キビ

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キビ(黍、稷、学名:Panicum miliaceum)は、イネ科一年草で、穀物の一種である。糯(モチ)と粳(ウル)があり[1]、粉食、粒食され、日本では五穀の一つとされる。

原産地

起源はユーラシア大陸起源説、東アジア起源説があるがはっきりしていない[1]インドが原産と推定されるが、原種になった野生植物が発見されておらず、詳細は不明である。紀元前新石器時代からの人類の食用穀物で、中国華北地方では、アワとともに古代の主要穀物であった[2]。日本には縄文時代に渡来したアワより遅く、弥生時代に渡来したと考えられている。『万葉集』にキビの記述があるとおり日本では古くから親しまれており、童話『桃太郎』の作中に登場するキビダンゴは有名である[1]

特徴

生長すると草丈1メートル程度になり、からにかけての先に20センチメートル程度のができ、垂れ下がる。秋に花が咲き、黄色い実がなる。実が黄色であることから、「黄実(きみ)」→「きび」となったとするのが有力な語源説である。実はアワより少し大きい。アワ同様、うるち種ともち種がある。

食用利用

実をそのまま炊いてにして食用にしたり、粉にして団子などにしたりする。キビは米と一緒に1、2割の割合で混ぜて炊飯されたりもされ、米飯よりも甘みと少しのほろ苦みが加わる[3]。古代中国の草本書『食物本草』によれば、「味は甘く性質は温で毒はない。気を益し、脾臓や胃の働きを助ける作用がある。」とある[3]。キビの独特の甘みは、人によって「しつこい味」と評される場合があるが、豆類と一緒に炊き込むと豆の旨味を引き出して「おいしい」に評価が変わるともいわれており、相性の良い食材と一緒に調理されることでおいしく食べられる[3]

炊きたてのモチ黍をすり鉢に入れてついたものは黄色い餅になり、それを丸めると黍団子となる[3]岡山県吉備団子も、元々は黍団子の一種で、その名の通り黍粉を原料としていた。吉備と黍(キビ)の語呂合わせから吉備団子と書かれるようになった。現在では、黍粉を使わずに白玉粉などで作られることも多い。桃太郎伝説に登場するキビダンゴは黍で作られた団子であり、江戸時代末期になって登場した吉備団子ではない。

モロコシ(タカキビ)を「キビ」と呼ぶ地方では、本種を「コキビ」と呼ぶ。サトウキビを「キビ」と呼ぶ地方もある。

脚注

  1. 1.0 1.1 1.2 林弘子 1998, p. 94.
  2. 『新編 食用作物』 星川清親 養賢堂 昭和60年5月10日訂正第5版 p353
  3. 3.0 3.1 3.2 3.3 林弘子 1998, p. 95.

参考文献

  • 林弘子 『穀物をもっと楽しもう』 晶文社、1998-06-30。

関連項目

外部リンク