イチモンジタナゴ

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イチモンジタナゴAcheilognathus cyanostigma)は、コイ目コイ科タナゴ亜科タナゴ属に属する淡水魚である。

分布

日本固有種琵琶湖淀川水系、由良川水系、濃尾平野木曽三川およびその周辺)、紀の川水系、三方湖に分布する。琵琶湖産コアユ稚魚の放流に種苗が混入して広島県[1]岡山県熊本県など西日本各地にも拡散した[2][3]

形態

全長6cmから8 cmで、オスはメスより1 cmほど大きい。体型はタナゴに似ており体高が低い。体側には青緑色の長い縦条があり、これが和名「一文字」の由来である。口ひげはあるがきわめて短い。背鰭・臀鰭の軟条数はともに8。側線は完全で、側線鱗数は38から41。繁殖期のオスは腹部が淡いピンクに、背部は明るい緑色に色づく婚姻色を呈する。メスは産卵管を伸長させるが、この長さはタナゴ類中で最長である。

生態

流れのない状態を好み、湖沼や河川用水路等の緩水ないし止水域に生息する。食性は雑食性で、仔稚魚期には動物プランクトンを捕食するが、成魚では藻類など植物食への偏りがみられる。繁殖期は春から初夏で、大型のドブガイカラスガイを好んで産卵する。1年で成魚となり寿命は2-3年ほど。

保全状態評価

絶滅危惧IA類 (CR)環境省レッドリスト

河川改修などによる環境改変にともなう生息地の破壊、ブラックバスブルーギルの捕食やタイリクバラタナゴとの競合、観賞魚用としての乱獲により生息地、個体数とも激減している。2007年版の環境省レッドリストでは、以前の絶滅危惧IB類からIA類にカテゴリが変更された[4]。琵琶湖淀川水系では減少が著しく、滋賀県では条例により「指定希少野生動植物種」として本種の捕獲等が禁じられる[5]。2009年10月にはインターネットオークションで岐阜県産の本種を琵琶湖産と偽って販売した男が滋賀県警に逮捕された[6]

脚注

  1. 内藤順一:芦田川で採れたイチモンジタナゴについて 比婆科学 比婆科学 129,5-8,1985
  2. イチモンジタナゴ 国立環境研究所 侵入生物データベース、2010年7月31日閲覧。
  3. 熊本県緑川水系におけるイチモンジタナゴAcheilognathus cyanostigma の分布パターン 魚類学雑誌 Vol.59 (2012) No.1 p.1-9
  4. 魚類のレッドリストの新旧対照表(PDF) 環境省J-IBIS、2010年8月18日閲覧。
  5. ふるさと滋賀の野生動植物との共生に関する条例 第15条,指定種の一覧(PDF)滋賀県、2010年8月8日閲覧。
  6. 「琵琶湖産」と偽り…絶滅危惧魚販売の男逮捕(2009年10月25日時点のアーカイブ) スポーツニッポン、2009年10月21日版、2010年7月31日閲覧。

参考文献

  • 赤井裕ほか『タナゴのすべて』マリン企画、2004年。ISBN 4-89512-529-7
  • 川那部浩哉、水野信彦、細谷和海編『山溪カラー名鑑 日本の淡水魚』山と溪谷社、2001年。ISBN 4-635-09021-3

関連項目

外部リンク