アスコルビン酸

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アスコルビン酸(アスコルビンさん、: ascorbic acid)は、栄養素ビタミンC としてはたらく、ラクトン構造を持つ有機化合物の1種である。IUPAC命名法では、フランの誘導体と見なして、(R)-3,4-ジヒドロキシ-5-((S)-1,2-ジヒドロキシエチル)フラン-2(5H)-オンと表される。分子量は176.13 g/mol。光学活性化合物であり、ビタミンCとして知られるのはL体の方である。そのCAS登録番号は [50-81-7]。食品添加物酸化防止剤として、広く使用される。

工業的製造法

L-アスコルビン酸はグルコースを原料として、主に2通りの経路で製造される。1930年代に開発された ライヒシュタイン法では、1段階の発酵のあとに、化学合成へ移る。より新しい2段階発酵法は、もとは1960年代に中国で開発された方法であるが、そこではその化学合成の後ろのほうの段階も酵素反応で置き換えている。どちらの経路も、用いたグルコースから約60%の収率でアスコルビン酸を産出する。全世界におけるアスコルビン酸の年間の生産量は約110,000トンにのぼる。

化学的性質

酸性

アスコルビン酸はビニル性カルボン酸のように振る舞い、二重結合のπ電子がヒドロキシ基カルボニル基の間に伝わることにより高い酸性を示す (pKa1 = 4.17、pH = 2 (50 mg/mL))。これは、プロトンを放出した後の共役塩基が共鳴構造を持ち、負電荷を非局在化させて安定化できるためである。

アスコルビン酸は還元性を示す。適当な酸化剤(空気中の酸素およびハロゲンなど)の作用により、プロトンを2個放出してデヒドロアスコルビン酸に変わる。この性質により、酸化防止剤として用いられる。

互変異性

アスコルビン酸はプロトンの移動によって不安定なジケトンに互変異性する。この場合、エノール側が優勢である。エノールがプロトンを失うと、その二重結合からπ電子を受け取り、ジケトンが生成する。この互変異性では1,2-ジケトンと1,3-ジケトンが生成可能である。

定量法

アスコルビン酸の定量分析は、酸化還元滴定により行える。試料をメタリン酸水溶液に溶かし 0.05 mol/L ヨウ素溶液で滴定する。指示薬は、デンプン試液を用いる。この方法の中で、ヨウ素は酸化剤としてはたらく。

その他

ドイツ連邦リスク評価研究所 (BfR) の報告によれば、清涼飲料水中に安息香酸とアスコルビン酸が共存する場合には微量のベンゼンが生成する可能性があり、生成量は pH、温度、他の不純物(主に金属イオンが影響するものと思われる)、紫外線の影響を受けると言う[1][2]

アスコルビン酸の構造を決定したウォルター・ハースは、1937年ノーベル賞を受賞した。

アスコルビン酸の名前の由来は、壊血病 (scurvy) の治療に効果があったことによる。【a(否定)+ scorbutic(壊血病に罹った)】。

脚注

関連項目