いすゞ・エルガ

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テンプレート:BusModelImage エルガ(ERGA)は、ジェイ・バスが製造し、いすゞ自動車2000年から販売している路線・自家用大型バス

なお、エルガの9m大型路線バスはいすゞ・エルガLTを、中型路線バスはいすゞ・エルガミオを、いすゞにOEM供給されていた日野自動車設計のエルガJは日野・レインボー#HR系/いすゞ・エルガJを参照のこと。

概要

登場時

ファイル:KantoJidosha 10-95.jpg
中型路線バス・エルガミオ
エルガと部品が共通化されている。

日本の長期規制(平成11年排出ガス規制)に合わせ、キュービックをフルモデルチェンジし2000年6月20日に登場した。車名はラテン語で「〜に向かって」と言う意味を持ち、新たな時代に向かって走り始めた路線バスをイメージしたことに由来する[1]。外観は前年にフルモデルチェンジされた中型路線バス・エルガミオと同様に、全体的に四角く、コーナーに丸みを帯びたラウンディッシュキューブフォルムのボディーとなっている。また、ヘッドランプも視認性向上のために同じく横置きから縦置き4灯式に変更になった。これらは、エルガミオとの部品共通化によるコスト削減を念頭においている。

床形状としては、キュービックに引き続き、フルノンステップバスワンステップバスツーステップバス(路線仕様・高速仕様)が設定されたが、新たに前中ノンステップのtype-Aが新たに追加された。type-Aは、後半パワートレーン部分をワンステップバスと構造共通化することによってコスト削減を図っており、以後のノンステップバスの主流となるものである(UDトラックス(旧:日産ディーゼル)UA(当時)のGタイプと同一構造)。一方、キュービックの時代に設定されたトルコンAT搭載、横置きエンジンの床面フルフラットノンステップバスはtype-Bとなった。ホイールベースは4.8m(L尺)・5.3m(N尺)・5.8m(Q尺)の3種類が設定されているが、Q尺のノンステップバスは構造上の関係などから製造されていない。

サスペンションエアサスペンションを標準仕様とし、リーフサスペンションはオプション設定とされた。

2002年1月にはCNGノンステップバスが販売開始され、こちらはtype-A・type-B双方に設定された。また、自動車教習所向けの教習車も製造されており、多くがツーステップバスとなっている。

メーカー標準仕様「ERGA-VP」の設定

2002年にコスト削減を目的として、メーカー標準仕様である「ERGA-VP」が設定された。「ERGA VALUABLE PACKAGE」の略で、どの運行事業者でも使いやすいように仕様を統一し、部品の共通化を図ることでコスト削減を行い、排出ガス規制強化に伴うコスト増大の影響を最小限にとどめることを目的としている。

これに伴い、リーフサスペンション車の製造が中止となったほか、ツーステップ路線バスは標準ラインアップからは除外されオプション扱いとなったため、カタログ上にも記載されなくなった。ツーステップ路線バスに関しては、後に交通バリアフリー法の制定に伴い、高速路線用や山岳路線用などを除き、原則として低床バスの購入を事業者側に対し義務付けることを見越してのものとされる。

いすゞバス製造からジェイ・バスへ

その後の動きは、排出ガス規制や燃費基準が強化されていくことに伴う、コスト低減を図った動きが多く見られる。

初期のころは一部例外を除いていすゞバス製造で製造されていたが、いすゞ自動車と日野自動車のバス製造事業統合に伴い、2004年10月1日より両社合同資本のジェイ・バス宇都宮事業所(元いすゞバス製造)で製造が行われている。そのため開発はいすゞ自動車が一括して担当している。

また、車種に関してもOEM供給を経て現在は統合車種となっている。2004年8月にtype-Aのノンステップバスを日野にブルーリボンIIとしてOEM供給を開始。2005年1月14日からは統合車種となり、日野にワンステップバス・ツーステップバス(教習車を含む)も供給されることになった。ただし、CNG車とハイブリッド車の供給はこれまで行われたことはない。

ノンステップバスに関しては、CNG車も含んだtype-Bの製造が2005年8月をもって製造打ち切りとなり、type-Aに一本化された。これは通路の傾斜角が大きすぎて交通バリアフリー法の新たな規定に対応できなかったことや、エンジンルームが客室内に張り出している関係上、乗車定員が減少することに加え、追突事故や火災が発生した際の安全性に問題があったこと、トルコンATなどを使用することで販売価格が高く、事業者のニーズに沿わなかったことが要因である。

2012年には教習車の製造を中止した一方で、エルガハイブリッドと称するハイブリッド車の販売を開始した。

モデルチェンジ

2015年に入り日野自動車とともにモデルチェンジが実施され、エルガは2代目となった。(日野では同時にブルーリボン(2代目)に改称)

MTの廃止とノンステップバスへの統一が最大の特徴といえる。

自家用ツーステップ・CNGならびにハイブリッドはモデルチェンジ後も旧モデルのまま併売されていたが、これらは2017年までにすべて発売終了している。

なお、現在は自家用仕様として現行エルガのトップドアノンステップが発売されている[2]

シリーズの変遷

初代

初代の車種に関しては、type-Aのノンステップバス・ワンステップバス・ツーステップバスは型式名称が同一である一方、フルフラットノンステップバス・type-Bに関しては大きく異なるので、前者を先に掲載し、後者に関しては別記とする。また、CNG車についてはディーゼル車の改造扱いとなっていることから、各型式内の項目にて記述する。


KL-LV280/380系

テンプレート:BusModelImage2 2000年6月20日に発売開始された、長期規制(平成11年排出ガス規制)適合車。前述のように路線バスとしては、ノンステップバス (type-A) ・ワンステップバス・ツーステップバスが設定され、自家用車も製造された。

エンジンは、路線バスでは珍しいV型8気筒8PE1型で、いすゞキュービックと同型(出力は177kW/240PSおよび210kW/285PS)を搭載している。変速機は、OD付き5速マニュアルシフト (ACT) が標準設定された(オプションで直結5速も選択可能)。

型式はエアサス車がKL-LV280系でリーフサス車がKL-LV380系である。サスペンションは、エアサスが標準仕様であり、リーフサスはオプション仕様であった。

ワンステップバス・ツーステップバスに関しては3種類の尺がある一方、ノンステップバスは床下の骨格構造が異なる関係上、L・Nの2種類のみである。なお、WB5.8mのQ尺車(LV280Q1)の納入事業者は、じょうてつ東京ベイシティ交通奈良交通国際興業バスなど数えられるほどしかない。

また、中国ジェイアールバスクレアライン等の近距離高速路線(社内では「準高速バス」と称する)用として、「SE(Semi Express:準高速)仕様」を導入した。準高速仕様車はカタログ上では前扉のみを装備したツーステップバスとなっているが、国際興業バスや南海バスなど、一部の事業者には前中扉・ワンステップ仕様の車両も存在する。

2002年1月には、ラインナップにCNGノンステップバスが追加された。CNGタンクは屋根上のカバー内に5本搭載され、航続可能距離は約200kmとされている。搭載エンジンはV形8気筒の8PF1型 (177kW/240PS) で、トランスミッションは5速MTのみの設定となっている。

日野自動車へのOEM供給は2004年8月に開始され、ノンステップバスのKL-KV280系が供給された。ステアリングホイールや車体の内外装に記載されているメーカーロゴ以外は、KL-LV280系とほぼ同一仕様となっており、外観からの識別は非常に困難である。

型式は以下のとおり。ノンステップバスはエアサスのみ。

  WB4.8m WB5.3m WB5.8m
エアサスワンステップ
エアサスツーステップ
KL-LV280L1 KL-LV280N1 KL-LV280Q1
リーフサスワンステップ
リーフサスツーステップ
KL-LV380L1 KL-LV380N1 KL-LV380Q1
ノンステップ
KL-LV280L1改 KL-LV280N1改
CNGノンステップ
KL-LV280L1改 KL-LV280N1改

PJ-LV234系

テンプレート:BusModelImage2 2004年12月21日に発売された、新短期規制(平成16年排出ガス規制)適合車。平成12年排出ガス規制に対して粒子状物質75%低減レベル車となっており、超低PM車(☆☆☆適合)となっている。

ファイル:Ergainterior.jpg
エルガの運転席(アリソン製AT搭載車)

エンジンは中型車と同型のものに過給器を搭載した6HK1-TCC (191kW/260PS) に変更された。トルクが細くなったため、5速MT車のトランスミッションがOD(オーバードライブ)付き5速(トップギア:5速の減速比が1:1未満)から直結5速(5速の減速比が1:1)に、ファイナルギアも減速比を大きく(ローギヤード化)して補っている。6速MT・5速MT・5速ATとなり、ATはtype-BのZFからアリソンに変更された。

LV280系との相違点は、側面の反射器の有無と後部のエンジングリル開口部が左側から右側に移ったこと(CNGノンステップバスを除く)、運転席のエンジン回転計が4000回転まで刻んであること、車内の空調ダクトが最後部まで続いている点で識別できる。

対応が遅れていた高出力車及び自家用系と近距離高速路線車のSEも後日に発売された。エンジンは6HK1-TCH (221kW/300PS) で、従来車に比べて出力は11kW/15PS向上、最大トルクは若干下がった一方、中型車用をベースに大型車向けにチューニングされた軽量コンパクトなエンジンに載せ換えたこと、トランスミッションがOD付6速になったことで発進性も遜色はなく、燃費性能向上が大きな特徴になっている。

一方、CNGノンステップバスの外観や駆動系などはKL-LV280系と変わらないが、反射器の取付は行われている。

日野自動車のブルーリボンIIとはCNGノンステップバスを除き統合車種という位置づけになり、2005年1月14日からKV234系として供給が開始された。識別が困難なのは変わっておらず、ハンドルや製造銘板に「HINO」とあればブルーリボンIIと判別できる程度である。

型式は以下のとおり。

  WB4.8m WB5.3m WB5.8m
ノンステップ PJ-LV234L1 PJ-LV234N1
ワンステップ
ツーステップ
PJ-LV234L1 PJ-LV234N1 PJ-LV234Q1
CNGノンステップ PJ-LV234L1改 PJ-LV234N1改

PKG-/PDG-LV234系

テンプレート:BusModelImage2 2007年2月22日に発売開始された、新長期規制(平成17年排出ガス規制)適合車。基準に対して、PMの10%減を達成している。車両総重量14トン以上のMT車の一部は平成27年燃費基準に適合しており、自動車取得税が2%免除される。高出力車に関しても同年8月7日に追加設定されたが、同様に燃費基準をクリアしている車両、していない車両が発売されている。

なお、2007年8月31日までPJ-LV234系の登録が可能であったことから、実際にはこの後に多く納入されている。

エンジンは標準出力車が6HK1-TCC(191kW/260PS)、高出力車が6HK1-TCS(221kW/300PS)となっているが、VGSターボ採用により先代よりもトルクは大幅に向上している。トランスミッションは6速MT、5速MT、5速AT(アリソン製)の3種類である。また、路線バス仕様のほかに自家用仕様も用意されており、定員が異なる。これら違いにより同じホイールベースの車両でも多種多様なラインナップが存在し、燃費が各々異なっている。

さらに、この世代からはKL-世代の途中からオプション扱いとなっていたツーステップ路線バスに加え、準高速仕様車もオプション扱いに変更となったため、カタログ上に記載されなくなっている。

今回の車種から、ワンステップバスのサスペンションがノンステップバスのものと同一になり、コストの削減が行われている[3]。また、公式側にエンジンルーバーが新設されており、PJ-LV(日野・ブルーリボンIIはPJ-KV)系との識別が可能になっている。ノンステップバスでは非公式側の最後部窓が拡大され、こちらからでも従来の車両との識別が可能。

なお、日野自動車のブルーリボンIIも同時にマイナーチェンジ(型式がPKG-/PDG-KV234系に変更)しているが、日野ブルーリボンIIのヘッドライトが2灯式に変更されたことなどの点でエルガとの外観上の区別ができるようになった。

車内のスタンションポール(握り棒)の取り付けが変更され、見た目がスッキリしたほか、個別仕様による位置変更が容易になった。また、従来はステンレス製だったポール素材が粉体塗装のオレンジ色パイプになった[4]

2007年11月30日にはラインナップにCNGノンステップバスが追加された。エンジンは新開発の6HF1-TCS型 (180kW/245PS) を搭載し、トランスミッションは5速トルコンATのみ。燃料システムMPI(マルチポイントインジェクション)の採用やPMを全く排出しない点、CNG車で初めてアイドリングストップシステムを標準搭載したことが特徴である。

型式は以下のとおり。燃費基準達成車が「PKG-」、非達成車が「PDG-」となる。

  WB4.8m WB5.3m WB5.8m
ノンステップ PKG-LV234L2
PDG-LV234L2
PKG-LV234N2
PDG-LV234N2
ワンステップ
ツーステップ
PKG-LV234L2
PDG-LV234L2
PKG-LV234N2
PDG-LV234N2
PKG-LV234Q2
PDG-LV234Q2
CNGノンステップ PDG-LV234L2改 PDG-LV234N2改

LKG-/LDG-LV234系

テンプレート:BusModelImage2 2010年8月4日発売開始。排気ガス浄化装置の改良と尿素SCRシステムの採用により、平成21年排出ガス規制(ポスト新長期規制)に適合した。あわせてトランスミッションの全車6速化により燃費性能を改良し、新たに高出力(300PS)エンジン搭載オートマチック車が平成27年燃費基準に追加適合させている。今回のマイナーチェンジよりノンステップ車の座席配置はこれまでの近郊型が廃止となり、新たに中扉から後方の座席を2人掛けから1人掛けとし立席スペースを拡大した「ラッシュ型」が設定され、安全面ではABSが全車に標準装備されている[5]

運転席の計器類は今回より配置が変更となり、照明がLED化され、燃費、尿素水残量、3速発進警告(オプション)などが表示可能な「マルチインフォメーションディスプレイ」が装備される。

PKG-/PDG-車とは異なり、公式側ルーバーが廃止されており、非公式側のホイールベース間の窓が固定窓となった[6]

また、今回のマイナーチェンジより新・ISO方式のディスクホイールを採用しているため、ホイールのナット座ピッチ直径(PCD; Pitch Circle Diameter)が従来より大きくなっている[7]ことでも識別可能である。

2010年10月5日、ラインナップにCNGノンステップバスが追加された。ディーゼル車のポスト新長期規制に相当する「圧縮天然ガス自動車の排出ガス技術指針(2008)」に適合しているほか、ATが6速化された。

2012年4月1日以降に納入された車両については、新エコカー減税対応に伴う排出ガス規制記号の変更に対応するため、車検証等の書類上に限り排出ガス規制記号を「QPG-」「QKG-」「QDG-」に変更している。ただし仕様は従来通りとなっており、後述の#QPG-/QKG-/QDG-LV234系とは新ワンマンバス構造要件未適合などの点で仕様が異なるので注意が必要である。

型式は以下のとおり。燃費基準達成車が「LKG-」、非達成車が「LDG-」となる。

  WB4.8m WB5.3m WB5.8m
ノンステップ LKG-LV234L3
LDG-LV234L3
LKG-LV234N3
LDG-LV234N3
ワンステップ
ツーステップ
LKG-LV234L3
LDG-LV234L3
LKG-LV234N3
LDG-LV234N3
LKG-LV234Q3
LDG-LV234Q3
CNGノンステップ LDG-LV234L3改 LDG-LV234N3改

QPG-/QKG-/QDG-LV234系

テンプレート:BusModelImage2 2012年6月15日、同モデルを7月2日にマイナーチェンジし、発売することが発表された[8]

今回のマイナーチェンジでは、MT車は平成27年燃費基準より5%向上した他、平成21年基準低排出ガス車認定を取得して、2012年7月から適用される新ワンマンバス構造要件(中扉開時の動力伝達カット装置標準装備など)にも適合している。

また、シートおよびシートベルトに関する保安基準が改正されたことに伴い、高出力エンジンに加え、ヘッドレスト付きシートを選択しないとシートベルトが装備できなくなったため、一般路線車において標準出力車の納入事例が再び増加しているほか、南海バスなど一部の事業者には、準高速仕様のワンステップ車[9]が納入されている。

さらに、標準出力 (260PS) エンジン搭載のAT車も平成27年燃費基準に適合されている。このモデルより、ハイバックシート装備車以外の客席シートベルトの設定が廃止されたほか、教習車も標準ラインアップから除外されており、オプション扱いとなっている(詳細は後述)。

2015年、後継車種の2代目エルガ発売にともない販売終了。なお生産自体は、同年度導入の東京都交通局納入車(車両番号A570 - 670。入札制のため年度途中の形式変更が不可能)などで一部継続された。以降2017年まで、CNGノンステップバスとツーステップバスのみの販売となっていた。

型式は以下のとおり。燃費基準達成車が「QPG-」「QKG-」、非達成車が「QDG-」となる。

  WB4.8m WB5.3m WB5.8m
ノンステップ QPG-LV234L3
QKG-LV234L3
QDG-LV234L3
QPG-LV234N3
QKG-LV234N3
QDG-LV234N3
ワンステップ
ツーステップ
QPG-LV234L3
QKG-LV234L3
QDG-LV234L3
QPG-LV234N3
QKG-LV234N3
QDG-LV234N3
QPG-LV234Q3
QKG-LV234Q3
QDG-LV234Q3
CNGノンステップ QDG-LV234L3改 QDG-LV234N3改

KL-LV834系(フルノンステップバス/type-B)

テンプレート:BusModelImage2

ファイル:Isuzu 6HK1-TCC CNG.jpg
type-BのCNG車が搭載する6HA1型エンジン
(東京都交通局)

このタイプは床面フルフラットタイプのエアサスノンステップバスで、type-Bと称される。

床面構造に対し、最後部にエンジンを垂直横置きし、後輪の車軸にドロップアクスルを採用することで対応している。構造的には前モデルのキュービック・ノンステップバス(KC-LV832系)に準じている。エンジンは直6気筒の6HK1-TCC型 (260PS) で、トランスミッションはZF製トルコン式ATである。

2002年1月にはラインナップにCNG車が追加された。エンジンは直6気筒の6HA1型 (140kw/190PS) で、トランスミッションはディーゼル車と同一である。 なおCNG車に関しては、2002年1月の販売開始より前の2001年に、東京都交通局に13台、名古屋市交通局に1台納入されている。

フルノンステップバスはこの代のみにとどまり、新短期規制適合を行わず2005年8月をもって生産を終了した。これは床下機器の搭載位置変更による、特注部品使用によるコスト増大や中扉以降のスペース減少などの難点があることや、山岳路線や高速道路の走行に必要となる高出力エンジンを搭載できないこと、追突時の安全性に問題があったことなどが原因で、普及が進まなかったためである。

型式は以下のとおり。

  WB4.8m WB5.3m
ノンステップ KL-LV834L1 KL-LV834N1
CNGノンステップ KL-LV834L1改 KL-LV834N1改

2代目

2015年8月18日、登場以来初のフルモデルチェンジを実施した[10][11]

車体については先代からの流用部分が多く、大幅なマイナーチェンジとも言えるが、フロント・リアは印象が異なるものとなった。ヘッドライトが2灯式となり、統合車種の日野・ブルーリボンと外観が統一された。

ボディ構造の見直しにより、ホイールベースを長くしてノンステップエリアを拡大し、車体高を高くして車内空間を広くした。また車両全体を600kg軽量化した。

エンジンは直列6気筒から4気筒にダウンサイジングされ、トランスミッションはMTが廃止されてAMTとATのみとなった。運転席のラウンドフォルムコックピットもデザインが変更され、LEDインパネメーターもギア段表示位置の変更や時刻表示の追加がなされた。

このモデルよりノンステップバスのみの設定となった。従来ノンステップ車では前扉にグライドスライドドアを採用していたが、本モデルより折戸に改められた。また、ワンステップ4枚折戸車が廃止された代替として、整理券発券機の台座部を廃止する代わりに、中扉を幅広にする仕様も選択できるようになっている。

燃料タンクの位置変更も行われ、従来は中扉横または右前輪後ろに設置されていたが、モデルチェンジ後は前輪タイヤハウス一体型となった。このため最前席(扉側または運転席後方)が廃止となっている。燃料タンクは標準では扉側だが、事業者によっては給油位置などの関係で、運転席後方側に移設して導入することも可能である。

客席シートの形状も、セパレート式ヘッドレストやシートベルトの後付けに対応したものに改められている。また、安全対策とバリアフリー向上のため、優先席を含めたノンステップエリアの座席がすべて前向きとなり、スロープ板が操作の容易な反転式スロープに変更され、車椅子固定装置の改良も施された。

2015年度の「グッドデザイン賞」を受賞している[12]

QRG-/QPG-/QKG-/QDG-LV290系

2015年8月18日発売。新たに2ステージターボ付きの直列4気筒、排気量5.2Lの4HK1-TCS型エンジン (184kw/250ps) を搭載し、トランスミッションは6速AMTと6速AT(アリソン製)が設定され、14t以上のAMT車が平成27年燃費基準+10%を達成した。

形式は以下の通り。AMT・ATとも上段は14t超、下段は12t超14t以下に分類されている。

  WB5.3m(10.5m) WB6.0m(11.2m)
AMT QRG-LV290N1
QKG-LV290N1
QRG-LV290Q1
QKG-LV290Q1
AT QPG-LV290N1
QDG-LV290N1
QPG-LV290Q1
QDG-LV290Q1

重量車燃費基準ランク

  • QRG-:+10%達成
  • QPG-:+5%達成
  • QKG-:達成
  • QDG-:未達成

2TG-/2PG-/2KG-/2DG-LV290系(現行車種)

テンプレート:BusModelImage2 2017年8月8日発売。平成28年排出ガス規制(ポスト・ポスト新長期排出ガス規制適合)に適合。

エンジンは、5.2Lの4HK1-TCH型エンジン (177kw/240ps)に変更されている。LED式ヘッドランプを採用した。また、シフトレバーの位置と形状変更により足元スペースが拡大されている。

2017年9月、自家用向けとしてトップドア仕様のノンステップバスが追加された[2]。トップドア仕様の補助ブレーキはAMT車とGVW12t以下のAT車は排気ブレーキが、GVW12t超のAT車は排気ブレーキとATリターダが標準装備されている(AMT車並びにGVW12t以下のAT車もリターダをオプション設定)。トップドア仕様のノンステップバスは客席シートベルトと補助席が標準装備されるが、座席はローバック固定シートである。なお衝突被害軽減ブレーキ車線逸脱警報装置が標準装備されていないため、高速道路を走行することはできない[13]

形式は以下の通り。AMT・ATとも上段は14t超、下段は12t超14t以下に分類されている。

  WB5.3m(10.5m) WB6.0m(11.2m)
AMT 2TG-LV290N2
2KG-LV290N2
2TG-LV290Q2
2KG-LV290Q2
AT 2PG-LV290N2
2DG-LV290N2
2PG-LV290Q2
2DG-LV290Q2

重量車燃費基準ランク

  • 2TG-:+15%達成
  • 2PG-:+5%達成
  • 2KG-:達成
  • 2DG-:未達成

エルガハイブリッド

初代(LV系)

東京モーターショー2011にて、エルガハイブリッドが出展された。出展車は試作車扱いでLV234L3である。初代エルガハイブリッドの量産車は、この量産タイプ試作車がベースとなっている。

なお、この量産タイプ製造前の2008年9月30日には、プロトタイプ(試作)ハイブリッドも開発しており、こちらはエアロスターエコハイブリッドと同様のシリーズハイブリッドシステムを採用していた[14]。このため、6HK1型エンジンではなく4HK1-TCS(154kw/210PS)エンジンを採用しており、ハイブリッドバッテリーは屋根上に設置していた。CNGと同様のカバーを採用していたため、外観上CNG車と識別するのが困難であった。

QQG-LV234系

テンプレート:BusModelImage2

エルガハイブリッドの運転席 車内のバッテリー搭載部分
エルガハイブリッドの運転席
車内のバッテリー搭載部分

2012年8月9日、エルガハイブリッドが東京モーターショー2011参考出品車とほぼ同等の仕様で発売開始された[15]

平成21年排出ガス規制に適合。NOx・PM10%低減を達成、平成27年度重量車燃費基準達成+10%を達成している。

従来のハイブリッドノンステップバスでは、ハイブリッドシステム用バッテリーが屋根上設置だったが、エルガハイブリッドはモーターショー出展車同様、車内最後部の非公式側の2席分にリチウムイオンバッテリー(346V)を搭載した。このため従来車と比較し、L尺、N尺ともに座席が各3席減小している。

バッテリーが室内設置となったことから、ディーゼル車との外観上の相違点はバッテリーによる非公式側最後部の窓の閉塞以外ほとんどなく、車高も従来のディーゼル車と同一のため、ディーゼル車で運用されてきた路線にも車高を気にせず投入できるメリットがある[16]

ハイブリッドシステムは、イートン社製のパラレルハイブリッドシステム[17]を搭載しており、ディーゼル車と同形式の6HK1-TCC型 (191kw/260PS) エンジンとHB1型モータ (44kw/60PS) が組み合わされた。トランスミッションは、同じくイートン社製の6速AMT(自動変速式マニュアルトランスミッション)を採用している[17][16]

なおモーター駆動のみでのEV走行中も、エンジンはアイドリング状態で回転している。それ以外の基本的な仕様は、ディーゼル車と同様となっている。

2012年9月、市販1号車が阪急バスに納入された[18]。これを皮切りに、様々な事業者に導入されている。

2015年1月29日に改良が施され、車両の軽量化により定員が1名増加するなどの仕様変更があった。

型式は以下の通り。

WB4.8m WB5.3m
QQG-LV234L3 QQG-LV234N3

QSG-LV234系

2015年4月、平成27年度重量車燃費基準達成+15%を達成し、排出ガス規制記号がQSG-に移行した。

型式は以下の通り。

WB4.8m WB5.3m
QSG-LV234L3 QSG-LV234N3

、いすゞオリジナルの初代エルガハイブリッド(LV系)は生産終了となった。ハイブリッド車は日野自動車製のブルーリボンハイブリッドとの統合車種に統一された。

また前述の通り、2代目エルガの発売開始にともない、。

2代目(HL系)

2017年度には2代目に移行され、日野・ブルーリボンハイブリッドとの統合車種となった。シャシの設計は日野自動車、ボディはいすゞ製の2代目エルガタイプ(ジェイ・バス宇都宮事業所製)となっている。

2SG-HL2A系

日野・ブルーリボンハイブリッドとの統合車種である。2017年度にいすゞ自動車も、日野製のA05C-K1エンジンを搭載したエルガハイブリッド(HL系)の型式を取得した[19]。型式は、WB5.3mが2SG-HL2ANBD、WB6.0mが2SG-HL2ASBD[19]。また、国土交通省標準仕様ノンステップバスにも認定されている[20]

2018年4月13日の正式発表と同時に、いすゞ・エルガハイブリッドとして販売開始された。平成28年排出ガス規制に適合し、平成27年度燃費基準+15%を達成した。日野製のA05C-K1エンジン(191kW/260PS、排気量5,123cc)、6速AMTを採用している[21]

型式は以下の通り。

WB5.3m WB6.0m
2SG-HL2ANBD 2SG-HL2ASBD

教習車

テンプレート:BusModelImage2 エルガ/ブルーリボンIIからは、乗合や貸切用途のほかに大型第二種免許向けの教習車のラインナップが設定されている。それまでは全長9mのバス(いすゞ・エルガLTいすゞ・キュービックLTなど)が用いられてきたが、中型免許新設に伴って各地の教習所の車両が全長11mの車両に代替されることになったことによるものであり、2003年に先行導入された神奈川県運転免許試験場を皮切りに発売を開始した。

ラインナップはこれまでの乗合車種同様、排出ガス規制ごとにあわせたラインナップになっており、PDG-KV系からはヘッドランプが2灯式に変更された(日野へはPJ-車から供給開始)。すべて全長11m・N尺のツーステップバスとなり、改造扱いとなる。教習車らしい特徴的な仕様が設定され、前扉がカットされてその部分に助手席が設定されているほか、当然ながら補助ブレーキや教官用のメーター類なども整備されている。また一部には2ステップトップドアのエルガから、方向幕をうめた教習用バスも存在する(エルガの前型式であるキュービックにも存在する)。なお、2012年7月1日をもって製造中止となったが、メーカーによる路線車から教習車への改造メニューがある[22]

型式は以下の通り。すべてホイールベース5.3m、ツーステップ中扉仕様 、エアサス車である。

  エンジン いすゞ・エルガ 日野・ブルーリボンII
2003年 - 2005年 8PE1-N KL-LV280N1改
2005年 - 2007年8月 6HK1-TCC PJ-LV234N1改 PJ-KV234N1改
2007年8月 - 2010年8月 6HK1-TCC PDG-LV234N2改 PDG-KV234N2改
2010年8月 - 2012年7月 6HK1-TCC LDG-LV234N3改 LDG-KV234N3改

富士重工業・西日本車体工業架装車

テンプレート:BusModelImage2 エルガの車体は、基本的にいすゞバス製造またはジェイ・バスで製造された純正車体が架装されるが、一部には富士重工業西日本車体工業で製造された車体が架装された車両が存在する。

富士重工業架装車の多くはワンステップバスかノンステップバスのいわゆるtype-Aだが、東武バスおよび京成バスに富士重工ボディのいわゆるtype-Bを架装した例があり、2003年3月に同社がバスボディ製造から撤退するまで製造された。

西日本車体工業架装車は、純正車体がジェイ・バスでの製造になってからしばらく製造が行われていなかったが、2005年頃から発売を再開し、2010年に同社が解散するまで製造された。2003年4月以降の架装車種に関しては、西日本車体工業#2003年4月以降に日産ディーゼル以外にボディ架装を行った例を参照のこと。

富士重工業架装車

西日本車体工業架装車

脚注

  1. “いすゞ 新大型路線・自家用バス 『エルガ』 を発売” (プレスリリース), いすゞ自動車, (2000年6月20日), http://www.isuzu.co.jp/press/backnumber/2000/6_20erga.html . 2012閲覧. 
  2. 2.0 2.1 ISUZU:ERGA 前扉仕様バス(送迎用)[ノンステップ]
  3. バスラマインターナショナル 101 P9 - ぽると出版
  4. バスラマインターナショナル 101 P10 - ぽると出版
  5. “いすゞ 大型路線バス・大型自家用バス『エルガ』、大型観光バス『ガーラ』をポスト新長期排出ガス規制に適合させ発売” (プレスリリース), いすゞ自動車, (2010年8月4日), http://www.isuzu.co.jp/press/2010/8_4bus.html . 2010閲覧. 
  6. 「いすゞエルガ&日野ブルーリボンII ポスト新長期規制に適合」、『バスラマ・インターナショナル』第121号、ぽると出版、2010年9月、 p. 7。但し、非公式側の窓については事業者により従来タイプで納入される方が多いので固定窓タイプでの納入は少ない。
  7. 大型トラック・バスの新・ISO方式ホイールについて”. 一般社団法人 日本自動車工業会. . 2011閲覧.
  8. “いすゞ、バスシリーズを改良し発売” (プレスリリース), いすゞ自動車, (2012年6月15日), http://www.isuzu.co.jp/press/2012/6_15bus.html . 2012閲覧. 
  9. ご存知ですか?『南港線』”. 南海バス (2014年1月10日). . 2014閲覧.
  10. “いすゞ、大型路線バス「エルガ」をフルモデルチェンジ” (プレスリリース), いすゞ自動車, (2015年8月18日), http://www.isuzu.co.jp/press/2015/8_18erga.html . 2015閲覧. 
  11. “いすゞ、大型路線バス エルガを15年ぶりにフルモデルチェンジ”. Response.. (2015年8月18日). http://response.jp/article/2015/08/18/258108.html . 2015閲覧. 
  12. マツダ「ロードスター」、トヨタ「ミライ」など2015年度グッドデザイン賞にマイナビニュース 2015年9月30日
  13. いすゞエルガ 前扉仕様バス(送迎用)主要諸元表 (PDF) いすゞ自動車公式サイト、2018年6月18日閲覧。
  14. 「いすゞ、ハイブリッドバスのプロトタイプを開発」、『バスラマ・インターナショナル』第110号、ぽると出版、2018年11月、 p.96。
  15. いすゞ 大型路線バス「エルガハイブリッド」を発表”. いすゞ自動車. . 2012閲覧.
  16. 16.0 16.1 「いすゞエルガハイブリッド登場!」、『バスラマ・インターナショナル』第133号、ぽると出版、2012年9月、 pp.4-7。
  17. 17.0 17.1 ISUZU:東京モーターショー2011 エルガ ハイブリッド”. いすゞ自動車. . 2012閲覧.
  18. 「いすゞエルガハイブリッド 試乗&阪急バス取材で探るその実力」、『バスラマ・インターナショナル』第135号、ぽると出版、2013年1月、 pp.11-15。
  19. 19.0 19.1 国土交通省 いすゞ自動車株式会社 路線バス又は一般バス
  20. 国土交通省 標準仕様ノンステップバス認定車両の一覧
  21. いすゞ、大型路線バス「エルガハイブリッド」をフルモデルチェンジ 平成28年排出ガス規制に適合 いすゞ自動車公式サイト、2018年4月13日、2018年6月18日閲覧。
  22. ジェイ・バス株式会社|サービス・リニューアル情報|リニューアル(2014年2月27日観覧)

参考文献

  • 『バスラマエクスプレス08 いすゞ路線バスシリーズ ERGA-VP』 ぽると出版、2002年。ISBN 978-4899800040。
  • 『年鑑バスラマ 2006→2007』 ぽると出版、2006年。ISBN 978-4899800118。
  • 『年鑑バスラマ 2007→2008』 ぽると出版、2007年。ISBN 978-4899800132。
  • 『バスラマインターナショナル 101 2007年4月号「いすゞエルガ/日野ブルーリボンII 新長期排出ガス規制をクリア」』 ぽると出版、2007年。ISBN 978-4899801016。

関連項目

外部リンク