あいの風とやま鉄道
あいの風とやま鉄道株式会社(あいのかぜとやまてつどう)は、富山県富山市に本社を置く、第三セクター方式の鉄道事業者(第三セクター鉄道)である。
概要
北陸新幹線の長野駅 - 金沢駅間が延伸開業する際、西日本旅客鉄道(JR西日本)から並行在来線として経営分離される北陸本線の富山県内区間にあたる倶利伽羅駅 - 市振駅間において運営を担う鉄道事業者として[1]、富山県および富山市をはじめとする県内全15市町村に加え、富山地方鉄道、北陸電力、北陸銀行、インテックなどの出資によって、2012年(平成24年)7月24日に「富山県並行在来線準備株式会社(とやまけんへいこうざいらいせんじゅんび)」として設立された。
社名は、一般公募によるもので、2012年12月10日から2013年(平成25年)2月15日まで公募を行った結果、応募総数5,380件の名称案が寄せられた。選考の結果、高岡市在住の女性が応募した「あいの風とやま鉄道株式会社」を採用し、同年5月29日の取締役会で決定[2][3][4]、6月下旬の定時株主総会で定款変更を決議の上、同年7月1日付で商号を改称した[5][6][7]。
社名に冠された「あいの風」とは、日本海沿岸で春から夏にかけて沖から吹く北東の風の富山県内での呼び名で、古くから豊作や豊漁を運ぶ風として県民に親しまれている。この「あいの風」を県域東西を横断する路線に見立て、県民に豊かさや幸せを運び届け、かつ県民に「愛」される鉄道を目指すという経営理念を表している。
沿革
- 2012年(平成24年)7月24日 - 富山県並行在来線準備株式会社として設立。
- 2013年(平成25年)
- 2014年(平成26年)
- 2015年(平成27年)
- 2016年(平成28年)
- 2017年(平成29年)
路線
- あいの風とやま鉄道線 : 倶利伽羅駅 - 市振駅(営業キロ 100.1km)
2015年(平成27年)3月14日の北陸新幹線の金沢延伸と同時に、並行在来線富山県内区間を継承して開業した[17]。
以前は北陸本線の一部であった区間で、北陸新幹線の延伸開業に際しJR西日本から経営分離された。営業上の境界駅となる石川県河北郡津幡町の倶利伽羅駅と、新潟県糸魚川市の市振駅は、それぞれIRいしかわ鉄道とえちごトキめき鉄道の管理駅で、両駅を除く富山県内所在の19駅があいの風とやま鉄道の管理下に置かれる[27][28]。鉄道資産上の経営区間は石川県境から新潟県境までの98.7kmである。
北陸新幹線の延伸開業時には、富山駅を中心に新幹線や沿線各駅で接続する路線との連絡を考慮し、かつ通勤・通学需要に合わせたダイヤが編成され、各駅停車に加え、快速列車として、金沢駅 - 富山駅 - 泊駅間で「あいの風ライナー」が平日に、座席指定制(ライナー料金が別途必要)で設定された[注 1]。2016年3月26日改正時点で、平日に下り3本、上り2本が運行され、土曜・休日は全便運休となる。特急列車等の優等列車は設定されていない[16]。
IRいしかわ鉄道とは金沢駅 - 倶利伽羅駅 - 富山駅間で相互直通運転を実施するほか、平日朝に城端線から高岡駅 - 富山駅間を直通するJR西日本の列車が存在する。また、泊駅 - 市振駅間については、えちごトキめき鉄道日本海ひすいラインからの列車が大半であり、泊駅で系統を分断している。ただし朝夕の2往復に限り、あいの風とやま鉄道の車両が糸魚川駅まで乗り入れる[28]。このため、直通運転実施事業者はJR西日本、えちごトキめき鉄道、IRいしかわ鉄道の3社となっているが、JR西日本については片乗り入れとなっている。
運行管理・指令業務・旅客案内
移管3年目となる2017年3月末より、旧北陸本線で一体となっていた指令システムを自社独自のシステムへ移行し、自社で業務を行っている[29]。これに伴い、同年4月1日より新旅客案内システムを導入し、駅名部分を「富山のアクセント」で発音する放送や、各駅独自の接近・入線メロディ(富山駅と高岡駅については独自の発車メロディも設定)を設定・実施している[23][24][30][31][32]。
開業当初の2年間については、運行管理と指令業務はJR西日本金沢支社の金沢総合指令所において、当社が自社路線とあわせ、IRいしかわ鉄道とえちごトキめき鉄道から業務を受託し、金沢駅 - 直江津駅間にわたってIRいしかわ鉄道線・あいの風とやま鉄道線・えちごトキめき鉄道日本海ひすいラインの計3路線の指令業務を行った[25][27]。
駅名標
沿線の大部分の南側が立山連峰、北側が富山湾を望む立地にちなんで、ホーム上に設置する駅名標のデザインは、山側は富山県の豊かな自然を表現したグリーンを、海側は富山湾の神秘さを表現したブルーを、それぞれメインに使用したデザインとしている[33][34]。この山側をグリーン、海側をブルーをメインとしたデザインは、後述の521系電車のカラーリングにも反映されている。
運賃・料金・きっぷ
旅客運賃
開業後5年間は激変緩和処置として、普通と通勤定期はJRの1.12倍、通学定期はJRの1.03倍とし、6年目以降、普通と通勤定期はJRの1.19倍、通学定期はJRの1.05倍に設定する計画である[27][28]。
普通旅客運賃
大人普通旅客運賃(小児は半額・10円未満切り上げ)。営業キロの1km未満は切り上げ[35]。
なお、2018年(平成30年)3月17日の高岡やぶなみ駅開業までは初乗り運賃の適用区間がなかった[36][37][注 2]。
キロ程(km) | 運賃(円) | キロ程(km) | 運賃(円) |
---|---|---|---|
- 3km | 160 | 41 - 45 | 860 |
4 - 6 | 210 | 46 - 50 | 960 |
7 - 10 | 230 | 51 - 60 | 1,110 |
11 - 15 | 270 | 61 - 70 | 1,260 |
16 - 20 | 360 | 71 - 80 | 1,460 |
21 - 25 | 460 | 81 - 90 | 1,660 |
26 - 30 | 560 | 91 - 100 | 1,860 |
31 - 35 | 660 | 101 | 2,060 |
36 - 40 | 760 |
特定運賃
後述の乗継割引との兼ね合いから、2017年(平成29年)4月15日より後掲の特定駅相互間のみを利用する場合、特定運賃が設定されている[26][38][37]。
区間 | キロ程 (km) |
運賃(円、括弧内小児) | 備考 | |
---|---|---|---|---|
普通 | 特定 | |||
高岡やぶなみ - 高岡 | 2.6 | 160(80) | 150(70) | 2018年(平成30年)3月17日より |
高岡 - 越中大門 | 3.7 | 210(110) | 200(100) | |
西高岡 - 高岡 | 5.3 | (110) | (100) | 小児運賃のみ。大人運賃210円 |
料金
なお、特急料金の設定はない。
乗車券発売範囲・連絡運輸
あいの風とやま鉄道で取り扱う乗車券の発売範囲・連絡運輸については、区間・駅によって範囲が異なっている[39][28][35]。なお、普通乗車券の小児運賃は大人運賃から半額であるが、JR線が関係する場合のみ10円未満切り下げ、その他は10円未満切り上げとしている。
凡例
- ○…自社窓口・券売機で取り扱い
- 但し、無人駅設置の券売機では、設置駅から到着駅までの自社と連絡運輸先の営業キロが合計100km以内の乗車券のみを取り扱っている。
- △…自社線を通過しないため、自社各駅での取り扱いなし。乗車駅を管轄する他社(IRいしかわ鉄道・えちごトキめき鉄道)で取り扱いあり
- IRいしかわ鉄道#連絡運輸、えちごトキめき鉄道#連絡運輸も参照。
- いずれも無人駅のため、自駅での窓口発券はなし(倶利伽羅駅は券売機を設置)。
- ×…自社での取り扱いなし。
- ※…自社線を通過しないが、各接続駅(高岡駅・富山駅)のみ、あいの風とやま鉄道で取り扱いを行う。
自社・JR西日本・IRいしかわ鉄道・えちごトキめき鉄道
普通乗車券・定期乗車券については下表の通りとなっている。回数券については自社線各駅相互間のみの発売である[39]。
乗車駅 | 降車駅 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
自社線各駅 (倶利伽羅駅・ 市振駅含む) |
JR西日本 | IR いしかわ 鉄道 |
えちご トキめき鉄道 | |||||
(IR経由) | 氷見線 | 城端線 | 高山本線 | 日本海ひすい ライン | ||||
北陸本線 | 七尾線 | |||||||
西金沢駅から 大聖寺駅まで の各駅 |
中津幡駅から 和倉温泉駅 までの各駅 |
各駅 | 各駅 | 西富山駅から 猪谷駅まで の各駅 |
倶利伽羅駅 を除く各駅 |
市振駅を 除く各駅 | ||
倶利伽羅駅(IR管轄) | ○ | △ | △ | ○ | ○ | ○ | △ | × |
石動駅 - 西高岡駅 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | × |
高岡駅 | ○ | ○ | ○ | ※ | ※ | ○ | ○ | × |
越中大門駅 - 呉羽駅 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | × |
富山駅 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ※ | ○ | ○ |
東富山駅 - 越中宮崎駅 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
市振駅(トキてつ管轄) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | × | △ |
富山地方鉄道
富山地方鉄道との連絡運輸については、下表に示す乗車駅・降車駅相互間の普通乗車券のみ発売する[39]。
乗車駅 | 降車駅 | |||
---|---|---|---|---|
富山地方鉄道 | ||||
富山/電鉄富山接続 | 魚津/新魚津接続 | |||
立山駅 | 宇奈月 温泉駅 |
立山駅 | 宇奈月 温泉駅 | |
石動駅 | ○ | ○ | × | ○ |
高岡駅 | ||||
小杉駅 | ||||
富山駅 | × | × | × | ○ |
滑川駅 | ○ | × | × | ○ |
魚津駅 | ○ | × | × | × |
黒部駅 | ○ | × | ○ | ○ |
入善駅 | ||||
泊駅 |
通過連絡運輸
JR各社ではあいの風とやま鉄道線を通過する通過連絡運輸として、以下のものを設定している[40]。
発着駅 | 経由 | 発着駅 | |
---|---|---|---|
氷見線・城端線各駅 | 高岡 - 富山 | JR四国・九州を除くJR全駅 | |
高岡 - 倶利伽羅 | IRいしかわ鉄道線 (倶利伽羅 - 金沢) |
JR東日本・北海道を除くJR全駅 | |
IRいしかわ鉄道線 (倶利伽羅 - 津幡) |
七尾線各駅 | ||
JR九州を除くJR全駅 | 富山 - 倶利伽羅 |
このほか「青春18きっぷ」「フルムーン夫婦グリーンパス」、訪日外国人向けの「ジャパンレールパス」については通過利用の特例が設定され、高岡駅から氷見線・城端線へ、または富山駅から高山本線に乗り継ぐ際には富山駅 - 高岡駅間の普通・快速列車(普通車自由席)を追加運賃なしで利用することができる。ただし途中下車が認められるのは富山駅と高岡駅のみで、両駅以外の途中駅で下車する場合、または両駅以遠の同線の駅を利用する場合はあいの風とやま鉄道線の乗車区間の運賃が別途必要となる[41]。
乗継割引
利用者の負担軽減を図るため、JR西日本、IRいしかわ鉄道、えちごトキめき鉄道との乗継割引が導入されている。
JR西日本
割引対象区間は以下の通りである。割引の設定に当たっては「運賃の上昇は20%までに抑える」「同じ区間は同一の運賃にする」というルールに基づき、乗降駅ごとに最大で150円、最小で10円を割り引いている[38]。
- 氷見線(高岡駅接続)
- 石動駅・呉羽駅・富山駅 - 越中国分駅間
- 福岡駅・西高岡駅・越中大門駅・小杉駅 - 氷見駅間
- 城端線(高岡駅接続)
- 石動駅・呉羽駅・富山駅 - 戸出駅間
- 福岡駅・西高岡駅・越中大門駅・小杉駅 - 城端駅間
- 高山線(富山駅接続)
- 高岡駅・越中大門駅・滑川駅 - 速星駅間
- 小杉駅・呉羽駅・東富山駅・水橋駅 - 猪谷駅間
乗継割引に伴う運賃の逆転現象
あいの風とやま鉄道線越中大門駅と、氷見線越中中川駅・城端線新高岡駅相互間は本来の運賃はあいの風とやま鉄道線の210円とJR線区間の140円を合算した350円であるが、乗継割引の適用により、あいの風とやま鉄道線の区間が80円引き、JR線の区間が70円引きとなり、実際に支払う運賃は200円となる。
これは、高岡駅 - 越中大門駅相互間(3.6km)の本来の運賃210円よりも低廉となり、越中大門駅から乗車した場合、乗継割引が受けられる越中中川駅や新高岡駅の運賃よりも、その手前にある高岡駅の運賃が高くなるという逆転現象が生じていた。
同様の現象はこのほか、西高岡駅 - 越中中川駅・新高岡駅相互間と西高岡駅 - 高岡駅間相互間(5.6km)の小児運賃でも見られ、前者がJRの制度に合わせ割引後の大人運賃210円から半額・10円未満切り下げとして、100円となるのに対し、後者が110円(大人運賃210円から半額・10円未満切り上げ)となっていた。
その後、ICOCAのエリアを城端線高岡駅 - 新高岡駅間に拡大した2017年(平成29年)4月15日に、あいの風とやま鉄道が当該区間に特定運賃を設定したことで、逆転現象は解消され[26][38]、2018年(平成30年)の高岡やぶなみ駅開業時にも、同様の現象が発生する区間に特定運賃を設定している[37]。
IRいしかわ鉄道
- 高岡駅 - 津幡駅間:90円割引
- 石動駅 - 金沢駅間:90円割引
- 区間が重複する石動駅 - 津幡駅間は上記の割引が重複適用され、180円割引となる。
えちごトキめき鉄道
- カッコ内は割引額を示す。
親不知 | 青海 | 糸魚川 | |
---|---|---|---|
越中宮崎 | 300 (110) | 360 (90) | 540 (80) |
泊 | 370 (60) | 430 (40) | 610 (30) |
途中下車
101km以上の区間の乗車券についてはJRと同様有効期間が2日間となり、後戻りしない限り何度でも途中下車が可能である。 他社線との連絡乗車券についても他社線の距離と合算し101km以上であれば途中下車は可能である。
ICカード
あいの風とやま鉄道では県外客の利便性を考慮し、開業12日後の2015年3月26日から、自社管轄となる石動駅 - 越中宮崎駅各駅間相互間で、JR西日本のICカード乗車券「ICOCA」のサービスを開始した[18]。現在は、他社も含めたエリア拡大に伴い、自社線では市振駅を除く全駅がエリアとなっている。
これにより、SuicaやPASMOなどICOCAと全国相互利用サービスを実施している交通ICカード計10種類が利用可能となっている。カードは石動、高岡、小杉(北口)、富山、滑川、魚津、黒部、泊の各駅の窓口で発売し、チャージはエリア内の有人駅16駅で取り扱っているほか、SMART ICOCAのクイックチャージにも対応している。
開始当初は乗車券機能のみの運用であったが、2016年(平成28年)2月27日の自社オリジナルデザインICOCA「Ainokaze ICOCA」の発売[注 4]にあわせ、サービス開始の段階では対応していなかったカードの払い戻し等の手続き、定期券、小人運賃用の「こどもICOCA」のサービスが実施された。加えて、2017年(平成29年)4月15日からは、「富山エリア」の「石川・富山エリア」への拡大に合わせ、新たにエリアとなったJR西日本およびIRいしかわ鉄道とのIC連絡定期券のサービスを開始した。
- AinokazeICOCA.jpg
Ainokaze ICOCA
- Ainokaze Toyama Railway tomari station ICOCA.JPG
泊駅に設置されている、ICOCAのチャージ機(左側)と簡易ICカード改札機(右側)
- Ainokaze Toyama Railway uozu station Suica.JPG
改札とチャージ共にSuica等の相互利用も可能
特別企画乗車券
あいの風とやま鉄道線内のみで利用できる特別企画乗車券として、下記の乗車券を発売している。いずれも管内の有人駅16駅で発売する。
- 一日フリーきっぷ
- 富山県内区間(石動駅 - 越中宮崎駅間)を、週末・休日などの1日に限りフリーエリアとして利用できる(大人1,500円、小人750円)。「あいの風ライナー」に乗車する場合はライナー券が別途必要。利用者には富山県立近代美術館ほか沿線施設の割引サービスなどが付与される。発売は乗車日の前日まで。購入後の乗車日の変更はできない。
- 2015年3月14日(開業日)から5月6日までは、曜日に関わらず利用できる「開業記念一日フリーきっぷ」を発売していた(発売価格は同額、2016年3月末まで利用可)。
- 中学生往復半額ホリデーパス
- 中学生を対象に、週末・休日や夏休みなどの長期休暇期間に、富山県内区間の往復運賃を半額とする割引乗車券[注 5]。購入・利用時は生徒手帳など中学校に在学している証明書の提示や携帯が必要となる[42]。
- あいの風・IR1日フリーきっぷ
- IRいしかわ鉄道線・あいの風とやま鉄道線内の石川県・富山県内区間(金沢駅 - 越中宮崎駅間)を、週末・休日などの1日に限りフリーエリアとして利用できる(大人2,000円、小人1,000円)。特急列車に乗車する場合は自由席特急券が、「あいの風ライナー」に乗車する場合はライナー券が別途必要。なお、IRいしかわ鉄道では「IR・あいの風1日フリーきっぷ」を発売する(内容は同一)。一日フリーきっぷ同様乗車日の前日までの発売で乗車日の変更はできない。
なお、泊駅では2017年4月1日からえちごトキめき鉄道の特別企画乗車券「トキめきホリデーフリーパス」の取り扱いを行うが、自社線内は有効区間に含まれていない[43]。このほか、沿線各地の祭り・催事などに合わせた割引乗車券が発売されている。
車両
開業に際し、JR西日本から営業用・除雪用として下記の車両をそれぞれ譲受した。譲受日はすべて2015年3月14日付である[注 6]。営業用車両は金沢総合車両所の所属車両の一部、除雪用車両は敦賀地域鉄道部所属車両の一部を譲受したもので、新造車両はない[27][28][45][注 7]。なお、あいの風とやま鉄道線は全線交流電化であるものの、保有する電車はすべて交直流電車である。
- 521系
- JR西日本からの譲渡車2両編成16本と、自社製造の1000番台2両編成1本が所属。編成番号は「AK」で、譲渡車・新造車とも通し番号である。
- 譲渡車はすべて2次車で、車両番号はJR時代と変更はない。また、1000番台の仕様はJRの3次車とほぼ共通である。
- エクステリア部のカラーリングは前掲の駅名標と同様に、山側をグリーン、海側をブルーを基調としたデザインである[46]。
- 413系
- 3両編成5本が所属。こちらも車両番号の変化はなく、エクステリアも変更はないが、全編成とも譲渡前に体質改善工事が行われている。編成番号は「AM」。
- AM03編成は簡易改造のイベント列車「とやま絵巻」として2016年8月に改造され[47]、8月28日から運行を開始している[48]。
- DE15形
- 2両(1004・1518)が所属。除雪用として使用されるディーゼル機関車[44]。
今後の増備・改造車両
- 521系1000番台
- 413系5編成の置き換え用として2017年度から6年計画で5編成を導入予定[49]。第1編成は2017年(平成29年)12月12日に富山貨物ターミナルまで甲種輸送され、2018年(平成30年)3月17日ダイヤ改正より営業運転を開始している[50][51]。
- 当初、413系は開業後の利用状況を踏まえての更新となり、国庫補助と並行在来線安定基金 (2/3) を財源に第1編成については2019年の納車を予定していた。しかし、運賃値上げの更なる抑制、および後述の観光列車計画に関連し、最初に更新する1編成のみ富山県の支援を前倒しし、2016年度に1編成の新造に着手、2017年度の納車を目指す方針となった。残りの編成は2019年度から2022年度に導入される[52][53][54][49]。
- 価格は、1編成およそ5億円であり、財源については、最初の1編成については老朽取り換えではなく増備の扱いであるため、県の補助(2/3)と自己資金(1/3)で対応し、残り4編成の更新については経営安定基金(2/3)と国庫補助(1/3)での対応となる予定である[49]。
観光列車(413系)
- 2018年度に521系投入を受け余剰となる413系電車1編成を観光列車に本格改造し、同年度後半より土曜・日曜・祝日に運行開始予定である[52]。観光列車改造の予算は1億5千万円で、すべて自己資金である[55]。なお先述の「とやま絵巻」と、観光列車用は別の編成となる予定である[56][57]。
- 運転区間は線内のほか、他社線への乗り入れも検討されている[49]。
共同使用駅
- 区分
-
- 富山駅(新幹線は西日本旅客鉄道)
駅の設備
みどりの窓口は沿線市町村で各1駅ずつ存続することとなり、石動、高岡、小杉、滑川、魚津、黒部、入善、泊の各駅ではJR西日本指定旅行会社の営業所扱い(富山県知事登録 2種 285号)で、あいの風とやま鉄道が引き継いで運営している[58]。一方で、同一市内に設置駅がある福岡駅、東富山駅については廃止された。
クレジットカードは開業当初は定期券の購入時以外使用できなかったものの、2017年4月1日よりJR線きっぷの購入にも利用できるようになった[59][注 8]。なお、e5489、えきねっとなどJRのインターネット予約サービスで予約されたきっぷ類の発券はできない。また、あいの風とやま鉄道の窓口以外で発行されたきっぷ類の変更、払い戻しもできない。
JR西日本系の売店・コンビニエンスストアは2015年2月28日をもって営業を終了しており、継承されていない[60][61][注 9]。あいの風とやま鉄道では駅構内の売店を運営する企業との交渉を進めている。
出資比率
富山県と県内全15市町村、民間企業4社が出資している。比率は県が全体の63%、市町村が計27%、北陸電力、北陸銀行、インテック、富山地方鉄道の4社が計10%を占める。
市町村別の出資比率
前述した全体の27%を占める県内15市町村出資分の自治体別出資比率は下記の通りである。
- 沿線自治体 - 朝日町 1.4%、入善町 2.4%、黒部市 4.2%、魚津市 3.1%、滑川市 2.7%、富山市 51.7%、射水市 7.7%、高岡市 18.1%、小矢部市 2.3%
- 非沿線自治体 - 砺波市 1.4%、南砺市 1.9%、氷見市 1.5%、上市町 0.7%、立山町 0.8%、舟橋村 0.1%
脚注
注釈
- ↑ JRグループ各社のホームライナーに相当する方式で、移管前に運行されている「おはようエクスプレス」等の特急列車を補完するもの。第三セクター鉄道では現行唯一のライナー列車である。同様の列車は並行在来線他社でも過去に例があり、しなの鉄道では「しなのサンライズ・サンセット」を運行していたが、本列車の運行開始と入れ替わる形で、2015年3月改正より全車自由席の快速列車へ形態変更された。
- ↑ 開業時点での旅客駅相互間の最短駅間営業キロ程が3.5km(福岡駅 - 西高岡駅間と滑川駅 - 東滑川駅間)であったため。
- ↑ 「あいの風ライナー」はIRいしかわ鉄道線に直通するが、IRいしかわ鉄道線内の停車は始発・終着駅の金沢駅のみであり、IRいしかわ鉄道線区間の利用に対する料金は設定されていない。
- ↑ それまではJR西日本が発行した一般カードのみを発売していた。
- ↑ 中学生を対象とした同様の休日割引乗車券は、並行在来線他社ではIGRいわて銀河鉄道の「中学生往復半額きっぷ」などがある。ただしIGRのこの乗車券の適用期間は中学校の長期学休期間(夏休み・冬休み・春休み)のみとなる。
- ↑ これに従って、JR西日本において2015年3月14日付の除籍扱いとなっている[44]。
- ↑ なお、相互乗り入れを行うIRいしかわ鉄道と、えちごトキめき鉄道日本海ひすいラインでは、新造車が導入されている(IRいしかわ鉄道の521系は手続き上は譲受扱いだが、うち2編成は実質的な新造車)。
- ↑ なお、IRいしかわ鉄道では開業当初よりクレジットカードを用いてJR線のきっぷ類の購入が可能である。
- ↑ このほか越中八尾駅(高山本線)の「キヨスク」、えちごトキめき鉄道に移管する糸魚川駅の売店「ちゃお」も同日限りで営業を終了し、富山・新潟両県の在来線駅舎で運営していたJR西日本系の売店はすべて閉店した。なお、富山駅と糸魚川駅では新幹線駅舎へ店舗を移設して営業を継続している。
出典
- ↑ “「あいの風とやま鉄道」の開業日が決定しました” (プレスリリース), あいの風とやま鉄道, (2014年8月27日) . 2015閲覧.
- ↑ 富山県並行在来線準備株式会社公式サイト 2013年5月30日付発表、「新商号(社名)内定について」、2013年5月30日閲覧。
- ↑ 3.0 3.1 “新商号(社名)内定について (PDF)”. 富山県知事政策局 総合交通政策室・富山県富山県並行在来線準備株式会社 (2013年5月30日). . 2015閲覧.
- ↑ 4.0 4.1 “富山県の北陸新幹線並行在来線、新社名は「あいの風とやま鉄道」に内定!”. マイナビニュース. (2013年5月31日) . 2015閲覧.
- ↑ 新社名への移行について
- ↑ 活動状況(新社名へ移行しました) - あいの風とやま鉄道株式会社(旧サイト)、2013年7月1日付。2015年1月26日閲覧。
- ↑ 7.0 7.1 知事政策局 総合交通政策室. “政策評価表 13 生活交通の確保 (PDF)”. 富山県. . 2015閲覧.
- ↑ “植出耕一前副知事死去 66歳 あいの風とやま社長”. 中日新聞. オリジナルの2014年1月9日時点によるアーカイブ。 . 2015閲覧.
- ↑ 弊社 代表取締役社長 植出 耕一 急逝のお知らせ 「お知らせ」 - あいの風とやま鉄道株式会社・富山県、2014年1月14日付。2015年1月8日閲覧。
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関連項目
外部リンク
- あいの風とやま鉄道(公式サイト)
- 富山県並行在来線対策協議会 - 富山県
- あいの風とやま鉄道利用促進協議会 - 富山県