九十九電機
九十九電機(つくもでんき)は、日本のパソコン量販店チェーンストア(パソコンショップ)。東京の秋葉原を本拠地とする。屋号を始め対外的にはツクモやTSUKUMOと称している。
かつては九十九電機株式会社によって運営されてきたが、2008年に民事再生手続の申立てを行い、2009年にヤマダ電機が事業譲受し、同社の子会社として設立された株式会社Project White(プロジェクト・ホワイト)に引き継がれた。
Contents
概要
1947年3月11日、鈴木勇が秋葉原(末広町)で創業。部品も含めた無線機器の販売店として地位を築いてきた。
「次百(つぐもも)」の転訛が店名「九十九」(つくも)である。
9世紀から10世紀前半にかけて編まれた伊勢物語第六十三段、
もゝとせ(百歳)に ひとゝせ(一歳)たらぬ(足らぬ)つくもがみ(九十九髪)
我をこふらし(恋ふらし) おもかげに見ゆ
店名として「九十九(次百)」と命名したのは、「次が百である」すなわち「百(=完全、完璧)を目指す姿勢を常に保つ」=「常に努力を続ける」という理念を表している。上記の歌で、つくもがみは「白髪」の暗喩である(百から一をマイナスすると「白」となる)。会社名の「Project White」はこの歌に由来すると思われる。
現在、インターネットによる通信販売を行っているほか、東京・秋葉原に複数の店舗を構えている。秋葉原の他にも池袋や名古屋の大須、札幌にも店舗がある。
現在はツクモオリジナルのパソコンと、パーツ類を取扱商品の主体としている。オリジナルパソコンを、同社はeX.computerと呼んでいる。
沿革
1968年、アマチュア無線機器販売を開始。かつては社団局(コールサインはJA1ZSB)も開設していた。
1977年、Apple IIの販売を開始。以後、PC-8000シリーズなどのパソコン販売を続けていた。パソコンの発売にあたって、女性従業員を大量に採用し、「マイコンガール」と命名し、店員が全て女性で構成されている「ツクモ7号店」を開店。これ以前に、秋葉原で大規模に女性従業員が活躍した事例はなく、当時は画期的な試みだった。
1980年頃までがアマチュア無線機器販売のピークで、その後はパソコンの販売が主体となった。
1990年代には秋葉原パソコン販売四天王の一つとして認知されるに至った。
1991年、大規模小売店舗法の改正にあわせ、ツクモパソコン本店(現在のツクモパソコン本店1)を開店。開店時は法施行直前だった。同時期に、当時19歳だった東宝芸能のアイドル女優、越智静香をイメージガールに起用し、広告展開を図った。イメージガールのプロデュースにあたったのは、後に映画プロデューサーとなる小滝祥平。小滝のアイディアにより、大規模小売店舗法が施行された後に店舗スペースとして利用するために空けていた地下フロアにて、越智静香の歌とトークのイベントを行った。これより以前、他社を含む秋葉原のビルのどのフロアにも、このようなイベントを行える空間は存在していなかった。これが、秋葉原の店舗フロアで行われた事実上初のアイドルイベントである。 二代目イメージガールは生田智子を起用した。
1997年、創業者・鈴木勇(当時・代表取締役会長)が死去。
2002年から2007年までは石丸電気と資本・業務提携した。
2007年、万世店、5号店を閉店し、アマチュア無線機器の取扱いを中止した。
2008年10月30日に、民事再生手続開始の申し立てを行い、事実上の倒産。負債総額は約110億円だった。バブル期の不動産取得や業務拡大に伴う借入金が主原因としている。同年11月5日、民事再生手続の開始決定がなされた[1]。
2008年11月21日、NECリース株式会社が在庫商品に対して担保権を実行し、商品を借金のカタとして引き上げてしまったため、一時休業に追い込まれる。同月26日に営業再開。なお、高田馬場店、町田店、梅田店は、同年12月末から営業規模を縮小し、町田店、梅田店は2009年1月22日、高田馬場店は2009年1月15日閉店した。
2009年1月6日、ヤマダ電機へ事業譲渡することで基本合意[2]し、同年3月10日に、ヤマダ電機が新設した子会社株式会社Project Whiteに事業譲渡された。なお、事業譲渡の準備のため、3月8日から13日まで完全休業した。倒産からProject Whiteに移管されるまでの間に2回休業している。
2009年6月9日、九十九電機株式会社は株主総会で会社解散を決議。同日、解散して清算手続に移行[3]。
店舗
営業中の店舗
営業している店舗のうち、DOS/Vパソコン館は旧ツクモAV/カメラ館が改称したもの。TSUKUMO eX.店の入るビルはかつてのT-ZONE本店であった。
名古屋店、札幌店は2008年の九十九電気営業時の経営悪化時に閉店になったが、その後各1店舗ずつ店舗の所在地は変わったものの復活して再度、開店している。大阪なんば店は2009年に閉店となったものの、2017年にゲーミングPCや自作PCパーツ・ゲーミングデバイス専門店のTSUKUMO BTO Lab. -NAMBA-ツクモなんば店として再進出となった[4]。新橋ツクモデジタル.ライフ館は2017年に閉店となったものの[5]、2018年にヤマダ電機LABI新橋の5~6階に入居するツクモ新橋店として再進出となった[6]。
閉店した店舗
- 秋葉原 ツクモラジオセンター店
- 秋葉原 ツクモ5号店
- 秋葉原 ツクモソフト8号店
- 秋葉原 ツクモ9号店
- 秋葉原 ツクモ10号店
- 秋葉原 ツクモ11号店
- 秋葉原 ツクモニューセンター店
- 秋葉原 ツクモ万世店
- 秋葉原 ツクモParts王国
- 秋葉原 ツクモロボット王国 - 元店長が「Robot Shop テクノロジア」として独立している。
- 秋葉原 ケース王国(2009年9月23日閉店)
- 秋葉原 モニタ王国(2004年2月11日閉店)
- 八重洲店
- 高田馬場店(2009年1月22日閉店)
- 蒲田東急プラザ店
- 吉祥寺店
- 下北沢店(2004年1月18日閉店)
- 町田店(2009年1月22日閉店)
- 新橋ツクモデジタル.ライフ館(2017年12月31日閉店)
- 名古屋2号店
- 名古屋3号店(2004年11月14日閉店)
- 名古屋7号店(2008年7月27日閉店)
- 名古屋 栄店(2003年12月31日閉店)
- 名古屋 名駅店
- 名古屋 名駅店2
- 大阪 梅田店(2009年1月22日閉店)
- 大阪 なんば店 (2009年9月27日閉店)
- 札幌 札幌店(DEPOツクモ札幌駅前店として移転)
ポイントサービス
ツクモ店舗(実店舗もネット通販も含む)で使用できるツクモeX.ポイントカードというカードを独自に発行している。なお、独立企業時代に発行していたツクモeX.カードは廃止された。
親会社ヤマダ電機へ事業譲渡された初期には、ポイントを相互に使用できた。なお、相互利用は一旦終了した後、2016年2月1日から再開されている[7]。ただし、一部に制限がある。
なお、大阪なんば店閉店に伴ってツクモが大阪地区から撤退した際に、救済措置としてツクモポイントをヤマダポイントに移行する手続きを行っていたことがあった。
このほか、かつての提携企業石丸電気でもポイント相互使用が可能な時期もあった。現在は終了している。
かつて行っていた事業
いずれも独立企業だったころの事業で、現在は行っていない。
携帯電話キャリア販売拠点
秋葉原にあったソフトバンクショップ。2008年4月22日閉店。ソフトバンクショップは秋葉原に2店舗、auショップも神田西口に展開していた。その後、一部店舗で携帯電話販売コーナーが復活。なお、以前の様にソフトバンクショップではなく、全キャリアの製品を取り扱っている。
ソフトウェア
パソコンゲームを販売。ブランド名は「ツクモオリジナルソフト」。
特にPC-8001用に機械語でプログラムされたゲームは『スーパースタートレック』『スーパーインベーダー』などスーパーが付くのが特徴で、当時の他のマイコンショップのソフトより抜きん出ていた。この時のプログラマーは、後に「I/O」で有名なアマチェア投稿者となる、芸夢狂人である。
その後は、『ウルトラ四人麻雀』(田口昭次作)や同人ソフトが元となった『魔法使いの妹子』などを販売した。
X68000用ハードウェア
周辺機器を自主生産していた。松岡伸明による設計。最も遅くまでX68000用のハードを扱っていた店となった。
- TS-3XR X680x0用外付け増設3.5インチ FDドライブ。
- TS-6BE6DE X68000Compact用6MBメモリ& FPUボード。FPUにはMC68882を使用。
- TS-6BE16 Xe30 16MBメモリボード。12MBを越えるメモリについてはHIMEM.SYSという添付ドライバを利用。
- TS-6BE16 CZ50 16MBメモリボード。12MBを越えるメモリについてはHIMEM.SYSという添付ドライバを利用。
- TS-6BGA グラフィックアクセラレータ+PCMボード。グラフィックチップにGD-5434、PCMにPCM69を使用。
- TS-6BS1/Mk-II/Mk-II' X680x0用SCSIボード。MK-IIにはメモリ増設用72PinSIMMソケットが装備。
- TS-JPIFE X680x0用ジョイスティックパラレルインターフェィス。EPSONスキャナー対応。
- TS-JPIFS X680x0用ジョイスティックパラレルインターフェィス。シャープCZ-8NS1対応。
参考文献
脚注
- ↑ “九十九電機株式会社 民事再生法の適用を申請”. TEIKOKU NEWS ONLINE. 帝国データバンク (2008年10月30日). . 2017閲覧.
- ↑ “九十九電機株式会社の事業譲受けに関する契約締結のお知らせ” (PDF) (プレスリリース), ヤマダ電機, (2009年1月31日) . 2017閲覧.
- ↑ 3.0 3.1 九十九電機株式会社の法人登記簿 (会社法人等番号 0100-01-023095)。
- ↑ “PC専門店「ツクモ」が日本橋に8年ぶりの再進出 9月オープンへ”. PC専門店「ツクモ」が日本橋に8年ぶりの再進出 9月オープンへ - 日本橋ショップヘッドライン (有限会社デシリットル・ファクトリー) (2017年11月23日). . 2017閲覧.
- ↑ “【ご案内】閉店セールのご案内 <第一弾 12月9日~12月15日>”. TSUKUMO公式サイト (2017年12月9日). . 2018-1-30閲覧.
- ↑ “ツクモ新橋店1月26日(金)「YAMADA LABI 新橋 5F・6F」にグランドオープン!!!”. TSUKUMO公式サイト. . 2018-1-30閲覧.
- ↑ “ヤマダ電機とツクモ、ポイントの相互利用が可能に”. ヤマダ電機とツクモ、ポイントの相互利用が可能に - AKIBA PC Hotline!(株式会社インプレス) (2016年2月2日). . 2016閲覧.