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'''オリーブ'''({{lang-en-short|olive}} {{IPA-en|ˈɒlɨv|}}、学名: ''Olea europaea''
|名称 = オリーブ
 
|色 = lightgreen
 
|画像= [[ファイル:Olea europaea subsp europaeaOliveTree.jpg|250px]]
 
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|学名 = ''Olea europaea''
 
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|英名 = Olive
 
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[[ファイル:Olive-tree-fruit-august-0.jpg|250px|thumb|オリーブの実]]
 
  
'''オリーブ'''({{lang-en-short|olive}} {{IPA-en|ˈɒlɨv|}}、学名: ''Olea europaea'')は、[[モクセイ科]]の[[常緑]][[高木]]。日本語では稀に「橄欖(かんらん)」と呼ぶことがある。
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モクセイ科の常緑小高木。地中海沿岸原産で,世界各地の暖かく乾燥した地方に栽培されている。高さ7~10m,緑白色で小型の長楕円形の葉は互生する。夏秋の頃,モクセイに似た黄白色で芳香のある小花をつける。果実は楕円体状,長さ2~3cmの液果で,紫黒色に熟する。未熟の果実を塩漬にして食べ,また熟した果実からオリーブ油をとり,サラダ油など食用にあて,また化粧用の香油や石鹸原料,薬用に使う。材は木目が美しく細工物に使われる。創世記の記述から平和のシンボルとされている。
 
 
==概要==
 
果実は油分を多く含み、主要な[[食用油]]の一つである[[オリーブ・オイル]]の原料である。
 
古代から重要な油糧作物として知られている。また原産地が西洋文明の発祥区域であった[[地中海]]沿岸であるため、[[聖書]]の記述をはじめ多くの文化的記録が残っている。
 
 
 
[[地中海]]地方が原産とされる。葉が小さくて硬く、比較的乾燥に強いことから[[スペイン]]や[[イタリア]]などの地中海地域で広く栽培されている。
 
 
 
[[紀元前700年]]頃から[[古代ギリシア]]はオリーブの栽培によって国力を蓄え、今日の[[産油国]]のように繁栄を迎えた。オリーブには希少価値があり、[[ヘロドトス]]は紀元前5世紀頃に「[[アテナイ]]を除き、世界のどこにもオリーブの木は存在しない」と記述している。ギリシアが地中海各地に[[植民市]]を建設するとともに、オリーブの木も移植され広まっていった。紀元前370年頃イタリア半島に移植され、やがてオリーブの主要生産地の一つとなった<ref>ビル・ローズ著 柴田譲治訳『図説:世界史を変えた50の植物』 原書房、2012年、pp140-143</ref>。
 
 
 
;名称
 
原産地のギリシアの[[ギリシア語]]ではἐλαία (「エライア」と読み、オリーブの木やオリーブの実を指す)、あるいはἔλαιον (「エライオン」、オリーブ・オイルを指す)。地中海沿岸を広く支配した[[ローマ帝国]]の言語である[[ラテン語]]ではŏlīva(オリーブの木、オリーブの実を指す)と呼び、それが[[ラテン語]]の方言である[[ロマンス諸語]]のイタリア語oliva・スペイン語oliva・フランス語oliveになり、[[古フランス語]]の語彙が大量に流入した[[中期英語]]ではoliveとなった。
 
日本語では基本的には英語やフランス語を音写した「オリーブ」と呼ばれ、まれに「橄欖(かんらん)」と呼ばれることもあるが、[[橄欖]]は本来オリーブとは全く異なる[[カンラン科]]の常緑高木である([[カンラン (カンラン科)]]参照)。これは、オリーブに似た緑色の鉱物オリビン(olivine)を[[和訳]]する際に、まったく違う樹木である橄欖の文字を誤って当てて「[[カンラン石|橄欖石]](かんらんせき)」と名づけてしまい、植物のほうも同様に誤字が流布してしまった結果であるという説がある。ただし、明治初期に和訳された[[新約聖書]][[マタイによる福音書]]のなかに「[[橄欖山の垂訓]]」があり、当時はオリーブを用法の似た「かんらん」と混同ないし、同一視されていたため、鉱物の誤訳説には疑問がある。また別の説では、カンランの果実を塩蔵したものを英語で chinese olive と称したことによるとも言われる。
 
 
 
;用途
 
オリーブの果実は油を搾るほか食用にされる。そのまま生食すると苦味が強いが、加熱するとそれはやわらぎ[[ピクルス]]や[[ピザ]]の材料としたり、[[塩漬け]]にして[[カクテル]]の[[マティーニ]]に必須の材料である。また種子からも油が取れるが、これはオリーブ核油といい、オリーブ油よりも品質が劣る。
 
 
 
オリーブの[[木材]]は硬く(爪の先で押してもほとんど傷つかない)重く([[比重]]は約0.9)緻密で、油分が多く耐久性があり、装飾品や道具類、特にまな板、すりばち、すりこぎ、スプーン、調理用へらなどの台所用品を作るのによく用いられる。木製品としてはかなり高価である。日本では印鑑の材料にされることもある。辺材は黄白色、心材は黄褐色で、褐色の墨流しのような不規則なしま模様がある。オリーブ材の加工はフランス・イタリアなどで盛んだが、ヨーロッパのオリーブは幹が細いものが多く、加工用のオリーブ材は[[チュニジア]]などのアフリカ産が多い。日本でも小豆島でオリーブ材をわずかに生産している。
 
 
 
== 害虫 ==
 
4月頃から先端が青虫に食害されることが多い。これを防ぐために[[フェニトロチオン]]等の乳剤の希釈液を幹にだけ塗布する樹幹散布が行われる。他にも[[オリーブアナアキゾウムシ]]による被害もある。
 
 
 
== 生産 ==
 
オリーブは重要な商品作物である。[[国際連合食糧農業機関|FAO]]の統計資料によると、98%以上の生産国は地中海に面し、そのうち、2/3がヨーロッパ州に集中している。
 
 
 
2002年のオリーブの実の生産量は1398万トンであり、全体の30.8%をスペインが生産(430万トン)していた。生産上位10カ国は、[[スペイン]]、[[イタリア]](19.5%)、[[ギリシャ]](14.3%)、[[トルコ]](10.7%)、[[シリア]](7.1%)、[[モロッコ]](3.0%)、[[ポルトガル]]、[[エジプト]]、[[アルジェリア]]、[[ヨルダン]]である。
 
 
 
1960年には年産400万トンだったが、1990年に1000万トンを超えた。2002年までの10年間に生産量が著しく増加した国は、スペイン(140万トン)、シリア(80万トン)、トルコ(70万トン)、エジプト(30万トン)。ギリシャ(20万トン)、ヨルダン(15万トン)である。逆に、減少が著しい国はイタリア(50万トン)、[[チュニジア]](20万トン)である。
 
 
 
2002年時点で、地中海に面した国のうちオリーブ生産量(果実)が少ないのは[[アルバニア]](2.7万トン)、[[キプロス]](1.8万トン)、[[フランス]](2万トン)、[[マルタ]]のみである。地中海以外であっても、[[地中海性気候]]に属する地域を含む国ではオリーブは生産されている。例えば、[[イラン]](4万トン)である。[[中央アジア]]でもわずかに生産されているが統計データとしてはごく少量である。
 
 
 
[[日本]]での栽培は[[香川県]][[小豆島]]で1910年頃はじめて成功した(それ以前に[[平賀源内]]がオリーブ栽培に取り組んだが、[[ホルトノキ]]をオリーブと誤認し失敗している)。現在は香川県を含む[[四国]]全域、[[岡山県]]、[[広島県]]、[[兵庫県]]、[[九州]]、[[関東地方]]、[[中部地方]]、[[東北地方]]など全国各地で栽培されている。[[石巻市|宮城県石巻市]]が[[東日本大震災]]からの復興の一環として、"北限のオリーブ"栽培に取り組んでいる<ref>{{Cite news|url=http://m-nkaigi.sub.jp/wadai/20160520/20160520_ishinomaki.pdf/|title=北限のオリーブ栽培実験の取組創設|work=|publisher=石巻市|date=2016-05-20}}</ref>。なお、果実から種を取り出すための専用器具も販売されている。
 
 
 
程度差はあるが[[自家不和合性 (植物)|自家不和合性]]が有るため同一品種の花粉では結実し難い<ref>大場和彦、下高敏彰、泉哲也、中道隆広、[http://id.nii.ac.jp/1101/00000016/ 長崎県におけるオリーブ栽培適地性の農業気象学的解析] 長崎総合科学大学紀要 2012, No.52</ref>。
 
 
 
=== ギャラリー ===
 
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ファイル:Illustration Olea europaea0.jpg|'''オリーブ'''''Olea europaea'' 中央は花を付けたオリーブの枝。左上はつぼみ、花びらを4枚付けた花、開花後のがく、左下はオリーブの種子と綿。右上は2本の楕円形のおしべ、右中央は花の側断面図、右下は紫黒色に熟したオリーブの実と側断面図。
 
ファイル:Olive kobe minatogawa jinja.jpg|[[湊川神社]]にあるオリーブの木。明治十一年パリ万国博覧会日本館長前田正名がフランスから持ち帰ったもので、日本最初のオリーブの木とされる。
 
ファイル:NrAlhama.jpg|スペインの[[アンダルシア州]]におけるオリーブの[[プランテーション]]。
 
ファイル:Shodoshima Olive Park Shodo Island Japan12bs3.jpg|[[小豆島オリーブ公園|小豆島オリーブ園]]。日本におけるオリーブ栽培の発祥地かつ日本最大の生産地。
 
ファイル:Olives au marche de Toulon p1040238.jpg|[[フランス]]の市場で売られる、様々なオリーブの実。
 
</gallery>
 
 
 
== 象徴としてのオリーブ ==
 
* オリーブの樹は「太陽の樹」とも呼ばれる。
 
* 古代エジプトでは、女神[[イシス]]がオリーブの栽培と利用を教えたとされる。[[ラムセス3世]]は[[太陽神]][[ラー]]に神殿の灯油のためのオリーブ畑を捧げたとされる。
 
* [[ホメーロス]]はオリーブオイルを「液体の黄金」と謳った。オリーブオイルは古代地中海貿易の主要商品の一つであった。オリーブは豊穣・富の象徴とされる。
 
* オリーブは[[フクロウ]]とともに、女神[[アテーナー]]に付随するシンボルである。
 
* [[アテナイ]]の発行した4[[ドラクマ]]銀貨は、表に女神アテーナー、裏にフクロウとオリーブの枝と[[三日月]]が刻印されていた。
 
* オリーブは勝利の象徴ともされる。
 
* [[ギリシア神話]]では、女神アテーナーは海神[[ポセイドーン]]と[[アッティカ]]の領有権を争い、どちらが市民に役立つ贈り物をするかを競い、ポセイドーンは塩水の湧き出る泉もしくは戦に役立つ馬を、アテーナーは食用となる実とオリーブオイルの採れるオリーブの樹(の森)を贈り、アテーナーはアッティカの守護女神に選ばれ、アッティカの中心となる[[ポリス]]は「アテナイ」と呼ばれるようになった。
 
* オリュンピア大祭([[古代オリンピック]])では、勝者に授けられる冠に[[クレタ島]]のオリーブの樹から作られたオリーブ冠が使われた。これを[[月桂冠]]とするのは誤りで、月桂冠は太陽神[[アポローン]]の聖地である[[デルポイ|デルフォイ]]で行われる[[ピューティア大祭]]の勝者に授けられた。
 
* [[ユダヤ教]]・[[キリスト教]]・[[イスラム教]]では、オリーブオイルは[[戴冠式]]や[[聖別]]などの宗教儀礼での「[[メシア|聖油]]」としても用いられる。
 
* オリーブの枝は、[[鳩]]と伴に「[[平和]]の象徴」となっている。これは『[[旧約聖書]]』[[ノアの箱舟]]のくだりで「[[神]]が起こした[[大洪水]]のあと、陸地を探すために[[ノア (聖書)|ノア]]の放った鳩が、オリーブの枝をくわえて帰ってきた。これを見たノアは、水が引き始めたことを知った」との一節([[創世記]]8章8-12節)に基づいている。斜に構えた見方をすれば、オリーブや鳩の象徴する「平和」とは、「(神罰・[[最後の審判|世界の終末]]による)大災厄により、ほとんどの(悪しき)人間が滅びた後の、「新世界」における平和」ともいえる。
 
* 旧約聖書やギリシヤ神話の故事から、オリーブの[[花言葉]]は、「平和」・「安らぎ」・「知恵」・「勝利」である。
 
* 聖書は、[[イエス・キリスト]]は普段から[[オリーブ山]]のふもとの[[ゲッセマネ]](「オリーブの油搾り」)の園で祈ることを好み<ref>『[[ルカによる福音書]]』 22:40</ref>、[[最後の晩餐]]の後もゲッセマネの園で最後の祈り([[ゲツセマネの祈り]])を捧げた<ref>『ルカによる福音書』22:43~44</ref>、と伝えている。
 
* オリーブの枝は、[[ベネディクト会]]のシンボルであり、同会は「オリーブ会」とも呼ばれる。
 
* オリーブの枝は、[[国際連合]]旗や、いくつかの国の[[国旗]]や[[国章]]にも使われている。
 
* オリーブは、ギリシャ(国樹)、[[イスラエル]](国樹)、[[ポルトガル]](国花)の、国樹・[[国花]]である。
 
* [[イタリア]]の[[政党連合]]にも「[[オリーブの木]]」というのがあった。
 
* 1[[アメリカ合衆国ドル|米ドル]]紙幣に描かれた[[ハクトウワシ]]の右脚には「オリーブの枝」、左脚には「[[矢]]」が握られている。
 
* 日本では、[[香川県]]の県の木、県の花に指定されている。
 
 
 
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ファイル:Flag_of_the_United_Nations.svg|[[国際連合の旗]]
 
ファイル:Italy-Emblem.svg|[[イタリア]]の国章
 
ファイル:Coat_of_arms_of_Israel.svg|[[イスラエルの国章]]
 
</gallery>
 
{{節スタブ}}
 
 
 
== 耐用年数 ==
 
平成20年度税制改正において、[[法人税]]等の「[[減価償却資産の耐用年数等に関する省令]]」が改正され、別表第四「生物の耐用年数表」によれば[[2008年|平成20年]][[4月1日]]以後開始する[[事業年度]]にかかるオリーブ樹の[[法定耐用年数]]は25年となった。
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{Reflist}}
 
 
 
== 関連項目 ==
 
{{Commons|Olive}}
 
* [[ホルトノキ]] - オリーブに似ているが類縁のない、日本在来樹木。オリーブと混同され「ポルトガルの木」の意味で命名されたらしい。
 
* [[オリーブの枝請願]]
 
* [[ナブルスのオリーブ石鹼]]
 
 
 
== 外部リンク ==
 
* [http://hfnet.nih.go.jp/contents/indiv_agreement.html?493 オリーブ(オレイフ) - 「健康食品」の安全性・有効性情報] ([[国立健康・栄養研究所]])
 
* [http://www.pref.kagawa.lg.jp/content/etc/subsite/noshi_olive/index.shtml 香川県農業試験場小豆分場]
 
  
 
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オリーブ.jpg

オリーブ: olive [ˈɒlɨv]、学名: Olea europaea

モクセイ科の常緑小高木。地中海沿岸原産で,世界各地の暖かく乾燥した地方に栽培されている。高さ7~10m,緑白色で小型の長楕円形の葉は互生する。夏秋の頃,モクセイに似た黄白色で芳香のある小花をつける。果実は楕円体状,長さ2~3cmの液果で,紫黒色に熟する。未熟の果実を塩漬にして食べ,また熟した果実からオリーブ油をとり,サラダ油など食用にあて,また化粧用の香油や石鹸原料,薬用に使う。材は木目が美しく細工物に使われる。創世記の記述から平和のシンボルとされている。