「カエデ」の版間の差分

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'''カエデ'''(槭、槭樹、楓)とは[[ムクロジ科]](旧カエデ科)カエデ属 (''Acer'') の[[木]]の総称。
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'''カエデ'''(槭、槭樹、楓)
  
'''モミジ'''(紅葉、椛)とも呼ばれるが、その場合は様々な樹木の[[紅葉]]を総称している場合もある。[[童謡]]などで愛でられるものはそれである。[[赤]]・[[黄色|黄]]・[[緑色|緑]]など様々な色合いを持つ為、童謡では色を錦と表現している。また、英語圏では一般に'''Maple'''(''メイプル、メープル'')と称する。
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カエデ科カエデ属の落葉高木の総称。広く北半球の温帯に分布し,日本では 20種以上の自生が知られ,また庭園にも植えられる。葉はすべて対生し,葉の形はいろいろあるが,カエルの手のように裂けているものが多いためカエデの名がある。また秋の紅葉が美しいのでモミジとも呼ばれる。春,枝先に散房または総状花序を出して,多数の小花をつける。花は4~5枚の萼片と花弁があり,黄緑色,緑色,赤色などがある。しばしば雌雄の別がある。果実は2室から成り,おのおの長い翼があり,落下するときに種子が舞って飛散する。材は器具や家具材として有用なものが多い。また北アメリカのサトウカエデ
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<i>A. saccharum</i>の樹液から,上質の砂糖をとる。日本産のカエデ属のなかで山地に広く自生し,また最も普通に植えられるものはイロハモミジ,[[ヤマモミジ (山紅葉) ]][[イタヤカエデ (板屋楓) ]]などで,葉は5~7に深く裂け,典型的な形を示す。[[ハウチワカエデ (羽団扇楓) ]]は北海道から本州中部の山に多く,葉は大型で9~13に裂ける。ヒトツバカエデ,チドリノキは葉が分裂せず,特異な形である。またミツデカエデ,メグスリノキなどの葉は,3小葉から成る複葉,北アメリカ産のトネリコバノカエデは羽状複葉である。漢名の楓はまったく別種である。
  
== 特徴 ==
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{{テンプレート:20180815sk}}
[[File:Momiji01.jpg|thumb|right|230px|落葉前の[[紅葉]]]]
 
おおよそ128種存在し、その多くは[[アジア]]に自生している。他に[[ヨーロッパ]]、北[[アフリカ]]、北[[アメリカ]]に存在する。1種類([[:en:Acer laurinum|Acer laurinum]])のみが[[南半球]]に存在する。
 
 
 
日本のカエデとして代表されるのは、[[イロハモミジ]] (''A. palmatum'') である。[[福島県]]以南の山野に自生しているほか、古くから栽培も行われている。園芸種として複数の栽培品種があり、葉が緑色から赤に[[紅葉]]するものや最初から[[紫色]]に近い葉を持ったものもある。
 
 
 
一般に[[高木]]になる。[[落葉樹]]が多く[[落葉広葉樹林]]の主要構成種であるが、[[沖縄諸島|沖縄]]に自生する[[クスノハカエデ]]のように[[常緑樹]]もある。葉は対生し、葉の形は掌状に切れ込んだものが多く、カエデの和名もこれに由来する(下記[[#和名]]参照)。しかし、三出複葉([[メグスリノキ]])や単葉([[ヒトツバカエデ]]、[[チドリノキ]]、クスノハカエデ)のものもある。
 
 
 
[[花]]は[[風媒花]]で、[[花弁]]は目立たなく小さい。[[果実]]は、片翼の[[翼果]]が二つずつ(稀に三つのこともある)種子側で密着した姿でつく。脱落するときは空気の抵抗を受けて回転し、滞空時間を稼いで風に運ばれやすくなっている。
 
 
 
<gallery mode="packed">
 
File:Acer saccharum drawing.png|[[サトウカエデ]]・図版
 
File:Sugar_maple_3220.jpg|同・果実の状態
 
File:Acer_maximowiczianum1.jpg|[[メグスリノキ]](目薬木、別名チョウジャノキ、長者の木)
 
</gallery>
 
 
 
==主な種==
 
{{wikispecies|Acer}}
 
*[[オオモミジ]](ヒロハモミジ、ホロナイカエデ、エゾオオモミジ) ''Acer amoenum'' Carrière
 
**ナンブコハモミジ var. ''nambuanum'' ({{AU|Koidz.}}) {{AU|K.Ogata}}
 
**ホロナイカエデ f. ''horonaiense'' ({{AU|Nakai}}) K.Ogata
 
**ホンドウジカエデ(ヤマモミジ) var. ''matsumurae'' ({{AU|Koidz.}}) K.Ogata
 
**フカギレオオモミジ(ミヤジマカエデ) f. ''palmatipartitum'' (Koidz.) K.Ogata
 
*[[アサノハカエデ]] ''Acer argutum'' {{AU|Maxim.}}
 
*[[ナンゴクミネカエデ]] ''Acer australe'' ({{AU|Momot.}}) {{AU|Ohwi}} et Momot.
 
*[[トウカエデ]] ''Acer buergerianum'' {{AU|Miq.}}
 
*[[ホソエカエデ]] ''Acer capillipes'' Maxim.
 
*[[チドリノキ]](ヤマシバカエデ) ''Acer carpinifolium'' {{AU|Sieb.}} et {{AU|Zucc.}}
 
*[[ミツデカエデ]] ''Acer cissifolium'' (Sieb. et Zucc.) {{AU|K.Koch}}
 
*[[ウリカエデ]] ''Acer crataegifolium'' Sieb. et Zucc.
 
*[[カジカエデ]](オニモミジ) ''Acer diabolicum'' {{AU|Blume}} ex Koch
 
*[[ヒトツバカエデ]] ''Acer distylum'' Sieb. et Zucc.
 
*[[カラコギカエデ]] ''Acer ginnala'' Maxim.
 
*[[シマウリカエデ]] ''Acer insulare'' {{AU|Makino}}
 
*[[ハウチワカエデ]](メイゲツカエデ、アカバナハウチワカエデ、ネバリハウチワカエデ、オオメイゲツ、シナノハウチワカエデ、ケハウチワカエデ)''Acer japonicum'' Thunb.
 
**エゾメイゲツカエデ (モミジハウチワ) f. ''microphyllum'' (Koidz.) {{AU|Rehder}}
 
*[[メグスリノキ]] ''Acer maximowiczianum'' Miq.
 
*[[コミネカエデ]] ''Acer micranthum'' Sieb. et Zucc.
 
*[[クロビイタヤ]] ''Acer miyabei'' Maxim.
 
*[[ヤクシマオナガカエデ]] ''Acer morifolium'' Koidz.
 
*[[トネリコバノカエデ]](ネグンドカエデ)''Acer negundo''
 
*[[テツカエデ]] ''Acer nipponicum'' H.Hara
 
*[[クスノハカエデ]] ''Acer oblongum'' {{AU|Wallich.}}
 
*[[イロハモミジ]] ''Acer palmatum'' Thunb.
 
**ベニシダレ var. ''dissectum'' Koidz.
 
**ヤマモミジ var. ''matsumurae'' (Koidz) Ogata<br />オオモミジの変種とされる場合もある。
 
**ノムラカエデ var. ''sanguineum'' (Nakai)
 
**アオシダレ f. ''aosidare'' {{AU|Nemoto}}
 
**ヒガサヤマ f. ''hikasayama'' Koidz.
 
**シメノウチ(アオノ七五三) f. ''linearilobum'' (Nakai)
 
**オオサカズキ f. ''ohsakazuki'' Koidz.
 
*[[イタヤカエデ]] ''Acer pictum'' Thunb.(シノニム''Acer mono'' Maxim. var. ''marmoratum'' (Nichols.) Hara f. ''dissectum'' (Wesmael) Rehder)
 
**エンコウカエデsubsp. ''dissectum'' ({{AU|Wesm.}}) H.Ohashi f. ''dissectum'' (Wesm.) {{AU|H.Ohashi}}
 
**ウラゲエンコウカエデ f. ''connivens'' (G.Nicholson) H.Ohashi
 
**タイシャクイタヤ subsp. ''taishakuense'' (K.Ogata) H.Ohashi
 
**オニイタヤ subsp. ''pictum'' f. ''ambiguum'' (Pax) H.Ohashi
 
**エゾイタヤ subsp. ''mono'' (Maxim.) H.Ohashi
 
**ウラジロイタヤ subsp. '' glaucum'' (Koidz.) H.Ohashi
 
**イトマキイタヤ subsp. ''savatieri'' (Pax) H.Ohashi
 
**アカイタヤ subsp. ''mayrii'' (Schwer.) H.Ohashi
 
*[[ハナノキ]] ''Acer pycnanthum'' K.Koch.
 
*[[アメリカハナノキ]](ルブラカエデ、アカカエデ、ベニカエデ) ''Acer rubrum'' L.
 
*[[ウリハダカエデ]] ''Acer rufinerve'' Sieb. et Zucc.
 
*[[サトウカエデ]] ''Acer saccharum'' Marshall
 
*[[オオイタヤメイゲツ]] ''Acer shirasawanum'' Koidz.
 
*[[コハウチワカエデ]](イタヤメイゲツ) ''Acer sieboldianum'' Miquel
 
**ヒメウチワカエデ(コハウチワカエデ) f. ''microphyllum'' Hara
 
*[[ヒナウチワカエデ]] ''Acer tenuifolium'' (Koidz.) Koidz.
 
*ミヤサマカエデ(タイワントウカエデ) ''Acer trifidum'' {{AU|Hook.}} et Arn. var. ''formosanum'' Hayata
 
*[[ミネカエデ]] ''Acer tschonoskii'' Maxim.
 
*[[オガラバナ]] ''Acer ukurunduense'' Trautv. et C.A.Mey.
 
 
 
==文化との関わり==
 
[[File:Sumi-kiri Kaku ni Hitoha Momiji inverted.jpg|thumb|right|120px|隅切り角に一葉紅葉紋]]
 
[[File:Canada flag halifax 9 -04.JPG|thumb|カナダの国旗]]
 
===和名===
 
カエデの名称の由来は、[[葉]]が[[カエル]]の手に似ていることから「カエルデ」と呼ばれ、それが転訛したものとされている。
 
 
 
日本ではカエデを通例「楓」と書くが、中国ではカエデに「槭」の字をあて、「楓」は[[マンサク科]]の[[フウ]]を指す。フウとカエデは葉の形が似ているが、カエデの葉は対生、フウの葉は互生につき、異なる植物である<ref>緒方健「カエデ科」、『週刊朝日百科 植物の世界』33、1994年、258頁。</ref>。かつてはカエデ科の木には「槭」が用いられていたが、この字は[[常用漢字]]に含まれず、替わって「楓」が充てられることが多くなった。
 
 
 
「楓」は[[日本人]]の[[人名]]としても用いられることが多い。古くから使われており、[[治承・寿永の乱|源平合戦]]で活躍した[[佐藤継信]]の妻の名が楓であったと伝わっている<ref>{{cite news |title=源義経に従い戦死 佐藤継信・忠信兄弟 830年の時越え妻と再会 |newspaper=[[河北新報]] |date=2014-6-8 |url=http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201406/20140608_15019.html |accessdate=2015-2-14 }}</ref>。主に女性名であるが、男性にも名付けられることがある。
 
 
 
===その他===
 
*[[ニワトリ]]の足先を食用にするとき、3つに分かれている形状から'''モミジ'''という。
 
*[[ダイコン]]に穴を開けて[[唐辛子]]を詰め、一緒にすりおろしたものを'''もみじおろし'''という。
 
*[[通話表#和文通話表|和文通話表]]で、「[[も]]」を送る際に「'''モミジのモ'''」という。
 
 
 
===西洋===
 
[[カナダの国旗]]は、[[サトウカエデ]]の葉をデザインしたものである。
 
 
 
==用途==
 
[[File:Bonsai Federahorn.jpg|thumb|250px|カエデの[[盆栽]]]]
 
[[File:Acer pictum.jpg|thumb|250px|カエデの一枚板テーブル]]
 
===園芸===
 
日本では鮮やかな紅葉が観賞の対象とされ、[[庭木]]、[[盆栽]]に利用するために種の選抜および、品種改良が行われた。諸外国では木材や砂糖の採取、薬用に利用されるのみであったが、明治時代以後に西洋に日本のカエデが紹介されると、[[ガーデニング]]素材として人気を博し、西洋の美意識による品種も作られ、日本に「西洋カエデ」として逆輸入されている。
 
 
 
===食用===
 
[[サトウカエデ]]といわれる種は[[樹液]]が甘いので、これを採集し煮詰めて[[メープルシロップ]]を作ることで知られている。
 
 
 
まれなケースとしては、愛知県の[[香嵐渓]]で、落葉したカエデの葉を1年間塩漬けにして灰汁抜きをしたものを天ぷらにして食すことがある。香嵐渓の場合は砂糖を入れた衣にくぐらせて揚げる。その他、[[大阪府]][[箕面市]]でもカエデの葉に甘い衣をつけて揚げたものが土産品として売られている。ただし、ここで使われているカエデは食用に栽培された特殊なもので自然のものではない。さらに香嵐渓と同じような下処理をしている。
 
 
 
===薬用===
 
[[メグスリノキ]]は、苦味成分の[[ロドデノール]]([[視神経]]を活発化させる作用がある)が多く含まれている。また、古来より[[漢方薬]]として利用されており、葉や樹皮を煎じて飲用したり洗眼薬にしていたのでこの名前がついている。なお、山地に自生している。
 
 
 
===木材===
 
[[File:White Rot and Zone Lines.JPG|thumb|right|スパルト材の部分]]
 
カエデは木材として用いられ、国産のものは楓材、西洋から輸入されたものはメイプル材と呼ばれて流通することが多い。また、ヨーロッパ産のメイプル材は[[セイヨウカジカエデ|シカモアメイプル]]、北アメリカ産のメイプル材は、品種によってハードメイプルとソフトメイプルに区別される。ハードメイプルはソフトメイプルよりも25%硬いとされる。
 
 
 
;ハードメイプル
 
:[[サトウカエデ]]のこと。北米、カナダ産出。重硬で肌目は緻密で衝撃にも強い。心材は硬く、辺材が用いられることが多い。[[鳥眼杢]](バーズアイ)が現れることがある。建築材、家具、[[ボウリング]]の[[レーン]]やピン・楽器・野球の[[バット (野球)|バット]]([[バリー・ボンズ]]が使いはじめたことにより広まった)に使用される。
 
 
 
;ソフトメイプル
 
:[[レッドメイプル]] ([[:en:Acer rubrum|Acer rubrum]])、[[シルバーメイプル]] ([[:en:Acer saccharinum|Acer saccharinum]])、[[ボックスエルダー]]、[[ビッグリーフメイプル]]([[:en:Acer macrophyllum|Acer macrophyllum]])などの総称。加工性が良く、狂いも少ないが虫害に弱い。だが時に虫穴からバクテリアによる汚れが入った為に暗い縞模様を呈したものがスパルト材、スポルト材と呼ばれ、[[銘木]]として賞用に用いられる([[:en:Spalting|Spalting]]を参照)。用途はハードメイプルとほぼ同じ。
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{脚注ヘルプ}}
 
{{Reflist}}
 
 
 
==関連項目==
 
{{Commons|Acer (genus)|カエデ属}}
 
*[[木の一覧]]
 
*[[紅葉]]
 
*[[もみじ]]
 
*[[もみじ饅頭]]
 
  
 
{{DEFAULTSORT:かえて}}
 
{{DEFAULTSORT:かえて}}
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[[Category:紅葉]]
 
[[Category:紅葉]]
 
[[Category:秋の季語]]
 
[[Category:秋の季語]]
[[Category:山梨県の象徴]]
 
[[Category:滋賀県の象徴]]
 
[[Category:広島県の象徴]]
 

2018/8/25/ (土) 18:56時点における版


カエデ(槭、槭樹、楓)

カエデ科カエデ属の落葉高木の総称。広く北半球の温帯に分布し,日本では 20種以上の自生が知られ,また庭園にも植えられる。葉はすべて対生し,葉の形はいろいろあるが,カエルの手のように裂けているものが多いためカエデの名がある。また秋の紅葉が美しいのでモミジとも呼ばれる。春,枝先に散房または総状花序を出して,多数の小花をつける。花は4~5枚の萼片と花弁があり,黄緑色,緑色,赤色などがある。しばしば雌雄の別がある。果実は2室から成り,おのおの長い翼があり,落下するときに種子が舞って飛散する。材は器具や家具材として有用なものが多い。また北アメリカのサトウカエデ

A. saccharumの樹液から,上質の砂糖をとる。日本産のカエデ属のなかで山地に広く自生し,また最も普通に植えられるものはイロハモミジ,ヤマモミジ (山紅葉) イタヤカエデ (板屋楓) などで,葉は5~7に深く裂け,典型的な形を示す。ハウチワカエデ (羽団扇楓) は北海道から本州中部の山に多く,葉は大型で9~13に裂ける。ヒトツバカエデ,チドリノキは葉が分裂せず,特異な形である。またミツデカエデ,メグスリノキなどの葉は,3小葉から成る複葉,北アメリカ産のトネリコバノカエデは羽状複葉である。漢名の楓はまったく別種である。


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