キャンプ

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近代的なキャンプを始めた人物として名が挙げられることがあるThomas Hiram Holding(1844 – 1930)がキャンプをしている様子。ロープと二本の棒と布で雨よけの三角屋根をつくり、簡素な調理道具などを持参している。
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でテントを設営して行うキャンプ(ウェストバージニア、2007年)
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冬季のキャンプ(スウェーデンにて)雪の上にテントを設営している。
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空の下でのキャンピング(カリフォルニア州デスヴァレー国立公園、2012年)
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樹木にハンモックと 露よけ用タープを張って夜をすごすキャンプ。これが可能なのは基本的には低地で、かつ比較的暖かい夏季のみ。高地や他の季節では凍えてしまう。

キャンプ: camping)とは、野外で一時的な生活をすること[1]野営露営宿営ともいう。

日本語の「野営」や「露営」にあたる英語は正しくは 「camping キャンピン(グ)」 である。camp のほうはあくまで「野」(野外)という意味である。

概説

キャンプというのは、野外で一時的な生活をすることを指している。ラテン語の「campus カンプス」とかフランス語の「champ シャン」というのは「野」を意味するが、英語のcampやcampingはそれと同系統の語である。

現在では、「キャンプ」と言うと、その多くがテントや即席の小屋状のもので過ごすことが指されていることが多くはあるが、それは結果としてそうなっているにすぎず、キャンプというのは実際には特にそういったものに限定されているわけではなく、岩窟などの自然の地形を利用したものもキャンプであるし、登山などでは簡単なツェルトなどでビバークしたり冬季の積雪期に雪洞など掘ってそれを利用するものもキャンプに当たるし、広義には特に幕や屋根類が無くとも、ともかく野(野外、屋外)で一時的に生活することをキャンプという[1]

英語のcampの意味では野営以外に「兵役」「陣営」「陣取る」などの意味があり、野営はしないがコンサートや同じ目的で人々が集う事を「キャンプ」と称することがある。プロ野球のキャンプもそう呼ばれる(キャンプ_(日本プロ野球))。

現在、キャンプは様々な目的で行われている。現在、しばしばキャンプに期待されているのは、キャンプで同志(仲間)と協同生活を行うことで、自己を見つめなおしつつ、自分の中の協調性責任感ボランティア精神(奉仕精神)や連帯感や友情を育むことであり、キャンプはものの見方や見え方を変え、人生観価値観すら変えてゆく力がある、と考えられている[1]

同志と一緒に活動していれば何処でも同じというわけではなく、キャンプというのは特に自然の中で活動するからこそ大きな効能がもたらされる、と考えられている。人為的・作為的な空間であり一種の保護装置と化してしまった都市から離れて、大自然の中で生活すると、都市での日常行動を打ち破る創造的行動が要求されることになるのであり、またキャンプする人は勇気活力でもって自然と接するうちに、自然の美しさや厳しさを知ることもできる[1]。またキャンプの一連の活動の中で登山・釣り・水泳などの活動をするうちに知らず知らずのうちに身体を鍛えることもできる[1]

歴史

そもそも人類はその歴史をふりかえってみれば、長いあいだキャンプ生活を体験してきたと言える[1]

人類の野外生活の歴史

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北アメリカ、Siksikaインディアンのティピー群(モンタナ州
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米国の開拓者たちは幌馬車に生活道具を積み込んでおり、野外で生活できた。
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ハワイのマウナロア山における探検隊のキャンプ(1841年、隊所属の画家が描いたもの)

現代の「キャンプ」が生まれる背景となっているものを理解するために、人類の野外での生活がもともとどのようなものであったか、学術的な分類やいくつかの事例をピックアップすることで紹介する。

人類というのは起源の地アフリカを離れ、長い長い年月をかけてヨーロッパや中央アジア・東アジア、南米、北米などへと移動してゆき地球上で広がったということが20世紀の研究で次第に分かってきている。人類が地球上で広がっていったこの時代、新しい環境、新天地を求めて野外で移動を繰り返しつつ生活していた人々がかなりの割合いたわけである。

人類学などでは、もともと人類のほとんどは狩猟採集生活を送っていた、としている。また学術の世界などでは人類の生活形態を移動型と定住型とに大分類することがあるが、太古の時代は前者の型、つまり狩猟・採集をしつつ移動したり、また遊牧をする人々(遊牧民)の割合が大きかったということが知られている。

水場の付近の木々で火を起こし、調理を行い暖をとり、時には火を使ってクマオオカミなど野生の動物を遠ざけるなどしたかも知れない。しかたなく何ら雨露を防ぐものがない状態で生活する場合もあっただろうが、岩壁の張り出し・岩窟・洞穴・大木などがあればそれを利用して雨露をしのいだこともあったろうし、その場で得られる樹木などの材料や皮などで雨・露をしのいだこともあったかも知れないし、天幕を作りそれを張る知恵を得てからはそれも用いるようになったのだろうと考えられている。

古代のローマ帝国は本拠地イタリア半島から周囲の地域を次々と制圧してゆき巨大な帝国となったのであったが、ローマ帝国の軍人たちはかなたの戦地に向かい、数か月から数年の間、そこで滞在しつつ様々な軍事行動を行った。彼らは木の棒を立て、そこに布(や皮)を張るテントを使用していたらしいことが遺物などによって判っている。

たとえば北米の原住民(インディアン)たちのうち平原で移動生活を行うものたちはティピーを張り、その中で生活をしていた。

また例えば、モンゴルの大平原で遊牧を行っていたモンゴル人ゲルを用いて大自然の中で生活を送っていた。ゲルは移動式可能でありながら、かなり大掛かりで本格的な住居できわめて快適な住環境をもたらす。こうして自然の中で自在に移動しつつ生活することができた彼らは、13世紀ごろにはモンゴル以外に東アジアを制覇するだけでなく、西方遥かかなたヨーロッパの地まで進出することができ、地球規模の巨大な帝国を築くことになった。

人類の歴史を振り返ると、次第に定住型の生活をする人の割合が増えたわけであるが、特に欧米では近代化が進められるにつれ、都市部の人工的な環境で、自然からすっかり切りはなされた状態で生活する人々の人口の割合が相当に増えることになった。

近・現代のキャンピングの誕生

19世紀後半になると、野外で生活することに教育的な意味を認め、一定のプログラムのもとで集団生活が行われるようになった[1]。かつて人類の大半が経験していた野外での生活を、近代産業社会の中で再体験するものとして現代流のキャンプは誕生したのである[1]1861年に米国コネティカット州ガナリーにおいてFrederick William Gunn フレデリック・ウィリアム・ガンが子供たちを集めて学校キャンプを行ったことが、現代流のキャンプの始まりである、と言われている[1]。1881年にはニューヨーク、ブルックリンYMCAでもキャンプが行われるようになり、これがF.ダドリーに継承されて非常に盛んになった。1896年にはヨーロッパはドイツのベルリンからワンダーフォーゲル運動(渡り鳥運動)によってキャンプ活動は普及するようになった[1]

ギャラリー

日本における歴史

日本では縄文時代にいた人々の大半が大自然の中で狩猟採集生活を行っていたと考えられており、野外で行う生活というのは太古から行われていたと考えてよい。ただしその後、弥生時代になり定住型の農業で生活する人々が日本列島に広まったことで状況は変わり、また平安時代などになると、都が造られ、都市生活者の割合が増えたことで、大自然の中で行う生活を知らない人々の数が増えてゆくことになったわけである。

(なお日本の江戸時代の旅人などの中には、大きな油紙を持参している人もいて、山中で日没を迎えてしまった場合には、樹木の下などでその油紙で身体をくるむようにして露や雨をしのぎ、体温を保ち、夜明けを待った(現代風に言えば「ビバークした」)とも言われている。)

ところで、近代的な考えのキャンピングがいかにして日本に導入されたかについて解説すると、江戸幕府にかわり明治政府が日本の舵取りをするようになると、その政府は西洋諸国の諸制度を模倣して取り入れるようになり、自由教育の一環として西洋のスポーツの多くが取り入れられ、キャンプもそのひとつとして紹介され、教育活動のひとつとして推進されるようになった[1]。1894年(明治27年)に刊行された志賀重昂による『日本風景論』中、「登山の氣風を興作すべし」として「山中に露宿する方法及び注意、山中の茵褥、露宿の際の着衣」を図解し、実践する者が急増した。1907年(明治40年)に、学習院の院長になった乃木希典は夏期に行われていた遊泳演習にキャンプを取り入れ、3週間にわたり160人の学生とキャンプ生活を行った。日本における全国的規模のキャンプとしては最初のものは、1922年にYMCAが日光中禅寺湖の湖畔で中等学生のための組織キャンプを行ったことだという[1]。第二次世界大戦に突入するとキャンプをしている余裕は無くなってしまったわけであるが、その大戦が終結すると、日本では学校キャンプが盛んになった。民間団体によるキャンプ推進のほうも、また行政組織によるキャンプ推進のほうも、双方ともに盛んに行われ、1965年には日本キャンプ協会が設立されキャンプに関する啓蒙活動を行うようになった[1]

キャンプのマナー

キャンプは野外生活であって、窮屈な都市生活から開放されるので、気分がすっかり開放的になり、一部の人は生活規律が乱れてしまったり、他の様々な規律まで忘れて乱れてしまう人がいるが、それではいけない、と指摘されている[1]。キャンプの中で個人的に楽しんだり、自己を磨いたりすることはそれはそれでよいのだが、その前に、次のような基本的なマナーが強調されなければならない、と徳久球雄は指摘した[1]

  • 他人の迷惑になるようなことは控える[1]
  • 協同生活における自分の責任を果たす[1]
  • 自然を汚さない[1]

(都会生活では本当の仕組みがすっかり隠蔽されてしまっているが)大自然の中で生活をすることで、人類の生活を本当にささえている巨大な仕組みに徐々に気づくにつれ、やがて人間は謙虚な思いを抱くようになるものであるが、こうした謙虚な思いをキャンプのマナーの基本に据えるべきだと徳久は指摘した[1]

キャンプの種類

組織キャンプ / 個人キャンプ・家族キャンプ

ファイル:Jamboree 2008 at Carr Edge 2008.JPG
ジャンボリー(=国際的に行われるボーイスカウトのキャンプ大会)の参加者たち。

世界大百科事典では、キャンプには組織的なキャンプと、個人的・家庭的なキャンプがある、としている[1]

組織キャンプ

組織キャンプというのは、一定の目標のもとに意図的に組織された集団が、一定のプログラムのもとに野外で協同生活するもののことである[1]。例えば、学校が教育活動の一環として行っているキャンプ(学校キャンプ)、ボーイスカウトなどが行うキャンプ(団体キャンプ)、YMCAYWCAなどのような組織が宗教的行事を盛り込んで行うキャンプ(宗教キャンプ)、学者の集団などが調査のために行うキャンプ(調査キャンプ)、スポーツ団体が行うキャンプなどもある(「スポーツ合宿」などとも)。こうした組織キャンプの規模というのは、小さいものでは数人から、大規模では数百どころか数千人で行われているものもある[1]

年齢層は様々で、子供のキャンプ、大人のキャンプ、障害児(者)のキャンプ、老人のキャンプなど多岐にわたる。青少年を対象としている場合は、単なる「楽しさ」だけはなく、その楽しさの向こうにある困難などを乗り越えることによって、一人一人の人間的な成長を助ける場するためのキャンプだと考えられており、キャンプを行っている団体はほとんどこの考え方に基づいてキャンプを行っている。小学校などが行っている「野外実習」などと呼ばれている活動も、組織キャンプの一種と言えるのである。大規模のものは小グループに分けられており、各参加者には役割が割り当てられており、多くは、「キャンプディレクター」や「プログラムディレクター」等のディレクター職、プログラム準備などをする裏方や、グループのリーダーなどの役割を荷う(団体によって、各役割の呼び名は異なる)。

個人キャンプ・家族キャンプ

組織的なキャンプではなく、個人あるいは家族・親類・友人・知人などが少人数集まって野外でキャンプを行うことである[1]

こうした個人キャンプがどのように始まったか考察してみると、登山においては山を登る活動にともない野外で生活も行っていたのであり、こうした登山に伴う個人的なキャンプ生活が、個人キャンプのひとつの起源だとも考えられる[1]。20世紀後半になると、登山の諸活動の中から、(登山の部分を除き)キャンプの部分(野外で生活を行う部分)がそれ自体で独立して楽しまれるようになり、人々の間で「健全なリクリエーション」と認識されるようになり、欧米で急速にキャンプ場の建設が進み、それによって家族でキャンプを楽しむことが普及したのである[1]

登山などの中で行なわれるキャンプ

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日本の北岳の北岳山荘の前にて。2007年

登山やツーリングを行なうなどといった目的がある中で行う野外での生活。

このようなキャンプでは素早くテントの設営・撤収が出来ることが重視され、道具の総重量や点数などがかなり制限された中で、様々な工夫をすることになる。小型化・軽量化されたテント、コンロストーブ)類などを使うことが多い。

都会の人工的な環境、保護装置に囲まれてしまった日常生活から離れて、大自然の中で自分自身の勇気と知恵を用いることや、もともとの人間の生活のあり方を実感することが楽しいと感じ、これこそがキャンプ本来の楽しみであると感じている人は昔から多い。

こうして、こよなく自然を愛する登山家やツーリングを行なう人々の間では、(自分が心から愛する)大自然の真っ只中で寝泊りすることは非常に甘美な行為であることは当然古くから知られていた。一方、登山やツーリングなどを行なわない人にはそれは馴染みの薄いものであったが、やがてその魅力が次第に一般人にも知られるようになり、広く行なわれるようになり、やがて通俗化したキャンプも登場するようになったのである。

リクリエーション目的のキャンプ

上述のようないきさつで、リクリエーションとしてキャンプをする人が増えた。心の保養を行うために、自然の中でゆったりと野外生活をするのである。

リクリエーション目的のキャンプは、特に決まった形式はなく、楽しみ方は人それぞれである。

大自然にどっぷり浸り、人工環境からはできるだけ逃れて行うスタイルが、やはり王道ではある。喜びが深いのである。(初心者の段階ではキャンプ場でしかキャンプをしたことがなかった人でも)キャンプの経験を積み重ね、キャンプ方法を先輩格の人や様々な書籍で研究しているうちに、次第にキャンプ場以外の、生の自然でのキャンプを好むようになる人はそれなりの割合いるのである。

ただ、現代人の多くは、昔の野外での生活のしかたの知恵(森や林でのの集めかた、石を用いた即席のかまどの作り方、のおこしかた、川の水の使い方 等々)は遠い先祖の段階でとうに忘れてしまって、両親から教えられてもいないので、また仮にそれらを教わったとしても(現代風の機器やシステムに慣れてしまったため)太古以来のやりかたを面倒に感じるようになってしまっているので、やはりキャンプの初心者・中級者の段階では、人工的な設備(整地されたテント張り場、人工的な水道、コンクリート製のシンクや炊事場、人工的なトイレ 等々)があらかじめ用意してあるキャンプ場で行っている人が多い。人工的な設備があったとしても、テントの周囲やキャンプ場の周囲に自然(森、林、川、渓谷 など)が豊富にあれば、十分に自然を楽しむことができるし、また仲間たちと役割分担をし各人の責任を果たし、野外で仲間たちと一緒に調理をし、一緒に食事をすれば、自然と友情も深まるわけである。

よくあるのはたとえば、協同で焚き火を行い、調理をし(例えば、皆で仲良く分担して、野菜を洗い、切るところから始めて、大きな鍋で煮て、ルーを入れ、その香りを楽しみつつ、カレーを作る。( 普段の街暮らしでは、近所に匂いが漏れて作りづらい燻製を、のびのびと作ってみる。)、そして、身体を使って働いたことで生じた 自然な空腹感を体験し、気持ちの良い自然の風景に包まれた状態で皆で一緒に食事を楽しむ。すると(記事の前半で解説したように)、太陽の光と地球の自然があるおかげで野菜が育ち 自分たちにその恵みが届けられていて、各人がそれぞれの役割・責任を果たすからこそ食事ができて、皆が生きていられるのだ、という(普段はつい忘れがちな)《この世界の大きなしくみ》をあらためて、実感として感じて、それに感謝の念を抱くことができる人も出てくるわけである。バーベキューで仲間と一緒に食材を焼き、楽しく交流しつつ食べる、という方法を選ぶ人もいる。また森林浴をしてみたり、植物昆虫や小動物の観察をしたり、釣りをしてみたり、天体観測をしたりする。

20世紀後半、キャンプ場が増えるにしたがい、アウトドア活動や登山に馴染みのない段階の人々の間では、“キャンプ”と言っても人工的なキャンプ場でのキャンプしか知らない人(それしかまだ知らない人)が増えた。整備されたキャンプ場は水道トイレ商用電源などが用意され、なかには調理器具やテントなどの貸し出しも行っているものもあり、必要な道具に関する知識もない初心者や女性でもとりあえず利用できるようになっている。[† 1] キャンプがこれほどまでに大衆化しキャンプを行う人が増えたことには、人工的なキャンプ場の数が増えたことが貢献している。

様々なカテゴリ

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枝と缶を用いた湯沸しの例

最近ではキャンプは、様々な楽しみ方をされており、各人各様で千差万別である。しばしば用いられているカテゴリーを以下に列挙する。

デイキャンプ
日中だけ行い、夜間は行わないキャンプのこと。例えば、野外で日中に炊飯調理を協同でおこなってみたり、河原でバーベキューなどを行うこと。とりあえず手軽に楽しむことができる。
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カヌーでリバーツーリングをしつつ行うキャンプ。
ツーリングキャンプ
キャンプツーリングともいう。オートバイ自転車(やカヌー)でツーリングを行うなかで、キャンプ(野外で炊事・食事や睡眠などの生活)を行うこと。またはキャンプを行うことを目的の一つとしたツーリング。積載量が限られるため、小型のテントやタープが使われる。
オートキャンプ
狭義では自動車がキャンプ場の中まで乗り入れ、車のすぐ横にテントやタープなどを張るキャンプ。オートキャンプ場はテントサイトひとつひとつに駐車スペースがついて1区画になっている。あるいは、車自体で寝泊まりする、いわゆるキャンピングカーキャンピングトレーラーによるキャンプ。日本では1990年代に大ブーム[2]になり、家族一緒のキャンプ(いわゆるファミリーキャンプ)が人気になった。
広義では交通手段として車を使うだけのキャンプも指す。
グランピング
近年海外で人気となり、2015年あたりから日本にも上陸してきたグランピングという新たなスタイルのキャンプ。2015年にはソーシャルネットワークサービスのinstagram検索ワードランキングで『グランピング』が1位になった。「glamping グランピング」とは、glamorousとcampingの合成語で、絶景を楽しみながら高級ホテル並のサービスが受けられる施設、企業のこと。(別名:luxury camping 豪華キャンピング)。グランピングの歴史は深く、元々は英国人がアフリカでハンティングを楽しむ際、泊まる場所がなかったので家の家具をそのまま持ってきたのが始まりである。参加者は通常のキャンプと違いテントを設営することも料理を作ることもなく、テント泊を楽しむことができることから、キャンプ道具を持っていない層や手軽にキャンプを楽しみたい層から人気だが、それらがキャンプ本来の楽しみと考えている層からは疑問視されることもある。テントはあらかじめキャンプ場に設置してある場合や、Circus Outdoorのように移動しながら絶景を探し短い期間開催されるスタイルも存在する。テントの中にベッド、洗面所、ヒーターなどがついていて。[† 2]

キャンプ場の種類

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キャンプ場(スペイン北部、1994年)

もともとキャンプ場に分類があったわけではないが、「オートキャンプ場」というものが登場してから、それを意識した分類がされるようになった。

一般のキャンプ場
現在「オートキャンプ場」とあえて謳っていないところは、テント脇までの自動車の乗り入れはできないことが一般的である。通常はテントを張る場所から離れた場外に駐車場が設置されている。自転車ならばテント脇まで乗り入れができる場合もある。メリットは、キャンプ場で自然のほうを満喫したい人にとっては、自動車という人工的で騒音や排気ガスを出す機械から離れられることである。ただしバイクについては、キャンプ場ごとに細かい規則は異なる。
オートキャンプ場
自動車をテントサイト(テントのすぐ脇)まで乗り入れられることがメリットである。自動車からテントを張る場所まで荷物を運搬するという大きな手間がほぼ省ける。
大人のキャンプ場
米国などで "Adult" と看板に表示してあるもの(すなわち、子供染みた行動を取る者を入れないキャンプ場)。マナー違反を行なうキャンパーを入れないようにした、静かに過ごせることを前面に打ち出しているもの。

主なキャンプ用具

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リュックから取り出したキャンプ道具一式の例。左上のオレンジ色のものは、登山で使える軽量でコンパクトに折りたためるマットレス。その右下は寝袋。

キャンプのタイプによってキャンプ用具は異なってくる。

対比のために、登山のキャンプとオートキャンプでの道具一式を挙げてみる。

自力で荷物を運び挙げる登山でのキャンプ装備
  • (小型できわめて軽量な、だが高価な)テント
  • (コンパクトで、かつ寒い場所で使える羽毛わた などの、だが高価な)寝袋(シュラフ)、キャンプ用小型マットレス(ウレタン製やエアー注入式)
  • 小型の懐中電灯(あるいはヘッドランプ)
  • 小型・軽量のコッヘル(コッフェル)、小型・軽量(折りたたみ式)カトラリー、(超)小型ポータブルストーブ(=(超)小型コンロ)、水筒(小型ポリタンク

山用のキャンプ道具は、ひとつひとつが かなり軽量でコンパクトな作りになっており、また、登山経験者は道具の総点数も極力減らす。山登りをする人が低地のキャンプ場のキャンプに参加する場合は、山用の道具をそのまま流用することが多い(流用可能)。山用のキャンプ道具は登山用品店(専門店)などで販売されている。

平地の(オート)キャンプ場などでのキャンプ装備

平地のキャンプ場用の道具類は総じて、日常の住宅内での道具のように、大きくて重い。リュックに入れて背負って長時間持ち運ぶのは困難で、低地用のキャンプ道具を登山のキャンプに流用することは基本的にはできない。低地用のキャンプ道具はホームセンターなど、さまざまな店舗で販売されている。

他 共通の道具

脚注

注釈

  1. 車で10分程度の近隣にコンビニエンスストアスーパーがあることも多い。
  2. 使われるテントの種類はグランピング事業者ごとにさまざまで、ユルト、ベルテント、ティピーウィグワムログハウスキャンピングカーキャンピングトレーラー、ジプシーキャラバンなどがある。テントとは別にキャビンなども用意されていてマッサージサービスを受けられるところまである。食べ物や飲み物もオーダーでき、シェフがいて好きな食べ物も注文できるグランピング事業者もある。電気や水道も使え、食器や家具もついている。

出典

  1. 1.00 1.01 1.02 1.03 1.04 1.05 1.06 1.07 1.08 1.09 1.10 1.11 1.12 1.13 1.14 1.15 1.16 1.17 1.18 1.19 1.20 1.21 1.22 1.23 1.24 平凡社『世界大百科事典』vol.7, p.167-168『キャンプ』
  2. 「トレーラーハウス等の規制のあり方に関する検討会」報告書 - OTO対策本部関係省庁連絡調整会議 トレーラーハウス等の規制のあり方に関する検討会、平成11年12月14日

関連項目

外部リンク