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{{Otheruses|酸とアルコールから脱水縮合してできた化合物|その他の用法|エステル (曖昧さ回避)}}
 
  
[[ファイル:Ester.svg|200px|thumb|カルボン酸エステルの基本構造。RおよびR'は任意の[[アルキル基]]または[[アリール基]]。]]
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'''エステル''' (ester)  
'''エステル''' (ester) は、[[有機酸]]または[[無機酸]]の[[オキソ酸]]と[[アルコール]]または[[フェノール]]のような[[ヒドロキシ基]]を含む化合物との[[縮合反応]]で得られる化合物である<ref>{{GoldBookRef|title = esters | file = E02219}}</ref><ref>[http://goldbook.iupac.org/E02219.html IUPAC Gold Book - esters]</ref>。単にエステルと呼ぶときは[[カルボン酸]]とアルコールから成る'''カルボン酸エステル''' (carboxylate ester) を指すことが多く、カルボン酸エステルの特性基 (R−COO−R') を'''エステル結合''' (ester bond) と呼ぶ事が多い。エステル結合による[[重合体]]は'''[[ポリエステル]]''' (polyester) と呼ばれる。また、低[[分子量]]のカルボン酸エステルは[[果実]]臭をもち、[[バナナ]]や[[マンゴー]]などに含まれている。
 
  
エステルとして、カルボン酸エステルのほかに以下のような種の例が挙げられる。
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有機酸または無機酸とアルコールから水がとれてできる形の化合物の総称。低級脂肪酸と低級アルコールのエステルは芳香があり,人工果実エッセンスの原料や有機溶媒に使われる。二塩基酸以上のエステルには,酸のカルボキシル基すべてがエステル化された中性のエステルと,カルボキシル基が1つ以上残っている酸性エステルとがある。高級脂肪酸とグリセリンのエステルは油脂と呼ばれる。エステルを加水分解すると酸とアルコールになる。無機酸のエステルは有機酸エステルと比べて製法,性質が異なる。そのうち硫酸と高級アルコールのエステルは界面活性剤として使われる。
*[[チオエステル]] – カルボン酸と[[チオール]]のエステル
 
*[[リン酸エステル]] – [[リン酸]]とアルコールのエステル
 
*[[硫酸エステル]] – [[硫酸]]とアルコールのエステル
 
*[[硝酸エステル]] – [[硝酸]]とアルコールのエステル
 
*[[炭酸エステル]] – [[炭酸]]とアルコールのエステル
 
 
 
== 命名 ==
 
=== 語源 ===
 
エステル (ester) という語は[[1848年]]に[[ドイツ人]][[化学者]]の[[レオポルト・グメリン]]によって考案された<ref>Leopold Gmelin, ''Handbuch der Chemie'', vol. 4: ''Handbuch der organischen Chemie'' (vol. 1) (Heidelberg, Baden (Germany): Karl Winter, 1848), [http://books.google.com/books?id=4ooMAQAAIAAJ&pg=PA182&lpg=PA182#v=onepage&q&f=false page 182].<br />
 
原文:<blockquote>b. Ester oder sauerstoffsäure Aetherarten.<br />Ethers du troisième genre.<br /><br />Viele mineralische und organische Sauerstoffsäuren treten mit einer Alkohol-Art unter Ausscheidung von Wasser zu neutralen flüchtigen ätherischen Verbindungen zusammen, welche man als gepaarte Verbindungen von Alkohol und Säuren-Wasser oder, nach der Radicaltheorie, als Salze betrachten kann, in welchen eine Säure mit einem Aether verbunden ist. </blockquote>和訳:<blockquote>b. エステルまたはオキシ酸エーテル<br />第三のエーテル<br /><br />酸素を結合するいくつかの無機酸および有機酸をアルコールと共存されると水を脱離して中性の揮発性エーテル化合物が形成する。これはアルコールと酸が結合した化合物、または、ラジカル理論で言うところの酸にエーテルが結合した塩と見ることができる。</blockquote></ref>。
 
 
 
=== エステルの命名法 ===
 
{{Main|IUPAC命名法}}
 
エステルは、元なるものとして想定されるアルコールと酸から命名される。酸は有機でも無機でもよい。基本的なカルボン酸から誘導されるエステルは慣用名で呼ばれることが多い。例えば「〜ホルマート」(ギ酸エステル)、「〜アセタート」(酢酸エステル)、「〜プロピオナート」(プロピオン酸エステル)、「〜ブチラート」(酪酸エステル)は、IUPAC体系名でいうと「〜メタノアート」(メタン酸エステル)、「〜エタノアート」(エタン酸エステル)、「〜プロパノアート」(プロパン酸エステル)、「〜ブタノアート」(ブタン酸エステル)である。IUPAC体系名は、[[塩]]([[塩基]]と酸からなる)と同様、元の酸の名前の末尾の-''ic acid''を-''oate''に変えることで陰性基(あるいは種類名)を命名し、元のアルコールの[[ヒドロキシ基]]を抜いた基(アルキル)を陽性基として二元命名法で命名するものである。日本語では、陰性基が先に来る場合「〜酸」をそのまま用い、そうでなければ字訳にする。複雑なカルボン酸から誘導されるエステルは専ら体系名が用いられる。
 
 
 
[[Image:Ethylethanoate-parts.svg|thumb|400px|[[酢酸エチル]]の構造式]]
 
 
 
有機エステルの化学式は慣例的に RCOOR'(RとR'はそれぞれカルボン酸とアルコール由来の炭化水素基)と記される。例えば、[[エタノール]]と[[酢酸]]から誘導される[[酢酸エチル]]は CH<sub>3</sub>COOCH<sub>2</sub>CH<sub>3</sub> と記される。この他、炭化水素基の略号を用いて EtOAc と書かれたり、CH<sub>3</sub>CO<sub>2</sub>C<sub>2</sub>H<sub>5</sub> と書かれたりすることもある。
 
 
 
環状エステルは[[ラクトン]]と呼ばれる。有機酸、無機酸のどちらでも構わない。例えば、[[γ-ヒドロキシ酪酸]]が分子内脱水縮合して生成する[[γ-ブチロラクトン]]がある。
 
 
 
=== オルトエステル ===
 
[[オルトエステル]]は化学式が RC(OR')<sub>3</sub> の化合物である。例えば、トリエチルオルトギ酸 (HC(OC<sub>2</sub>H<sub>5</sub>)<sub>3</sub>) は、[[オルトギ酸]]と[[エタノール]]から誘導される。
 
 
 
=== 無機エステル ===
 
[[Image:Phosphate Group.svg|130px|thumb|リン酸エステル]]
 
エステルは通常、オキソ酸とアルコールの縮合によって誘導される物質の総称である。従って、命名は例えば[[リン酸]]や[[硫酸]]、[[硝酸]]、[[ボロン酸]]などの[[無機酸]]にまで及ぶ。ゆえに、環状のエステルもまたラクトンと呼ばれる。例えば、[[トリフェニルリン酸]]はリン酸と[[フェノール]]から誘導されたエステルである。有機炭酸エステルの[[炭酸エチレン]]は[[炭酸]]と[[エチレングリコール]]から誘導される。
 
 
 
== 合成法 ==
 
[[オキソ酸]]と[[アルコール]]が存在すれば自発的に[[脱水反応|脱水]][[縮合反応|縮合]]してエステルとなるが、同時にエステルは脱水で生成した水によって[[加水分解]]を受けて元のオキソ酸とアルコールとなる。したがって混合物の状態で平衡に達するため高い収率で得ることが難しい。そこで、脱水剤を共存させたり、水を系外へ除去することで平衡をエステル側へ偏らせる手法がとられる。[[ディーン・スターク装置]]は[[共沸]]を利用して脱水を行える器具で、エステル化にも用いられる。この反応を促進させるための[[触媒]]として[[硫酸]]などの強酸が用いられる([[フィッシャーエステル合成反応]]を参照)。酸素[[同位体]]を用いた実験により、脱水縮合時に H<sub>2</sub>O として離脱する酸素は100%オキソ酸由来であることが知られている<ref>慣習上多価アルコールのエステルの場合 RO<sub>3</sub>(COR')<sub>3</sub> ではなく R(OCOR')<sub>3</sub> のように表記される</ref>。
 
 
 
[[オキソ酸]]の代わりとして、エステル生成時に水を副成しない[[無水酢酸]]などの[[酸無水物]]、あるいは[[カルボン酸ハロゲン化物|酸ハロゲン化物]]を用いて、高い収率でエステルを得ることができる。この手法は[[ショッテン・バウマン反応]]と呼ばれ、主に塩基、ときに酸が触媒として用いられる。
 
 
 
ほか、カルボン酸エステルを与える化学反応としては、[[バイヤー・ビリガー酸化]]、[[ファヴォルスキー転位]]、[[ジアゾメタン]]によるメチル化、カルボキシラート (RCO<sub>2</sub><sup>-</sup>) による[[ハロゲン化アルキル]]などへの[[求核置換反応]]、[[アルケン]]または[[アルキン]]とオキソ酸との付加反応などが挙げられる。
 
 
 
=== ラクトン、ラクチド ===
 
[[ヒドロキシ酸]]は[[ヒドロキシ基]]と[[カルボキシル基]]を同一分子中に持っているので分子内で容易に脱水縮合し、環状のエステルができる。これを[[ラクトン]]と呼ぶ。また、2分子のヒドロキシ酸において、互いの水酸基とカルボキシル基が脱水縮合してエステル結合を分子内に2つもつ環状化合物ができる。これを[[ラクチド]]と呼ぶ。
 
 
 
== 反応 ==
 
エステルは[[加水分解]]を受けるとアルコールとオキソ酸にもどる。触媒には酸または塩基が用いられるが、エステルの生成と加水分解は平衡反応であるため、加水分解で生成する酸と塩を作り平衡系から除去できる塩基の方が高転化率を得やすい。
 
 
 
またエステルは[[アミン]]と反応して[[アミド結合]]を作る。
 
 
 
エステルは[[ハロゲン化水素]]と反応して酸ハロゲン化物([[カルボン酸]]では[[ハロゲン化アシル]])となる。また、カルボン酸エステルを2当量の[[グリニャール試薬]]と反応させたものに酸を通すことで第3級[[アルコール]]となる。
 
 
 
カルボン酸エステルは[[水素化アルミニウムリチウム]]や[[水素化ホウ素ナトリウム]]、[[ボラン]]などによって、第1級アルコールに還元される。1当量の[[水素化ジイソブチルアルミニウム]]を上手に用いれば、還元を[[アルデヒド]]で止められる場合がある。
 
 
 
α位に水素を持つカルボン酸エステルの化学反応として、[[クライゼン縮合]]、[[マロン酸エステル合成]]、[[アセト酢酸エステル合成]]などの一連のC-C結合生成反応が知られる。[[フリース転位]]は、カルボン酸アリールエステルを[[基質 (化学)|基質]]としてアシルフェノールを与える。
 
 
 
== 用途 ==
 
低分子のカルボン酸エステルのうち、[[酢酸エチル]]は有機[[溶剤]]として[[溶媒]]、[[塗料]]、[[接着剤]]など幅広く使用される。[[直鎖]][[脂肪酸]](おおむね炭素数7以上)のグリセリンエステル([[トリグリセリド]])はいわゆる[[脂肪]]であり、[[植物]]あるいは[[動物]]性[[食品]]に広く含まれる。
 
 
 
エステル結合で重合した、代表的な[[ポリエステル樹脂]]として[[ポリエチレンテレフタラート]] (PET) が挙げられる。
 
 
 
低分子のカルボン酸エステルの中には、果実の香りの成分であり(通常複数のエステルをブレンドして)香料として使用されるものがある。次に代表例を示す。
 
 
 
*[[酪酸メチル]] (methyl butanoate) – リンゴ臭
 
*[[サリチル酸メチル]] (methyl salicylate) – [[ヒメコウジ]]の油
 
*[[ギ酸エチル]] (ethyl methanoate) – ラズベリー臭
 
*[[酪酸エチル]] (ethyl butanoate) – パイナップル臭
 
*[[酢酸エチル]] (ethyl acetate) – パイナップル臭
 
*[[カプロン酸エチル]] (ethyl caproate) – リンゴ臭
 
*[[酢酸ペンチル]] (pentyl ethanoate) – バナナ臭
 
*[[酢酸イソペンチル]] (isopentyl acetate) – バナナ臭
 
*[[吉草酸ペンチル]] (pentyl pentanoate) – リンゴ臭
 
*[[酪酸ペンチル]] (pentyl butanoate) – 洋ナシ、アプリコット臭
 
*[[酢酸オクチル]] (octyl ethanoate) – オレンジ臭
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{Reflist}}
 
 
 
== 関連項目 ==
 
{{Commonscat|Esters}}
 
{{Commonscat|Carboxylate esters|カルボン酸エステル}}
 
*[[アルコール]]
 
*[[カルボン酸]]
 
*[[オキソ酸]]
 
*[[脱水縮合]]
 
 
 
{{官能基}}
 
  
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{{テンプレート:20180815sk}} 
 
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[[Category:エステル|*]]
 
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[[Category:有機化合物]]
 
[[Category:有機化合物]]
 
[[Category:官能基]]
 
[[Category:官能基]]

2019/6/19/ (水) 12:27時点における最新版

エステル (ester)

有機酸または無機酸とアルコールから水がとれてできる形の化合物の総称。低級脂肪酸と低級アルコールのエステルは芳香があり,人工果実エッセンスの原料や有機溶媒に使われる。二塩基酸以上のエステルには,酸のカルボキシル基すべてがエステル化された中性のエステルと,カルボキシル基が1つ以上残っている酸性エステルとがある。高級脂肪酸とグリセリンのエステルは油脂と呼ばれる。エステルを加水分解すると酸とアルコールになる。無機酸のエステルは有機酸エステルと比べて製法,性質が異なる。そのうち硫酸と高級アルコールのエステルは界面活性剤として使われる。



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