シットゥイン
シットゥイン(47px)(Sittuyin)は、ミャンマーの将棋類であり、2人で行うボードゲームである。将棋やチェスなどと同様、チャトランガを元とするゲームの1つである。
チャトランガがビルマに渡りシットゥインの原型が生まれたのは8世紀ごろだといわれている。「シット」はミャンマーの言葉で「戦争」や「軍隊」を意味している。「シットゥイン」という言葉は「戦争に使われる軍隊」に由来している。国際的なチェスの流入により南部ではプレイヤーは減っているが、北西部の地域では普及している。
盤
シットゥインの盤は 8×8 の 64マスからなる。チェスボードとは違い、市松模様には塗られていない。盤上にはシッケチョウと呼ばれる2本の対角線が引かれている。盤の大きさは60cm四方くらいであり、1つのますの大きさは7.5cmくらいとなる。
駒の名前と動き
シットゥインの駒は通常は木製であるが、高級品では象牙製のものも存在する。大きさは種類によって違うが、5-7cmくらいである。公式の駒は赤と黒に色分けされている。
駒の名称と動きは以下の通りである。
- ミンジー(王):上下左右斜めに1マス進むことができる。将棋の玉将(王将)・チェスのキング・マークルックのクンなどと同じ動きである。
- シッケ(副官):斜めに1マス進むことができる。マークルックのメットと同じ動きである。
- シン(象):斜めに1マスか前に1マス進むことができる。将棋の銀将・マークルックのコーンと同じ動きである。
- ミン(馬):チェスのナイト・マークルックのマーと同じ動きである。
- ヤター(戦車):縦横に好きなだけ動くことができる。将棋の飛車・チェスのルーク・マークルックのルアと同じ動きである。
- ネ(兵):前に1マス進むことができる。ただし前の敵駒は取れず、その代わり斜め前の敵駒を取ることができる。簡単に言うと、チェスのポーンと同じ動きである。
ルール
シットゥインの初期配置は、ネの位置が指定されていることとヤターを最下段に配置することを除けば自陣内で自由に配置してよい。赤から順に駒を配置していくが、公式の大会では相手の配置がわからないようにカーテンなどで仕切られる。配置の例は右の図を参照。
ネは、シッケチョウ(盤上に引かれた対角線)のあるマスに入るとシッケに昇格することができるが、これは既に自分のシッケが取られている場合に限る。ネがシッケチョウのマスにいるときにシッケが取られた場合、次の手番で昇格することができる。シッケチョウを通過したネは、今後昇格することはできない。
勝負は、相手のミンジーを詰ませた方が勝ちとなる。ステイルメイトはされてミンジーが動けなくなった方が負けである。
H.J.R.マレーの記録によれば、シットゥインは3段階の手順がある。
- ネ及び他の駒を配置する。
- 相手の配置を見て自陣の駒を好きな場所に置きなおす。このとき、駒の動きは無視してよい。どちらかのプレイヤーがネを動かしたときこの段階は終了し、ゲーム開始となる。
- 通常のルールに従って相手のミンジーを詰ますまで指す。
参考文献
- H.J.R.マレー(en) 「チェスの歴史 (A History of Chess)」 ISBN 0-936317-01-9
- 大阪産業大学アミューズメント産業研究所「世界のチェス将棋展」図録 ISBN 4-902567-05-9