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{{Infobox Christian denomination
 
| name=エホバの証人
 
| image=Jehovah's witnesses website.png
 
| imagewidth=80px
 
| caption=エホバの証人の公式ロゴ
 
| main_classification=[[キリスト教系の新宗教]]、[[三位一体]]の否認、[[霊魂消滅説]]
 
| structure = [[エホバの証人の組織構造]]<ref>{{cite web|url=http://ex-jw.com/wp-content/uploads/2012/05/Court-Trial-Testimony-Redwood-City-1-25.pdf|quote=I am general counsel for the National Organization of Jehovah's Witnesses out of Brooklyn, New York. ... We are a hierarchical religion structured just like the Catholic Church.|title=Court Trial Testimony Redwood City|publisher=Superior Court of the State of California|date=2012年2月22日|accessdate=2014年4月20日}}</ref>
 
| founder =  [[チャールズ・テイズ・ラッセル]]
 
| founded_date = [[1870年代]]
 
| founded_place = {{flag|アメリカ合衆国}}<br/>[[ペンシルベニア州]]ビッツバーグ
 
| area = {{World}}
 
| congregations = 119,485
 
| members = 8,340,847人
 
| footnotes = Statistics from ''2017Yearbook of Jehovah's Witnesses''<ref group="証人" name="Watchtower statistics" />
 
| website = {{URL|www.jw.org}}
 
}}
 
[[画像:Charles Taze Russell sharp.jpg|right|thumb|250px|エホバの証人を設立した[[チャールズ・テイズ・ラッセル]](1911年撮影)]]
 
[[画像:Jw headquart.jpg|right|thumb|250px|ニューヨーク州[[:en:Warwick, New York|ウォーウィック]]の世界本部]]
 
[[Image:JW-Japan-BranchOffice-2016101001.jpg|250px|right|thumb|神奈川県海老名市中新田、エホバの証人の日本支部。]]
 
[[Image:Reunião em Salão do Reino.jpg|250px|right|thumb|[[王国会館]]と呼ばれる集会所で週2回の聖書講演会や勉強会等が行われる。]]
 
[[Image:Bucharest - Jehovah's Witnesses Kingdom Hall.jpg|250px|right|thumb|[[王国会館]]は他宗教での教会やモスク、寺院に相当する礼拝施設である。世界各地にあり、日本にも各地に多数存在する。写真はルーマニアにある施設。]]
 
'''エホバの証人'''(エホバのしょうにん、{{lang-en-short|Jehovah's Witnesses}})は、[[キリスト教系の新宗教]]<ref>[[島薗進]]『何のための「宗教」か?―現代宗教の抑圧と自由』[[青弓社]] [[1994年]]</ref><ref>[[井門富二夫]]『カルトの諸相  キリスト教の場合』[[岩波書店]][[1997年]]</ref><ref name="Hoekema">{{cite book|title=The Four Major Cults: Christian Science, Jehovah's Witnesses, Mormonism, Seventh-day Adventism|author=[[:en:Anthony A. Hoekema|Anthony A. Hoekema]]|publisher=Eerdmans|year=1963|isbn=0-85364-094-7}}</ref>。'''[[ものみの塔聖書冊子協会]]'''などの法人が各国にあり、ほぼ全世界で活動しており、「神の王国」という国境なき[[世界政府]]の確立を支持している。[[聖書]]は主に[[新世界訳聖書]]を使用している。
 
  
また、[[キリスト教]]主流派が重要視する基本信条を否定しているため、主流派から[[異端]]とされている<ref name="roma">[http://www.vatican.va/roman_curia/pontifical_councils/migrants/pom2008_106-suppl/rc_pc_migrants_pom106-suppl-I_witnesses-hope-machado.html Witnesses of Hope in an Ecumenical and Inter-religious Surrounding]- ローマ教皇庁による2008年4月の公式見解。エホバの証人をプロテスタントのセクト(異端)としている。</ref><ref name="ogata"/><ref name="oca">[https://oca.org/reflections/berzonsky/the-orthodox-christian-and-the-heretic The Orthodox Christian and the Heretic]- [[アメリカ正教会]]「正教会のキリスト教徒と異端者」</ref><ref name=kopt>[https://books.google.co.jp/books?id=Z2CfBQAAQBAJ&dq=Baramous+.+Monastery+Press&hl=ja&source=gbs_navlinks_s 『The Heresy of JEHOVAH'S WITNESSES』H.H. POPE SHENOUDA III, Baramous.Monastery Press, 1993.] </ref><ref name="kyuuhan"/>。一般的には熱心な伝道活動を行うこと<ref group="証人" name="kyoumi"/><ref name="yokusyu"/>、輸血を拒否すること、戦争に参加しない事などで知られている<ref name="kotoba">[https://kotobank.jp/word/%E3%82%A8%E3%83%9B%E3%83%90%E3%81%AE%E8%A8%BC%E4%BA%BA-1278283#E6.97.A5.E6.9C.AC.E5.A4.A7.E7.99.BE.E7.A7.91.E5.85.A8.E6.9B.B8.28.E3.83.8B.E3.83.83.E3.83.9D.E3.83.8B.E3.82.AB.29 『日本大百科全書(ニッポニカ)』(エホバの証人)川又志朗 ]</ref><ref name="asahi">「三大異端」に言及。- [[伊藤正孝]]、市雄貴『血を拒む「エホバの証人」--異端の輝きと悲惨』[[朝日ジャーナル]]:第27巻第27号(1985),p22.[[朝日新聞社]]</ref><ref name="dendou"/>。
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'''エホバの証人'''(エホバのしょうにん、{{lang-en-short|Jehovah's Witnesses}})
  
==概要==
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キリストの再臨と千年王国の出現を信じ、現実の制度を否定して、19世紀後半のアメリカに発生した異端的宗派。ニューヨークのブルックリンに本部がある。教会の伝統と組織と教職制度を否定する思想を激しく表明するため、制度的なキリスト教界では異端と評価されて孤立しているが、一般社会では、キリストの再臨と聖書研究を強調し、輸血や柔剣道など格闘技の拒否、兵役の拒否を主張する一教派とみられている。この派の教義はC・T・ラッセル(1852―1916)が提唱し、J・F・ラザフォード(1869―1942)が体系化した。現世拒否のモチーフ(権力批判)がキリストの再臨信仰と結び付いているため、緊張の固持が信者の日常的言動を包み込み、その熱意は世俗の生活者と制度的宗教家をときに刺激する。日本での最初の指導者は明石(あかし)順三。1926年(昭和1)日本支部の灯台社が創立され、太平洋戦争後は48年に日本支部が、53年にものみの塔聖書冊子協会が組織された。なお、「ものみの塔」は「ハバクク書」(2章の2)に由来する。
1870年代に[[チャールズ・テイズ・ラッセル]]によって設立され、世界本部は長らく[[ニューヨーク市]][[ブルックリン区]]に置かれていたが、[[2016年]]に同州[[:en:Warwick, New York|ウォーウィック]]へ移転する。信者数は全世界で約820万人、最多国アメリカでは約120万人、日本は約21万人いるとされている。[[聖書]]は主に[[新世界訳聖書]]を使用し、主流派キリスト教の条件とされる[[基本信条]]を否定する立場にあり、三位一体論の否定や輸血を拒否することで知られている。教義によると、神は唯一神[[エホバ]]([[ヤハウェ]])であり、[[キリスト]]が神であることを否定し<ref name="dendou">[[ウィリアム・ウッド]]『[エホバの証人]への伝道ハンドブック』[[いのちのことば社]]、1987年</ref>、大天使[[ミカエル]]と同一であるとしている<ref group="証人" name="tensi">{{Cite web |url=https://www.jw.org/ja/%E8%81%96%E6%9B%B8%E3%81%AE%E6%95%99%E3%81%88/%E8%B3%AA%E5%95%8F/%E5%A4%A9%E4%BD%BF%E9%95%B7%E3%83%9F%E3%82%AB%E3%82%A8%E3%83%AB/ |title=天使長ミカエルとはだれのことですか - エホバの証人公式サイト |accessdate=2017-9-20}}</ref>。また、現代の世界(宗教組織、政治組織を含む)は悪魔サタンの支配下にあり<ref group="証人">{{Cite web |url=https://www.jw.org/ja/%E5%87%BA%E7%89%88%E7%89%A9/%E6%9C%AC/%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AF%E3%81%A0%E3%82%8C%E3%81%AE%E6%94%AF%E9%85%8D%E4%B8%8B%E3%81%AB-%E3%83%91%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88/%E3%81%93%E3%81%AE%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AF%E3%81%A0%E3%82%8C%E3%81%AE%E6%94%AF%E9%85%8D%E4%B8%8B%E3%81%AB%E3%81%82%E3%82%8B%E3%81%8B/ |title=この世界はだれの支配下にあるか - エホバの証人公式サイト |accessdate=2017-9-21}}</ref>、やがて[[終わりの時|終わりの日]]にキリスト率いる神の軍団との大戦争([[ハルマゲドン]])により人類​に​対する​サタン​の​支配​を​終わらせるとしている。また、「エホバの証人」という名称には、すべてのものの創造者[[エホバ]]についての真理を語る人、という意味が込められている。<ref name="Ikoma">生駒孝彰 [[綾部恒雄]](編)「アメリカ起源の二つの宗派」『クラブが創った国 アメリカ』<結社の世界史> 山川出版社 2005 ISBN 463444450X pp.129-136.</ref><ref group="証人">{{Cite web |url=https://www.jw.org/ja/%E3%82%A8%E3%83%9B%E3%83%90%E3%81%AE%E8%A8%BC%E4%BA%BA/%E3%82%88%E3%81%8F%E3%81%82%E3%82%8B%E8%B3%AA%E5%95%8F/%E3%82%A8%E3%83%9B%E3%83%90%E3%81%AE%E8%A8%BC%E4%BA%BA%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E5%90%8D%E5%89%8D/ |title=どうして「エホバの証人」と言うのですか - エホバの証人公式サイト |accessdate=2017-9-20}}</ref>。
 
  
; [[1870年]]:[[チャールズ・テイズ・ラッセル]]は聖書研究のグループを作り、彼らは聖書の系統的な研究を始める。
+
{{テンプレート:20180815sk}}  
; [[1879年]]:「シオンのものみの塔およびキリストの臨在の告知者」(現・[[ものみの塔]]誌)を創刊。
 
; [[1884年]]:シオンのものみの塔冊子協会(現「ペンシルバニア州のものみの塔聖書冊子協会」)が[[ペンシルベニア州]]で宗教法人として認可。初代会長、ラッセル。
 
; [[1900年]]:最初の支部事務所が英国ロンドンに開設される。宣教活動が28の国や地域で行われる。
 
; [[1909年]]:世界本部をニューヨーク州ブルックリン区へ移転。
 
; [[1910年]]:聖書研究者は国際聖書研究者協会という名称を使い始める。(I.B.S.A.)
 
; [[1919年]]:「黄金時代」誌(現・[[目ざめよ!]]誌)を創刊。
 
; [[1931年]]:「エホバの証人」という名称が採択される。
 
; [[1933年]]:ドイツのナチス政権下で布教活動が禁止され、多くの信者が強制収容所に収監される。(第二次世界大戦終結まで)
 
; [[1950年]]:新世界訳聖書英語版「クリスチャン・ギリシャ語聖書」([[新約聖書]])が完成。
 
; [[1961年]]:新世界訳聖書英語版が全巻完成。
 
; [[2013年]]:新世界訳聖書英語版が改訂される。
 
; [[2014年]]:JW Broadcasting<ref group="証人">ものみの塔聖書冊子協会(エホバの証人) [http://tv.jw.org/ JW Broadcasting]</ref>が開始される。
 
; [[2016年]]:世界本部をニューヨーク州[[:en:Warwick, New York|ウォーウィック]]に移転する。
 
 
 
==組織==
 
統治体、地帯区、支部、巡回区、各会衆という構造になっており、各々に監督や長老といった管理監督責任を担う信者が存在する。施設については、前述の'''世界本部'''のほか、'''ものみの塔教育センター'''を[[パターソン (ニュージャージー州)|ニュージャージー州パターソン]]に、'''ものみの塔農場'''を[[オレンジ郡 (ニューヨーク州)|ニューヨーク州オレンジ郡ウォールキル]]に有する。また、世界96ヶ所に支部事務所が、239の国や地域に約11万の会衆が存在する。
 
{{seealso|エホバの証人の組織構造}}
 
 
 
==聖書==
 
歴代会長3名を含む[[エホバの証人の組織構造#統治体|統治体]]成員5名からなる<ref name="kinsyo">[[レイモンド・フランズ]]著・[[樋口久]]訳 『良心の危機 ―「エホバの証人」組織中枢での葛藤』{{lang|en|(Crisis of Conscience)}} [[せせらぎ出版]]、[[2001年]]。</ref>'''「新世界訳聖書翻訳委員会」'''により翻訳された[[新世界訳聖書]]を使用する。かつては[[キリスト教会]]と同様、一般に入手可能な聖書を使用していた。例えば、英語圏では[[欽定訳聖書|ジェイムズ王欽定訳]] (KJV) と[[アメリカ標準訳聖書|アメリカ標準訳]] (ASV) を、日本では[[文語訳聖書#舊新約聖書|舊新約聖書]]([[日本聖書協会]]文語訳)等を使用していた。
 
 
 
==統計==
 
[[画像:JWStats.png|right|thumb|350px|平均伝道者数, 1945年〜2005年]]
 
[[2014年]]の公表値によると、エホバの証人の全世界での伝道者数は約820万人である<ref group="証人" name="Watchtower statistics">{{Cite book| title = 2016 Yearbook of Jehovah's Witnesses | publisher = Watchtower Bible and Tract Society | year = 2016| pages = 185–186 | url= https://www.jw.org/en/publications/books/2016-yearbook/2015-grand-totals/}}</ref>。[[日本]]においては2016年度時点で平均21万5,292人、最高21万5,703人であるという。
 
 
 
==教義の概要==
 
===神の名===
 
旧約聖書にみられる唯一神[[エホバ]]を崇拝の対象とする。原文に近い聖書写本には、神の固有の名として神聖四文字語{{Lang|he|יהוה}}と記述されており、YHWHもしくはJHVHに相当する。しかしながら、子音字のみで母音がないため古代イスラエル人がどのように発音していたか定かではない。「エホバ」という発音は、欽定訳聖書(1611年)やアメリカ標準訳(1901年)などでJehovah(発音記号:dʒɪhóʊvə)、また日本でかつて広く使用されていた舊新約聖書文語訳(日本聖書協会)でヱホバ(旧仮名遣い)として使用されてきた。これに対し、学術的には[[ヤハウェ]]、ヤーウェなどの表記・読みがなされ、学説ではヤハウェであろうとする説<ref>キリスト聖書塾編集部 『ヘブライ語入門』 キリスト聖書塾、1985年、399頁。</ref>が有力である。
 
{{seealso|ヤハウェ}}
 
 
 
===神の概念===
 
*キリスト教会、[[クリスチャン]]が信じ、重要視している[[三位一体]]を否定する<ref group="証人">{{Cite web |url=https://www.jw.org/ja/%E5%87%BA%E7%89%88%E7%89%A9/%E9%9B%91%E8%AA%8C/wp20091101/%E5%81%BD%E3%82%8A%E3%81%AE%E6%95%99%E3%81%88-%E7%A5%9E%E3%81%AF%E4%B8%89%E4%BD%8D%E4%B8%80%E4%BD%93%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B/ |title=偽りの教え4: 神は三位一体である - エホバの証人公式サイト |date=2009-11 |accessdate=2017-11-30}}</ref>。
 
*[[神]]の名は[[エホバ]]である。(読みは[[ヤハウェ]]の可能性も含め定かではないとしている)
 
*[[イエス#イエス(人名)|イエス・キリスト]]は神の子であり、神ではない。エホバに最初に創造された者である<ref name="senkyou"/>。
 
*御使いの頭[[ミカエル]]がキリストであるとする<ref name="senkyou">『宣教ハンドブック Q&A130』[[共立基督教研究所]] [[いのちのことば社]]1991年</ref><ref group="証人" name="tensi"/>。これはセブンスデー・アドベンチスト教会と同様の教理である<ref name="tensi2"/>。
 
*キリストの復活はからだの復活ではなく、霊的な復活であるとする<ref name="senkyou"/>。
 
*[[聖霊]]は神ではない。「非人格的」な「電力の如き神の活動力」である<ref name="senkyou"/>。
 
 
 
===神の王国===
 
*[[1914年]]を起点に、天で[[イエス・キリスト]]を王として設立した<ref group="証人">{{Cite web |url=https://www.jw.org/ja/%E8%81%96%E6%9B%B8%E3%81%AE%E6%95%99%E3%81%88/%E8%B3%AA%E5%95%8F/%E3%83%80%E3%83%8B%E3%82%A8%E3%83%AB-%E8%81%96%E6%9B%B8%E3%81%AE%E5%B9%B4%E4%BB%A3%E8%A8%88%E7%AE%97-1914/ |title=聖書の年代計算は1914年について何を明らかにしていますかーエホバの証人公式サイト |accessdate=2017-11-28}}</ref> 。
 
*キリストの[[再臨]]は「しるし」であり、目には見えない(マタイによる福音書24章3節から25章46節)(ルカによる福音書21章5節から36節)<ref group="証人">{{Cite web |url=https://www.jw.org/ja/%E8%81%96%E6%9B%B8%E3%81%AE%E6%95%99%E3%81%88/%E8%B3%AA%E5%95%8F/%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%82%B9-%E5%88%B0%E6%9D%A5/ |title=キリストの到来とは何のことですかーエホバの証人公式サイト |accessdate=2017-11-28}}</ref>。
 
*エホバの証人が全面的に支持し到来を期待している新しい社会、またそれを実現する政府<ref group="証人">{{Cite web |url=https://www.jw.org/ja/%E5%87%BA%E7%89%88%E7%89%A9/%E6%9C%AC/%E7%A5%9E%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%AE%E8%89%AF%E3%81%84%E7%9F%A5%E3%82%89%E3%81%9B/%E7%A5%9E%E3%81%AE%E7%8E%8B%E5%9B%BD%E3%81%A8%E3%81%AF%E4%BD%95%E3%81%8B/%E7%A5%9E%E3%81%AE%E7%8E%8B%E5%9B%BD%E3%81%A8%E3%81%AF%E4%BD%95%E3%81%A7%E3%81%99%E3%81%8B/ |title=神の王国とは何ですかーエホバの証人公式サイト |accessdate=2017-11-28}}</ref>。
 
*ハルマゲドン後、地上は千年の時を経てかつて[[創世記]]に記述されているような楽園に回復される<ref group="証人">{{Cite web |url=https://www.jw.org/ja/%E8%81%96%E6%9B%B8%E3%81%AE%E6%95%99%E3%81%88/%E8%B3%AA%E5%95%8F/%E5%A4%A7%E6%82%A3%E9%9B%A3%E3%81%A8%E3%81%AF%E4%BD%95%E3%81%A7%E3%81%99%E3%81%8B/ |title=大患難とは何ですかーエホバの証人公式サイト |accessdate=2017-11-28}}</ref><ref group="証人">{{Cite web |url=https://www.jw.org/ja/%E8%81%96%E6%9B%B8%E3%81%AE%E6%95%99%E3%81%88/%E8%B3%AA%E5%95%8F/%E7%A5%9E%E3%81%AE%E7%8E%8B%E5%9B%BD%E3%81%8C%E8%A1%8C%E3%81%AA%E3%81%86%E3%81%93%E3%81%A8/ |title=神の王国は何を行ないますかーエホバの証人公式サイト |accessdate=2017-11-28}}</ref>。
 
*楽園を回復する作業を行うのは、ハルマゲドンを生き残った者、復活された者たちである。
 
{{seealso|ハルマゲドン}}
 
 
 
===主な聖書解釈===
 
*キリストの磔刑について[[十字架]]の形状を否定し、「一本の杭([[苦しみの杭]])」であったとする<ref name="kuika">[http://jwtc.info/uploads/photos/62.pdf 中澤啓介『十字架か、杭か』新世界訳研究会、1999年] キリストの磔刑について、[[十字架]]刑であったという考古学的証拠が多数発見されている。</ref>。
 
*エホバの証人は失われた[[原始キリスト教#失われた原始キリスト教を現代に復興したと称する団体|1世紀のクリスチャンの復興]]である。
 
*最初のエホバの証人は[[アベル]]であり、古代[[イスラエル人]]も一国民として神に献身しておりエホバの証人である。
 
*キリストの[[使徒]]が死に絶えた後、[[原始キリスト教|初期キリスト教]]で[[背教]]が起こり、後に[[カトリック教会|カトリック]]を始め多くの[[教派#キリスト教|教派]]が生じた。
 
*エホバの証人は「神の是認する唯一の真の宗教である」とし「[[キリスト教会]]や[[クリスチャン]]は[[悪魔]]の手先である」「[[キリスト教会]]は[[黙示録]]に描かれた淫婦」とする<ref name="dendou"/>。
 
*血を避けるべきという聖書の記述は、[[血液]]を食するだけでなく、体内に取り入れる行為([[輸血]]も含む)を避けることも含まれる。
 
*人は死ぬと存在しなくなる。死後の世界([[天国]]、[[地獄]]、その他の名称の異世界)は存在しない。
 
*復活は「天への復活」(14万4千人)と「地上への復活」の2種類がある。
 
*救いは信仰によると一応言う反面、業による救いを説く。その業の最高のものは布教活動であり、エホバの証人の「救い」は組織への服従に基づいている<ref name="senkyou"/>。エホバの証人発行の書物にて「しかし必要なのは信仰だけではありません。(中略)本当の気持ちを示す業もなければなりません」と書かれている<ref group="証人">『あなたは地上の楽園で永遠に生きられます』ものみの塔聖書冊子協会、1982年</ref>。
 
 
 
===主な行動様式===
 
 
 
*[[十字架]]やイコンなども偶像とみなし崇拝の対象としない<ref>「神は霊であられるので神を崇拝するものも霊と真理をもって崇拝しなければなりません。」(ヨハネ4章24節);「子供らよ、自分を偶像から守れ。」(ヨハネ第一5章21節);「偶像によって汚れたものを避ける。」(使徒15章20節);「神の神殿と偶像に一致があるか。」(コリント第二6章16節);「偶像礼拝から逃げ去りなさい。」(コリント第一10章14節);「強欲つまり偶像礼拝に関して、地上にあるあなた方の肢体を死んだものとしなさい。」(コロサイ3章5節)</ref>。
 
*立候補及び[[投票]]など[[政治]]への参加は行わず、政治的に中立である。
 
*[[戦争]]に参加せず、兵役につかない。([[良心的兵役拒否]])
 
*国旗敬礼、国歌斉唱を行わない。国旗への敬礼、国歌斉唱は、国家崇拝に該当すると判断している。また[[国旗]]・[[国歌]]は偶像であり、これへの敬礼は[[偶像崇拝]]であるとする。ただ、国旗に対する毀損行為、国旗掲揚や国歌斉唱への妨害行為は行わない。
 
*[[格闘技]]に参加しない。
 
*信者間を[[称号]]で呼ぶことはなく、互いを兄弟または姉妹と呼ぶ。
 
*他の宗教の[[冠婚葬祭]]に出席するか否かは「個人の[[良心]]」として各信者に委ねられているが、宗教的な行為には一切参加しないため事実上出席できない<ref group="証人">{{Cite web |url=https://wol.jw.org/ja/wol/d/r7/lp-j/2014844?p=par |title=すべての行状において聖なる者でなければならない - エホバの証人公式サイト|accessdate=2017-11-30}}</ref>。
 
*反聖書的・[[異教]]由来とみなす行事は祝わない。[[七夕]]、[[節分]]、[[ひな祭り]]、[[クリスマス|キリストの誕生日]]といった宗教的背景のある行事を祝わない。
 
*宗教系の[[保育所]]や[[福祉施設]]・[[病院]]などの利用については、信者個々の良心上の問題とされている。
 
*[[淫行]]、[[姦淫]]、[[マスターベーション]]などを汚れた行為と見なしている。
 
*[[喫煙]]、医療目的外の[[麻薬]]・[[薬物]]使用は汚れとして禁じられている。
 
*適量の[[飲酒]]は禁じていないが、泥酔は禁じている。
 
*[[s:コリント人への第二の手紙(口語訳)#6:14|コリント人への第二の手紙(口語訳) 6章14節]]に基づき、基本的に信者としか結婚しない<ref group="証人">{{Cite web |url=https://www.jw.org/ja/%E5%87%BA%E7%89%88%E7%89%A9/%E6%9C%AC/%E7%A5%9E-%E6%84%9B/%E7%B5%90%E5%A9%9A-%E7%A5%9E-%E8%B3%9C%E7%89%A9/ |title=結婚 ― 愛ある神からの賜物 - エホバの証人公式サイト |accessdate=2017-11-28}}9節</ref>。
 
*原則、[[離婚]]及びそれに伴う[[再婚]]は禁止。ただし、[[配偶者]]の[[不倫]]による離婚、配偶者との死別による再婚は認められている。
 
*教義に著しく反し、かつ悔い改めが認められない場合は[[エホバの証人の組織構造#排斥(除名)|排斥]]措置が執られる。
 
*排斥された人は、信者を始め親族からも忌避行為をされ、忌避する事が、その人が立ち返るための真の愛であるとしている。
 
*元エホバの証人の漫画家いしいさやの証言によると、教えに反することを口にした児童へのムチ打ちが行われている。また、現在は表向きにはしないように、となっていると証言している。何がどうしてダメだったのかを自分で反省させてから、「お願いします」と、自分が納得していることを示し、叩かれた後には「ありがとうございました」と言わなければならない、とされる<ref name="ishii2"/>。
 
 
 
===年間行事===
 
*[[主の記念式|キリストの死の記念]]を祝う。([[主の晩餐]]に相当)
 
*週に2回、集会を行う。(公開聖書講演会・「ものみの塔」研究、クリスチャンとしての生活と奉仕の集会)
 
*上記以外に地区大会(年1回)、巡回大会(年2回)が催される。
 
*毎回の大会において、当事者に対し[[洗礼|バプテスマ]]が行われる。
 
 
 
=== 主流派キリスト教会からの批判 ===
 
==== カトリック・プロテスタント・正教会の各団体、関係者等による見解 ====
 
[[キリスト教]]主流派が重要視する[[三位一体]]などの教義を否認していることから、[[カトリック教会|カトリック]]・[[プロテスタント]]・[[正教会]]などから[[異端]]とされている。例として、以下が挙げられる。
 
 
 
*全世界のカトリック教会を統率する組織であるローマ教皇庁は2008年の見解において、エホバの証人をプロテスタントのセクト(異端)としている<ref name="roma"/>。
 
*[[キリスト教]]カトリックの司祭でボン大学法学博士の[[ホセ・ヨンパルト]]は「神はひとつしかない」という重要な教義を認めない「このような宗教は[[カトリック]]でも[[プロテスタント]]でもない」とする。1985年に日本の[[カトリック]]司教団が宣言したように「[[キリスト教]]とは決して言えない」<ref>ホセ・ヨンパルト カトリックとプロテスタント-どのように違うか- サンパウロ 1968.8.Aug P.33~4 サンパウロ</ref>。
 
*[[プロテスタント]][[福音派]]の[[尾形守]]は著書において、エホバの証人等の[[異端]]と[[キリスト教]]の根本的な違いは「霊の違い」であり、[[異端]]は[[悪霊]]による惑わしの教えであるとする。根拠として聖書の第一ヨハネ4:1-3、黙示録16:13、第一テモテ4:1を挙げている<ref name="ogata"/>。
 
*「真理のみことば伝道協会<ref name=sos/>」主宰の[[ウィリアム・ウッド]]牧師は「[[キリスト教会]]はエホバの証人を[[悪霊]]による惑わしの教えだと考えている」という見解を示している<ref name="dendou"/>。
 
*[[アメリカ正教会]]は「正教会のキリスト教徒と異端者」という公式見解にて、エホバの証人を異端として取り上げている<ref name="oca"/>。
 
*[[シェヌーダ3世]] ([[コプト正教会]]アレクサンドリア総主教)は「異端・エホバの証人」という書籍を著している<ref name=kopt/>。
 
*[[キリスト教会]]の見解においてエホバの証人は[[モルモン教]]([[末日聖徒イエス・キリスト教会]])・[[世界平和統一家庭連合]](旧略称:[[統一教会]])と共に三大異端であると見なされている<ref name="asahi"/><ref name="ogata"/><ref name="yagi">「三大異端」に言及。- 八木谷涼子『なんでもわかるキリスト教大事典』p184,[[朝日新聞出版]],2012年</ref>。
 
*『[[キリスト教大事典]]』1066頁(教文館、昭和63年8月10日 改訂新版第9版)では、エホバの証人は『いっさいの正統的教理と既成教会に反対(している)』と記されている<ref name="kyuuhan">『[[キリスト教大事典]] 改訂新版第9版』[[教文館]]、1988年</ref>。
 
 
 
==== エホバの証人の文献引用についての見解 ====
 
大野キリスト教会牧師であり、「JWTC(エホバの証人をキリストへ)」<ref name="j"/>主宰者の[[中澤啓介]]は著書『[[十字架]]か、杭か』<ref name="kuika"/>において以下の点を指摘している。
 
*エホバの証人の主張は聖書を正しく解釈していないことが多く、また、歴史的資料を正確に反映していない。
 
*エホバの証人の出版物は、権威ある学術的な書物から、自分たちにとって都合がよいように、不誠実な引用を繰り返していて、学問の世界では、まったく考えられないほどの「悪引用」であるため、エホバの証人の出版物を読むだけでは、事実を正確に認識することはできない。
 
 
 
[[ウィリアム・ウッド]]牧師は著書において、<q>「エホバの証人」が自らの考えとして用いているさまざまな文献や論説</q>は、<q>多くの場合</q><q>彼らにとって都合のよい一部が取り出されているにすぎ</q>ず、<q>今日の聖書学者のほとんどが、「エホバの証人」の教理は取るに足りないものだといってい</q>ると記している<ref name="dendou"/>。
 
 
 
==== キリスト教、キリスト教会との混同 ====
 
[[尾形守]]は著書において、ある人にクリスチャンだと言ったところ「えっ、エホバの証人ですか」と言われたことを記し、訪問宣教を繰り返す[[異端]]グループのイメージが日本の[[キリスト教]]のイメージとなっていることへの危惧を述べている<ref name="ogata">[[尾形守]]『[[異端見分けハンドブック]]』プレイズ出版</ref>。
 
 
 
日本中の非常に多数の[[キリスト教会]]において([[キリスト教]]の[[異端]]宗派は非常に沢山あるにも関わらず)「当教会はエホバの証人、[[モルモン教]]、[[統一教会]]とは、一切関係ありません」とパンフレットや看板、WEBサイト等で宣言しており、[[キリスト教会]]のエホバの証人に対する見方は非常に厳しい<ref name="dendou"/>。
 
 
 
=== セブンスデー・アドベンチスト教会からの影響 ===
 
[[チャールズ・テイズ・ラッセル]]はエホバの証人を設立する前に、[[セブンスデー・アドベンチスト教会]]についたり離れたりしていた<ref>[http://www.christiantoday.co.jp/articles/19961/20160320/naniyue-kirisuto-32.htm なにゆえキリストの道なのか(32)聖書を教える“エホバの証人”はキリスト教ではないのか 正木弥:クリスチャン・トゥデイ]</ref>。その中で後に彼の教義体系の中核になるものをつかんでいき、セブンスデー・アドベンチスト教会の本の中の「地獄というのは墓にすぎない」という教義を借用して、永遠の刑罰の教えに反対し「[[地獄]]」(マルコによる福音書9:43-48)の存在を否定した([[霊魂消滅説]])<ref name="j">[http://jwtc.info/uploads/photos/55.pdf ものみの塔への疑問 -JWTC エホバの証人をキリストへ]</ref><ref name="ogata"/>。他にも類似する教理として「イエス・キリストは天使ミカエルである」とすること<ref name="senkyou"/><ref group="証人" name="tensi"/><ref name="tensi2">[http://ellenwhite.org/content/file/jesus-archangel-michael Jesus the Archangel Michael?]- Ellen G. White Estate</ref>、「自分たちこそ14万4千人の選民である」とすること<ref name="senkyou"/>などの黙示録的表象の強調<ref name="ide">井出定次『異端とは何か』[[いのちのことば社]]1982年</ref>、「聖書以外の啓示や霊の語りかけを重んじ、聖書以外の信仰の基準や教典を持つ」ことなどが挙げられる<ref name="ogata"/>。
 
 
 
==社会的側面==
 
===兵役拒否===
 
「戦いを学ばない」<ref>[[s:ミカ書(口語訳)#4:3|ミカ書(口語訳)#4:3]]</ref><ref>[[s:イザヤ書(口語訳)#2:4|イザヤ書(口語訳)#2:4]]</ref>「剣を取るものは剣によって滅びる」<ref>[[s:マタイによる福音書(口語訳)#26:52|マタイによる福音書(口語訳)#26:52]]</ref>という聖書の記述を理由に、兵役を拒否する<ref group="証人">{{Cite web |url=https://www.jw.org/ja/%E3%82%A8%E3%83%9B%E3%83%90%E3%81%AE%E8%A8%BC%E4%BA%BA/%E3%82%88%E3%81%8F%E3%81%82%E3%82%8B%E8%B3%AA%E5%95%8F/%E6%88%A6%E4%BA%89%E3%81%AB%E8%A1%8C%E3%81%8B%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%AE%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%9C%E3%81%8B/ |title=エホバの証人が戦争に行かないのはなぜですか - エホバの証人公式サイト |accessdate=2017-9-20}}</ref>。[[徴兵制度]]の国々で[[軍隊]]から問題視されることがある。国家は徴兵拒否に対して、エホバの証人を投獄するのが一般的である。近年では、[[良心的兵役拒否]]が[[人権]]の一つとして認識されるようになってきたことから、社会奉仕活動への参加を義務付けることによって、兵役の義務の代わりとする事例も増えている。場合によっては投獄ではなく、「兵役」か「処刑」かのどちらかの選択を迫られることもあったが、その場合にも処刑されることを選んだという([[エホバの証人とホロコースト]]参照)。
 
 
 
===輸血拒否===
 
聖書中には、次のような血を避けるべきとする記述がいくつかあり<ref>[[s:創世記(口語訳)#9:4|創世記(口語訳)#9:4]]</ref><ref>[[s:レビ記(口語訳)#17:10|レビ記(口語訳)#17:10]]</ref><ref>[[s:申命記(口語訳)#12:23|申命記(口語訳)#12:23]]</ref><ref>[[s:使徒行伝(口語訳)#15:20|使徒行伝(口語訳)#15:20]]</ref><ref>[[s:使徒行伝(口語訳)#15:28|使徒行伝(口語訳)#15:28,29]]</ref>、これらを輸血は禁じられていると解釈している<ref group="証人">{{Cite web |url=https://www.jw.org/ja/%E3%82%A8%E3%83%9B%E3%83%90%E3%81%AE%E8%A8%BC%E4%BA%BA/%E3%82%88%E3%81%8F%E3%81%82%E3%82%8B%E8%B3%AA%E5%95%8F/%E3%82%A8%E3%83%9B%E3%83%90%E3%81%AE%E8%A8%BC%E4%BA%BA%E3%81%8C%E8%BC%B8%E8%A1%80%E3%82%92%E5%8F%97%E3%81%91%E5%85%A5%E3%82%8C%E3%81%AA%E3%81%84%E7%90%86%E7%94%B1/ |title=エホバの証人が輸血を受け入れないのはなぜですか - エホバの証人公式サイト |accessdate=2017-9-21}}</ref>。
 
また、代替治療として無輸血治療の選択、[[自己血輸血|自己輸血]]や[[血液製剤|血液分画]]の使用については各人の良心に基づいて決定するとしている。
 
{{Quotation|いかなる生き物の血も、決して食べてはならない。すべての生き物の命は、その血だからである。それを食べる者は断たれる。|レビ記17章14節(新共同訳)抜粋}}
 
 
 
[[1985年]]の小学生死亡事件等、幼少者への輸血拒否事案が生じたことから<ref name=settoku/><ref name="asahi"/>、公益社団法人[[日本医師会]]は「エホバの証人と輸血」 声明を発表し、「自己決定能力がない幼少の患者」への必要な輸血を親権者が拒否した際の親権喪失の申立を行うことへの考慮、実際に、緊急輸血を必要とした幼児が病院、[[児童相談所]]、[[家庭裁判所]]の連携により救命された例があることに言及している<ref>[http://www.med.or.jp/doctor/member/kiso/d3.html 『エホバの証人と輸血』公益社団法人日本医師会]</ref>。また日本輸血・細胞治療学会など5学会の合同委員会は2008年「宗教的輸血拒否に関するガイドライン」を定めた<ref>[https://kotobank.jp/word/%E5%AE%97%E6%95%99%E7%9A%84%E8%BC%B8%E8%A1%80%E6%8B%92%E5%90%A6%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3-895008 2013-04-17 朝日新聞 朝刊]</ref>。
 
 
 
『カルト宗教信じてました。 「エホバの証人2世」の私が25年間の信仰を捨てた理由』の著者たもさんは、結婚してやっと生まれたひとり息子が、「輸血」を必要とする病だったことをきっかけエホバの証人を脱退した。本書の「おわりに」ではエホバの証人について「子どもの人権を侵害し、自由を奪い、教えに背くなら存在を否定し、輸血拒否で実際に命を・・・」と記している<ref name="tamo">たもさん『カルト宗教信じてました。 「エホバの証人2世」の私が25年間の信仰を捨てた理由』[[彩図社]]、2018年、ISBN 978-4-8013-0300-3</ref>。
 
{{seealso|輸血拒否|エホバの証人輸血拒否事件}}
 
 
 
===対抗カルト運動===
 
米国では、19世紀にクリスチャンの保守的なメンバーを中心として、米国の伝統的な信仰、家族、倫理を破壊するものを[[カルト]]ととらえ、「反カルト運動」や「対抗カルト運動」が始まった。対抗カルト運動の原型は、エホバの証人や[[モルモン教]]などの[[新宗教]]に対する反対運動であった<ref name="kaluto">[https://kotobank.jp/word/%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%88-178058#E7.9F.A5.E6.81.B5.E8.94.B5 カルト][[岩井洋]]([[関西国際大学]]教授)『[[知恵蔵]]』(株)[[朝日新聞]]出版発行.</ref>。
 
 
 
===熱心な伝道と社会からの隔離===
 
[[Image:Jehovah's Witnesses Pamphlet Stand in Front of the Daeseongri Sta 2.jpg|350px|thumb|韓国[[大成里駅]]の前に伝道のため置かれたエホバの証人のパンフレット据置台。世界各地の駅前でパンフレットを掲げるスタイルの伝道を行っている。]]
 
エホバの証人は街頭、駅前、戸別の家庭訪問などの熱心な伝道を世界各地で行っている<ref>[https://www.theguardian.com/world/2015/jul/14/jehovahs-witnesses-evangelism-church-god-armageddon Jehovah’s Witnesses take to streets as busy heathens are rarely home  World news  The Guardian]</ref>。「無言で駅前・街頭にてパンフレットを掲げる」伝道スタイルが[[:en:Ben H. Winters|ベン・H・ウィンタース]]の小説『地上最後の刑事』の中に登場している<ref>[https://books.google.co.jp/books?id=HFq9BgAAQBAJ&pg=PT133&lpg=PT133&dq=%E3%82%A8%E3%83%9B%E3%83%90%E3%81%AE%E8%A8%BC%E4%BA%BA%E3%80%80%E7%84%A1%E8%A8%80&source=bl&ots=K-aIKoMg2N&sig=rTn2vg5Ql7dd3vpG7esADQfn9xo&hl=ja&sa=X&ved=0ahUKEwiG1qKEhPLWAhUBvpQKHaRRCoUQ6AEIXTAJ#v=onepage&q=%E3%82%A8%E3%83%9B%E3%83%90%E3%81%AE%E8%A8%BC%E4%BA%BA%E3%80%80%E7%84%A1%E8%A8%80&f=false 『地上最後の刑事』 - ベン・H・ウィンタース - Google ブックス]</ref>。
 
 
 
元宗教倫理学会評議員であり宗教学者の生駒孝彰によると、彼らの長時間の伝道の義務と熱心さは有名であり<ref name="yokusyu"/><ref>[http://lite-ra.com/2017/02/post-2922.html 幸福の科学出家騒動は清水富美加個人の責任なのか? カルト宗教信者の子どもたちが抱える問題 - リテラ]-エホバの証人も含めた新興宗教の信者を親にもつ子どもたちについて書かれている。</ref>、多い人で月に140時間、少ない者で60時間を費やすという。それにより家庭や職場、学校から次第に離れ「社会に背を向けた宗教集団」としばしば非難をうけると指摘している。さらに教団は「真理外の人々と社交的な交わりをするのは危険」とし、ますます信者の社会からの隔離が強まっていると記している<ref>生駒孝彰『世界の宗教101物語』[[新書館]][[1997年]]</ref>。元エホバの証人の漫画家いしいさやはインタビューにて『正社員として働いてしまうと活動、奉仕の時間がとれないので、就職しない人が多かった』と証言している<ref name="ishii2">[http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54012 「エホバの証人の活動のなかで、最もつらかったこと」元信者が告白-いしいさやインタビュー]</ref>。またエホバの証人の多くの家庭において、離婚、別居の事態が発生している。妻がエホバの証人になったが故に夫婦の生活が破綻したとして、夫が離婚を求める訴訟が全国的に相次いでおり、その多さがマスコミでも報道されている<ref>[[毎日新聞]],[[1994年]]6月7日夕刊.</ref>。
 
 
 
宗教学者[[島薗進]]は新宗教における「隔離型教団」の代表的な例として[[オウム真理教]]、[[統一教会]]、[[幸福会ヤマギシ会]]と共にエホバの証人をあげている<ref>島薗進『現代救済宗教論』[[青弓社]]2006年</ref>。
 
 
 
エホバの証人は上記の聖書的根拠として以下を挙げている。
 
*伝道の義務:[[s:マタイによる福音書(口語訳)#28:19|マタイによる福音書(口語訳) 28章19,20節]]<ref group="証人">{{Cite web |url=https://www.jw.org/ja/%E5%87%BA%E7%89%88%E7%89%A9/%E9%9B%91%E8%AA%8C/wp20150901/%E3%82%A8%E3%83%9B%E3%83%90-%E8%A8%BC%E4%BA%BA-%E4%BC%9D%E9%81%93/ |title=なぜ伝道するのか - エホバの証人公式サイト |date=2015-9 |accessdate=2017-9-21}}</ref>
 
*信者以外と必要以上に交わらない:[[s:コリント人への第一の手紙(口語訳)#15:33|コリント人への第一の手紙(口語訳) 15章33節]]<ref group="証人">{{Cite web |url=https://www.jw.org/ja/%E5%87%BA%E7%89%88%E7%89%A9/%E9%9B%91%E8%AA%8C/w20150815/%E7%B5%82%E3%82%8F%E3%82%8A%E3%81%AE%E6%97%A5%E3%81%AB%E6%82%AA%E3%81%84%E4%BA%A4%E3%82%8F%E3%82%8A%E3%81%AB%E7%94%A8%E5%BF%83%E3%81%99%E3%82%8B/ |title=終わりの日の今,悪い交わりに用心する - エホバの証人公式サイト |date=2015-8 |accessdate=2017-9-21}}</ref>
 
 
 
彼らは「興味がない」と訪問伝道を断った家にも繰り返し訪問する。公式サイトでは以下の考えを表明している<ref group="証人" name="kyoumi">[https://www.jw.org/ja/%E3%82%A8%E3%83%9B%E3%83%90%E3%81%AE%E8%A8%BC%E4%BA%BA/%E3%82%88%E3%81%8F%E3%81%82%E3%82%8B%E8%B3%AA%E5%95%8F/%E8%88%88%E5%91%B3%E3%81%8C%E3%81%AA%E3%81%84/ 「興味がない」と言っているのに,また来るのはなぜですか - エホバの証人公式サイト]</ref>。
 
*『以前​は​興味​が​なかっ​た​人​たち​も​含め​すべて​の​人​に​伝え​よう​と​努力​し​て​い​ます。』
 
*『以前​は​興味​を​示さ​なかっ​た​人​で​も,再び​訪問​し​た​時​に​は​関心​を​持っ​て​いる​こと​が​よく​あり​ます。』
 
*『と​は​いえ,聖書​の​音信​を​押しつける​こと​は​あり​ませ​ん。』
 
また繰り返し訪問する理由として以下の3点を挙げている。
 
*『移転​し​て​いる​場合がある』
 
*『家族​の​別​の​人​が​関心​を​示す​か​も​しれ​ない』
 
*『考え​が​変わる​こと​も​ありえる』
 
 
 
また元エホバの証人の漫画家いしいさやは、繰り返し訪問する信者の気持ちについて、インタビューにて以下を挙げている<ref name="ishii1">[http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54011 「エホバの証人」元信者女性が自分の体験を漫画にした理由-いしいさやインタビュー]</ref><ref name="ishii2"/>。
 
*どれだけ拒否されても「あの人は楽園にいけないね」と、むしろ心配に思っている。
 
*一緒に楽園に行く仲間を増やしたいという、信者にとって本当の意味での「善意」である。
 
*ハルマゲドンから生き残るチャンスを与えるため、彼らを救うためであると考えている。
 
*反対されても、教団の教えにより「迫害を受けているのはハルマゲドンが近いからだ」と喜ばないといけない。
 
*エホバの教えを知っている自分たちが賢くて、反対している人は教えを知らない可哀想な人たちだと思っている。
 
*「真理がわからないかわいそうな人」なので、何度断られても繰り返し訪問する。嫌がらせではなく、親切心である。
 
 
 
元信者の体験談を記した『カルト脱出記 エホバの証人元信者が語る25年間の記録』<ref name="doa"/>p.129では、もし絶対に証人たちに家に来てほしくない場合は「訪問拒否にしてくれ」と「厳しい態度」で「直接」「強く言う」と良いとし、それにより区域カードに「訪問拒否」と記録され、一年は家にやってこない、と明かされている。
 
 
 
===「社会問題化する宗教団体」という評価===
 
文化庁が2012年3月に作成した『海外の宗教事情に関する調査報告書』では、「社会問題化する宗教団体」の1つとしてエホバの証人を取り上げている。取り上げた理由として「訴訟が目立つ団体」であることを挙げている<ref>[http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/shumu_kaigai/pdf/h24kaigai.pdf 『海外の宗教事情に関する調査報告書』p125,平成24年3月,文化庁 ]-同報告書では、エホバの証人以外にもロシア正教会主教会議による「偽キリスト教セクト、新異教主義、オカルティズムについて」(1994年12月)において取り上げた新宗教についても報告している。</ref>。
 
 
 
===全国に波及した「エホバ反対運動」===
 
 
 
1997年、長野県松川町増野の住民の反対にも関わらずエホバの証人の「王国会館」建設が強行された。以降「エホバの証人全国被害者の会」は「エホバ反対運動」において現地「王国会館」前での啓蒙・抗議活動から周辺地域への啓蒙活動に重点を移行した。「エホバの証人がしつこく訪問してきて困る」という苦情に対処し、かつ「エホバの証人」による社会的被害の拡大を食い止めることを目的として、1998年には「エホバの証人・訪問お断り」ステッカーを2回にわたり計1万枚を自費作成し、近隣地域への無料配布を実施するなどした。増野の地区全戸を上げての告発反対運動が先駆けとなり、増野の運動に力付けられた地域運動が全国各地で展開された。2002年までの報告によると、2000年よりおきている神奈川県藤野町堂地自治会を上げての反対運動は、今も継続しており、一旦エホバの証人側より「住民の反対がある限りは建設しない」という言質を得ていたが、2002年頃エホバの証人側では、これを無視する形で建設許可を得たとの事にて予断を許さない状況が続いているとしながらも、京都市右京区・千葉県船橋市・東京都多摩市落川地区・長野県駒ヶ根市、伊那市、飯島町において地元住民による「王国会館」建設反対運動が成功し、「王国会館」建設は白紙撤回された。それと比較すると、地元住民総意による反対運動を無視して強引に「王国会館」の建設を強行した「松川会衆」の反社会性、非協調性、強引さが際立つ結果となった<ref>[http://www.jwic.info/n012398.htm  長野県松川町増野の「エホバ反対運動」]-エホバの証人情報センター保管庫</ref><ref>[http://www.jca.apc.org/jwhigai/iida8kai.htm  カルト拠点施設「王国会館」の建設阻止に向けて 長野県松川町増野自治会の声明 2002年11月2日]-「エホバの証人問題を考える会」公式ホームページ</ref><ref>[http://www.jca.apc.org/jwhigai/nakazawa8.htm  ものみの塔 被害報告の現状と課題 中澤啓介牧師(大野キリスト教会]-「エホバの証人問題を考える会」公式ホームページ</ref>。
 
 
 
===マインドコントロール、脱会問題===
 
[[カルト]]宗教被害者の問題解決に取り組む、「真理のみことば伝道協会<ref name=sos>[http://cult-sos.jp/category/jehovah/ 悩むエホバの証人へ]-真理のみことば伝道協会</ref>」主宰の[[ウィリアム・ウッド]]牧師は「エホバの証人 マインドコントロールの実態」など多数の書物を出版している<ref>[[ウィリアム・ウッド]]『エホバの証人 マインドコントロールの実態』[[三一書房]][[1993年]]</ref><ref>[[ウィリアム・ウッド]]『エホバの証人 カルト集団の実態』[[三一書房]][[1997年]]</ref>。
 
また脱会者による実名・顔出しの手記<ref>坂根真実『解毒 エホバの証人の洗脳から脱出したある女性の手記』[[角川書店]][[2016年]]</ref>、家族の脱会体験談も出版されている<ref name="doa">佐藤典雅『ドアの向こうのカルト ---9歳から35歳まで過ごしたエホバの証人の記録』、[[河出書房新社]]、[[2013年]]、ISBN 978-4-309-02155-3 <br />
 
(上記書籍の文庫版:佐藤典雅『カルト脱出記 エホバの証人元信者が語る25年間の記録』、[[河出文庫]]、さ37-1、河出書房新社、[[2017年]]、ISBN 978-4-309-41504-8)</ref>。
 
[[関西国際大学]]教授・[[岩井洋]]によると、反[[カルト]]運動に共通する点は、[[カルト]]への入信を洗脳や[[マインド・コントロール]]によるものと考えることであり、そのことから洗脳などを解除する専門家の役割が重要視されている点である<ref name="kaluto"/>。元エホバの証人の漫画家いしいさやは、「エホバの証人の活動のなかで、最もつらかったこと」として『同級生の家に勧誘しに行く』『母にムチで叩かれる』ことを挙げている<ref name="ishii2"/>。
 
 
 
===禁書と情報統制===
 
エホバの証人の「背教者」として一番著名なのは[[レイモンド・フランズ]]であると言われ、組織内部に数十年を過ごし、その最高幹部の一員として活躍した後に排斥(破門)された彼の内部告発の著者『良心の危機―「エホバの証人」組織中枢での葛藤<ref name="kinsyo"/>』の英語原書は大反響を呼び、世界9カ国語に翻訳されたが<ref>[http://www.seseragi-s.com/shopping/?pid=1175044958-704666 『良心の危機 -「エホバの証人」組織中枢での葛藤-』 - せせらぎ出版]</ref>、エホバの証人においては「禁書」になっていると言われている<ref name="doa"/>。元エホバの証人の漫画家いしいさやは、インタビューの中で[[滝本竜彦]]の小説「[[NHKにようこそ!]]」について、エホバの証人において「この本は読んではいけないことになっていた」(禁書)と言及し、エホバの証人との訣別を決めた最大の理由として本書を挙げ「(エホバの証人は)やっぱりおかしかったんだ!とはっきり分かった。」と述べている<ref name="ishii2"/>。また『カルト脱出記 エホバの証人元信者が語る25年間の記録』の著者佐藤典雅は、エホバの証人の情報統制について、ニュースレターにて「ネットはサタンの罠である」と、いかに[[インターネット]]が危険であるかを強調し「協会(エホバの証人)について[[検索エンジン|ネット検索]]しないように」と呼び掛けている、と記している<ref name="doa"/>。
 
 
 
==裁判・法的規制==
 
===バーネット事件===
 
米国[[ウェストバージニア州]]で、[[アメリカ合衆国の国旗|星条旗]]への[[忠誠の誓い (アメリカ)|忠誠の誓い]]を拒んだ女性信者の姓にちなむ行政訴訟。[[1943年]][[6月14日]]、[[合衆国最高裁判所|米最高裁判所]]はエホバの証人の子弟を放校する権利は教育委員会にはないという判断を下し、勝訴が確定した。
 
 
 
===輸血拒否にかかる事案===
 
[[1985年]][[6月6日]]、日本の小学生の男児(当時10歳)が[[神奈川県]][[川崎市]][[高津区]]で交通事故に遭い、両親が輸血拒否したことにより死亡したとされる事件<ref name="asahi"/>では、男児の父親が新聞記者に「男児が病床で『生きたい』と語った」と証言したため(ただし現場を目撃した医療関係者は、これに否定的見解を示している)、なぜ救うことができなかったのかという批判がマスコミを中心として渦巻くことになった<ref name=settoku/><ref name=gendai/>。その後、裁判所は「輸血をしても命は助からなかった」と判断、略式命令が下され児童の両親は無罪、運転手が業務上過失致死罪で起訴され罰金15万円の有罪となった(川崎簡略式 昭和63.8.20)。しかし現場の医師達は「運ばれた時点で輸血をすれば助かっていた」と証言している<ref name=settoku/>。2000年2月19日には、日本の[[最高裁判所 (日本)|最高裁判所]]は、宗教上の理由で輸血を拒否する意思決定を行う権利は[[人格権]]の一内容として尊重されると認め、無断で輸血を行った医師と病院はこれを侵害したとして患者の遺族(患者は一審判決後に死去。)に55万円の支払いを命じる判決を下した。
 
 
 
{{main|エホバの証人輸血拒否事件}}
 
{{seealso|輸血拒否}}
 
 
 
===神戸高専剣道実技拒否事件===
 
[[神戸市立工業高等専門学校]]のエホバの証人の生徒が必須科目であった[[剣道]]の科目を履行しなかったことで退学または留年処分になったことの是非が争われたケースで、[[1996年]][[3月8日]]、日本の[[最高裁判所 (日本)|最高裁判所]]は、学校側が主張する剣道の必須性を退け、格闘技を拒否された場合の代替措置を用意しなかったことは、学校側の落ち度であると指摘し、退学または留年処分は不当であるとの判決を下し、勝訴が確定した。{{main|神戸高専剣道実技拒否事件}}
 
 
 
===性的児童虐待===
 
[[2012年]][[6月13日]]、米国[[カリフォルニア州]]のアラメダ上級裁判所(一審裁判所)<ref>[http://usnews.nbcnews.com/_news/2012/06/15/12225753-jehovahs-witnesses-ordered-to-pay-more-than-20-million-to-woman-who-said-she-was-sexually-abused Jehovah's Witnesses ordered to pay more than $20 million to woman who said she was sexually abused] 『NBC NEWS』[[2012年]][[6月15日]]午前9時6分</ref>で行われた裁判で、当協会は約800億円相当の協会の資産の凍結を命じられ、賠償金280万ドル(22億円)の40%を支払うように命じられた。判決によると、エホバの証人の男性信者が当時9歳だった少女に1年の間性的虐待を加えているという通報を知りながら、'''罪を立証するには2人ないし3人の証人が必要'''との教理(コリントの信徒二13:1)が結果的に警察へ通報を妨げることになり、長老たちが決定した組織的な隠蔽であり違法との判決に至った。その後、エホバの証人側は同州控訴裁判所(二審裁判所)に控訴の後、原告側と和解した<ref>[http://appellatecases.courtinfo.ca.gov/search/case/dockets.cfm?dist=0&doc_id=2109889&doc_no=S226656  California Courts - Appellate Court Case Information]</ref>。なお同様の被害が、[[イギリス]]や[[オーストラリア]]で計1600人以上隠蔽されていたとの報告があり、国による調査や告訴が多数なされている<ref>[http://www.bbc.com/news/uk-33201010?SThisFB&fb_ref=Default Jehovah's Witnesses to compensate woman over sex abuse - BBC News]</ref><ref>[http://childabuseroyalcommission.gov.au/media-centre/media-releases/2015-06/public-hearing-into-the-jehovah%E2%80%99s-witnesses  Media releases, Child Abuse Royal Commission]</ref><ref>[http://www.npr.org/sections/thetwo-way/2015/07/27/426756849/australias-jehovahs-witnesses-failed-to-report-1-006-alleged-child-sex-abuses  Australia's Jehovah's Witnesses Failed To Report 1,006 Alleged Child Sex Abuses  The Two-Way  NPR]</ref><ref>[https://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/jehovahs-witnesses-face-child-sex-abuse-investigation-in-australia/2015/08/14/d8a58eda-406e-11e5-9561-4b3dc93e3b9a_story.html Jehovah’s Witnesses face child sexual-abuse investigation in Australia - The Washington Post]</ref><ref>[http://www.christiantoday.co.jp/articles/23460/20170321/uniting-church-in-australia-child-sexual-abuse.htm 児童性的虐待:オーストラリア連合教会、過去40年で賠償金約20億円|クリスチャントゥデイ]-エホバの証人も含めた宗教団体の児童性的虐待について書かれている。</ref>。
 
 
 
===兵役拒否に対する処罰===
 
兵役や国家に対する忠誠の拒否などで処罰されたものある。エホバの証人は「''彼らはそのつるぎを打ちかえてすきとし、そのやりを打ちかえてかまとし、国は国にむかってつるぎをあげず、彼らはもはや戦いのことを学ばない''」(イザヤ書2章4節)という聖書の記述に従っているためであるが、当該国の軍事当局から見れば従軍拒否などはあくまでも法令違反とされる場合がある。代表的な事例として、[[ナチス・ドイツ]]において兵役を拒否したためにより強制収容所に送致され多くが処刑された出来事などが挙げられる([[エホバの証人とホロコースト]])。2017年現在でも一部の国々で同様の事例が存在する<ref group="証人">{{Cite web |url=https://www.jw.org/ja/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9/%E6%B3%95%E7%9A%84%E9%80%B2%E5%B1%95/%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E5%88%A5/%E4%B8%96%E7%95%8C/%E3%82%A8%E3%83%9B%E3%83%90%E3%81%AE%E8%A8%BC%E4%BA%BA-%E6%8A%95%E7%8D%84-2/ |title=信仰ゆえに投獄されているエホバの証人 国別データ - エホバの証人公式サイト |date=2017-1 |accessdate=2017-9-21}}</ref>。
 
 
 
[[大韓民国|韓国]]では、2018年時点で[[良心的兵役拒否]]が認められていないため、懲役拒否は法に基づき処罰される。この処罰を受けた人は、1954年から2018年まで約2万人に上る。その99.2%がエホバの証人の信徒とされる<ref>{{cite news |title=エホバの証人「国防部傘下での代替服務はできない」=韓国 |newspaper=[[中央日報]] |date=2018-7-1|url=http://japanese.joins.com/article/774/242774.html|accessdate=2018-7-1}}</ref>。
 
 
 
===ロシアでの活動禁止措置===
 
ロシアの法務省は、エホバの証人を過激主義団体の一つであると認定し、布教活動および集会を禁じる措置を行っている。エホバの証人が配布したある小冊子に、作家[[レフ・トルストイ]]の言葉が引用され、[[ロシア正教会]]の教理が「迷信で呪術的」と記載されていたのを司法省が問題視したという<ref name="huff"></ref>。法務省はこれに先立ち、同団体内での「過激主義的な行動」の兆候をつかんだと発表していた<ref>[http://www.afpbb.com/articles/-/3125868 ロシア、エホバの証人の活動禁止 「過激派組織」と政府:AFPBB News]</ref>。ロシア政府は「憎悪を煽り、市民の人間としての尊厳を軽んじている」と非難、訴状には「この団体は国家を尊重せず、あらゆる市民的な結びつきを弱らせ、国の安全を破壊する」と記されていた。エホバの証人側はロシア​連邦​最高​裁判​所に撤回を求める裁判を起こしたが、最高裁は法務省側の主張を支持し、エホバの証人は2017年4月よりロシア国内の活動を禁止されている<ref group="証人">{{Cite web |url=https://www.jw.org/ja/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9/%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B9/%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E5%88%A5/%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2/%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2%E6%9C%80%E9%AB%98%E8%A3%81%E3%81%A7%E3%82%A8%E3%83%9B%E3%83%90%E3%81%AE%E8%A8%BC%E4%BA%BA%E6%95%97%E8%A8%B4/ |title=ロシアの最高裁はエホバの証人に不利な判決を下す - エホバの証人公式サイト |date=2017-4-20 |accessdate=2017-9-21}}</ref>。この弾圧に対し、国際宗教自由委員会(USCIRF)の議長で[[イエズス会]]の司祭トーマス・J・リースは「ロシア政府の今回の措置は、同国内でのエホバの証人の法的存在を抹消することを目的としているようだ。USCIRFは、この平和的な宗教団体に対する弾圧を止めるよう、ロシア政府に要請する」<ref name="huff">[http://www.huffingtonpost.jp/2017/04/08/russia_n_15871772.html 「ロシア政府、エホバの証人を「過激主義団体」に指定へ」]-ハフィントンポスト誌,2017.4.8.</ref>と声明を発表した。なお、他にも[[モルモン教]]、[[セブンスデー・アドベンチスト教会]]などロシア国内にある他の宗教的少数派も同様、近年ロシアの過激活動対策法の対象団体となっている。
 
 
 
===カルト・セクト指定===
 
日本においては指定されていないが、いくつかの政府は[[カルト]]または[[セクト]]と分類しているケースがある。例として以下の政府・議会報告が挙げられる。
 
*[[代議院 (ベルギー)|ベルギー議会]]調査委員会(1997) <ref name="belgium1997">''Enquête Parlementaire visant à élaborer une politique en vue de lutter contre les practiques illégales des sectes et le danger qu'elles représentent pour la société et pour les personnes, particulièrement les mineurs d'âge. Rapport fait au nom de la Commission d'enquête par MM. Duquesne et Willems. Partie II.'' ([[カルト]]の不法行為、社会や人々、特に未成年者にとっての危険と戦うことを目的とした政策を説明する議会公聴。ドゥケイン氏、ウィレム氏による委員会での公聴、の名称での報告 パート2)[http://www.dekamer.be/FLWB/pdf/49/0313/49K0313008.pdf available online] -- フランス語と[[フラマン語]]の2言語報告, retrieved 2007-01-08.</ref>
 
*[[フランス国民議会]]委員会報告(1995)<ref name="france1995">[http://www.assemblee-nationale.fr/rap-enq/r2468.asp フランス語の報告1995年]([http://cftf.com/french/Les_Sectes_en_France/cults.html 英語の翻訳]), [[国民議会 (フランス)|フランス国民議会]], 議会委員会報告</ref>([[フランス国家警察]]の[[情報機関]]総合情報局が、複数のカルト監視グループと編集)
 
*[[フランス国民議会]]委員会報告(1999)<ref name="france1999">{{cite web|url=http://www.assemblee-nationale.fr/dossiers/sectes/sommaire.asp|title=Les sectes et l'argent|accessdate=2009-04-20|author=フランス国民議会|authorlink=フランス国民議会|coauthors=|date=1999-06-10|publisher=République Française|language=French
 
|quote=enquête sur la situation financière, patrimoniale et fiscale des sectes, ainsi que sur leurs activités économiques et leurs relations avec les milieux économiques et financiers [カルトの財務、所有物、収益、同様にそれらの経済活動、経済・金融に関するコネクションに関する公聴]}}</ref>(カルトと金銭に関するフランス議会報告、30数団体にし注意を集中させ調査した){{main|政府の文書によってセクトと分類された団体一覧}}
 
 
 
==題材作品==
 
===小説===
 
*『羊飼のいない羊たち』 - [[1984年]]、[[津山千恵]]。第二次大戦中の灯台社と良心的兵役拒否を貫いた明石順三の生涯。明石は戦後、教団に対して出した公開質問状の内容が「反逆」と見なされ、排斥されている。
 
*『[[説得―エホバの証人と輸血拒否事件]]』 - [[1988年]]、[[大泉実成]]。[[1985年]][[6月]]に神奈川県で実際にあった、出血多量で死んだ小学生の輸血拒否事件を基に、ある信者家族の信仰と生命の尊さを巡る葛藤を一人のルポライターが刻銘に綴ったノンフィクション小説<ref name=settoku>[[大泉実成]]『説得―エホバの証人と輸血拒否事件』[[現代書館]][[1988年]]</ref>。[[1993年]]にTBSでドラマ化され話題になった。
 
*『[[NHKにようこそ!]]』 - [[2002年]]、[[滝本竜彦]]。ひきこもりの青年と、彼を立ち直らせようとする新興宗教の二世信者の少女を中心とした物語<ref name="nhk">[[滝本竜彦]]『NHKにようこそ!』[[角川書店]]、2002年</ref>。元エホバの証人の漫画家いしいさやは、インタビューの中でエホバの証人との訣別を決めた最大の理由として本書を挙げており、「(エホバの証人の信者は)この本は読んではいけないことになっていた」「(エホバの証人は)やっぱりおかしかったんだ!とはっきり分かった。」と述べている<ref name="ishii2"/>。
 
 
 
===ドラマ===
 
*『[[説得―エホバの証人と輸血拒否事件]]』 - [[1993年]]、[[TBSテレビ|TBS]]。[[ビートたけし]]主演<ref name=gendai>[http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50001 エホバの証人事件で息子の輸血を拒否した父親と、演じたたけしの距離] - 現代ビジネス  講談社</ref>、[[大谷直子]]・[[斉藤洋介]]他出演。
 
=== 映画 ===
 
*『あかぼし』[[朴璐美]]主演。精神のバランスを崩し新興宗教にのめりこんでいく母親を、幼い息子の目を通して描く<ref>[http://eiga.com/movie/77563/ あかぼし  作品情報 - 映画.com]</ref><ref>[http://2012.tiff-jp.net/news/ja/?p=16002 第25回東京国際映画祭  公式インタビュー 日本映画・ある視点 『あかぼし』]-監督がエホバの証人をモデルにしていると明言。</ref>。
 
 
 
=== 本 ===
 
*船瀬俊介、内海聡 両著『血液の闇』((三五館 ISBN 978-4883206162、2014年)ーテレビドラマや小説の「説得」その他、昭和天皇崩御の際の輸血についても触れている。副題 輸血は受けてはいけない)。(船瀬俊介著(医療ジャーナリスト)、 内海 聡著(内科医、Tokyo DD Clinic院長) (2014年6月)
 
=== コミック ===
 
*『よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話』いしいさや著。 - [[ヤングマガジンサード]]([[講談社]])にて2017年6月より連載開始した自伝漫画。いしいがツイッターで自主発表した8ページの本作が、わずか2日間で3万リツイートを超える大反響を呼んだ<ref name="yokusyu">[http://yanmaga.jp/contents/yokushukyo 漫画『よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話』公式ページ] 作品中にエホバの証人の施設「王国会館」が登場する。</ref><ref name="natari">[http://natalie.mu/comic/news/235656 マツリ新作「HUMINT」&元二世信者の自伝マンガ、ヤンマガサードで始動 - コミックナタリー]</ref>。約半年後にあたる[[2017年]][[12月20日]]には[[講談社の漫画レーベル#雑誌に依存しないレーベル|KCデラックス]]より単行本第1巻(ISBN 978-4-06-510538-2)が発売されている。本書によれば、<q>この漫画は、作者自身の体験をもとに事実を再構成したもの</q>であり、主人公''さやちゃん''は少女時代のいしいであるものと思われる。帯の<cite>裏表紙</cite>側には''さやちゃん''がエホバの証人の虐待を受ける場面が2カット引用されており、それぞれ衣服の一部または大部分を着けない状態で、衣料品のベルトでおしりを打たれる、友達のプレゼントであるかわいいお洋服の破棄を強いられるなどが描かれている。
 
*『カルト宗教信じてました。 「エホバの証人2世」の私が25年間の信仰を捨てた理由』たもさん著。 - 10歳の時に母親に連れられてカルト宗教に入信。進学や夢、友人関係など、多くのものを宗教による制限のために諦めてきたが、結婚してやっと生まれたひとり息子が、「輸血」を必要とする病だったことをきっかけにカルト宗教への違和感を強め35歳の時に脱退。体験をコミックエッセイとして描いている。著者は「おわりに」でエホバの証人について「子どもの人権を侵害し、自由を奪い、教えに背くなら存在を否定し、輸血拒否で実際に命を・・・」と記している<ref name="tamo"/>。
 
 
 
== 脚注・引用 ==
 
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===エホバの証人の公式サイト・出版物など===
 
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{{Reflist|colwidth=40em|group="証人"}}
 
 
 
==関連項目==
 
{{commonscat|Jehovah's Witnesses}}
 
*[[ものみの塔聖書冊子協会]]
 
*[[エホバの証人の組織構造]]
 
*[[エホバの証人とホロコースト]]
 
*[[レイモンド・フランズ]]
 
*[[エホバの証人に関する論争]]
 
*[[王国会館]](宗教施設)
 
*[[原始キリスト教]]
 
*[[新世界訳聖書]]
 
*[[灯台社]]
 
 
 
==外部リンク==
 
*[http://www.jw.org/ JW.ORG / エホバの証人の公式ウェブサイト][[ものみの塔聖書冊子協会]]('''エホバの証人''')
 
 
 
{{新宗教}}
 
{{Normdaten}}
 
 
{{DEFAULTSORT:えほはのしようにん}}
 
{{DEFAULTSORT:えほはのしようにん}}
 
[[Category:エホバの証人|*]]
 
[[Category:エホバの証人|*]]

2019/6/19/ (水) 11:59時点における最新版

エホバの証人(エホバのしょうにん、: Jehovah's Witnesses

キリストの再臨と千年王国の出現を信じ、現実の制度を否定して、19世紀後半のアメリカに発生した異端的宗派。ニューヨークのブルックリンに本部がある。教会の伝統と組織と教職制度を否定する思想を激しく表明するため、制度的なキリスト教界では異端と評価されて孤立しているが、一般社会では、キリストの再臨と聖書研究を強調し、輸血や柔剣道など格闘技の拒否、兵役の拒否を主張する一教派とみられている。この派の教義はC・T・ラッセル(1852―1916)が提唱し、J・F・ラザフォード(1869―1942)が体系化した。現世拒否のモチーフ(権力批判)がキリストの再臨信仰と結び付いているため、緊張の固持が信者の日常的言動を包み込み、その熱意は世俗の生活者と制度的宗教家をときに刺激する。日本での最初の指導者は明石(あかし)順三。1926年(昭和1)日本支部の灯台社が創立され、太平洋戦争後は48年に日本支部が、53年にものみの塔聖書冊子協会が組織された。なお、「ものみの塔」は「ハバクク書」(2章の2)に由来する。



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