巻上公一
巻上公一 | |
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生誕 | 1956年1月25日(68歳) |
出身地 | 日本 静岡県熱海市 |
ジャンル |
テクノポップ プログレッシブ・ロック ニュー・ウェイヴ |
職業 |
シンガーソングライター プロデューサー |
担当楽器 |
ボーカル ベース 口琴 テルミン |
活動期間 | 1977年 - |
共同作業者 | ヒカシュー |
公式サイト | 巻上公一公式サイト |
巻上 公一(まきがみ こういち、1956年1月25日 - )は日本の音楽家、プロデューサー。作詞、作曲家であり、歌手に留まらないヴォイスパフォーマーとして国際的に知られている。演奏は、口琴、テルミンなどの特殊なものから、コルネット、ベース、エレクトロニクスなど複数の楽器をこなす。静岡県熱海市出身[1]。
「ヒカシュー」のリーダーである。巻上自身が、ヒカシューの名前は武満徹の「悲歌」にちなんでつけたと証言している。デビュー当時は「テクノ御三家」の一つにも数えられたが、前衛音楽、前衛ロックやフリージャズまで含めて、例外を作り出す音楽を真骨頂としているバンドとして、長期間活動している。自らをパタフィジック(形而上学をこえたものを研究する哲学)の曲と、インプロ(即興演奏)のグループと定義している。
Contents
略歴
中学校時代、美術部で井上誠と知りあう。当時は8ミリフィルムのスクラッチング作品を作っていた。 高校時代、戸辺淳(哲の兄)と劇団ユリシーズを結成。海琳正道(現・三田超人)を劇団の活動に引き抜く。
その他に、3年間新聞部の部長も務め、新聞部全国大会2位。首都圏最優秀などを受賞した。 その後輩に後に「フールズメイト」を創刊する北村昌士がいた[2]。
高校在学中に、劇団「東京キッドブラザーズ」のオーディションを受け、ロックミュージカル「ザ・シティ」海外公演に出演する。ニューヨークではラママ劇場、ロンドンではロイヤル・コート・シアターでの長期公演を経験する。ロンドンでキッドを退団。楠原映二とヒラリー・ウェストレイクに誘われ、ピンク・フロイドのロジャー・ウォーターズがパトロンをしていたフリンジ劇団「ルミエール&サン」に参加。ヘンリー・カウ[3]が音楽を担当する劇団でもあり、ここで即興の多くを学ぶ。
帰国後、原宿学校(現在の東京映像学院)で映画を学びながら、キッドを一緒に退団した深水三章、堀勉とともにミスタースリムカンパニーの旗揚げに参加。プロデューサーを務める。
また同時に自身の劇団「ユリシーズ」を1976年に再結成。 1977年に虫の一生を描く前衛パフォーマンス「コレクティングネット」の音楽を山下康・井上誠に依頼した。 1978年に第2弾「幼虫の危機」を上演。この時「プヨプヨ」「幼虫の危機」などの作品が生まれた。 これらの歌をもとにその年の夏、「ヒカシュー」を結成。吉祥寺の羅宇屋でデビューした。当時はニューウェイブ全盛期だったが、当初はプラスティックスなどとともに、テクノポップのバンドとみられていた。
1981年には、巻上がかつて通っていた原宿学校(現在の東京映像学院)シナリオ科での講師であった、佐藤重臣に依頼し、トッド・ブラウニングの映画『フリークス』の上映イベントを行う。
また、同1981年には村上春樹原作、大森一樹監督作品『風の歌を聴け』に鼠役で出演した。映画では劇中劇の挿入歌もヒカシューとして提供している。また、スペクトラムなど他アーティストの楽曲を作詞することもある。
他にこの頃、南伸坊提唱・糸井重里命名のパフォーマンス集団「HAND-JOE」に、末井昭、上杉清文、鈴木祐弘、山崎邦彦らと参加。また、写真家・滝本淳助も加えて「ハンジョウ・オール・スターズ(H.A.S.)」として音楽活動も行った。
なお、ヒカシューは前衛音楽のバンドとして現在も活動を続けている。
1995年にニューヨークのJohn ZornのTZADIKレーベルから出したソロヴォイスアルバム「KUCHINOHA」をきっかけに、ヨーロッパや北米のコンテンポラリーミュージックのフェスティバルに招聘されるようになる。
また、トゥバ共和国やモンゴルなどの伝統的な歌唱法「ホーミー ホーメイ(喉歌)」の研究者・歌手としても知られている[4]。
1994年(平成6年)に、来日中のトゥバ共和国のホーメイ歌手の歌を聴いて魅了され、その場で頼んで習い始めた。翌年にはトゥバ共和国を訪問。以来毎年訪問しては現地の演奏家と交流を続けている。 また日本国内でもホーメイを教える催しを続けている[5]。
1998年に作演出音楽を担当した世界初の口琴室内オペラ「ホムス〜ぼくは頭をびょんびょんした」で、スイスの超絶口琴演奏家アントン・ブリューヒンを招聘。口琴ブームの火付け役となった(知久寿焼や時々自動の朝比奈尚行はこれをきっかけに口琴を知る)。近年は国内ではカルメン・マキやチャランポランタンと共演したり、海外ではロシアやヨーロッパで公演したりと、相変わらず活発な音楽活動を展開している。
ボイス・パフォーマンス講座
自著『声帯から極楽』で、歌唱の可能性の拡張をめざすとした「超歌唱法」の実践普及活動として、多摩川のいずるばで、ヴォイス・パフォーマンスのワークショップを毎月開催している[6]。
作品
アルバム
- 民族の祭典(1982年)
- 殺しのブルース(1992年)
- KUCHINOHA(1995年)
- ELECTRIC EEL(1998年)
- KOEDARAKE(2005年)
- 月下のエーテル(2006年)
- TOKYO TAIGA(2010年)
演出作品
音楽
- シャッフル(1981年) 監督:石井聰亙 ※ヒカシュー名義
- 俗物図鑑(1982年) ※ヒカシュー名義
- 超時空世紀オーガス02(1993年) ※ヒカシュー名義
演劇
- ユリシーズ
「不死鳥の謎」1976 「途切れた旋律」1976 「最后の晩餐」1977 「コレクティングネット」1977 「幼虫の危機」1978
- 劇団ワンダーランド
「善悪の彼岸過ぎまで」1984
- 小林紀子バレエシアター「そばでよければ」1985
- チュチュランドアカデミー
「なにもかも踊れ」1987 「あたま割り人形」1987「自殺なディスコ」1989
- プロデュース公演 「ドイナ」1995「マインドキング」1995「ホムス~ぼくは頭をびょんびょんした」1998
「エジプトロジー~わたしの頭は大トンカチだった」2000「Paradise from vocalbox」イタリアBeneton Fabrica2002
- マキガミックテアトリック
「チャクルパ」2004「シークレットカンフーシアター」2005,2006 「チャクルパ2ザーウミの海で」2006 「テルミンランデブー」2006 「チャクルパッタム」2006 「チャクルパ3 ウルルンソナタ」2007
イベントプロデュース
- John Zorn's Cobra 東京作戦 1993年から継続中 ホーメイフェスティバル in Japan 2001 2003
- Jazz Art せんがわ 2008 2009 2010 2011 2012 湯河原現代音楽フェスティバル 2009 2010
- Festival NEO-VOICE 2010(共同プロデュース 天鼓)
CDプロデュース
- ボロット・バイルシェフ(キング)
- АЯ (TZADIK)
- オンダール・モングンオール(エキアタル)
- ソロンゴ(東芝EMI)
- 都に雨の降る如く(東芝EMI)
- クラフトワークトリビュート(東芝EMI)
出演
映画
- 風の歌を聴け(1981年) 監督:大森一樹
- 俗物図鑑(1982年) 原作:筒井康隆、監督:内藤誠
- アギ・鬼神の怒り(1984年) 監督:早川光
- トルンピ アントン・ブリューヒンの口琴新世界(1999年) - ドキュメンタリー
ラジオ
- MUSIC INSIDE OUT(FM小田原)
フェスティバル
- イギリスのカンパニーウィーク1994、トゥバ国際ホーメイフェスティバル1995 1998 2003
- ドイツの「震える舌」フェスティバル 1999、
- スイスのタクトロスフェスティバル1996 1999、
- モスクワ「丸呑み或いは危険な声帯」フェスティバル 2000
- オーストラリアのWhat is musicフェスティバル 2001、
- オーストリア・インスブルック音楽祭 2002、
- カナダのVicto 2003 アルタイ共和国・エルオユン2002、カイフェスティバル 2004
- カルムキア語り部フェスティバル2005 ノルウェイのウルティマ現代音楽祭2005、
- ニュージーランドのASIA-PACIFIC FESTIVAL2007、
- 英国・ブライトンのColour out of space2008
- オーストリア・クレムスのKONTRASTE 2008
- スペイン・カセレスVostel Museum 2009
- オーストリア・ヴェルス Unlimited 2009など多数。
- ニューヨークジャパンソサエティ 2006 2008 ヒカシュー公演 2011 2017
- カナダのVicto 2011 АЯ(ボロット・バイルシェフ、佐藤正治とのトリオ)で出演
- the Wundergrund Festival コペンハーゲン 2011
- NATT JAZZ ノルウェーベルゲン 2012
- Bergen International Festival 2012
- Kongsberg jazz 2012
- Copenhagen Jazz Festival 2012
- Umea MADE festival2013
- Beyond the border 2014
- Fuji Rock festival 2010 2012 2014 2017
- the Stone residencies NYC 2014
- Vilnius Jazz 2015
- Festival Vladimir Rezitskogo, Arkhangelsk 2015
- G((o))NG TOMORROW festival Copenhagen 2015
- kamchatka Alhalalalai festival 2015 2016
- Wrocław,Jazztopad Festival 2016
著書
- 宇宙の右翼 水中の左翼 パルコ出版局 1982年
- 夕刊イトイ(糸井重里、久住昌之、みうらじゅん、島地勝彦、渡辺和博、天野祐吉、南伸坊、秋山道男、蛭子能収、川上宗薫、石原真理子、泉麻人、鈴木慶一、巻上公一、小林井秀雄) リブロポート 1984年
- 高級芸術宣言 付・総合商社HAND-JOEの歩み 高級芸術協会著(平岡正明、南伸坊、末井昭、巻上公一、赤瀬川原平、糸井重里ほか) JICC出版局 1985年
- 声帯から極楽 筑摩書房、1998年
- 反響マシーン―リチャード・フォアマンの世界(ポーラ・コート写真、巻上+鴻英良編) 勁草書房 2000年