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'''コンパクトシティ'''({{Lang-en-short|Compact City}})とは、都市的土地利用の[[郊外]]への拡大を抑制すると同時に[[中心市街地]]の活性化が図られた、生活に必要な諸機能が近接した効率的で持続可能な[[都市]]、もしくはそれを目指した[[都市]][[政策]]のことである<ref name="kokkosho">[http://www.thr.mlit.go.jp/syourai/pdf/03_02_06.pdf コンパクトシティの推進] 国土交通省東北地方整備局、[[2003年]]2月</ref>。
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'''コンパクトシティ'''({{Lang-en-short|Compact City}})
[[ファイル:Cyclocity Avire.jpg|サムネイル|富山市内の複数箇所に設置されたレンタサイクルステーション]]
 
 
 
類似した概念としては、アメリカにおける「[[ニューアーバニズム]]」や、イギリスにおける「[[アーバンビレッジ]]」などがある。
 
 
 
== 背景 ==
 
=== 進む中心市街地の空洞化 ===
 
日本の都市は高度成長期を経て拡大を続け、政策的にも郊外の住宅地開発が進められてきたが、[[大規模小売店舗法]]の改正などもあり[[1990年代]]より[[中心市街地]]の[[空洞化]]現象([[ドーナツ化現象]])が各地で顕著に見られるようになった。
 
 
 
特に鉄道網の不十分な地方都市においては自動車中心社会([[車社会]])に転換し、巨大[[ショッピングセンター]]が造られ、幹線道路沿線には全国チェーンを中心として[[ロードサイド]]型店舗や[[ファミリーレストラン]]、[[ファーストフード]]店などの飲食店が出店し、競争を繰り広げるようになった。また商業施設のみならず公共施設や大病院も広い敷地を求めて郊外に移転する傾向が見られる。
 
 
 
一方、旧来からの市街地は[[街路]]の整備が不十分で[[車社会]]への対応が十分でない場合が多い。昔から身近な存在であった[[商店街]]は、道路が狭く渋滞している、駐車場が不足している、活気がなく魅力ある店舗がないなどの理由で敬遠されて衰退し、いわゆる[[シャッター通り]]が生まれている。古い市街地は権利関係が錯綜しており、再開発が進まなかったことも一因である。
 
 
 
=== 郊外化の問題点 ===
 
郊外化の進展は、既存の市街地の衰退以外にも多くの問題点を抱えている。
 
* 自動車中心の社会は移動手段のない高齢者など「[[交通弱者]]」にとって不便である。
 
* 無秩序な郊外開発は[[持続可能性]]、自然保護、環境保護の点からも問題である。
 
* 際限のない郊外化、市街の希薄化は、道路、上下水道などの公共投資の効率を悪化させ、膨大な維持コストが発生するなど財政負担が大きい。
 
 
 
=== コンパクトシティの発想 ===
 
こうした課題に対して、都市郊外化・スプロール化を抑制し、市街地のスケールを小さく保ち、歩いてゆける範囲を生活圏と捉え、[[コミュニティ]]の再生や住みやすい[[まちづくり]]を目指そうとするのがコンパクトシティの発想である。[[1970年代]]にも同様の提案があり、都市への人口集中を招くとして批判されていた<!--提案者や実らなかった背景等詳しく-->が、近年になって再び脚光を浴びるようになった。再開発や再生などの事業を通し、ヒューマンスケールな<!--人間規模の-->職住近接型まちづくりを目指すものである。
 
 
 
交通体系では自動車より[[公共交通]]のほか、従来都市交通政策において無視に近い状態であった[[自転車]]にスポットを当てているのが特徴である([[公共交通指向型開発|TOD(公共交通指向型開発)]])。
 
 
 
自治体がコンパクトシティを進めるのには、[[地方税]]増収の意図もある。例えば、[[地価]]の高い中心部に新築マンションなどが増えれば[[固定資産税]]の増収が見込まれ、また、[[都市計画区域]]内の人口が増えれば[[都市計画税]]の増収も見込まれる。すなわち、同じ自治体内の郊外から中心部に市民が住み替えるだけで地方税の増収に繋がることになり、経済停滞や人口減少が予想される自治体にとってコンパクトシティ化は有効な財源確保策と見られている。
 
 
 
== 日本の推進例 ==
 
[[札幌市]]、[[稚内市]]、[[青森市]]、[[仙台市]]<ref>[http://www.city.sendai.jp/toshi/touzaisenchousei/ewline/pdf/houshin04.pdf 仙台市が目指す都市作りの考え方] 仙台市</ref>、[[富山市]]、[[豊橋市]]<ref>[http://www.city.toyohashi.aichi.jp/bu_kikaku/toshinkassei/pdf/kihonkeikaku/keikaku9-12.pdf 豊橋市中心市街地活性化基本計画 9章〜12章] 豊橋市企画部、[[2011年]][[3月31日]]</ref>、[[神戸市]]、[[北九州市]]<ref>[http://www.city.kitakyushu.jp/file/02010100/seisaku/seisaku1.pdf 北九州市 ハートフル北九州 政策大綱]</ref><!--、[[松山市]]、[[佐世保市]]--><!--脚注出典に記載なし。(別途、出典を提示ください。)-->などの各市は、コンパクトシティを政策として公式に取り入れている<ref name="kokkosho"/>。
 
 
 
市街地の拡大による除雪費用の増大が問題となっていた青森市では、郊外の開発の抑制と[[新町 (青森市)|新町]]を含む中心市街地の再開発を施策とし、公営住宅の郊外から中心部への移転などを行っている。また、富山市の場合、もともと発達していた[[富山地方鉄道]]の中心市街地を通る[[路面電車]]網を拡張して環状線化し、駅も増やして、貸出自転車駅を併設するなど意欲的な姿勢をみせている。さらに新築中の富山駅を経由して[[富山ライトレール|駅北部の路面電車網]]と直接連結することを予定している。また岐阜方面からの集客力を強化するために[[高山本線]]の増発や臨時駅設置の社会実験も行っている。
 
 
 
比較的規模の大きい地方都市では近年、[[中心市街地]]の地価の下落や工場の移転等に伴う都心部への[[マンション]]建設による人口の[[都心回帰]]という、コンパクトシティの方向への自然発生的な変化も見られる。
 
 
 
== コンパクトシティ誘導政策 ==
 
[[国土交通省]]も、コンパクトシティを目指すべく政策転換を進めている。[[1998年]]制定の[[まちづくり3法]](改正[[都市計画法]]、[[大規模小売店舗立地法]]、[[中心市街地活性化法]])が十分に機能しておらず、中心市街地の衰退に歯止めがかかっていないとの問題認識から、見直しが行われ、そのうち都市計画法、中心市街地活性化法が改正された([[2006年]]6月、2006年8月施行)。この改正については、[[福島県]]などで問題になった、郊外への大型[[量販店]]やショッピングセンターの立地抑制に狙いがあるのではないかとの批判がある。
 
 
 
== 課題 ==
 
コンパクトシティへの動きが目立つ一方、以下のような課題も多い。
 
; 既に拡大した郊外をどう捉えるのか
 
: 郊外の環境の良い、ゆとりのある住宅を好む住民も多く、必ずしも住民の支持を得られていないケースも多い中で、成功するのか。住民の意向を無視した上からの押し付けにならないか。また、平成の大合併で広大な自治体が次々と誕生した中で、コンパクトシティ化は郊外や旧自治体の中心街を切り捨てることに繋がらないかと不安がある。
 
; 郊外の発展を抑えれば中心市街地が再生するのか
 
: 市街地拡大の抑制そのものが目的と誤解され、街のにぎわいを取り戻し再生させるという本来の目的が忘れ去られるおそれがある。例えば、郊外化を抑制する目的で郊外への[[ショッピングセンター]]立地を抑制するという名目での、活性化策を自ら企画実施しようとしない既存[[商店街]]保護へのすり替えの恐れがある。
 
; 都市計画をツールとして有効に活用できるか
 
: 従来も、[[都市計画]]が真に有効に機能していれば防げたことは多いのではないか。現状追認に終始してきたのではないか。都市計画が現状追認にならざるを得なかったのは、都市計画が国民、住民の希望・考えを無視した官僚・学者主導のものになっていたからではないか。
 
; 自動車への依存を克服できるのか
 
: 自動車への依存は、駐車場スペースや道路幅が狭い傾向にある中心市街地には不利に働くが、既に鉄道やバスによる[[公共交通]]網が衰退し、郊外の発達した地域では、自動車による移動以外に適当な手段がない場合も多い。またたとえ公共交通網に投資をしたところで、自動車による移動に慣れた住民が十分に公共交通機関の利用に向かうのかという不安もある。
 
; 商店街のスケールをどう捉えるのか
 
: 既存商店街内においても[[ストロー効果]]の発現や[[タイアップ]]の失敗により全体として見るとコンパクトシティ化が成功とは言い難い状況になる場合もある。そのような理由から商業機能集積や容積といった観点において、[[駅ナカ]]・[[駅前]]・[[中心市街地]]という関係、テナント入居の目処が立たない[[ビルディング|ビル]]の建設、側道未整備による[[渋滞|交通渋滞]]の状況などをどう考えるかという問題も存在する<ref>[http://blogos.com/article/54934/ 富山市は「第二の夕張市」となるか――「コンパクトシティ」を目指して暴走する国土交通省と富山市長]</ref><ref>[https://www.excite.co.jp/News/entertainment_g/20170131/Myjitsu_015835.html 人口100万人都市にある商店街をも衰退させる「エキナカ」]</ref>。
 
 
 
青森市の場合、郊外の住民に住んでいる不動産を売却してもらい、その売却益で中心部の住居(主にアパートやマンション)を買ってもらう計画だったが、尤も郊外の地域では買い手が付かなかったり売却益が安すぎて中心部の住居が買えず、しかも住民は一方的に自治体からその計画を言い渡されて何の補償も得られていない、という問題が出ている。また、青森市が関わって中心部に作った商業施設には入居する店舗が少ない、撤退する店舗が相次ぐなど、青森市の思惑通りに行っていない<ref>[[クローズアップ現代]] 2013年10月21日放送分 わが町を身の丈に</ref>。
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{Reflist}}
 
 
 
== 参考文献 ==
 
{{参照方法|date=2013年8月}}
 
* 山本恭逸(編著)『コンパクトシティ 青森市の挑戦』([[ぎょうせい]]、[[2006年]]
 
* 鈴木浩『日本版コンパクトシティ 地域循環型都市の構築』(学陽書房、[[2007年]])
 
* 鈴木浩(編著)『地域計画の射程』(八朔社、[[2010年]])
 
 
 
== 関連項目 ==
 
* サスティナブル・シティ(持続可能な社会)、[[持続可能な開発]]
 
* [[インナーシティ]]
 
* [[ニューアーバニズム]]
 
* [[公共交通指向型開発]] (TOD)
 
* [[動線]]
 
 
 
== 外部リンク ==
 
* [https://www.facebook.com/pages/%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%AF%E3%83%88%E3%82%B7%E3%83%86%E3%82%A3/826953857393788?ref=aymt_homepage_panel Human Chain を通じて世界に広まる日本のコンパクトシティ]Facebook 情報発信ページ
 
* [http://www.thr.mlit.go.jp/compact-city/index.html コンパクトシティ -より良い暮らしのために] 国土交通省
 
* [http://machi.smrj.go.jp/index.html 中心市街地活性化協議会支援センター]
 
* [http://www.machigenki.jp/ まちづくり情報サイト「街元気」]
 
  
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都市の中心部に行政,商業,住宅などさまざまな[[都市機能]]を集中させた形態,またはその計画([[都市計画]])。大都市の膨張によって近郊市街地への人口移動が進行し,[[アーバニゼーション]]が加速したことで,都市が無秩序に広がる[[スプロール現象]]が問題となり,都市機能を徒歩圏内に集約させた小規模な町づくりの必要性が唱えられた。ヨーロッパでは 1990年代から提言された考え方で,職住近接による交通渋滞の緩和や自動車利用率の減少,農地・緑地の保全を目的とする。さらに商店街の活性化や[[地域社会]](コミュニティー)の復活が相乗的な経済交流につながると考えられている。こうした施策は特に,自治体の財政難や人口減少によって都心の空洞化が進む地方都市で重要とされる。
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2018/10/4/ (木) 23:17時点における最新版

コンパクトシティ: Compact City

都市の中心部に行政,商業,住宅などさまざまな都市機能を集中させた形態,またはその計画(都市計画)。大都市の膨張によって近郊市街地への人口移動が進行し,アーバニゼーションが加速したことで,都市が無秩序に広がるスプロール現象が問題となり,都市機能を徒歩圏内に集約させた小規模な町づくりの必要性が唱えられた。ヨーロッパでは 1990年代から提言された考え方で,職住近接による交通渋滞の緩和や自動車利用率の減少,農地・緑地の保全を目的とする。さらに商店街の活性化や地域社会(コミュニティー)の復活が相乗的な経済交流につながると考えられている。こうした施策は特に,自治体の財政難や人口減少によって都心の空洞化が進む地方都市で重要とされる。



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