コードネーム

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コードネーム英語: code name)は、ある事物や人物などを指す、一般にごく短い別名であるが、関係者だけなどといった特に限定された範囲でのみ、そのことを知っているような運用を目的としたものを特に指すこともある。すなわち、暗号の分類のひとつである「コード (暗号) 」の意図があり、それを明示して暗号名(あんごうめい)、秘匿名(ひとくめい)などとも言う。

(特にIT業界において)製品などに関して、主としてメーカーにおける開発中のコードネーム(これは、競争他者等に対する秘匿の意図がある、本来の「コードネーム」)を流用して、一般消費者の一部(主としてマニア層)が、製品シリーズ等の総称等として使うことがある。これは、ブランド名や商品名はもとより、型番等ですら、メーカーはマーケティング戦略として、技術的な系譜や特徴をわざと無視してネーミングすることがあるため、開発コードネームを元にすれば、技術的に正確な分類となるから、という利点があるためである。これは、ブランド名や一般的な型番では複数のモデルの総称のことがある自動車などで(たとえば「RX-7」)、本来は車台番号車両識別番号などといった消費者向けではない情報のための「型式」由来の通称(RX-7の場合は「SA」「FC」「FD」等。別の有名な例は「AE86」等)が多用される、といった言語現象に近い。

macOSで「Mac OS バージョン 10.X.y」の X ごと、あるいはAndroid OSの「バージョン X.y.z」の X ごとのコードネームは、製品名としてそのまま用いられているが、これはどちらかというと、漢字Talk7.1の「おにぎり」のような愛称をわざわざ付けるのを手抜きして、開発コードネームをそのまま流用しているだけ、と説明するのが最も妥当だろう。あるいは、小数点で区切られたバージョン番号ではマーケティング上の印象が弱いため「なんとか95」「なんとか2000」あるいは「なんとかX」などと変な数字を付けたことが混乱しか招かなかった、という過去の事例から学んだのかもしれない(開発中のOSにコードネームを付けること自体は、Win95の「Chicago」など古くから行われている[1])。

開発中の製品のコードネーム

CPU

インテル

同一ブランド間のマイナーチェンジを区別するためにユーザー側でも積極的に使用される一例でもある。

Core i ブランド(Core i7, i5, i3)への移行後、特に第二世代以降は世代ごとにコードネームが用いられている。

AMD

  • Duron - Spitfire
  • Athlon XP - Thoroughbred(2002年後半に出荷したものは「Barton」)
  • Athlon 64 - ClawHammer
  • Athlonプロセッサ(高性能フルスピードキャッシュ内蔵) - Thunderbird

NVIDIA

Tegra 3以降は、アメリカン・コミックスのキャラクターから取られている。

OS

Microsoft Windows

16ビットのWindows
Windows 9x系
Windows NT
Windows NT 5.x以降

Mac OS

Mac OS
  • System 7.0 - Blue、Big Bang
  • System 7.1 - Cube-E、I Tripoli
  • System 7.5 - Mozart、Capone
  • Mac OS 7.6 - Harmony
  • Mac OS 8.0 - Tempo
  • Mac OS 8.1 - Bride of Buster
  • Mac OS 8.5 - Allegro
  • Mac OS 8.6 - Veronica
  • Mac OS 9 - Sonata
  • Mac OS 9.0.x - Duet、Minuet
  • Mac OS 9.1 - Fortissimo
  • Mac OS 9.2 - Moonlight
  • Mac OS 9.2.1 - Limelight
  • Mac OS 9.2.2 - Starlight
Mac OS X

v10.8のMountain Lionまでネコ科の動物の名前で統一されていた。v10.9からはカリフォルニアに関係するものが採用されることになった。v10.2から(日本ではv10.3から)では、コードネームがそのまま製品名の一部としても用いられ、v10.7ではバージョンナンバーが排除されて「Mac OS X "コードネーム"」となり、v10.8からは正式名称からも「Mac」が削除され「OS X "コードネーム"」と呼称され、さらにv10.12から正式名称が「OS X」から「macOS」になった。なお、バージョン番号は名称から排除されるようになったたものの、バージョン確認等の技術的な事情もあり内部的には存続している。

iOS

スキー場の名前から採られている。

  • 1.0 - Alpine
  • 1.0.0~1.0.2 - Heavenly
  • 1.1 - Little Bear
  • 1.1.1 - Snowbird
  • 1.1.2 - Oktoberfest
  • 2.0 - Big Bear
  • 2.1~2.1.1 - Sugarbowl
  • 2.2~2.2.1 - Timberline
  • 3.0 - Kirkwood
  • 3.1~3.1.3 - Northstar
  • 3.2~3.2.2 - Wildcat
  • 4.0~4.0.2 - Apex
  • 4.1 - Baker
  • 4.2~4.2.1 - Jasper
  • 4.2.5~4.2.10 - Phoenix
  • 4.3~4.3.5 - Durango
  • 5.0~5.0.1 - Telluride
  • 5.1~5.1.1 - Hoodoo
  • 6.0~6.0.2 - Sundance
  • 6.1~6.1.6 - Brighton
  • 7.0~7.0.6 - Innsbruck
  • 7.1~7.1.2 - Sochi
  • 8.0~8.2 - Okemo
  • 8.3 - Stowe
  • 8.4 - Copper
  • 8.4.1 - Donner
  • 9.0~9.2.1 - Monarch
  • 9.3~9.3.5 - Eagle

Android

菓子から取られている。また、頭文字がアルファベット順になっている。

その他OS

  • OS/2(コードネームがそのまま製品名に使用された)

パソコン

アップルのパソコンは、iMacMacBookなど、同じ名前だが世代の異なるMacintoshを区別するため、コードネームで呼ばれることがしばしばある。

スマートフォン

Xperia

年ごとに一定の法則で開発コードネームがつけられており、その法則は開発拠点により異なる。

2008・9年モデル
  • XPERIA X1 - Venus
  • XPERIA X2 - Vulcan
  • XPERIA Pureness - Kiki
2010年モデル
  • Xperia X10 - Rachael
  • Xperia X10 Mini - Robyn
  • Xperia X10 Mini Pro - Mimmi
  • Xperia X8 - Shakira
2011年モデル
  • Xperia arc - Anzu
  • Xperia PLAY - Zeus
  • Xperia neo - Hallon
  • Xperia pro - Iyokan
  • Xperia acro
    • SO-02C - Azusa
    • IS11S - Akane
  • Xperia mini - Smultron
  • Xperia mini pro - Mango
  • Xperia ray - Urushi
  • Xperia active - Satsuma
  • Xperia neo V - Haida
  • Xperia arc S - Ayame
2012年モデル

新幹線の列車名から取られている。

  • Xperia S(Xperia NX) - Nozomi
    • Xperia SL - Nozomi2
  • Xperia acro HD
    • SO-03D - Hikari
    • IS12S - Hayate
  • Xperia ion - Aoba
  • Xperia TX - Hayabusa
  • Xperia SX - Komachi
  • Xperia V/VC - Tsubasa
  • Xperia AX - Tsubasa Maki
  • Xperia VL - Tsubasa Anna
  • Xperia P - Nypon
  • Xperia U - Kumquat
  • Xperia sola - Pepper
  • Xperia neo L - Phoenix
  • Xperia T - mint
  • Xperia go - Lotus
  • Xperia Tipo - Tapioca
    • Xperia Tipo Dual - Tapioca DS
  • Xperia miro - Mesona
  • Xperia J - JLo
2013年モデル

日本の温泉地から取られている。

  • Xperia Z - Yuga
  • Xperia ZR(Xperia A) - Dogo
  • Xperia UL - Gaga
  • Xperia Z1 - Honami
  • Xperia Z1f - Amami
  • Xperia Z Ultra - Togari
  • Xperia E - Nanhu
  • Xperia ZL - Odin
  • Xperia L - TaoShan
  • Xperia SP - HuaShan
  • Xperia C - Pelican
  • Xperia M - Nicki
2014年モデル

星座名から取られている。

  • Xperia Z2 - Sirius
  • Xperia ZL2 - Canopus
  • Xperia A2 - Altair
  • Xperia Z3 - Leo
  • Xperia Z3 Compact - Aries
  • Xperia T2 - Tianchi
  • Xperia E1 - Falcon
  • Xperia M2 - Eagle
  • Xperia T3 - Seagull
  • Xperia C3 - Gina
  • Xperia E3 - Flamingo
2015年モデル

花の名前から取られている。

  • Xperia E4 - Jasmine
  • Xperia M4 - Tulip
  • Xperia E4g - Calla
  • Xperia Z3+・Z4 - Ivy
  • Xperia C4 - Cosmos
  • Xperia C5 - Lavender
  • Xperia M5 - Holly
  • Xperia Z5 - Sumire
  • Xperia Z5 Compact - Suzuran
  • Xperia Z5 Premium - Satsuki
2016年モデル

楽器名から取られている。

  • Xperia X Performance - Dora
  • Xperia X - Suzu
  • Xperia XA - Tuba
  • Xperia XA Ultra - Ukulele
  • Xperia X Compact - Kugo
  • Xperia XZ、Xperia XZ Dual - Kagura
2017年モデル

樹木名から取られている。

  • Xperia XZ Premium、Xperia XZ Premium Dual - Maple
  • Xperia XZs、Xperia XZs Dual - Keyaki
  • Xperia XA1、Xperia XA1 Dual - Hinoki
  • Xperia XA1 Ultra、Xperia XA1 Ultra Dual - Redwood
  • Xperia L1、Xperia L1 Dual - Pine

ゲーム機

任天堂系

任天堂では製品型番のアルファベット部分が開発コードネームに由来している。

ソニー・SCE系

マイクロソフト系

  • Xbox - Midway(PCとゲーム専用機の中間の道を行くと言う意味と太平洋戦争の転換点となったミッドウェー海戦の意味、公表時にゲーム機名称未定としてXboxとリリースしたものが最終製品名となった)、DirectX-box
  • Xbox 360 -Xenon(キセノン)
  • Xbox One -Durango(メキシコの地名)
  • Kinect -Project Natal(出生)
  • Xbox One X-Project Scorpio

セガ系

家電製品

自動車

自動車メーカー各社は、正式な車名・型式が決定するまでの間、便宜的に社内呼称を用いる。

日本ではマツダ・RX-7が有名であるが、同社は4代目ファミリアの広告でも、開発コードの「X508」(1975年の8番目の意)を何の説明も無く使っている。海外ではポルシェ・911が第何世代目であるかを示すために開発時のコードネームが通称として通用している。メルセデス・ベンツ各車(セダン型は Wagen の頭文字であるWで始まることが多い)やBMW各車(E、Fで始まることが多い)、ヒュンダイ・ソナタ(NF、YF・・・etc.)なども基本的にこの流れに沿って呼称されることが多い。

コードネームがそのまま市販車名になった例には、いすゞ・117クーペトヨタ・SAIトヨタ・86(FT-86→86)、ヒュンダイ・JM(本国名:ツーソン)、ヒュンダイ・TB(本国名:クリック、海外名:ゲッツ。「ゲッツ」が日本ではトヨタ・ヴィッツに似てしまうため)等がある。

作品タイトル

  • プロジェクトA - 香港ではプロットが製作された段階ですぐに盗作されてしまうケースが度々あり、この作品も当初はこのコードネームで呼ばれていたが、正式な題名になってしまったという。

その他

軍事でのコードネーム

作戦

作戦等の著名なコードネームには次のようなものがある。

部隊

作戦中の部隊やユニットには、秘匿および交信の円滑化のためにコードネームが付けられる。世界初の女性宇宙飛行士ワレンチナ・テレシコワのコードネーム「チャイカカモメ)」などが有名である。

パイロット

戦闘機のパイロットは無線交信時に本名の秘匿や同姓同名や類似した名前と区別するため、機体に与えられた航空機局の呼出符号とは別にTACネームアメリカ海軍ではコールサイン)と呼ばれる渾名で呼び合う。

呼出符号とは異なり命名に規則が無いため本人の来歴や特徴を踏まえたもの(眼鏡をかけているので『NOBITA(ノビタ)』、熊本県出身のため熊本城にある武者返しから『MUSHA(ムシャ)』[4])、本名を縮めたりひねった単語(マイク・マンゴールド(Mike Mangold)なので『Mongo(モンゴ)』、杉山蕃は名前の音読みから『BAN(バン)』)などが多いが、齊藤治和は『GOA(ゴア)』、岩崎茂は『Garfield(ガーフィールド)』など変則的な命名もある。

敵の兵器

敵国仮想敵国に対しては、兵器の正式名称などを秘匿することがある。また公開されていても、馴染みのない外国語での名称は情報交換において支障となることもある。こうした理由で、兵器には敵によるコードネームが付けられることがある。

情報が不足しているため、兵器種の同定には誤りがあることも少なくない。

太平洋戦争でのアメリカ軍による日本軍航空機に対するコードネーム冷戦でのNATOによるソ連軍の兵器全般に対するコードネームが有名である。

短期間使われるコードネーム

戦時や準戦時には、作戦地名部隊要人などあらゆるものにコードネームが付けられる。それらは短期間つかわれたのち破棄され、別のものに交換される。

近代になって使いやすい換字式暗号が発展してからも、コードネームは暗号と併用されることが多い。

第二次世界大戦の連合軍のコードネームは、イギリスGC&CS(のちのGCHQ)の作ったランダムな単語リストを元に、陸軍省のISSB (The Inter-Services Security Board) が決定した。なお、日本軍航空機へのコードネームはこれとは別システムである。

注釈

外部リンク