ」の語源は「出たら目」、すなわち賽の目の通りに行動することが由来とされている。「出'''鱈'''目」と表記される事もあるがこれは当て字。
 
 
 
また、時にサイコロは一般的な形状から[[立方体]]、あるいは漠然と四角形を比喩することがある。[[調理]]法の[[賽の目切り]](サイコロのように立方体に切っていくこと。[[ステーキ|サイコロステーキ]]やミックス・ベジタブルなどに見られる)などはその例である。欧米においても同様の切り方を「Diced」(Diceは英語でサイコロのこと)と呼ぶ。
 
 
 
== 日本語での表記 ==
 
算数の教科書では「さいころ」と表記している。国語辞典の見出しや、第一法規『用字用語 新表記辞典』でも同じく平仮名で表す。外来語ではないので、本来は片仮名で書く理由がないが、前後に平仮名が続く場合には読みにくいので、現在は片仮名での表記「サイコロ」が用いられることが多い。
 
 
 
「さいころ」の「さい」は、「塞」または「簺」の[[音読み]]であり、双六に似たゲーム、もしくはそれに使うサイコロのことである。それに接尾辞「ころ」が付いて、「さいころ」となった。
 
「采・賽」は当て字である。
 
 
 
== サイコロを主としたゲーム ==
 
[[File:Joostens - De Alea, 1642 - 4630507.tif|thumb|[[Paschier Joostens]], ''De Alea'', 1642]]
 
=== 卓上ゲーム・アナログゲーム ===
 
*[[すごろく]]
 
*[[バックギャモン]]
 
*[[モノポリー]]
 
*[[ブラフ (ゲーム)|ブラフ]]
 
*[[ヤッツィー]]
 
*[[エース・イン・ザ・ポット]]
 
*[[街コロ]]
 
 
 
=== 賭博 ===
 
*[[クラップス]]
 
*[[大小 (賭博)|大小]]
 
*[[丁半]]
 
*[[チョボイチ]]
 
*[[手本引|賽本引]](さいほんびき)
 
*[[タブ]]
 
*[[チンチロリン]]
 
 
 
=== コンピュータゲーム ===
 
* [[XI (ゲーム)|XI [sái]]] - サイコロを用いたパズルゲーム。
 
 
 
== 符号位置 ==
 
{| class="wikitable" style="text-align:center;"
 
!記号!![[Unicode]]!![[JIS X 0213]]!![[文字参照]]!!名称
 
{{CharCode|9856|2680|-|サイコロ1|font=絵文字フォント}}
 
{{CharCode|9857|2681|-|サイコロ2|font=絵文字フォント}}
 
{{CharCode|9858|2682|-|サイコロ3|font=絵文字フォント}}
 
{{CharCode|9859|2683|-|サイコロ4|font=絵文字フォント}}
 
{{CharCode|9860|2684|-|サイコロ5|font=絵文字フォント}}
 
{{CharCode|9861|2685|-|サイコロ6|font=絵文字フォント}}
 
{{CharCode|127922|1F3B2|-|サイコロ|font=絵文字フォント}}
 
|}
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{脚注ヘルプ}}
 
{{reflist}}
 
 
 
== 関連項目 ==
 
{{wikiquote|サイコロ}}
 
{{Commons|Category:Dice}}
 
 
 
*[[多面体]]
 
*[[双対多面体]]
 
*[[乱数列]]
 
*[[確率]]
 
*[[ランダム]]
 
*[[入曽精密]](それぞれの目の出る確率が世界一近いサイコロを製造)
 
*[[Unicode一覧 2000-2FFF]] - [[Unicode]]にその他の技術用記号として、6面サイコロの目が U+2680 から U+2685 に割り当てられている。
 
*[[離散一様分布]] - サイコロを1回振ったときの出目の確率分布
 
*[[ハードウェア乱数生成器]]
 
*[[縁起物]]
 
{{サイコロ}}
 
 
{{DEFAULTSORT:さいころ}}
 
{{DEFAULTSORT:さいころ}}
 
[[Category:玩具]]
 
[[Category:玩具]]

2019/5/1/ (水) 22:37時点における最新版

サイコロ骰子賽子)、または(さい)、ダイス (dice)

小立方体のさいころ,またそれを用いて行う室内ゲーム。ダイスの6面には1~6の数が点で示され,向い合う面の合計は常に7になる。ゲームは世界各国で広く行われており,その種類は多く,遊戯法も複雑である。普通5個のダイスと,ダイスを入れて転がすのに用いる皮製のダイスカップを使い,目の出方によりいろいろな役を設けてその合計点数で勝負を競う。代表的な遊戯法にはクラップスポーカーダイス,シカゴダイスなどがある。起源については諸説あるが,前 2000年頃のエジプトに始り,それが各国に広まったらしい。ギリシアの歴史家ヘロドトスの作品やインドの聖典『リグ・ベーダ』などのなかにもダイスに関する記述があり,ダイスが古くから世界各地で行われていたことが知られる。日本ではさいころ,さい (骰子,采,賽などと書く) などといわれ,すごろく,博奕 (ばくち) などに使用する。古くは占いにも用いられ,『松屋筆記』に「さいを投て九条殿冷泉院の御事を占はれし…」などとみえる。盤すごろくでは2個,紙すごろくでは1個,博奕では四ツ采,三ツ采,二ツ采,一ツ采など種々の使用法がある。目は天一・地六,南四・北三,西二・東五と向い合せにしてある。また仏法すごろく (一名浄土すごろく) の采は,南・無・分・身・諸・仏の6字を6方面の木面に書き,こまのように回して用いる。采の起源は明らかではないが,「婆羅塞戯 (はらそくぎ) 」の語が『涅槃経 (ねはんぎょう) 』にあるところから,インドに起ったものと考えられる。



楽天市場検索: