mKdV方程式
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mKdV方程式(えむけぃでいびぃほうていしき、英: mKdV equation)または変形KdV方程式(へんけいけぃでいびぃほうていしき、英: modified KdV equation)とは非線形波動を記述する非線形偏微分方程式。可積分系の方程式の一つであり、無限個の保存量が存在する。日系3世である数学者ローバート・ミウラ(R. Miura)によって導出された。
Contents
概要
定義
時間変数t と空間変数x の関数でv (x, t )についての非線形偏微分方程式
- [math] v_t +6 v^2 v_x +v_{xxx}=0 \, [/math]
をmKdV方程式または、変形KdV方程式という。ここで、右下の添え字は各変数に対する偏微分を表す。mKdV方程式は可積分系の方程式であり、
- [math] v=\pm \alpha \operatorname{sech} (\alpha x -\alpha^3 t) \, [/math]
等のソリトン的な解を有する。
KdV方程式との関係
v が第2項の符号を変えたmKdV方程式
- [math] v_t - 6 v^2 v_x +v_{xxx}=0 \, [/math]
の解とすると、Miura変換と呼ばれる関係式
- [math] u=v_x+v^2 \,[/math]
で結ばれるu はKdV方程式
- [math] u_t - 6 u u_x +u_{xxx}=0 \, [/math]
の解となる。このことは、関係式
- [math] \biggl (\frac{\partial}{\partial x}+2v \biggr )(v_t - 6 v^2 v_x +v_{xxx}) = u_t - 6 u u_x +u_{xxx} [/math]
から導かれる。Miura変換並びにmKdV方程式は日系3世である数学者ローバート・ミウラ(R. Miura)によって、導出された。こうしたMiura変換の発見は可積分系における逆散乱法の発展の契機となった。
逆散乱法との関係
uを与えられたものとすれば、ミウラ変換の関係式は、リッカチの微分方程式であり、変数変換
- [math] v=\frac{\psi_x}{\psi} [/math]
により、
- [math] \psi_{xx}-u(x)\psi=0 [/math]
- [math]u \rightarrow u- \lambda[/math]
- [math]x \rightarrow x- 6 \lambda t[/math]
のもとで不変であることに注意すれば、ガリレイ変換u→u-λで、上記の線形化された方程式は、
- [math] \psi_{xx}+(u-\lambda)\psi=0 [/math]
となる。これは、uをポテンシャル関数、λを固有値とするシュレディンガー方程式である。従って、KdV方程式を解くことは、シュレディンガー方程式において、ポテンシャル関数を求める逆問題を解くことと等価である。
参考文献
- 原論文
- R. Miura, "Korteweg‐de Vries Equation and Generalizations. I. A Remarkable Explicit Nonlinear Transformation," J. Math. Phys., 9, p. 1202 (1968) doi:10.1063/1.1664700
- 参考書籍
- 和達三樹 『非線形波動 (現代物理学叢書) 』 岩波書店 (2000年) ISBN 978-4000067416
- 戸田盛和 『非線形波動とソリトン』 日本評論社(2000年) ISBN 978-4535783164