さるとびエッちゃん
『さるとびエッちゃん』は、石ノ森章太郎の漫画作品。及びそれを原作とする日本のテレビアニメ。
『週刊マーガレット』(集英社)創刊号から1966年8号まで、休載と改題を繰り返して62回に渡り連載された。その後も掲載誌を移しながら1984年まで断続的に発表された。
Contents
内容
エッちゃんこと猿飛エツ子は小柄な小学生。しかし、猛スピードで走り、怪力を持ち、動物と会話できる、自称猿飛佐助33代目の子孫。そのエッちゃんが三つ葉小学校に転入、時にトラブルの種となり、時にトラブルを解決するコメディ作品。
原作
初出は『週刊マーガレット』(集英社)創刊号より連載されていた『おかしなおかしなおかしなあの子』。後に単行本もアニメ化に合わせて改題された。
- 第1部 「おかしなおかしなおかしなあの子」 昭和39年(1964年)9号 - 昭和40年(1965年)7号(全42回)[1]
- 第2部 「おかしなあの子」 昭和40年(1965年)10号 - 18号(全8回)[1]
- 第3部 「さるとびエッちゃん」 昭和40年(1965年)47号 - 昭和41年(1966年)8号(全12回)[1]
- その他の連載
- おかしなあの子(平凡)1968年7月号 - 1969年12月号[1]
- おかしなあの子(新婦人しんぶん)1969年9月号 - 1971年3月号[1]
- さるとびエッちゃん(少女フレンド)1971年32号 - 1972年9号[1]
- さるとびエッちゃん(なかよし)1971年10月号 - 12月号[1]
- さるとびエッちゃん(たのしい幼稚園)1971年12月号 - 1972年3月号[1]
- エスパーエッちゃん(読売水曜日版)1983年11月2日 - 1984年10月31日[1]
単行本
※すべて入手困難
- サンコミックス『おかしなあの子 さるとびエッちゃん』(朝日ソノラマ)全5巻 - 絶版
- サンワイドコミック『おかしなあの子 さるとびエッちゃん』(朝日ソノラマ)全2巻 - 絶版
- 愛蔵版『おかしなおかしなおかしなあの子 さるとびエッちゃん』(中央公論社)全2巻 - 絶版
- 双葉文庫『さるとびエッちゃん』(双葉社)全4巻 - 絶版
- 石ノ森章太郎 萬画大全集『さるとびエッちゃん』(角川書店)全5巻・『エスパーエッちゃん』全1巻(「エスパーエッちゃん」・「新婦人しんぶん」版・「たのしい幼稚園」版収録)- 絶版
- 同シリーズの『ミュータント・サブ』第3巻にはエッちゃんが登場する短編「エッちゃんとサブ」(『ぼくら』〈講談社〉1966年7月号)が収録されている。ちなみに少女フレンド版では逆に「ふしぎな少年」(週刊少女フレンド1971年第48号 萬画大全集版5巻収録)で『ミュータント・サブ』のサブがゲスト出演している。
2015年現在では電子書籍「石ノ森章太郎 デジタル大全」版(講談社 「石ノ森章太郎 萬画大全集」版と同編成)が販売されている。
アニメ
東映魔女っ子シリーズ | ||
第3作 | 魔法のマコちゃん | 1970年11月 - 1971年9月 |
第4作 | さるとびエッちゃん | 1971年10月 - 1972年3月 |
第5作 | 魔法使いチャッピー | 1972年4月 - 1972年12月 |
解説
1971年10月4日から1972年3月27日までの毎週月曜日19時 - 19時30分に NET (現:テレビ朝日)系列にて全26話が放送された。
時間帯としては『魔法のマコちゃん』の後番組に当たり、「東映魔女っ子シリーズ」の1つに数えられるが[1]、主人公のパワー源が魔法ではない上に日常系ギャグアニメの傾向が強く、従来の作品と比較して絵柄や作品内容などに「魔女っ子」「少女向け」の要素は希薄になっている。
一方、サブキャラクターの犬のブクは、大阪弁をしゃべり、人語を解する設定となっており、その後の魔法少女アニメで一般的になる「主人公と会話ができるペット」の先駆的存在でもあった[1]。
全エピソードの内、第4回・第6回・第14回はシリーズでも珍しい2話構成となっており、特に第14回Bパート「たのしくやろうエッちゃんかるた」は、全キャラクターをいろはがるたに例えて[2]紹介するという、シリーズ最大の珍作となっている。また、最終回はラストを意識しない普通の話で締めくくられている。
2013年7月10日(水)午後11時45分、NHKBSプレミアム「手塚治虫×石ノ森章太郎 TV作品初回・最終回大集合!」にて、初回と最終回が放送された。
声の出演
- 猿飛エツ子 - 野村道子
- ブク - 永井一郎
- 広岡三枝子(ミコ) - 千々松幸子
- 天下大平 - 野島昭生
- 天下茂平 - 加藤修
- 天下三子 - 津田延代
- 天下クリ平 - 麻生みつ子
- モコ - 沢田和子
- 大山タケシ - 田中亮一
- 白雪先生 - 中村恵子
スタッフ
- 企画:宮崎慎一(NET)、籏野義文[3]
- 原作:石森章太郎
- 製作担当:原徹
- 音楽:宇野誠一郎
- 作画:上村栄司、田村晴夫、山口賢裕、小坂由美、村松美子、金田伊功、池田由美子、綾部重雄、奧山玲子、菊池貞雄、小田部羊一、宮崎駿、金山通弘、壇合昇、小林敏明、篠原征子、伊藤良行 他
- 背景:山口俊和、原田謙一 他
- 仕上:森田博、岡田良明 他
- 撮影:武田寛、町田賢樹、菅谷正昭、池田重好、片山幸男、目黒宏、与那原良明、山田順弘、林昭夫
- 編集:古村均、本山収
- 録音:波多野勲、神原広巳、二宮健治、高橋拓夫
- 効果:大平紀義
- 記録:井上ふみ子、黒石陽子、早見佐代子、的場節代、大橋千加子、高野ヒサ子
- 選曲:賀川晴雄
- 演出助手:佐々木勝利、寒竹清隆、福島一三、松橋英夫、磯本憲昭、大谷恒清、早川啓二、遠藤勇二、上島昭男
- 製作進行:佐藤哲雄、久保田弘男、難波隆司、菅原吉郎、佐伯雅久、吉岡修、大野清、堀正春、隈要次郎
- 現像:東映化学
- 制作:東映動画、NET
主題歌
- オープニングテーマ - 『エッちゃん』
- 作詞 - 山元護久 / 作曲 - 宇野誠一郎 / 歌 - 増山江威子
- エンディングテーマ - 『エッちゃんが好きや』
- 作詞 - 山元護久 / 作曲 - 宇野誠一郎 / 歌 - 熊倉一雄
※『エッちゃんが好きや』は、第9話や第19話ではブク役の永井一郎が歌っている。
各話リスト
回 | 放送日 | サブタイトル | 脚本 | 演出 | 作画監督 | 美術 |
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1 | 1971年 10月4日 |
おかしな転校生 | 山崎忠昭 | 芹川有吾 | 高橋信也 | 土田勇 |
2 | 10月11日 | わたスのおうち | 辻真先 山崎忠昭 |
勝田稔男 | 木暮輝夫 | 内川文広 |
3 | 10月18日 | ママのさんかん日 | 雪室俊一 | 岡崎稔 | 永樹凡人 | 伊藤攻洋 |
4 | 10月25日 | 運動会がはじまるよー ああ友情 |
山崎忠昭 | 高見義雄 | 横井三郎 | |
5 | 11月1日 | ヨチヨチあばば | 辻真先 | 明比正行 | 古沢日出夫 | |
6 | 11月8日 | ブクよいずこ 二人はしあわせ |
池田宏 | 小田克也 | 土田勇 | |
7 | 11月15日 | 星から来た少年 | 雪室俊一 | 金子允洋 | 細田暉雄 | 内川文広 |
8 | 11月22日 | 近くて遠いふるさと | 岡崎稔 | 香西隆男 | 辻忠直 | |
9 | 11月29日 | さよならとサヨナラ | 辻真先 | 久岡敬史 | 木暮輝夫 | 内川文広 |
10 | 12月6日 | お母さんの手 | 大谷恒清 | 山崎誠 | ||
11 | 12月13日 | チビはチビでも | 雪室俊一 | 岡崎稔 | 香西隆男 | 内川文広 |
12 | 12月20日 | クリスマスだいすき | 山崎忠昭 | 池田宏 | 永樹凡人 | 横井三郎 |
13 | 12月27日 | 雪山讃歌 | 辻真先 | 山本寛巳 | 細田暉雄 | 伊藤英治 |
14 | 1972年 1月3日 |
ここほれワンワン たのしくやろうエッちゃんカルタ |
山崎忠昭 | 勝田稔男 | 高橋信也 | 土田勇 |
15 | 1月10日 | わが愛しのメリイ | 辻真先 | 芹川有吾 | 落合正宗 | 横井三郎 |
16 | 1月17日 | わたスの動物語教室 | 雪室俊一 | 佐々木勝利 | 永樹凡人 | 土田勇 |
17 | 1月24日 | 七色の夢映画の夢 | 金子允洋 | 細田暉雄 | ||
18 | 1月31日 | オニはそと! ブクはうち! | 辻真先 | 岡崎稔 | 香西隆男 | 内川文広 |
19 | 2月7日 | ブクとチビマル | 山崎忠昭 | 佐々木勝利 | 永樹凡人 | 横井三郎 |
20 | 2月14日 | 父ちゃんの家庭科 | 辻真先 | 芹川有吾 | 落合正宗 | |
21 | 2月21日 | おかしなおかしなお手伝いさん | 押川国秋 | 池田宏 | 永樹凡人 | 内川文広 |
22 | 2月28日 | ああ、神様...! | 城山昇 | 勝田稔男 | 高橋信也 | 土田勇 |
23 | 3月6日 | 夢みる少女 | 岡崎稔 | 香西隆男 | 内川文広 | |
24 | 3月13日 | 小さなお庭 | 大谷恒清 | 細田暉雄 | 土田勇 | |
25 | 3月20日 | 狼少女エツ子 | 辻真先 山崎忠昭 |
佐々木勝利 | 永樹凡人 | 内川文広 |
26 | 3月27日 | 二人のエッコ | 辻真先 | 芹川有吾 | 木暮輝夫 | 横井三郎 |
放送局
- NET
- 北海道テレビ
- テレビ岩手
- 宮城テレビ
- 秋田放送
- 福島中央テレビ
- 新潟総合テレビ
- 北日本放送
- 北陸放送
- 山梨放送
- 長野放送
- 静岡放送
- 名古屋テレビ
- 毎日放送
- 山陰放送
- テレビ岡山
- 広島ホームテレビ
- 山口放送
- 四国放送
- 瀬戸内海放送
- 九州朝日放送
- 長崎放送
- 熊本放送
- テレビ大分
- 鹿児島テレビ
- 沖縄テレビ
ほか
劇場版
NET系 月曜19時台前半 | ||
---|---|---|
前番組 | 番組名 | 次番組 |
さるとびエッちゃん
|
その他
- 東映プロデューサーだった平山亨と斎藤頼照によって実写ドラマとして企画されたが、実現しなかった[4][5]。
- すがやみつるは石森プロで、細井雄二、菅野誠(ひおあきら)、土山よしきとともに『怪傑ハリマオ』のトレースをしていた[6]が、次に「同人誌サークル『墨汁三滴』で丸っこい絵を描いていた」という理由で本作のキャラクター商品の絵描きを担当した(『エッちゃん』の漫画は描いていない)[7]。すがやは絵についてはまだ全て石森のチェックを受け、石森にデッサンなどを修正されることも多かったが、『エッちゃん』の仕事が認められたことにより、次に『仮面ライダー』の漫画を任されることになった。
脚注
- ↑ 1.00 1.01 1.02 1.03 1.04 1.05 1.06 1.07 1.08 1.09 1.10 「ヒーローファイル さるとびエッちゃん」『甦る!石ノ森ヒーローファイル』 Gakken〈Gakken Mook〉、2013-9-10、73。ISBN 978-4-05-610166-9。
- ↑ 「い」は(一部を除く)全キャラが新年の挨拶をして「いちばんはじめがごあいさつ」、「は」は花壇前にミコが登場したら花がしおれた所で「はなよりきれいな広岡ミコちゃん」など。中には、「ろ」では頭上に老婆を乗せたエッちゃんが横断歩道を歩き「ろうじんはいたわるべし」、「へ」ではスキーをしたブクが横に滑って「へたのよこスキー」(「下手の横好き」のもじり)など、キャラと関係ないのも有った。そしてラストは今までのは広岡家のかるた会で、全札をエッちゃんが取ったというオチ。
- ↑ 引用エラー: 無効な
<ref>
タグです。 「旗野
」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません - ↑ 『テレビマガジン特別編集 特撮ヒーロー大全集』 講談社、1988年。
- ↑ 赤星政尚、高橋和光、早川優「第2章 TV化以前から夢中になった思い出の原作マンガ 23|原作初登場からメディアに引っぱりだこの『さるとびエッちゃん』の魅力」『懐かしのTVアニメ99の謎〈東映動画 編〉』二見書房、1995年1月25日、ISBN 4-576-94199-2、68頁。
- ↑ 原稿が紛失していたため、『少年マガジン』掲載分の写真を撮り、その上からトレースするという方法で原稿を作り直した。
- ↑ すがやみつるblog - 『仮面ライダー青春譜』第59回 - 第7章『仮面ライダー』騒乱記
関連作品
- 『ミュータント・サブ』 - 「エッちゃんとサブ」というコラボ漫画が存在する。
- 『幻魔大戦』 - 最終盤に登場する超能力者軍団の中に混ぜて、本作の主人公猿飛エツ子を登場させている。上記のミュータント・サブも登場。
- 『幻魔大戦 Rebirth』 - 猿飛エツ子とともに、ブクも登場。
- 『人造人間キカイダー THE ANIMATION』 - 石ノ森原作の『人造人間キカイダー』を2000年からアニメ化した作品。猿飛エツ子をモデルとした猿飛悦子というキャラクターが登場する。
- 『童夢』 - 石ノ森と同郷でもある大友克洋の漫画。主人公の「悦子」の名は本作が由来とされる(「大友克洋インタビュー 1993」、Pioneer LDC.)。