スイートピー
スイートピー (Sweet pea,学名:Lathyrus odoratus) は、マメ科レンリソウ属の植物。和名では、ジャコウエンドウ(麝香豌豆)やカオリエンドウ(香豌豆)、ジャコウレンリソウ(麝香連理草)などと呼ばれている。
花言葉は「門出・思い出・別離」といわれている。
概要
イタリアのシシリー島原産の一年草で、日本では主に観賞用として栽培される。弱酸性土壌が適する。直根性で移植を嫌う。ふつう秋蒔きする。
有毒植物であり、成分は同属の種に広く含まれるアミノプロピオニトリル (β-aminopropionitrile) で、豆と莢に多く含まれる。多食すればヒトの場合、神経性ラチリスム (neurolathyrism) と呼ばれる痙性麻痺を引き起こし、歩行などに影響が出ることがある。他の動物では骨性ラチリスムと呼ばれる骨格異常が生じることがある。
歴史
1695年に修道僧クパーニによって発見され、その後イギリスで園芸植物として発展した。本格的に改良、交配が進むのは19世紀後半に至ってからであった。トレヴァー・クラークとヘンリー・エックフォードの尽力により、多彩な品種が誕生した。
エドワード7世のアレクサンドラ王妃はスイートピーを愛し、祝いの場では装飾としてスイートピーがふんだんに用いられ、エドワード朝を象徴する花となった。
遺伝学の実験植物としても用いられ、イギリスの遺伝学者であり、メンデルの法則を英語圏の研究者に紹介しその普及の先頭に立った人物であるウィリアム・ベイトソンは、実験にスイートピーを用いている[1]。
備考
スイートピーを題材とした歌に『赤いスイートピー』があり、スイートピーの日本国内での認知度を高めた。
この歌について、「この歌が世に出た1982年1月当時に、赤色の花をつけるスイートピーは存在していなかった」と語られることがあり、記事もある[2]が、これは「真紅のスイートピーは21世紀初頭に品種改良で生み出されるまで存在していなかった」ということであり、実際には「赤色系の色合いの花をつけるスイートピー」自体は1800年に既に存在している[3]。
脚注
- 出典
参考文献
- 井上 知昭:著『スイートピーをつくりこなす―連続採花による安定生産技術の実際』 (ISBN 978-4540051081) (社)農山漁村文化協会:刊 2007年
- アリス・M. コーツ:原著, 白幡 洋三郎/白幡 節子:訳『花の西洋史事典』 (ISBN 978-4896949056) 八坂書房:刊 2008年