国家主義
テンプレート:ナショナリズムのサイドバー 国家主義(こっかしゅぎ、英: statism ステイティズム[1]、仏: étatisme エタティスム[2])とは、国家(≒政府)を第一義的に考え、その権威や意志を第一だと考える立場のこと[3]。
Contents
概説
大辞泉によると、国家主義とは、国家を、「最高の価値あるもの」とか「人間社会の最高の組織」などと見なし、「個人よりも国家に絶対的な優位性があるのだ」などとする考え方である[4]。ブリタニカ百科事典によると、国家主義とは「国家に至上の価値がある」などと主張して、国家的な秩序や、国家による命令、自分の属する国家が軍事的に強いことなどを他の全ての価値に優先させようとする政治的な主張を指す[5]。 国家主義的な立場をとる者、そのような思想を持つ者を「国家主義者」と言う。
国家主義は保守的なイデオロギーのひとつである[2]。特に近代化に乗りおくれた20世紀のドイツや戦前の日本で隆盛をきわめた[2]、とブリタニカには記述されている。反意語は、世界やイギリスなどの西欧諸国を中心とするという意味合いの、「グローバリズム」である(グローバリズムとは、グロブブリテインを中心とした、という意である事から)。
自国国家を至上におくという考え方であるがため、国家内での価値の共有などは国家を形成するにおいて重要ではあるが、(国家の利益を個人の利益に優先させるので)全体主義的な傾向があり、偏狭な民族主義や国粋主義になりがちである。[3]。
政治と国家主義
イギリスと国家主義
ドイツと国家主義
オランダと国家主義
フランスと国家主義
カタルーニャと国家主義
インドと国家主義
日本と国家主義
第二次世界大戦中の日本は戦時体制により、国家主義的な傾向が強くなったことが指摘されている[7]。
経済と国家主義
経済的国家主義とは、「国有企業や他の形態による政治機構によって、直接的に、または経済企画によって間接的に、国が経済に介入する重大で合法的な役割を持っている」とする見方を強調するものである[8][9]。
また、国家的な経済プロックを経済的国家主義ということもある[10]。国家的な経済ブロックとしての経済的国家主義の語が用いられるようになったのは1930年代になってからのことである[10]。世界恐慌から資本主義国家が切り抜けるため、他国の経済的犠牲をいとわずに自国の経済ブロックの安泰を図ろうとした国際経済関係を指していう[10]。このブロック経済の方向はやがて第二次世界大戦への突入をもたらすことになった[10]。
「国家主義」という用語は時に国家資本主義を指すことがあり、また国家による多量の政治介入によって市場を管理する経済をさすこともある。また、企業・産業を国有化して、国家による統制を強めようとする方式の意味でも使われる。
脚註
- ↑ 世界大百科事典 第2版【国家主義】
- ↑ 2.0 2.1 2.2 ブリタニカ百科事典【国家主義】
- ↑ 3.0 3.1 広辞苑 【国家主義】
- ↑ 大辞泉【国家主義】
- ↑ ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典【国家主義】étatisme
- ↑ ブックハンティング・クラシックス第15回「凡庸なフランス」を忌み嫌ったド・ゴールの国家主義的価値観(岡崎久彦) フォーサイト
- ↑ 堀幸雄 『戦前の国家主義運動史』1997
- ↑ "statism" Routledge Encyclopedia of International Political Economy. Taylor & Francis, 2001. p. 1475
- ↑ "statism". Merriam-Webster.
- ↑ 10.0 10.1 10.2 10.3 『人文地理辞典』東京堂、1962年、579頁
関連項目
- 全体主義
- 国粋主義
- イデオロギー
- 民族主義(国家主義と関連する考え方であるが、国家ではなく民族を尊重するもので国家主義と対立することもある)
- コスモポリタニズム(世界中の人々が同胞であり、世界がひとつの国家となることを志向する考え方)
- 民主主義