エアバスA350 XWB
エアバスA350 XWB
エアバスA350 XWB (Airbus A350 XWB) は、A300・A330/A340の後継機としてエアバス社が発売した新世代中型ワイドボディ旅客機。
2015年1月15日、カタール航空がドーハ-フランクフルト線で世界初の営業運航を開始した[2]。
Contents
名称について
当初、A330をベースに開発が構想されていた機種の名称が「A350」であり、A350開発計画中止後に新規に設計し直され、2015年現在生産されている機種の正式名称が「A350 XWB」である。(開発計画の推移は後述) 航空専門誌や航空系ニュースサイトでは正式名称で報道されることもある[3]が、一般的なニュース報道などではA350 XWBを指して「A350」と省略されることも多い[4][5]。 日本の航空雑誌『エアライン』(イカロス出版)の記者がエアバス社に「A350」と略して良いかと尋ねたところ、エアバス社の担当者はできる限り正式名称の「A350 XWB」で表記してほしいと答えたという[6]。ただ、エアバス社の公式資料でも「XWB」が省略されているものも存在している[6]。
なお、シリーズ名はA350 XWBであるが、個々のモデルは「A350-800」「A350-900」のようにXWBを含めないものが正式名称となっている[7]。
初期のA350構想
エアバスは、A300やA330といった自社の旅客機の後継機種、より直接にはA330やA340の市場を大型双発機777や新型機787で席巻しつつあるライバル・ボーイング社の対抗機種として、新しい世代の中型双発機を開発しようとしていた。これが初期のA350型機であるが、その大まかな特徴は以下のようなものであった。
- A330をベースに、最新の技術を投入した新世代の機体
- 787に搭載されるものと同じ新世代エンジンの搭載
- A380に使用された新素材を適用した軽量かつ薄い胴体とし客室幅を拡大
これらの特徴を持ち、「ライバル787と同等以上の性能の機体を、より安価で容易に開発する」とした初期のA350構想は、3つの派生形からなるファミリーとなる予定であった。
- A350-800 基本型。航続距離15,900km、3クラスで245座席。
- A350-900 A350-800の胴体延長型。航続距離13,900km、3クラスで285席。
- A350-1000 A350-900の胴体をさらに延長した型。
エアバス社としてはA380に開発資源を集中する必要があり、全くの新規設計から始めることは困難な事情があった。開発予算は30から40億ドル程度の予定であった。 しかし、この機体に対し発注の意向を示したシンガポール航空やILFCは、より設計の詳細を詰める段階で機体設計のやり直しを要求した。A350はライバル787に対して受注数で大きく水をあけられる状況であった。 この初期構想は顧客からの反応を見ながら数回の改訂が加えられている。
- 第1段階 胴体の主構造はA330と同等のアルミニウム合金、主翼は複合材主体。エンジンはRRのトレント1700あるいはGEnX。
- 第2段階 胴体の主構造材をアルミニウム・リチウム合金へ変更。
- 第3段階 胴体のフレーム構造を変更し客室内径を7.6cm(3インチ)拡大。これによりA330の胴体組み立て治具の大部分は流用不可能となった。A350-1000がラインナップに加えられたのはこの段階である。これまでのエアバス・ワイドボディ機と異なりキャビン最後尾部分の床面を完全にフラット化し同部床下にキャビン・クルーレストを配置できるようにした。
- 第4段階 機首形状をA380の空力実績を元に「頬がこけた」形状に調整しコクピット床下にコクピット・クルーレストを配置した。主翼前縁の曲線を鋭角化すること等を合わせ抵抗を削減、巡航マッハ数を0.82から0.83へ向上させた。
上記のような改訂を加え、航空機としての性能・経済性はA330に比べて大幅に改善されているにも関わらず受注は伸び悩み、製造ローンチできない状態が続いた。この段階で、予想される開発経費は概算で50億ドル強にまで増加していた。
初期のA350のコンセプトは、のちに開発が決定することとなったA330neoに引き継がれることとなる。
A350 XWBの登場
着々と受注数を伸ばすB787に比べ受注に苦しんだA350だったが、2006年7月17日開催のファーンボロー航空ショーにて「エアバスA350 XWB(eXtra Wide Body)」として、再設計され完全に新しい計画として発表された。
- A300以来使用していた真円の胴体断面を捨て、新たにより太いダブルバブル断面を採用。ダブル・バブルのキャビン部分の半径は2.98mと、ロッキード L-1011 トライスターと等しくエコノミークラスは9列配置が可能となった。貨物室部分の半径は2.82mとこちらは従来型エアバスワイドボディ機と同じで、少しでも工作機械や治具を流用しようという意図が見受けられる。また、ダブル・バブル構造とすることで胴体下半分はLD3コンテナが二列積載できる最小限の断面に絞られており機体重量の軽減に寄与している。
- 新設計、全複合材製の高効率な主翼。主翼面積は従来A350の361m²からXWBでは443m²に拡張された。この値はボーイング777の424m²より大きい。
- ライバル787より多い座席数、大きな搭載量。胴体の拡幅により、エコノミー座席の標準配列が9列となったことでより多くの乗客を収容できるとしている。ただし、実際には787もエコノミー座席を9列配置とすると公表しているエアラインが半分近くあり、この場合は収容力はほぼキャビン長によって決定される。A350 XWBでは低運賃エアライン向けにエコノミー10列座席が提案されている。また、キャビン直径の拡大はキャビン天井裏のスペースの拡大ももたらし、コクピットクルー並びにキャビンクルーレストは天井裏に設けることが可能となった。これにより従来型エアバスワイドボディ機のようにクルーレスト設備が有償スペースを圧迫することが回避された。
また、この新たな計画のファミリーとしては次のものが発表された。当初最も小型の-800型が基本型と思われていたが、開発順序や派生型開発計画などから中間サイズの-900型が基本型であると考えられる。
- A350-800 短胴型。3クラスで270座席(2016年5月31日にA330派生型A330-900neoと機体規模が重複するため計画中止決定[8])。
- A350-900 標準胴体長の形式。3クラスで314席。
- A350-1000 A350XWB-900の胴体を延長した型。350席規模。最大離陸重量の増大に対応するため、この型は主脚が6輪式となっている。
この基本機種はそれぞれ航続距離8500nmi (15,800km) を計画をしていたが、設計が進むにつれ若干の変動を見ている。さらに将来構想としては以下のものも考えられている。
- A350-900R A350XWB-900の航続距離延長型。想定航続距離9,500nmi (17,600km)。
- A350-900F A350XWB-900の貨物型。貨物搭載量90t。
これら計画の総体、特に787より大きな機体サイズと新技術の積極採用という点から見て、787のみならず一回り大きな(そして今のところボーイングの独擅場である)777 (-200・-300・-8X) の市場にも対抗できる機体を目指していることがうかがえる計画である。日本航空やユナイテッド航空のように、A350を777の後継機として位置づけている航空会社も実際にある。この計画変更により胴体径が広くなるためか、後方の胴体絞り部などは従来のエアバス機のように胴体上部へ絞り上がっていく形でなく、ボーイング機などに見られる胴体中心部へ上部からも絞っていく形に変更されている。その一方で、フラップを内外二分割してドループ・エルロンと共に巡航中に独立して角度制御を行うことで揚力分布を最適化し巡航時の揚抗比を改善するなど新しい技術も取り入れられている。
787より大きな推力が要求される搭載エンジンとしては、ロールス・ロイスがトレント1700を強化し供給する覚書を締結している。ゼネラル・エレクトリックはGEnXでなく、より大きな推力を見込めるGP7200の派生型を供給する予定であった。しかしその後GE社とエアバス社の交渉は決裂しGEnX強化型あるいはGP7200派生型をA350 XWBに提供する覚書は2008年10月現在結ばれていない。そのため、現時点ではA350 XWBへのエンジン供給はロールス・ロイスの独占となっている。この背景には、GEがエンジン供給を独占して大きな利益を上げているボーイング777-200LR/300ERおよび将来開発が予定されている777-8XとA350XWB-900R/1000が直接競合するという事情があるためと考えられている。GEと共にエンジン・アライアンスに出資するプラット・アンド・ホイットニーはXWB向けGP7200派生型の開発に前向きな旨の表明をしているが、優先交渉権はGEnXにありGEがXWB型へのエンジン提供を最終的に見送った場合にGP7200のXWB向け提供の交渉を開始できると認めている。2009年5月にGE首脳は、「B787の飛行試験によってGEnXの燃費を含めた性能が示されれば改めてエアバスとの交渉に臨むだろう」という趣旨の発言を行った。この場合は-800および-900型向けに限ってのエンジン開発となるだろうと見られている。
また、エアバスはA350-1000に搭載予定のエンジンであるロールス・ロイスTrent XWBについて、当社と共同でより性能の良いバージョンを開発し、この型に装備することを明らかにしている。
A350 XWBの受注
このエアバスA350 XWBの計画発表を受けて、シンガポール航空が2006年7月21日にA350-900型20機の購入を発表した。2006年12月1日、親会社であるエアバス・グループの役員会は本機の開発を承認した。およそ100億ユーロと見積もられる開発費分担の内訳は明らかにされなかった。
2008年8月12日現在、A350 XWBは世界27社から452機の確定発注を受けライバルである787と同規模の受注を達成している。特に787の開発が、主翼の強度不足や試験飛行中の空中火災などで難航、納期が3年以上遅延しているため、就航予定時期等787の初期のアドバンテージはほとんど失われてしまっている。また、正式契約調印には至っていないが発注趣意書を発行されているものが106機ある。一方でGEエンジンの搭載が見送られたためにリース会社GECASのように初期型A350計画からXWB型への契約移行を行なわず、発注を取り消されたケースもある。
2013年10月7日に日本航空とエアバスは共同プレスリリースで、A350-900型機18機とA350-1000型機13機の確定31機、オプション25機の購入契約を締結したと発表した。初期の機体の引渡しから20年を経過し、機材更新の時期を迎えるボーイング777の後継機として、2019年より順次導入される予定[9]。日本航空がエアバス機を発注するのは初めてのことである[10]。なおこれに先立ち日本では日本航空[11][12] と併せ全日本空輸[13]も老朽化したボーイング777の置き換えとしてA350-1000を有力な候補に挙げているとの報道がなされていたが、全日本空輸は2014年3月にボーイング777-9Xの発注を決定し、エアバスA350の発注には至らなかった。
エアバス社の同じ大型双発機シリーズA330とは補完関係にあるとされ、A330が中距離路線を主体とするのに対し、A350 XWBは長距離/超長距離路線で真価を発揮するため、航空会社は運航する路線によって両機種を使い分けることになるという[14]。一方で日本航空のように、A350 XWBを短距離の国内線と長距離の国際線の両方に導入する意向を示している航空会社も存在する[15]。
2014年7月にはA330の次世代型であるA330neoを開発することが決まった。A330を運航しているハワイアン航空はA350 XWBの発注を全てキャンセルしA330neoへ切り替えた。マレーシアのLCCであるエアアジアXは主力機種であったA330-300の更新用として、A350 XWBを発注しているがA330neoも発注した。また2016年1月にはイランのフラッグキャリアであるイラン航空がエアバス社に大型発注を行い、A350-1000型機を16機確定発注した。香港のキャセイパシフィック航空はA350-900を22機、長胴型のA350-1000を26機の2タイプ計48機を発注しているが、受領を開始する2016年内に新造機12機を受領する予定であり、香港国際空港からロンドンへの基幹路線や、現在は主にA330-300で運航している香港と日本の三大都市圏を結ぶ路線に投入するとしている[16]。
A350 XWBの開発
エアバス社は2007年9月に、構造並びに一部形状の変更を公表した。それによるとこれまでアルミニウム・リチウム合金製とされてきた胴体構造はカーボンファイバーのフレームリングとアルミニウム・リチウム合金のビームからなる骨組みにカーボンファイバーパネルを張り合わせた構造になり、ボーイング787とほぼ同等のカーボンファイバー使用率となった。また、機首形状が2006年のXWB型の最初のアナウンス時のデザインから変更され、A380の機首先端を切って取りつけたような形状となっている。しかしフライトデッキはA380の液晶画面8面ではなく、より大型の液晶画面を6面用いた想像図が公開されている。
これら設計の変更に伴い胴体内寸に変更が見られる模様で、下記の仕様における胴体内径は現在エアバス社のHPの仕様表には記載がない。2009年1月14日にエアバス社はA350XWB型機の最終組み立て施設の着工記念式典を挙行し、そこで新たな外観が公表された。同社のホームページで参照できる。
2008年8月には搭載機器を含めた詳細な重量見積りの結果、-900型機で運行自重が従来予測より2.2t増大する見込みと公表されている。それと共に、-900型機の最大離陸重量は268tへと改訂された。
A350 XWBの完成
2013年5月14日に飛行テスト用A350 XWB初号機(登録番号:F-WXWB)が組み立て、エアバスのデモ塗装を完了して、同年6月3日には地上でのエンジン始動を確認した。6月14日にはA350 XWB初号機が工場に隣接するトゥールーズ・ブラニャック空港で初飛行を実施[17]し、その様子はエアバス社によってインターネット中継された[18]。2014年9月30日にはA350-900が欧州航空安全機関の形式証明を取得。10月2日にはローンチカスタマーとなるカタール航空向けの初号機がロールアウト[19]。
2016年11月24日にはA350-1000初号機(MSN059)が初飛行した[20]。
A350 XWBの試験飛行
2014年1月9日にボリビアのコチャバンバ、ラパスで高地テストを行うため、ボリビアに到着。コチャバンバは海抜8,300フィートで約2,500メートル、ラパスは海抜13,000フィートの約4000メートルにあり、3号機を使用して高地でのエンジン、補助動力装置(APU)、各種システムのオペレーションを確認。
2014年1月28日にカナダのイカルイト空港で寒冷地テストのため高地テストを行っていたボリビアのコチャバンバ、ラパスから3号機が到着。イカルイトでは氷点下2桁台を記録する極寒の地で、高地テストと同様にエンジン、補助動力装置(APU)、各種システムのオペレーションを確認。
2014年5月6日にアメリカ、フロリダ州のエグリン空軍基地に併設されているマッキンリー極限気候研究所へ2号機が到着。A350 XWB開発プロジェクトで、型式証明に必要な認定要件を上回る能力を確認するため、研究所で極限状態の気候条件でのテストを実施。試験は45度からマイナス45度の気温状況を作り出し、複数の気候や湿度で機体の状態を確認。
2014年5月9日にフランスのイストル空軍基地で4号機が耐水テストを実施。滑走路上の水が最低22ミリメートルで、60ノットから140ノットまでの速度で滑走しノーズランディングギアの水しぶきがエンジン、補助動力装置(APU)の動きに影響がないことを確認。
2014年6月2日に初期長距離フライト(ELF)試験を実施。2号機を使用し6月2日にフランスのトゥールーズ・ブラニャック空港を離陸、パリ、オランダ、デンマーク、ノルウェイ、イギリスの上空を飛び、7時間後にトゥールーズに 着陸。そして翌3日には、夜間に離陸し、フランス上空やイベリア半島、北ヨーロッパ大陸の上空を12時間に渡って飛び、再びトゥールーズに着陸し、今回の試験では、航空会社のスタッフとしてエールフランスとルフトハンザの客室乗務員が乗務し、機内食の提供からギャレーの使い勝手や機内の防音性、空調や照明、トイレの使い心地や機内の娯楽設備などが評価され、さらに人間工学の専門家によって、機内の目印などの見やすさ、分かりやすさを評価確認した。
2014年6月18日高温飛行試験を3号機を使用して実施。アラブ首長国連邦のアルアインを拠点に、40度を超える気温環境のもとで、エンジンや航空機のシステム挙動を確認。
2014年7月19日にフランスのイストル空軍基地で1号機が最大離陸推力時の離陸中断テスト(Maximum Energy Rejected Take-Off:MERTO)を実施。離陸中断テストでは離陸時の最大スピード、最大重量でブレーキが安全に作動し、機体を安全に止めることができるかを確認。
2014年7月24日にA350-900の型式証明取得に向けた最終段階として、5号機を使用した路線認定(Route Proving)試験を開始。約3週間かけて北極を通過したり、各大洋を横断飛行したり、合計で約180時間、およそ151,300キロの距離を飛行した。
2014年10月19日には試作5号機(MSN005、機体記号:F-WWYB)がアジアを巡るデモツアーの一環として羽田空港に飛来し、日本航空の関係者や記者などを乗せてデモフライトを実施した[21]。このデモツアーでは東京以外にもソウル、ハノイ、バンコク、クアラルンプールへ訪れ、A350 XWBの導入を予定している航空会社へのアピールが行われた。
- A350 試験飛行機の役割分担
-
- MSN1 (F-WXWB):初期ハンドリング品質、アイシングのテスト、システムや電気系統の試験
- MSN2 (F-WWCF):客室内の認証試験、長時間フライト、機内エンターテインメント(IFE)装備テスト、マッキンリー極限気候研究所でのテスト
- MSN3 (F-WZGG):ボリビアでの高高度、カナダでの寒冷地テスト、パフォーマンス測定、灼熱地と寒冷地での運航、システムや電気系統の試験
- MSN4 (F-WZNW):ノイズや雷、耐水のテスト、アビオニクス開発と認証、航空会社のパイロットとメンテナンスチームの訓練
- MSN5 (F-WWYB):客室内訓練、路線の運航証明、ETOPS認証の取得
ETOPS-370の取得
2014年10月に欧州航空安全機関がエアバスA350-900型機に対して、ETOPS-300及びETOPS-370の認定を与えた。これによってA350-900型機は太平洋と大西洋を含んだ世界中ほとんどすべての主要空港間に、無着陸飛行ルート設定が可能な直行定期便を運航する事が可能となった。この認定取得により、A350を発注した各国航空会社は、東南アジアから米国、オセアニアから米国といった中央太平洋上を飛行する史上最長となる定期国際路線設定が可能となった。 これらETOPSのさらなる高度認定に対応する航続距離延長型として、「A350-ULR」が追加設定された。このタイプはパキスタン国際航空やエミレーツ航空などB777-200LR型機を運航している航空会社の超長距離線用機材としての新規需要が期待されており、2015年に発表されたULRタイプのローンチカスタマーとなったのはA380と同様にシンガポール航空であり、航続距離は双発機として最高記録となる予定であり、シンガポール航空保有機としてはA340-500型機の置き換え対象となる機材で、シンガポール/チャンギ国際空港からアメリカ合衆国/ロサンゼルス国際空港や中南米地域への直行便設定も可能となる。2016年5月2日エアバスは、A350-900が米連邦航空局(FAA)より180分超(最大300分)のETOPS認可を取得したと発表した[22]。
発注、引渡状況
2014年12月22日、ローンチカスタマーであるカタール航空に最初の1機が引き渡され、2015年1月15日からドーハ - フランクフルト線で営業運行を開始した。[23][24][25]。
顧客別受注
2017年6月現在
|
機種別受注、引渡数
A350-800 | A350-900 | A350-1000 | 合計 | |
発注数 | 16 | 599 | 195 | 810 |
引渡数 | 0 | 41 | 0 | 41 |
2016年1月現在、フィンエアー・カタール航空・ベトナム航空などが、A350による定期国際線運航を既に開始している。 日本の航空会社で日本航空が、A350-900とA350-1000型機の計31機分を確定発注(オプション25機)済である。
アジア地域でA350型機の確定発注を行った航空会社は、確定発注機数63機(ULR型を含んだオプション契約による購入権20機分)を誇るシンガポール航空や、ベトナム空軍が政府専用機としても使用しているベトナム航空、チャイナエアライン、スリランカ航空、フィリピン航空などとなっている。
2016年には南米大陸のA350発注会社にも新造機のデリバリーが始まり、ブラジルのTAM航空が大西洋横断の欧州-南米間渡洋路線に初めて使用した。
2016年10月14日に、エアバスで通算10,000機目の納入機となるA350-900(機体番号:9V-SMF)をシンガポール航空に引き渡した。
年度別受注、引渡数
2006 | 2007 | 2008 | 2009 | 2010 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 合計 | |
受注数 | 2 | 292 | 163 | 51 | 78 | -31 | 27 | 230 | -32 | -3 | 33 | 810 |
引渡数 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 14 | 26 | 41 |
仕様
- A350-800が787-9の、A350-900が777-200ER,787-10の、A350-900Rが777-200LRの、A350-1000が777-300ER,777-8Xの競合機に当たる。
- 2015年10月、エアバスはシンガポール航空の要請により、シンガポール=北米間直行運航可能なA350-900ULRを開発することを決定。2017年にカンタス航空もシドニー = ロンドン線やメルボルン = ニューヨーク線の直行便にA350-900ULRの性能を調査し、2020年頃の就航を検討している[30]が、エアバスはシンガポール航空仕様で19時間程度の飛行時間を想定していて、カンタス航空の要求は20時間程度の飛行時間想定のため、さらなる性能などの向上が望まれる[31]。
A350 | ボーイング機との比較 | |||||||||
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-800 [32] (A330-900neoと競合のため開発中止) |
-900 [33] | -1000 | -900ULR | -900F | 787-9 | 787-10 [34] |
777-300ER[35] |
777-200LR | 777F | |
全長 | 60.7 m | 67.0 m | 73.8 m | 67.0 m | 62.8 m | 68.9 m | 73.9 m | 63.7 m | ||
全高 | 16.9 m | 16.5 m | 17.0 m | 18.7 m | 18.8 m | 18.6 m | ||||
胴体幅 | 596 cm (235 in) | 574 cm (226 in) | 619 cm (244 in) | |||||||
キャビン幅 | 559 cm (221 in) | 546 cm (215 in) | 586 cm (231 in) | |||||||
乗客数 | 270(3クラス) 312(2クラス) |
314(3クラス) 366(2クラス) |
350(3クラス) 412(2クラス) |
310(3クラス) | 90 t (貨物機) |
250(3クラス) 290(2クラス) |
301(3クラス) 350(2クラス) |
365(3クラス) | 301(3クラス) | 103 t (貨物機) |
最大離陸重量 | 248 t | 268 t | 298 t | 280 t | 298 t | 247 t | 不明 | 351.534 t | 347.452 t | 347.450 t |
最大燃料 搭載量 |
129,000 L | 141,000 L | 156,000 L | 165,000 L | 127,000 L | 不明 | 181,280 L | 202,287 L | 181,280 L | |
就航速度 | マッハ0.85 (903 km/h) | マッハ0.84 (892 km/h) | ||||||||
エンジン推力 | 74,000 lb ×2* | 83,000 lb ×2* | 92,000 lb ×2* | 68,000 lb ×2 | 88,200 lb ×2 | 115,300 lb ×2 | 110,000 lb ×2 | |||
エンジン | ロールス・ロイス トレント XWB | ロールス・ロイス トレント 1000 GEnx |
GE90-115B | GE90-110B1 | ||||||
航続距離 | 8,300 nmi 15,400 km |
8,100 nmi 15,000 km |
8,000 nmi 14,800 km |
8,700 nmi 16,100 km |
5,000 nmi 9,250 km |
8,800 nmi 15,700 km |
不明 不明 |
7,900 nmi 14,594 km |
9,420 nmi 17,446 km |
4,990 nmi 9,065 km |
価格 | 2.75億ドル | 3.11億ドル | 3.59億ドル | 不明 | 不明 | 2.65億ドル | 不明 | 3.20億ドル | 2.96億ドル | 3.01億ドル |
*2007年10月迄の風洞試験の結果により、エンジンの離昇推力は-800で75,000lbから74,000lbへ、-900で87,000lbから83,000lbへ、-1000他で95,000lbから92,000lbへそれぞれ引き下げられた。
脚注
- ↑ エアバス、A350 XWBの初飛行 ツールーズを離陸 - Flyteamニュース(2013年6月14日)
- ↑ カタール航空、A350で営業初飛行 ドーハ/フランクフルト線に投入 - Flyteamニュース(2015年1月16日)
- ↑ AviationWire キーワード: "A350 XWB"
- ↑ 欧州当局、エアバス「A350」の安全性を認可 - ロイター(2014年10月1日付、2014年10月3日閲覧)
- ↑ 欧エアバス、欧州当局からA350の型式証明取得 - 日刊工業新聞(2014年10月2日付、2014年10月3日閲覧)
- ↑ 6.0 6.1 エアライン・2014年9月号22ページ
- ↑ A350-900、欧州航空安全庁より型式証明を取得 - エアバス社プレスリリース(2014年9月30日)
- ↑ エアバス、A350短胴型中止へ 777のシェア奪取へ
- ↑ 『JAL、エアバス社A350型機の導入を決定』2013年10月7日 日本航空株式会社、エアバス株式会社
- ↑ エアバスA300-600Rを運航していたことはあるが、これは経営統合前の旧日本エアシステムが発注した機材である。
- ↑ 日航、エアバス「A350」導入検討 4000億円規模 - 日本経済新聞 電子版(2013年3月24日)2013年6月7日閲覧。
- ↑ JAL、A350-1000を検討か - Flyteamニュース
- ↑ ANA chief says A350 'good candidate' to replace Boeing 777s - ロイター通信 2013年6月7日閲覧。
- ↑ 月刊エアライン 2014年9月号 P28-29
- ↑ 最新鋭機にも最上級クラス 日航、19年導入の国内線 - 産経新聞社 2016年6月29日閲覧。
- ↑ 月刊エアライン 2014年9月号 P28-29
- ↑ エアバスの次世代旅客機「A350」、初の試験飛行 AFPBBニュース(2013年6月14日)
- ↑ A350 XWB First Flight(生中継サイト) - 現在はアクセスできないが、同社YouTubeチャンネルで当日の録画映像が公開されている。
- ↑ 航空ファン 2014年12月号 P127-128
- ↑ A350-1000初号機、初飛行を実施 エアバスジャパン プレスリリース(2016年11月24日)
- ↑ 「静かで快適」は本当? エアバスA350に乗ってみた - Aviation Wire(2014年11月21日付、11月22日閲覧)
- ↑ A350 XWB、FAAより180分超のETOPS承認 エアバス社プレスリリース(2016年5月2日)
- ↑ [エアバス新型機A350、1号機をカタール航空に納入 http://www.cnn.co.jp/business/35058263.html](CNN 2014年12月23日
- ↑ カタール航空 A350XWB(カタール航空公式サイト)
- ↑ カタール航空、A350で営業初飛行 ドーハ/フランクフルト線に投入
- ↑ 開発中止により、導入は白紙となった。この8機分については、A350-900やA330neoへ切換を依頼。
- ↑ 開発中止により、導入は白紙となった。この8機分については、A350-900やA330neoへ切換を依頼。
- ↑ Airbus.com: Orders and Deliveries (XLS)
- ↑ Airbus.com - Press Centre
- ↑ [1]
- ↑ 20時間超の直行便、実現に向け奮起促す-ロンドン就航目指すカンタス
- ↑ Airbus goes for extra width - A350 XWB special report. Flight International
- ↑ Singapore Airlines orders 20 Airbus A350 XWB-900s and 9 Airbus A380s
- ↑ Boeing 787-10ER Technical Specification
- ↑ Boeing 777 Technical Specification. www.boeing.com
外部リンク
- A350XWB(エアバス・ジャパン株式会社)
- A350XWB by Airbus(英語特設サイト)
- Airbus - Aircraft families - indexh(英語版)
- エアバス最新鋭機「A350-1000」日本初飛来=366席、1万4800キロ航続 - 時事ドットコム(2018年2月14日)2018年3月1日閲覧